父親に憧れて電気エンジニアに。工具の開発では徹底的に「使い手のニーズ」を追求
現在、三邊は防災システム部で特殊車両向けの車載装置開発に携わっています。エンジニアとしての原点は、ものづくりが大好きだった少年時代にあると、振り返ります。
「よく工作に夢中になっていました。ゼロからものをつくるのも好きでしたし、好きなキャラクターを身近な材料で模倣してつくることも多かったです。とにかく1つの物事に熱中するタイプだったんです」
興味の幅は狭いものの、集中力が高く、一度ハマると徹底的に取り組む性格。その姿勢は部活動にも表れていました。
「小学校から高校まで剣道部に所属していました。きっかけは、年上のいとこの姿を見てカッコいいなと憧れたこと。野球やサッカーなど人気のスポーツと比べると派手ではないですし、実力が伸び悩んだ時期もありましたが、他のスポーツに乗り換えることなくコツコツと続けていました」
大学進学の際には、父親の背中を追いかけて、工学部の電気系を選びました。
「父は第一線で活躍する電気エンジニアでした。その姿を見て育ったので、私もそうなれたらと思ったんです。大学では通信工学系を専攻し、基本的な電気回路の知識を学びつつ、無線や短波無線といった短距離通信について研究しました」
卒業後は電動工具メーカーに入社。工事現場などで使われる大型の工具の開発に従事しました。
「最初に担当したのは、大型のインパクトレンチです。1000ニュートン以上の力を出せる工具で、大きな機械のボルトなどを締めるのに使われます」
使い手が実際に製品を使うところを想像しながら、数種類の専門的な工具を開発。その経験を通して、エンジニアとしての重要な考え方を学びました。
「どのような製品にも、なぜそれが必要なのかという根本の目的があります。電気回路設計や製品設計では、常にその製品のあるべき姿を考え、最終的な目的や用途を見失うことなく開発に臨むことが大切だと考えています」
チャレンジできる環境を求めて転職。製品開発ではお客様にとって最適な選択を
電動工具の開発に打ち込む一方で、三邊の心の中には新たなキャリアを模索する気持ちが芽生え始めました。
「前職は、電動工具を制御する電気回路設計に特化していました。そのため、モーター制御に関しては高度なノウハウを習得できるのですが、エンジニアとしての可能性は限られてしまうと感じていたんです。スキルアップを図るために、より幅広い分野に挑戦したいと考えるようになりました」
BtoB企業で、これまでに経験したことのない製品を扱える職場へ。そう目標を定めて転職活動をする中で、日立産業制御ソリューションズと出会います。そして面接時に現在の上司と話をしたことが、入社の決め手となりました。
「まず、大きい規模のプロジェクトに携われる点が魅力でした。責任も大きくなりますが、その分やりがいも大きい。日立グループの企業として技術力が高いことや、地元の茨城県で働ける点もよかったです。
何よりも面接で、現在の部長から、意欲があればいろいろなことに挑戦できる環境だと聞いたことが一番の決め手となりました」
入社後、三邊はシステムの使い方に関する研修や、企画員としての研修を受講。現在は、官公庁向けの車載装置の設計開発から仕様検討、評価までを担当しています。
「特殊車両に搭載されるタブレットやナビゲーションシステムの安全管理、電源管理、充電の電力供給などを管理する装置の開発を行っています。いわゆる車両のルート案内や位置情報などの表示をするための機能です。必要とされる電気関係の知識は前職と大きな違いはなく、基本的に学んだことを活用できています」
これらの製品の開発においては、お客様の要件に応じた設計が求められます。
「車両のバッテリー保護などの基本的な要件は、一般車両と特殊車両で共通していますが、特殊車両向け製品の場合にはより慎重な設計、開発が求められます。オーバースペックとならないよう、コストと性能のバランスを取りながら要件に合わせることをめざしています。
そして製品の評価では、さまざまな環境下での動作確認が欠かせません。社内の品質保証部門と連携して、実機での検証作業を行っています。例えば、車内環境を想定した温度試験では、気温40度近い高温環境での動作確認をしますし、振動試験なども実施して、耐久性を入念に確認しています。私はまだ設置先を見たことがないのですが、いずれは今後の開発業務に行ってみたいと思っています」
現職でも、三邊はやはり製品のあるべき姿を常に意識していると言います。
「何かの機能を成し遂げるために、他の機能を削らなければならないとき、それは本当にお客様にとって最適な選択なのかを慎重に検討しています。最終的に、お客様にとって譲れない部分を実現しなければなりません」
