最新の技術情報をキャッチアップし社内外へ伝えるプリセールス。経営層にもアプローチ
私は現在、法人向けの大型コンピューターであるサーバーシステムの技術部門に所属しています。プリセールスとして、システム導入前のお客様への営業や現場SEに同行し、技術にまつわる説明や提案を行っています。
経営者層のお客様にご提案することも多く、最近はシステム導入以前に、AIによって今後社会はどうなっていくのか、どう経営に活用していくべきかといったご相談を受ける機会が多くあります。その際役立っているのが、日本ヒューレット・パッカードにおける認定エバンジェリストとしての経験です。2014年当時、経営者層に深く刺さる提案ができる技術者の育成が課題となっていたことから、このプログラムが誕生しました。
私はエバンジェリストに認定された一期生ですが、プロジェクトの立ち上げ自体にも関わりました。技術的な知見だけではなく、ビジネスマンとしての立ち振る舞いから、プレゼンの手法までもをプログラムと認定試験に組み込みました。現在このプログラムは実施されていませんが、ここで蓄積したノウハウは今も若手育成における重要なエッセンスとして引き継がれています。
また、Linuxをはじめとするオープンソースに黎明期から携わってきたことがきっかけで、Webメディアでの連載記事や書籍の執筆依頼も舞い込むようになりました。著書を出版することは、自分の名前で仕事をすることでもあります。著書という形で自分の名前を残すことで、営業先や講演会でもより真摯に耳を傾けていただけるようになったと感じています。
さらに私は米国HPE公式AIアンバサダーとして、HPEの最先端技術情報を社内外に展開する役割も担っています。日本にいる米国HPE公式AIアンバサダーは、まだ3名ほど。常にHPEの最新情報をキャッチアップし伝えていくのはもちろんのこと、オープンソースのコミュニティのイベントや勉強会に積極的に参加することも心がけています。社外のさまざまな技術者の方と実際に会って話すことで、社内では得られない情報や視点を得られます。それがプリセールスとしての提案力を高めることにつながっていますね。
重要なのは何事も学び続ける姿勢。デリバリー部門での技術経験が自信に
私が技術者としてのキャリアを歩むことになったのは、1980年代に爆発的にヒットした家庭用ゲーム機がきっかけです。子ども時代はファミコンをはじめとするコンピューターゲームに夢中になり、自分でもゲームを作りたいと思うようになりました。
実際にプログラミングを始めたのは、中学1年生のころです。親戚のおじさんがプレゼントしてくれた手のひらサイズのパソコンを使い、ゲームを作って楽しんでいました。大学の進路選択では、プログラミングを続けたいという思いからコンピューターを活用したシミュレーション工学やソフトウェア工学、AIを学べる工学部に進学しました。
コンパックコンピュータ(2002年にHPEと合併)に入社したのは、大学院修了後の2000年のことです。研究室で扱っていた高速コンピューターの経験を活かせることから入社を決めました。これは内定後に知ったのですが、同社が災害対策用のコンピューターを提供していることも入社のモチベーションになりました。というのも、大学在学中に起きた阪神淡路大震災によって祖父母の自宅が被災しており、自分が取り組んでいるテクノロジー分野で災害対策に貢献したいという想いがあったのです。
入社後は中部支店に配属となり、サーバーシステムのプリセールスSEになりました。大学や官公庁などで使われる科学技術計算用大型サーバーシステムを担当し、提案から構築まで行っていました。
中部支店で3年間経験を積んだ後は、東京本社で引き続き、科学技術計算用のサーバーシステムを担当した後、Linux技術検証のSE担当になりました。米国本社の技術情報や製品情報を現場の営業系SEに提供するといった技術サポートを行っていました。このタイミングで、入社時に知った災害対策用コンピューターハードウェアやソフトウェア製品にも携わることができました。
