MONOSOLEILの開発を担当。OT×ITでめざすお客さま中心のシステム開発
富永が所属するのは産業ソリューション事業部。工場の業務効率化に直結するシステム開発を手がける部署です。
「製造現場のデジタル化を進めるためのシステム開発を行っています。制御・運用技術のOT(Operational Technology)と、WebシステムなどのITとを組み合わせて新しいソリューションを生み出し、お客さまや社会が直面する課題の解決をめざしています」
2023年11月現在、OTソリューションセンタには約30名が在籍。なかでも富永は自社MES(製造実行システム)製品の開発プロジェクトを担当しています。
「工場の部門をまたがる課題を分析し全体最適化を図るソリューション『MONOSOLEIL(モノソレイユ)』の設計や開発を担当しています。これまで工場のシステム導入は、例えば保全のシステムなら保全システムだけという具合に、課題に特化したものが中心でした。一方、工場全体の原価低減や生産効率向上、リードタイム短縮、在庫削減など、工場全体の効率化を可能にしているのがMONOSOLEILの特長です。
コンサルティングをおもに担当するメンバーが策定したアクションプランをもとに、必要に応じてカスタマイズを行うなど、我々システム開発チームが最適なITシステムを構築します。現在は既存システムなどと連携してデータを収集しグラフ化するなど、システム内での見える化に注力しているところです」
2020年のリリース後、MONOSOLEILは実際に製造の現場に導入され、お客さまからの評価は上々だと言います。
「あるお客さまの工場では、各工程内での改善活動がそれまでも行われていましたが、工場全体を見渡せていない点に課題がありました。MONOSOLEILの導入後、計画の遅延が生じた際の原因究明など、全体視点で業務の課題やそれらの因果関係を把握できるようになったと評価いただいています」
この他にも富永は、バーコード読み取り作業をRFID(Radio Frequency Identification:無線周波数識別)読み取り作業に置き換えるシステムなどの設計、開発などにも携わりました。
さらには、工場完全自動化デモシステムの開発にも参加。こちらはショールームに展示されています。
「工場完全自動化デモシステムにおいてMONOSOLEILは、ロボットを制御するシステムを連携することで、ロボットへの作業指示を自動化できたり、作業計画に対する進捗がリアルタイムに可視化できたりすることを表現しています。そうやってロボットからWebシステムまで、一連のシステムをすべて手がけられるのが当社の強み。ショールームでは一連の流れをわかりやすくアピールできていると思います」
入社以来、システム開発の最前線で活躍してきた富永。一貫して大切にしてきたことがあります。
「システムはお客さまに使ってもらわないと意味がありません。なるべくお客さまの負担にならない仕組みづくりを心がけてきました。
紙を使って製造管理を行っているような工場では、システム導入は一時的に現場の方には負担に思える作業をお願いするケースも。そのためデータを自動で読み込んで入力作業を簡略化するなど、現場に受け入れやすいようなシステムづくりを意識してきました」
開発の現場に携われる環境を求めて。日立産業制御ソリューションズへ
大学院で情報学を専攻し、自然言語処理を学んだ富永。システム開発に携われる職場を探していて出会ったのが、日立産業制御ソリューションズでした。
「当社では開発プロジェクトの上流から下流まで、すべての工程を一手に担っています。現場に近い環境で自分自身が直接手を動かす機会がある点が、私にとって魅力的でした。アーキテクチャを構築することへの興味が強かったため、入社を決意しました」
約3カ月の研修期間にコーディングや設計の基礎を学んだ後、富永は産業情報本部へ。自ら希望した配属先でした。
「システム開発の流れを一通り経験したいという思いがあり、お客さまの要件に合わせてスクラッチ開発ができる部署だと知って希望しました」
そんな富永がMONOSOLEILの開発に参画したのは2019年のこと。当時はまだ2年目ということもあり、苦労が多かったと振り返ります。
「他のメンバーとともに開発を進めましたが、当初は知識が不足していたために、うまく指示を出すことができず苦労したのを覚えています。そんな状況を克服するには、経験を積んでいくしかありません。経験を重ねていくうちにシステムへの理解が深まり、少しずつスムーズに対応できるようになっていきました」
MONOSOLEILの初期開発を終え、2021年にお客さまへの初導入に貢献した富永。達成感を得る一方、こんな気づきもありました。
