お客様を迎えるサービスエリアを統括する立場として。重要なのは“話しやすさ”
1963年に開業した、日本初の高速道路サービスエリア内にある「大津ハイウエイレストラン」。上り線では京都から入って最初のサービスエリアという立地を活かし、60年以上にわたって多くの旅行者を迎えてきました。2024年より支配人を務める山村は、施設の特徴をこう語ります。
「大きな魅力は、展望所から一望できる美しい琵琶湖。レストランからも、お食事をしながら素晴らしい景色を楽しんでいただけます。また、滋賀や京都をはじめ、関西圏のお土産品を豊富に取りそろえているのも特徴です」
施設は大きく営業部門と管理部門に分かれており、山村は支配人として施設全体を統括。管理部門をサポートする副支配人と協力しながら適宜確認を行っています。
「営業部門は、フードコートやレストランを運営する料飲と、売店やお土産品の販売を行うリテールがあり、それぞれ現場の業務を管理するマネージャーと連携しながら細かく管理しています。
とくにレストランでは、近江牛や比叡山の老舗の湯葉など、地元の食材を活かした商品開発に力を入れています。滋賀ならではのメニューとして、お客様にも喜んでいただけていますね。
一方、管理部門の業務は、施設管理や保守保全などのリスクマネジメント、そのほか人事・総務・経理などが中心。当施設は高速道路会社より商業棟の運営を任されていますので、施設の保守保全やメディア対応など、道路会社とのやりとりも私が担当しています」
仕事をする上で山村が心がけているのは、各部門のマネージャーをはじめ、キャストとの円滑なコミュニケーションだと話します。
「基本的に私は、現場のマネージャーがやりたいことを実現できるようサポートするという考え方。具体的にどういう風にやりたいかなど、日々の会話を重ねて意見を聞き、風通しを良くすることを大事にしています。
私自身、若い頃は、支配人など役職のある人と話したり相談したりすることを、ハードル高く感じることもありました。ともすれば“話しかけにくい”という小さなことですが、これは仕事の円滑な進め方に大きく影響します。
たとえば、何か改善したい事項があるとき、上司やチーム全員の了承を得ないといけないケースは多々あります。現場はシフト制で回っているので、もし今日相談できなかったら、次に話せるのは数日後、全員に共有できるまでにはさらに時間がかかる……ということも。
事業所の雰囲気を良くすることはもちろんですが、マネージャーやキャストと共に仕事を進めていく上では、コミュニケーションの取りやすさは仕事のスピード感にも直結します。そのため、情報は可能な限りオープンにして、相談しやすい関係づくりを心がけています」
接客術と伝える力──30年超のキャリアで培った知見をハイウエイレストランへ
1993年の入社以来、大阪のホテルで約25年にわたり、接客のプロとしてお客様へのおもてなしに努めてきた山村。一番印象深かったのは、2010年に料飲部門からマーケティング室へ異動したことだと話します。
「当時のマーケティング室は、営業推進業務が中心。料飲部門にいた時はホテル内のお客様との接点が多いため、世の中の流れやトレンドなどの情報を得る機会は限られていました。マーケティング室へ異動して、外部の人との関わりが圧倒的に増え、自分の世界が大きく広がったと感じましたね。
また、婚礼や法人宴会など、それまで経験していなかった部門の仕事を知れたことも自身の財産になりました」
とくに大きな学びとなったのは、企画を社内に伝えることの難しさでした。
「当初は資料の作り方もまったくわからない状態で……。これを伝えるには要点をどこに絞るべきか?といった構成の考え方や、パソコンの使い方など、一から勉強しました。上司から、日本語の“てにをは”の使い方について細かく指導を受けながら、試行錯誤を重ねたこともよく覚えています。
この時の経験から、手法にしろ表現にしろ、『何がお客様にとって魅力的なのか?』『伝わりやすいのは何か?』『どうすれば真意が伝わるのか?』と考えることについては、今でも大事にしていますね」
その後大阪のホテルで食堂副支配人を務めた山村は、2018年に本社に異動。リテーリング事業部を経て、2021年から事業運営部で、ハイウエイレストランや和歌山の白良荘グランドホテル、苫小牧ゴルフリゾート72など複数の事業所の運営管理に携わった後、2024年に大津ハイウエイレストランの支配人に就任しました。
「本社でハイウエイレストランを担当していた時から課題を感じており、当時の上司からも改善を求められていました。今回の異動でも引き続きそれを期待されていると考えて、日々取り組んでいます」
現場の声を聞き、慣習を見直し、働く意義を伝える。新支配人が挑んだ改革の1年
大津ハイウエイレストランの支配人に着任した山村が、まず行ったことは、キャストへのヒアリングでした。
