独自の車載ECUの開発技術で、自動車の進化をリードする
コネクティブエンジニアリング事業部に所属する濱部。現在、自動車部品メーカー向けの車載ECUの開発プロジェクトを担当しています。
「車載ECUは、自動車のあらゆる機能を制御する装置で、我々は車外との通信を制御するセントラルゲートウェイのシステム開発を行っています。車外と通信できると、車載ソフトウェアの無線アップデートができるようになるため、機能の追加や不具合の修正が今までよりも簡単にできるようになるんです」
プロジェクトを構成するのは、5つの機能開発チーム。濱部はそのチームリーダーとして、チームの進捗管理やレビュー、お客様との仕様認識合わせなどを行っています。車外との通信は利便性を向上させる一方で、サイバー攻撃のリスクも抱えているため、セキュリティ対策が重要になります。
「セキュリティ対策を実装する上で、もっとも難しい課題は性能とのバランス。セキュリティを強化すると、どうしても起動時間などの性能に影響が出てしまうんです。セントラルゲートウェイは車内のほかのECUとの通信も担っているため、起動が遅くなると運転操作にも影響を与える可能性があります。
パソコンと違い、限られたハードウェアリソースの中でセキュリティと性能の両立を図らなければなりません」
現在、自動車業界ではSDV(Software Defined Vehicle)という、これまでのハードウェア先行からソフトウェア先行での開発を進める大きな流れが起きています。濱部はこの業界の転換期に開発に参画できていることは幸運だと話します。
「当社はもともと、SOC(System on a chip)の制御ソフトウェアやドライバー開発に強みがあります。我々の役割は、半導体メーカーが提供するSOCの性能を最大限に引き出しながら、車両としての性能を高めるソリューションを展開すること。
持てる知見を生かしながら、業界をリードする分野に貢献できることに、やりがいを感じています」
また、効率の良い開発のためにはスピードも求められます。
「自動車に搭載されるソフトウェアの数は、従来の開発方法では追いつかないぐらいに増えています。どうしたら品質を落とすことなく実現できるかは、これからの課題。開発インフラやAI、クラウドなどを使って効率化していく必要があると感じています」
どんなことも学びにつながる。ひたすら勉強した日々がエンジニアとしての土台に
大学では放射化学を専攻した濱部。その理由は「教授の人柄に惹かれたから」と言います。卒業後は多くの学生が大学院での研究をめざす中、濱部は就職を選択しました。
「自分はあまり学者肌ではないと思っていて。エンジニアを志して就職活動をする中で、日立産業制御ソリューションズを知りました。穏やかな人が多いと聞いていたのと、エンジニア職にありがちな残業が少ないと分かり、安心して入社を決めました」
入社後は3カ月間の研修を経て、エンジニアとしてのキャリアがスタート。初めは実務に追いつくのに一生懸命だったと、当時を振り返ります。
「研修中にC言語を学び直したものの、実務で要求されるスピードや品質の高さに驚きました。このままでは仕事を続けられないという焦りから、先輩のコードを徹底的に研究しながら必死に習得しました。
それでも1年目はまだプログラミング能力も低かったですし、設計もほぼ未経験。テストの項目も先輩が作ってくれていました」
2年目からは、車載向け画像処理ライブラリの開発に携わります。この時期にエンジニアとしての基礎を集中的に習得しました。
「画像処理ライブラリの開発を通して、C言語のポインターなど複雑な概念や、アルゴリズムの実装を経験しました。それまではほとんど書いたことのなかった設計書の作成方法も、上司から徹底的に教わって。ボロボロのレビューに落ち込みながら、基本設計から詳細設計、実装、テストまで、開発プロセス全体をひと通り自分でできるようになったんです。このときの経験は、その後に入ったどの案件でも役立っていますね」
さらに、当時の上司の仕事ぶりからも多くを学びました。
「マネジメントをしっかり行いながらも、隙間時間を使ってチームメンバーが使えるツールの整備やテスト用プログラムの土台作りなど、メンバーが作業しやすい環境づくりに注力してくれました。技術力も非常に高く、口で言うのではなく背中で示してくれる人なんです。そんな姿勢に今も憧れています」
3年、4年と経験を重ねるうちに、濱部も1人で開発を進める立場になります。その過程では失敗も経験しました。