「システムを構築する上で覚えるべきこと、学ぶべきことは山ほどあります。ひとつシステムを完成させたことで、自分の知識やスキル不足を痛感しました。まだまだこれからだと感じています」
1年目にVRの研究のため社外へ常駐。新しい知識や技術を得て、大きく成長
これまでのキャリアの中で、富永にとってとくに印象に残っていることがあります。入社してまだ間もないころ、当社独自の施策「チャレンジ研究」のメンバーに抜擢されたときのことです。
「配属されてから約4カ月後、VRコンテンツを製作する企業に約3カ月間にわたって常駐し、VR研究に携わる機会がありました。
使用したプログラミング言語はC#など一般的なものでしたが、世界の有名なゲームメーカーでも採用されているゲームエンジン『Unity(※1)』を用いて開発を行うなど、当社ではあまり使われない技術に触れられたほか、VRについてさまざまな角度から検証しコンテンツ開発のプロセスについて知ることができ、とても貴重な経験になっています」
※1「Unity」の名称、Unity のロゴ、およびその他の Unity の商標は、米国およびその他の国における Unity Technologies またはその関係会社の商標または登録商標です
慣れない開発環境で、VRの研究に従事した富永。当初は戸惑いがあったものの、結果的に多くを学んだと言います。
「当社で扱うシステムの場合、どう動くのかある程度わかった上で開発を進めますが、VRコンテンツの開発では、実際に動かしてみないと分からないことが少なくありません。デバッグプロセスを通じて初めて挙動が確認できるなど、開発プロセスがまったく違っていました。
また、VRコンテンツの開発では、ユーザーがどのように感じるかが非常に重要です。VRヘッドセットを実際に装着して体験しない限り、コンテンツの内容を十分に理解することはできません。研究の題材として、フォークリフトの安全運転教育のためのコンテンツを開発していたのですが、実際に運転しているときのようなリアルな臨場感をどうすれば出せるのか。なかなか掴めず、とても苦労しました。
最初は戸惑いましたが、VRという新しい技術をいちから学び、それをコンテンツ開発に生かす経験ができたことは、私にとってその後の大きな自信につながっています」
若手に積極的に挑戦機会を与える環境の中で着実に成長してきた富永。現在の仕事のやりがいについてこう話します。
「自分が主体になって仕様を決める機会も最近は増えてきました。新しいことをどんどん経験できている実感があり、毎日がとても充実しています」
挑戦を後押しする環境のなか、広い視野で現場を支えるシステムを開発していきたい
今後も引き続きMONOSOLEILのプロジェクトに携わっていきたいと話す富永。めざすのは、生産管理システム分野のスペシャリストです。
「現時点では、工場全体をカバーするシステムの開発に関わっているとはまだ言えない状況です。ゆくゆくは全体を俯瞰する視点を持って工場の最適化を図るシステムの開発に取り組んでいきたいと思っています。
工場全体を見るとなれば、対応すべきお客さまの数が増えますし、多種多様な現場を深く理解しなくてはなりません。商品管理や経理など、さまざまなシステムに関する知識も必要になります。よりいっそう経験を重ねて、プロジェクトをリードしていけるような存在になることがいまの目標です。
ただ、工場では管理する立場にある方と現場で働く方との考えにギャップがあるケースが少なくありません。実際に現場にいる方に使ってもらってこそのシステムです。管理者だけでなく、現場の方の声にも積極的に耳を傾けながら、それぞれの現場の実情に応じた、使いやすいシステム開発に生かしていけたらと思っています」
日立産業制御ソリューションズの魅力について富永はこう語ります。
「コーディングはもちろん、システムの仕組みを考えるのが好きな人、業務を理解して要件をまとめるコミュニケーション力がある人など、あらゆるタイプの人が活躍できる環境があります。
新しいことにチャレンジする機会が豊富で、年次に関係なく社員の意欲を後押しする風土があると感じます。私のように社外に常駐するのはレアケースかもしれませんが、ひとりで考え行動せざるを得ない環境のなかで学んだことが糧となり、大きな成長につながりました。今後のキャリアを考えても、とても貴重な経験になったと思っています。
また、働きやすさの面でも助けられてきました。コーディングするときなど対面での作業が必要ないときはリモートワークを取り入れるなど、自由度の高い働き方ができています」
与えられた機会を一つひとつものにしながら成長を遂げてきた富永にとって、エンジニアとしてのキャリアはまだ始まったばかり。徹底したお客さま視点と、現場に真っ直ぐ向けられた目線を武器に、これからも現場を支えるシステムの開発に注力していきます。
※ 記載内容は2023年12月時点のものです

