Display Audioの未来を紡ぐ。ステークホルダーの架け橋を担う女性たち
Display Audioとは、自動車に搭載されている道案内、音楽・動画再生、エアコン、車内照明などを操作できるディスプレイのこと。プロジェクトマネージャー(PM)の髙城 敦子、メンバーの村野 裕子が現在の業務内容を語ります。
髙城:私たちの大きなミッションは「Display Audioのスペシャリスト」として、開発全体を行える部署になることです。今はその過程として、お客様である、自動車メーカー様の声を聞き、それを仕様書に落とし込んで外部の実装チームに伝え、お互いの意思疎通を図る架け橋のような役割を果たしています。
村野:Display Audioの開発には、Display Audioに搭載されている機能の専門的な知識が必要になります。ゆくゆくは私たちも実装を手掛ける存在になるために自動車メーカー様、実装チームの方々と会話を重ねる中で、Display Audioに対する知識や開発に関する技術を蓄えながら作業を進めています。
現在は日立産業制御ソリューションズのメンバー4人、関連会社のメンバー3人の計7人で仕様書作成を担当しています。それぞれのメンバーが機能別に仕様書作成を担当しており、関連する機能を担当する時にはメンバーと連携し合いながら業務に臨んでいます。
それぞれの担当する業務について、プロジェクト初期からメンバーとして活躍している甲斐 しずくが語ります。
甲斐:私はメンバーの1人として各機能の仕様書を作成しています。最近は安全支援機能などの車両装備設定に関する仕様書を作成しており、プロジェクトメンバーから確認してもらった後に、自動車メーカー様にも仕様書を確認していただき、レビューをもとにブラッシュアップを行っています。
プロジェクト発足当初はどんどんメンバーが加わっていくこともあり、情報連携が困難になることもありましたが、現在は随時ミーティングを行うなど円滑にコミュニケーションが取れるようになりました。メンバーそれぞれが離れて作業しているので基本的にはチャットツールを使った交流が多く、こまめに連絡を取り合っています。
村野:私は2024年5月に日立産業制御ソリューションズに入社したばかりで、最近ようやく雰囲気に慣れてきました。業務内容としては甲斐と同じく各機能の仕様書作成を行なっており、現在はエアコンを担当しています。
自動車のエアコンは、物理的なボタン(ハードキー)からDisplay Audio内の画面から操作できるように進化しています。この進化に追従できるように仕様書を作成しています。
髙城:私は現在お客様先に駐在し、お客様と密に連携をとりながら情報の窓口として業務を行っています。また、PMとしてメンバーの進捗状況や困り事にも耳を傾け、スケジュールの管理や課題解消にも取り組んでいます。
PMとしてとくに大切にしていることは、メンバーの声をよく聞き、速やかに判断することです。とにかく動いてみなければ先に進まないことが多いので、時には上長からのアドバイスを仰ぎながら迅速に判断し、行動することを大切にしています。
未知の分野に挑む技術者たち。仕様書作成で見出した新たな可能性と自己成長の軌跡
2023年10月に開始したこのプロジェクト。発端の経緯や当時の状況を聞きました。
髙城:1つ前のプロジェクトから私と甲斐はDisplay Audioの仕様書に関する業務をしていたんです。昔の自動車と今の自動車では仕様がどう異なっているのか、比較・調査を行う業務でした。しかし日頃から自動車を運転する習慣がなかったもので、当時はDisplay Audioにどういう機能があるのかまったく分かっていなくって(笑)。レンタカーを借りてどんなことができるのかいろいろ試しながら、理解を深めていった思い出があります。
ちょうどそのプロジェクトがひと段落ついた頃、「Display Audioに対する知見があるメンバーに仕様書の作成をお願いしたい」と声をかけていただいて、このプロジェクトを立ち上げることになりました。
甲斐:初めは仕様書作成のルールを学ぶところからスタートしました。すでにある成果物を見ながらルールを学び、そのうちに自動車メーカー様からいただくご要望を仕様書に落とし込む作業も行うようになりました。
プロジェクトの進行とともに、搭載する機能の規模も拡大。その頃、村野も参画します。
髙城:村野が入社した頃には仕様書作成に加えて、自動車メーカー様や実装チームとの話し合いや方向性決定の場にも加わるようになっていました。いわゆる、双方の橋渡し的な役割が増えてきたのはこの頃ですね。
それぞれにプログラミングの実装経験はあったものの、仕様書作成は初めてだった3人。プロジェクトが軌道に乗るまで努力を重ねてきたと言います。
村野:入社当初は仕様書作成の経験がまったくなかったので習得に苦労しましたが、メンバーの力を借りながら徐々に覚えていきました。今では業務に慣れ、言われたことをただやるのではなく、自分からアクションを起こして自動車メーカー様とも認識合わせをしながら業務を進められるようになってきました。
