約2,400人が所属する組織のDX責任者として。変革を自分事化する取り組みを
顧客と向き合うフロント組織として、大手グローバル企業を担当するグローバルカスタマーサクセスビジネスグループ(以下、GCSBG)。ビジネスプロデューサーとSEをあわせて約2,400人が所属する組織において、井川はDX Officer(自部門のDX責任者/以下、DXO)を務めています。
「組織内のDX推進に向けた戦略の立案と実行、そして富士通自身の変革プロジェクトである『フジトラ(Fujitsu Transformation)』との連携を図るのが私の任務です。これに加えて、私は従業員エンゲージメントの向上という役割も担っています」
井川が指揮を執り推進している組織内のDX。その取り組みは大きく分けて、DX実践、データドリブンマネジメント、OneDigitalプロジェクトの3つがあります。
「DX実践は、私がDXO補佐に就任した当時から続けていて、今年で3年目になります。この取り組みを始めたのは、『フジトラ』の一環として実施したサーベイがきっかけでした。2024年3月末時点で個人および全社の変革を実感できていると回答したのは、残念ながら約2割~3割程度という現状があります。そのため一人ひとりが自分事化できるよう、自ら課題を設定するDX実践をはじめました。
DX実践では自らの業務の変革、お客様へのDX提案などの価値創出を目的として、DXを事業へ落とし込むさまざまな取り組みを実践します」
またデータドリブンマネジメントでは、アセスメントを基にした取り組みを進めていきます。
「未来予測型経営やオペレーショナルエクセレンスがどれだけ実行できているかなど、昨年度はデータドリブンマネジメントのアセスメントを全社で実施しました。今年度はその結果に基づき、ビジネスグループ内の各本部・ユニットがデータドリブンマネジメント計画を立案・実施していきます」
そしてOneDigitalプロジェクトでは、一人ひとりがデジタルツールを使いこなせる状態をめざします。
「CDXO兼CIOである福田の発信で始まった全社での取り組みで、目的は単にデジタルパーソンを育成することではありません。デジタルの活用により生産性を向上することで、理想とする働き方を実現し、ウェルビーイングを高めることが目的です。
そこで、GCSBGの副BG長である八木より、一人ひとりが業務に活かせるデジタルツールを徹底的に使いこなし、それを通じて個人の属人的知識から組織知にしていくことをめざして取り組みを進めていくというメッセージを発信しています。
具体的な取り組みとして、ゲーミフィケーションを取り入れたマイクロラーニングや、ハンズオンでのワークショップなどを実施する予定です。『誰か』ではなく『自分』が当事者としてDXを推進するには、最初の一歩を一人ひとりが踏み出すことが重要だと考えています」
他部門との連携を通じて広がった視野。ヨコにつながれば、課題は乗り越えられる
2002年に富士通へ入社した井川。大学時代に中国へ留学した経験を活かせる企業で働きたいという想いがありました。
「北京市での1年間の留学を通じて、中国と日本のそれぞれに良さがあると実感しました。そうした経験から、中国をはじめ海外と日本の架け橋となるような仕事がしたいと考え、選んだのが富士通です。グローバルにビジネスを展開しており、企業の成長性にも魅力を感じました。
また面接担当者がとても熱心に話を聞いてくれたことが印象的で、この会社で働きたいと考えました」
入社後は海外営業本部に配属され、中国の大手通信キャリアを担当。希望通りの仕事に充実感を覚える中、4年目に異動を志願します。
「関西への異動を申し出たのですが、人事担当者が本部を跨る異動を懸命に働きかけてくれたおかげで、これまでの経験が活かせる部署への異動が実現しました。
そこから約13年にわたり、大手内資・外資製薬企業様のアカウントセールスを担当。中国の製薬マーケットを開拓するため上海に短期駐在するなど、貴重な経験をしました」
入社から積み重ねた営業職としてのキャリア。その中には、現在のDXOとしての取り組みにつながる経験がありました。
「今から約8年前、当時所属していた産業ビジネス本部の働き方改革プロジェクトに参画した時のことです。営業自身の働き方改革をめざし、完全ペーパーレス化の推進やAIの導入など約40の施策を企画して実行しました。
このプロジェクトを通じて学んだのは、個人や組織は変えられるということです。難しいと思える課題、変えられないと思っていることも、部門を超えて連携すれば乗り越えられると実感しました」
その後はAI・IoTビジネス推進部を経て、DX戦略企画室へと異動。そして2021年4月には、DXO補佐に任命されます。
「DXO補佐になり、DX戦略を立案する中で増えたのが、他部門のDXOと連携する機会です。それまでは自分が所属する組織の課題にばかり視点が向いていましたが、ヨコとの強いつながりができたことで、富士通全社の課題を考えられるようになりました」