「テスト工程で多くの不具合が見つかってしまい、期限ギリギリまで作業していたことがありました。この経験から、上流工程でのレビューの重要性を痛感。とくに開発に入る前に、実現可能性や要求間の矛盾などを修正することができれば、無駄なコストを抑えられます。このころから、初期の段階で不具合をなくしておくことを常に意識するようになりました」
リーダーとして重要な気づきを得て。課題解決により人の役に立つ喜びを味わう
その後、濱部は初めてプロジェクトマネージャーを任されます。この経験はさらなる成長につながる転機となりました。
「10名規模のプロジェクトでしたが、私もすでに1年ほど参加していた案件で、当時のプロジェクトマネージャーから『そろそろやってみたら』と声をかけてもらったんです。下地ができていたとはいえ、最初はまったくスムーズに進まず、残業も多かった記憶があります」
苦労したのは、プレイヤーとしての業務とマネジメントの役割のバランスを取ること。
「自分の開発作業に没頭するあまり、マネジメント業務に時間を割けなくなり、余裕をなくしてしまうことがありました。ものづくりが好きなので、ついつい自分でやったほうが早いという気持ちになることはありますが、それでは本来のリーダーとしての役割であるコミュニケーションやお客様への対応に支障が出てしまいます。今は実務はメンバーに任せて、必要に応じてアドバイスをする形を心がけています」
また、スケジュールを見積もる際は自分の基準で考えず、メンバー個々のスキルレベルや経験を考慮して判断するなど、リーダーとして重要ないくつもの気づきを得ます。結果的に、プロジェクトは成功を収めました。
「海外の自動車関連のお客様にも、実際に動く様子をデモンストレーションすることができました。お客様から『本当にありがとうございました』『安心して任せられました』との声をいただいたときは嬉しかったですね。
この経験から、課題解決をして人の役に立つことの喜びをしみじみ感じましたね。また、私はわりと細かいところにまで気づくことが得意なので、レビューなどで不具合をなくしていくような今の仕事はとても向いていると思っています」
10年近くのキャリアを経て、濱部にはお客様との関係においても大切にしていることがあります。
「やはり、求められた通りに作業をこなすだけでは不十分で、お客様の先にいるエンドユーザーが求めていることを熟考すること。そして、本質的な課題解決につながる提案をすることが大事だと考えています。それが我々の存在価値を高め、次の仕事にもつながっていくはずですから」
ものづくりへの情熱を胸に、「成長できる環境」でスキルに磨きをかける
濱部は、仕事のやりがいを感じる瞬間をこう捉えています。
「設計から実装までを手がけた製品が期待通りに動作することを確認できたときに、この仕事は本当におもしろいと感じます。なによりも、私はものづくりが好きなんです」
エンジニアとしての技術力を磨き続けている濱部。会社の補助制度を使って多くの資格も取得しました。
「PMPなどのプロジェクトマネジメント系の資格や、開発関係はエンベデットスペシャリスト、AI関連ではE資格を持っています。PMPやE資格の受講費用や受験費用は会社に全額負担してもらったので、とても恵まれていると思います。
資格取得の勉強をするメリットは、言葉の意味などの正しい知識を得られること。実務では教科書通りにはいきませんが、何が正解かを知っておくことはとても大切だと考えています」
今後のキャリアについても、濱部は意欲的です。
「今後はクラウド系の技術習得をめざしています。車両での画像認識や人体検出、データ収集など、次世代の車向けの案件に対応できるよう準備を進めていく必要があります。
また、現在は10人規模のマネジメント経験しかないので、今後予想される大規模プロジェクトに向けて、マネジメントスキルを向上させていきたいですね」
濱部はこれから仲間となる方々を心待ちにしています。
「当社には、エンジニアとして必要なスキルやコミュニケーションなどの一連業務を学べる環境があります。私も未経験でしたし、今の段階で『こんなシステムを作りたい』という明確な目標がなくても大丈夫。
いろいろな業界にふれる機会があるので刺激にあふれています。人に喜んでもらうことや、ものづくりが好きという気持ちがあれば十分ですよ」
※ 記載の会社名、製品名は、それぞれの会社の商号、商標もしくは登録商標です
※ 記載内容は2025年1月時点のものです