髙城:前のプロジェクトからDisplay Audioに関わっていたとはいえ、初めはまだまだ知識が足りていませんでした。しかし、研鑽を続けていくうちにどんどん理解できるようになり、話し合いの場では「こうしたらどうですか?」と建設的な意見が言えるようになるなど、成長を感じましたね。
認識の齟齬を無くすために──チームで実現した「明確な開発プロセス」への挑戦
プロジェクトを通じて印象的だった出来事、学んだことを3人が語ります。
村野:コミュニケーションの重要性を学びましたね。Display Audioの走行中の操作を制限する機能を作っていた時、大規模な機能だったので複数人で手分けして仕様書を作ることにしたんです。
できあがった仕様書を見てみるとみんなちょっとずつ認識がずれていることが分かり、結局再度作り直すことになってしまいました。事前にしっかりと文面や図面を使って認識をすり合わせておくことが大切だなと感じました。
甲斐:私も1人で抱え込んでしまったことで、作業の手戻りが生じたことがありました。大規模で複雑な機能の仕様書を作っていた時、難しい作業にも関わらず、誰にも相談せず作り上げたんです。
そうしたら社内でのチェック段階の際に「ここは分かりづらいね」「ここはちょっと内容が抜けているね」と指摘をもらい、作り直しが発生してしまいました。まだ不慣れな時期でもあったので、今思えばもっと周囲の方に相談しながら書けばよかったなと感じています。
このように1人で作業しているとどうしても視野が狭くなりやすいので、自分以外のメンバーにアドバイスをもらうことや、実装側の知識を増やしたりすることで、より分かりやすい仕様書づくりをめざすようになりました。
髙城:私もこのプロジェクト通じてさまざまな立場の視点を学びました。これまでは実装する側の考え方しか持っていなかったのですが、自動車メーカー様と密にコミュニケーションをしていく中で新しい気づきがありました。
基本的に自動車メーカー様は「こうだったら便利だろう」「こんなデザインがかっこいいだろう」など、ユーザー視点に立って物事を考えているんです。そのような特徴が理解できてからは、双方に話すときの視点を切り分けられるようになりましたね。
仕様書作成を専門に行うチームができたことにより、こんな声も聞こえてくると言います。
髙城:私たちが参画するまで仕様書を作成するメンバーが少なく、全体の機能に対して実際に仕様書を作れる機能がごく一部だったそうなんです。つまり機能の多くが仕様書なしに実装されており、「どうしてこういう作りなのか」は担当者しか知り得ない状態だったわけです。
しかし、私たちの参画によってあらゆる機能に仕様書が作られるようになり、「認識の齟齬が減った」と自動車メーカー様からも実装チームからも感謝されるようになりました。
完成後が本当のスタートライン。次世代Display Audioに馳せる3人の夢
3人が開発を手がけるDisplay Audioは2026年に発売される自動車に搭載されるため、開発も山場を迎えています。
髙城:今はまだ開発中ですが、何度か実機に触れることもでき「こんなふうに動くんだ」と感動したことを覚えています。今は2025年半ばの完成をめざして、自動車メーカー様からも駆け込みで多くの要望が寄せられています。いただいた要望を一つひとつ丁寧にすり合わせながら仕様書に落とし込むのはなかなか骨が折れる作業ですが、ユーザーの皆様に届く日を楽しみにこれからの山場を乗り越えていきたいですね。
また私たちのゴールは今回のDisplay Audioの完成ではありません。完成後はこれまで蓄積した知識や技術を生かして、不具合の修正などを皮切りに私たち自身が実装に携わっていくことも考えていますし、次世代のDisplay Audio開発に向けた取り組みにも関わっていきたいと思っています。
社内には実装のプロフェッショナルもいるので、今後はメンバーを増やし、規模を拡大したいとも考えています。最終的にはチーム全体を通じてDisplay Audioの仕様提案ができるようなDisplay Audioのスペシャリストをめざしていきたいですね。
他のメンバーたちも、歩みを止めずスペシャリストをめざしていく考えです。
甲斐:これまでの経験を生かし、仕様書作成も実装もできるようになることが目標ですね。仕様書と実装は切っても切れない深い関係性にあるので、両方ができるようになることで「こうやって仕様書を作ると実装しやすいな」など実体験に基づいた気づきをもとに、両方のスキルを磨いていきたいです。
村野:何事も視野を広くして取り組むことを大切にしたいですね。仕様書を作っている間はどうしても自分が担当している機能に注目しがちなので、他のメンバーが関わっている機能についても理解しながら作業を進めていきたいです。
今後、実装チームに入った時も同じで、広い視野で物事を見ることによりみんなで一丸となってよりよいものを作っていきたいと思っています。
※ 記載の会社名、製品名は、それぞれの会社の商号、商標もしくは登録商標です
※ 記載内容は2025年1月時点のものです