DXO補佐として3年の経験を積み、2024年4月にDXOに就任した井川。DX責任者として描いている未来があります。
「一人ひとりが行動を起こしたくなる環境をつくることが目標です。行動を起こすのは特別なことではなく、誰もが現状を変えられるのだと思える組織にしたいですね。自分の業務にどのようなメリットがあるのかが見えず、行動できていないという状況もよくわかります。そこから一歩踏み出し、『やってみよう』という気持ちがおのずと湧いてくる。
そのような取り組みを実施し、変革の風土醸成に寄与していきたいと考えています」
従業員エンゲージメントの向上をめざして。幹部社員や経営層と共にアクション
社内DXの推進と並行して行っている、従業員エンゲージメント向上に向けた取り組み。目標値である「72」をめざし、さまざまな施策を実施しています。
「アクションを起こすことの重要性について理解の浸透を図るべく、ビジネスグループ内の幹部社員約560人を対象に部門を超えた対話を通じて、自らの従業員エンゲージメントスコアと向き合う機会を設けています。
内容としては、年2回の従業員サーベイの結果をもとに幹部社員がアクション計画を立案します。アクション計画はサーベイで明らかになった自身の強み、弱みに基づいて行動宣言を作成。幹部社員同士が行動宣言を共有してお互いにフィードバックを行い、より良いアクションへとつなげることが目的です。
参加した幹部社員からは他者の取り組みが参考になったなど、有意義だったという声が多く寄せられています」
一方で、経営層とのカジュアルなコミュニケーションの機会を創出する施策も実施。組織文化や変革への共感度を高められるよう工夫しています。
「GCSBGのBG長である大西の発案で、『Julian’s Room』という社内コミュニティサイトを数年前に立ち上げました。
Julianというのは大西の愛称で、大西が日ごろ感じていることの発信から始まり、一人ひとりの変革に対する理解を深めることを目的として、対談企画を行っています。
対談のゲストは、ビジネスグループのお客様や、富士通に所属するアスリート、社内役員、起業家など実に多様で多彩です。社長のタウンホールを含めこれまでに26回実施してきました。対談動画を視聴した社員のアンケートでは、5点満点評価で4.6点以上という高い満足度を得られています。
実施にあたり、アジェンダの作成や当日の進行、動画の編集作業などが必要になりますが、すべてDXO補佐チームで手がけています。経営層のメッセージを伝えることで従業員エンゲージメントを向上できるよう、まず自分たちにできるアクションから始めています」
組織内のタテの取り組みを全社へとヨコ展開することで、「フジトラ」を加速する
社内DXの推進や従業員エンゲージメントの向上に向けて、アクションを起こし続ける井川。DXOとして今後挑戦したいことがあります。
「現在自らのDXとして取り組んでいるのが、GCSBGおよび全社における社内調査依頼過多の課題解決です。調査依頼はさまざまな部門から寄せられ、たとえばお客様に導入した機器やパッケージの担当者は誰か、お客様への連絡状況はどうかといったものや、お客様向けイベントについて招待状況の確認、参加の可否はどうかなど多種多様な内容があります。
そうした調査依頼が1カ月に組織長1人当たり約30件~40件あり、案件ごとに依頼方法も回答方法も異なることから、生産性を阻害する要因となっています。この現状を改善するべく、調査依頼を一元管理できるサイトをローコードで制作しました。
調査依頼の課題を抱えているのは、私たちの組織だけではありません。そのため今回組織内で行ったタテの取り組みを、全社へとヨコ展開することが今後の目標です。ヨコ展開によって利用者の規模が大きくなれば、その分得られるメリットも大きくなります。組織を超え、富士通全社にインパクトを与えられるような取り組みに挑戦していきたいです」
富士通全社という観点において、井川は国内だけでなくグローバルでの連携も強化していきたいと話します。
「DXOが集まる会議は、基本的に国内のDXOやDXO補佐を対象に行われています。時間や言葉の壁があるとはいえ、工夫すればグローバルのメンバーも交えた対話ができるはずです。国内とグローバルの境界をなくし、グローバル全社一体で『フジトラ』を推進したいと考えています」
富士通自身を変革するプロジェクトである「フジトラ」。その取り組みをどれだけ加速できるかは、一人ひとりの行動にもかかっています。
「何か変えたいことがあるなら、まずはそれを自ら発信してほしいと思います。発信すれば、組織を超えた仲間とのつながりが生まれ、共感する人みんなで課題に立ち向かえるからです。
個人の変革を実感できている社員はまだ少ないものの、3年前と比べてサーベイのスコアは着実に改善されつつあります。一方で、依然として変革を自分事化できていない社員がいるのも事実です。そうした社員にアプローチするため、会社の仕組みそのものを変えることも検討しながら、一人ひとりがさらに働き甲斐を感じる富士通をめざして挑戦を続けていきたいと思います」
※ 記載内容は2024年6月時点のものです