「着任前、私は当施設を、旅行者向けの“特別な場所”だと考えていました。しかし話を聞いてみると、捉え方が大きく違っていたんです。実際、当施設は住宅街に囲まれており、多くのキャストが近隣から通勤しています。彼らにとっては、昔からずっとある、地域に根ざした“日常の存在”なんです」
施設の捉え方のギャップを踏まえて、山村は1年間の計画を立てました。
「年度内でどのようなことができるのか、個人的に実施したいことはなにかを考えてピックアップしました。キャストの日々の業務や仕事の流れについてはまだ把握できていない状態でしたので、目標から逆算してスケジュールを立てた上で、各マネージャーに相談していきました」
とくに注力したのは、キャストと積極的に話し、彼らの声を聞くこと。そして、会社の情報を伝えることでした。
「話を聞いてみると、キャストが会社の中での自分たちの貢献度についてあまり認識できていないことがわかりました。そこで、グランビスタ ホテル&リゾート全体の中での大津ハイウエイレストランの位置づけや売上規模、会社への貢献度を具体的な数字で示すようにしたんです。
そういったことをきちんと皆さんに伝えることで、さらに働く意義や誇りを持ってほしいと思っています。実感が伴うには時間がかかるかもしれませんが、繰り返し伝えていくことで浸透させていきたいですね」
また、事業所の仕組みを知る中で、歴史のある施設ゆえに、長年慣習的に行われている業務が多くあることもわかりました。
「営業部門のキャストが、どういう考えでその業務を行っているかの把握に努めました。すると、理由もわからず長らく続けている事務作業や、誰が見ているかもわからない回覧資料の運用など、実効性の低い業務も見つかりました。限られた人員の中で業務の効率化を進めるためには、不要なものは省いていく必要があります。
そこで、担当する事務作業の必要性を従業員自身に考えてもらい、精査していく取り組みを始めています」
まずは現場の声を聞くことからと始めたこの1年。山村は、支配人としてのやりがいを感じる瞬間について、こう語ります。
「コミュニケーションに力を入れてきたこともあり、キャストが、世間話も含めて気軽に話しかけてくれると、とても嬉しく感じます。
また、過去のホテル現場での経験を活かして、接客に関するアドバイスもしてきました。それがしっかりと改善され、自分たちで考えたものが形になっていると目に見えてわかったり、新たなアプローチがお客様にも伝わって良い評判につながったりした時は、大きなやりがいを感じますね」
長年愛される理由がある。「地域の価値で、未来を変えていく。」を体現する場所に
大津ハイウエイレストランの支配人として、山村は引き続き、キャスト一人ひとりが自信と誇りを持って働ける環境づくりに力を入れたいと語ります。
「この施設が長く運営できている理由は、キャストの皆さんの力があってのこと。地域に認められている施設だからこそ、長年運営できているし、それは数字にも表れていて、しっかり貢献しているんだよ、ということをしっかりと伝えていきたいですね。
ここに着任してまだ日が浅い私だからこそ、客観的な立場で見られるとも思っていますから」
さらに、施設としてのビジョンについても、しっかりと描いています。
「営業スペースでお客様とのやりとりを見ていると、観光目的の方も多いですが、夜行バスやトラックなどの職業ドライバー、いわゆるエッセンシャルワーカーの存在もビジネス面ではとても大きいと感じています。
観光のお客様には、当施設ならではの商品やメニューを通して、旅の途中でもワクワクできる、思い出に残る店舗づくりを。一方で、仕事で利用される方々には、今まで以上に快適に安心して過ごせる環境づくりを。この2つのニーズに応えていくことが、私たちの使命だと考えています」
地域の人々に支えられながら、地域の魅力を多くの人々に提供する大津ハイウエイレストランだからこそ、会社の中でめざすべき役割があると山村は強調します。
「グランビスタ ホテル&リゾートは『地域の価値で、未来を変えていく。』というブランドステートメントを掲げています。大津ハイウエイレストランは、これをより具体的な形で実現していきたいんです。たとえば、地域の食材を使ったメニューは地元の企業と協働があるからこそ提供できています。今後もこのような企画は継続していきたいと思っています。
また私は、良い仕事のためにはプライベートを充実させることができる環境が重要だと考えています。働きやすい環境づくりを通して、地域に根ざして働くキャストの皆さんの生活も大切にしたい。
私たち一人ひとりが、また事業所としても、ブランドステートメントを体現しているね、と感じてもらえることが理想です。そのための取り組みを、これからもどんどん実践していきたいですね」
※ 記載内容は2025年2月時点のものです