ハードウェアのスキルを土台に、ソフトウェアのジャンルにも果敢に挑戦
入社して約半年。三邊は電気エンジニアとしてのバックグラウンドを生かしながら、新たな環境で着実に成長を遂げています。
「入社当初は戸惑うこともありました。とくに現場での作業が多かった環境から、デスクワーク中心になったことで、これまでと雰囲気がガラリと変わりました。細かいことですが、前職では作業服が半年も経たないうちに汚れていたのに、ここではいつまでも服が綺麗なままです(笑)」
ハードウェアとソフトウェアの開発工程では、あらゆる面で違いを感じています。
「回路の規模にもよりますが、ハードウェアの回路設計の場合は、依頼した試作品が手元に届くまでに約1ヶ月かかります。一方、ソフトウェアの場合はパソコンで作業して数日で完了し、すぐに次の工程に進んでいく。スピード感に違いがあるんです。
また、プロジェクト全体でいえば、以前はひとつの製品あたり開発から量産まで1年ぐらいで行っていましたが、当社では規模が大きい分、より長いスパンで見ています」
プロジェクトの構造やチーム編成も異なっています。
「以前はBtoC製品を扱っており、製品の成否は自社の責任で完結していました。しかし当社では、日立製作所を含めて複数の組織が関わっており、その先にお客様がいらっしゃるという構造。
つまり、プロジェクトに関わる全員の合意を得ながら進めていくことがとても重要なんです。個人で各製品を担当するのではなく、複数人で構成されるチームで働くということも、私にとっては新鮮です」
現在のチームメンバーは3名。調和のとれたチームワークを心がけるなかで、少しずつ自分のペースをつかみ始めてきました。
「現在進めているプロジェクトでは、試作品の評価やデバッグ作業において、重要な問題点を発見し、担当メーカーへの適切な修正依頼をすることができました。私にとっては入社以来の成功体験となり、嬉しかったです」
電気エンジニアとしての経験を生かして働く中で、新たな課題にも直面しています。
「例えば、以前はマイクロコンピューターという素子を使用していましたが、現在はFPGA(Field Programmable Gate Array)というより高度な部品を使用しています。
また、たとえ電気系の作業を担当するとしても、回路を動かすためにはソフトウェアの理解が必要不可欠です。基礎的なC言語は分かるのですが、現在はC#やLinuxなど、システム系でよく使用される環境での開発が中心。今後はシステムやソフトウェア関連の知識やスキルをもっと習得していきたいと思っています」
新しい環境での挑戦を、三邊はこう捉えています。
「これまでとまったく異なる環境に飛び込んだことで、視野が広がり、新しい価値観にも触れることができました。電気系で習得したスキルを土台に、ソフトウェアのジャンルでも仕事ができている部分で、自分の成長を実感しています」
ハード×ソフトのキャリアを持つエンジニアとして、幅広いニーズに応えていきたい
電気系出身者ならではの視点を持つ三邊の存在は、他のメンバーにも新しい価値をもたらしています。
「社内では電気系のキャリアを持つエンジニアがめずらしく、ソフトウェア担当者から技術的な質問を受けることがあります。そんなとき、職場でも異業種から入ったメンバーの視点や考え方を求めているのだと感じますし、私自身も役に立てることが嬉しいんです。こんなときに転職は間違いではなかったと感じますね」
そんな三邊がとくに心がけているのは、関係者との率直なコミュニケーション。
「なるべく腹を割って話すことを意識しています。表面的なことではなく、実際の状況にもとづいて提案することが大切だと考えます。お互いに、製品をより良くしていこうという想いは同じ。そのために良好な協力関係を築きたいんです」
周囲と信頼関係を築きながら経験を積んできた三邊。今後のキャリアについて明確なビジョンを持っています。
「これまでに出会ったことのある、ハードとソフト両方の分野を理解できるエンジニアは本当に優秀な方ばかりでした。私もそんな両方の知識を持ち合わせたオールラウンドなエンジニアをめざしています」
仕事に関する勉強はまったく苦ではないと、さらなる成長意欲を見せます。
「近いうちに、電気施工管理技士の資格を取得する予定です。職務に必要とされる資格があれば、積極的に挑戦したいですね」
幅広いスキルを武器に、ハードとソフト両方の分野を理解できるエンジニアとして。三邊はこれからも果敢に挑戦を続けていきます。
※ 記載の会社名、製品名は、それぞれの会社の商号、商標もしくは登録商標です
※ 記載内容は2025年1月時点のものです

