「ともかくやってみよう」に導かれて。予想外のことも楽しみ、次へ活かす
2016年に富士通へ入社した渡辺 拳竜。その原点は高校時代にさかのぼります。
「小さいころからの夢といいますか、『ゲームクリエイター』への憧れがありました。ゲームクリエイターになるためには、プログラムを学ばないといけないということがわかったのが高校生の時で。そこから情報工学の学部がある大学をめざし、理数系の勉強に力を入れました。
大学入学後、データベース、ネットワークなど幅広く学ぶ中で、元々の出発点だったゲームを作ること以外へのおもしろさも感じ始めていました。大学3年生になり、ネットワークやセキュリティを専攻し、そこからインフラやネットワークのエンジニアとしてのキャリアを考えるようになっていました。
就職先を考えるにあたり、社会基盤の根底を支えたいという想いが芽生えていて、それが富士通入社につながったと思います」
渡辺にとって、富士通の中でもう一つ魅力に映ったことがあると言います。
「『ともかくやってみよう』という富士通の企業精神が、自分自身の信条と重なる部分がありました。新しい挑戦に対して苦手意識を感じるよりは、むしろ、それを楽しむ気持ちの方が強くて。その挑戦を、富士通のような大きな組織でやりたいというのが入社の決め手にもなりました」
ただ、新しいことへの挑戦は、渡辺が想像しないことの連続でした。
「新卒で配属された部署は、学生時代の研究テーマとはあまり関係ないところで。さらには、配属後すぐに、現場業務を勉強すべく2カ月ほどグループ会社に行ったり、その後インドに行ったりと予想外のことが次々と起こりました。
もちろん、当時は驚きや大変なこともありましたが、今振り返ると思い出深いですし、楽しかったなと思います。そういう意味では、最適な部署に配属されたのかなと思いましたし、成長も実感できた5年間でした。また、ここでの学びが現在の業務で活きているので、会社は適性を見てくれていたと感じています」
インドに来たからこそわかったこと。今の自分につながる体験とは
1年間の研修期間を経て、本格的に業務に携わり始めた2年目の秋から、渡辺はインドとの業務に参画します。
「私が配属された部署では、富士通の保守サポートサービス全般に関わる仕事(商談から見積、手配など)をすべて日本国内で一括して行っていました。
その中で、書類作成や入力作業等といった一部の業務を、インドのグローバルデリバリーセンター(以下、GDC)に移管するプロジェクトが始まり、私もそのメンバーとして参画しました」
GDCとは、世界中のお客様に均一かつ高品質なサービスを提供するため、世界7カ国に置かれた、ITサービスデリバリーを担う拠点のこと。
「GDCを積極的に活用していくという全社戦略のもと、私が担当していたこの業務も移管することになりました。それまでは日本人が日本語を使用することを前提としていた国内の事務処理業務をインドGDCに移管するわけですから、現地のプロジェクトメンバーに日本語がわかる人員を採用しているとはいえ、当初はその難しさを感じましたね。
その業務をインドGDC主体で進めていけるよう、マニュアルをきっちり整備していくのですが、日本語もそうですし、業務そのものへの理解度もメンバーによりまちまちなため、スキルトランスファーにあたり、その伝え方にはかなり気を遣いました」
さらに業務移管が進むにつれて、改善点が見えてきたと言います。
「インドGDC主体で業務が回せるようになると、インドGDCのメンバーから改善点が挙げられるように。日本で業務を行っていたときには当たり前になっていたことが、移管により課題として浮き彫りになりました。以前から行っていたプロセスだから続ける、はありがちですが、まさにそのケースですね。
また、元々は自分が携わっていた領域のみを見ていたのですが、GDCへの移管領域を広げるべく、保守サポートサービス全体を見て、整流化できるところも確認してほしいとの話が出てきて。属人化やダブついている業務はないか、より良い形へと改善できることはないか、チーム全体で連携しながら、理想の形を見つけていきました」
改善を重ねる中で、自分自身のキャリアについても、考えるようになったという渡辺。
「業務の効率化を考える過程で、デジタルツールをもっと活用できないか、何か最適なツールはないかと調べ続けました。またそのころ、次のキャリアについても考え始めていた時期で、より技術を駆使した仕事にもチャレンジしてみたいと考えるようになっていました。
そんな時に、知り合いからデータアナリティクスセンター(以下、DAC)という組織があることや、その仕事内容について聞きました。私が探していたのはまさにそういう仕事だと、俄然興味が沸き、ポスティングに応募することにしました」
効果的なリスキリングが、理解度を上げ、仕事の幅を広げる
全社データドリブン推進の新たな強化施策として、2021年11月に設立されたDAC。全社レベルでの経営可視化とデータに基づく意思決定の仕組みづくりに挑戦する一方、各組織によるデータドリブンマネジメント(以下、DDM)活動の支援や従業員のデータ分析スキルアップ等にも取り組んでいます。
そのDACという新たな環境に飛び込んだ渡辺にとって、業務で必要なものは初めて触るものばかり。リスキリングが必要だったと言います。