デリバリー部門でプレゼン力だけでなく技術的なスキルを磨けた経験は、技術者としての自信につながりました。これは若手メンバーにもぜひ伝えたいのですが、技術者をめざすのであれば、何事も学び続ける姿勢が重要だと実感しています。中途半端な状態ではお客様に納得していただくことはできません。技術的なスキルや提案力を日々向上させることは、お客様との信頼関係の構築に不可欠です。
私自身、若手のうちから技術力を高めつつ、日本独自のエバンジェリストプログラムでプレゼン力を磨いた経験が、今につながっています。
充実したラボ環境や、技術者を大切にする企業風土も魅力
お客様の課題を解決し、それまで不可能だったことを可能にできるのは、今の仕事の何よりのやりがいです。特に印象に残っているのは、2012年ころに担当したお客様とのやり取りです。それまでは、システムで保管できるデータ容量が少なく、ビッグデータ活用に課題がありました。
そこで増設と性能向上が容易な当社のシステムを導入し、課題解決に加え、これまでできなかったビッグデータの分析を可能にしました。その際、お客様が「サーバーの性能が向上し、分析結果を素早く出すことができました」とわざわざ私に伝えてくださったことが非常にうれしかったです。
このように直接お客様から感謝の言葉をいただけることもあれば、営業担当から報告を受けることもあります。そんなありがたい言葉や報告を聞けるのは、何よりのやりがいです。
お客様への提案の際に意識しているのは、システムを通してどんなことが実現できるのか、さらに言えばどんなことを実現すべきかまでを提示することです。合わせてお客様のもとに足繁く通ったり、ときには勉強会を開催したりといった細やかな対応が、関係性強化につながると考えています。
このような高い提案力を可能にしているのが、当社の充実したラボ環境や、技術情報を積極的に共有していく社内風土です。これらは、テクノロジーカンパニーとしての大きな強みになっています。事業所のラボには、お客様向けの検証用のものだけでなく、社内エンジニアが自由に使える機材も用意されています。
実際の性能や問題点を自分で感じ取ることは、技術者にとって非常に重要なことです。社内で最新情報をキャッチアップしつつ、実際に機材に触って手を動かせる環境ならではの魅力です。このような環境が整っているのは、技術者を大切にする企業風土が醸成されているからこそだと感じています。
技術者として社会の裏側のシステムを知るワクワク感を味わってほしい
今後は、テクノロジーエバンジェリスト、そして米国HPE公式AIアンバサダーとして求められる活動に力を入れながら、テクノロジストとしてさらなる成長をしたいと考えています。
キャリアについて考えるとき、社内の役職や肩書きをもとに考える方も多いと思います。しかし、私はそれ以上に、どんなレイヤーのお客様にどんな提案をしていけるかという視点で考えています。経営層の方々は、社会を動かし世の中にインパクトを与えるような未来を見据えています。お客様の経営に深く関与し、意思決定を支えられる技術者になること。そのような存在になることを、私はめざしています。
学生のみなさんには、大学の勉強を頑張りつつ、自身の興味あることを深掘りしてもらえたらと思います。「この技術っておもしろそう」「この技術で世の中が変わりそう」と感じた領域についてとことん学んでみることで、やりたいことや得意分野が見えてきます。それを強みに「社会人としてこうなりたい!」と思える将来像を描いてみてください。
とはいえ、やりたいことや実際の業務内容は、キャリアを通してどんどん変わっていくものです。ときには自分の希望と異なる配属や業務内容になるケースもあると思いますが、そこはグッと飲み込んで前向きに取り組んでもらいたいですね。どんな経験も自分の糧にしようとすれば、いつか道が開けてくるはずです。
当社のようなテクノロジーカンパニーで働いてみると、世の中の至るところで大型コンピューターが稼働していることを実感すると思います。社会の裏側にあるシステムを知ることができるワクワク感は、HPEでの仕事のおもしろさでもあります。そんな環境で、技術者としてのスキルを高めていきたいという気概のある方に、ぜひ来てもらえたらうれしいですね。
※ 記載内容は2024年7月時点のものです