「上司からは、『AWSとQlik Senseは最低限覚えてね』と言われましたが、それ以外のツールも初めて知る、触るものばかりでしたので、すべて一から覚えていきました。ただ、勉強するというよりは、実際にダッシュボードを作ってみよう、など具体的な事例をベースに学べたため取り組みやすく、早く習得することができました。
もちろん、業務に必要だから覚えるというのはありますが、覚えることが目的ではなく、それらが自分の武器として後々も活用していけることを意識していました」
学んだことはすぐに実践し、発信する。DACだからこそできたことも多いと語る渡辺。
「DACの部門長が、『オープン』『コラボラティブ』『イノベイティブ』を大切にされている方で、そういった環境で働くうちに、自分の考えや学んだことを発信することにより積極的になれました。
異動して間もなく、新しく学んだことをベースに勉強会を企画したのですが、そのアーカイブ動画は今でも部門内で参照してもらえるほど反響もあって。そういった反響が、自分のリスキリングをさらに後押ししてくれることになりました」
学びのアウトプットは、前の部署での業務経験も活かされています。
「今の業務は、さまざまな部門が抱える課題を起点に、各部門がデータを効果的に活用してもらえるように、伴走支援という形で一緒に取り組んでいます。たとえば、『データが点在しているものをまとめてわかりやすく可視化したい』、『Excelを使った手作業での集計をやめて自動化したい』、『意思決定とアクションのスピードと質を上げるためにデータをしっかり活用したい』など、さまざまな相談をもらいます。
それぞれの部門が抱える悩みを聞き、どう解決するかを一緒に考え、必要に応じてデータを可視化するためのダッシュボード構築を支援する、といったことを行います。また、作成したダッシュボードなどは、その後も各部門で運用、活用していけるよう、必要な教育プログラムやマニュアルなども用意しています。
ただ、それぞれのスキルや知識レベルが異なるため、それぞれに合った伴走方法を考えて進めています。インドGDCへの業務移管の時も、日本語の理解度に合わせて平易な言葉を使うなどしていましたが、その時の考え方が今も生きていますね」
DDMが当たり前の会社となるために。全社員にデータを有効活用してほしい
DACは渡辺が異動後、徐々に大きな組織となり、当初の倍近い規模にまで成長。また、さまざまなバックグラウンドを持った人が集まっています。その中で、渡辺が見据える今後とは。
「私たちは、特定の部門だけではなく、富士通全社員がデータドリブンで考え、行動することをめざしています。DACの取り組みを知ってもらえるように、DDM Award(※)というイベントの開催や実践事例の共有など、さまざまな活動を展開しています。
ただ、目の前には、やらないといけないことや課題がまだまだあるため、まずはそれを着実に解決していくことに注力したいと考えています」
そんな渡辺がDDMの伴走支援をする中で、うれしい出来事があったと言います。
「私たちの伴走支援後、自分たちの部門で改善を重ねて、DDM Awardで上位に進んだ部門がありました。自分たちが提供したものが、部門の方々の手によって、より使いやすい状態となっていました。まるで巣立った子どもが成長したような気持ちになり、とてもうれしく思いました」
何かに気づいたようにさらに話を続ける渡辺。
「インタビューの冒頭で、ゲームクリエイターになりたかったと言いましたが、こうして振り返ると、伴走支援を通じて、実は似たようなことはできているのかもしれません。解くべきお題やゴールがあり、スキルも経験もないところから、少しずつレベルをあげていく。その過程でともに考え、行動する仲間が増えたり、できることが増えると新たな問題が発生したり。DDMを進める過程は、ある種ゲームに近いのかなと思います。
クリエイターは、プレイヤーに適切なタイミングでヒントやアイテムを渡すわけですが、手厚くすればいいというわけでもない。プレイヤー自身も成長していかないといけないですし、飽きたり、諦めたりせず、ゴールまでモチベーションを維持させないといけないわけです。イメージしていたものとは違いますが、ある意味で、小さいころの夢は実現できているのかもしれませんね」
最後に、渡辺が考えるDACの未来とは。
「富士通において、DDMをもっとよく知ってもらうとともに、DX Officer(各部門のDX責任者)や各部門のDDM推進役と連携しながら、われわれの支援がなくても、各部門が自立的に進められる環境を整備していきたいと考えています。
その上で、DACがいたからこそ、自部門でDDMに取り組めた、社内にDDMが浸透したと言ってもらえるようになるのが今の目標ですね。また、私がそうであったように、教わる側だった人が教える側に回る。その連鎖が富士通全体に広がっていくと嬉しいですし、DDMの全社浸透には欠かせないと思っています」
※ DDM Award:職種・組織・既存の知識や技能といった壁を超え、DDMの推進を自分事として捉え、行動を起こした方・活動を表出し称賛し合う全社表彰
※ 記載内容は2024年6月時点のものです
