学生時代のインターン経験を経て、マーケティングのおもしろさに目覚める
2018年に新卒で富士通に入社した廣木。現在はグローバルマーケティング本部に所属し、全社ブランド戦略の策定・実行を担当していますが、マーケティングの業務自体は学生の頃からITベンチャー企業のインターンで経験していました。
「複数社でインターンをしたのですが、インターンという立場ながら、1人前の戦力として仕事を任せてもらえたため、成功も失敗も含めて、多くの学びがありました。
その中で、今でも忘れられない失敗があって。ある企業の公式SNSアカウントの運用を任せてもらいました。SNSごとに異なるユーザー属性をきちんと理解せずに漫然と発信し、どこに対しても同じような発信をし続けた結果、任されていたSNSの運用がわずか3カ月で終了。きちんと違いを意識して発信しないとユーザーには何も届かない、と痛感しました」
その経験を踏まえて、「それぞれのSNSの特性を見極め」「媒体ごとに投稿文を変え」「結果を分析し改善する」というPDCAを回し始めました。すると、徐々に反応が得られるようになり、手ごたえを感じ始めたと言います。
「自分1人が発信したことで、何万人にも影響を与えることができるのっておもしろいなと感じました。また分析して、施策を打つとしっかり数字で反応が返ってくるところにも魅力を感じました」
この経験から、よりインパクトが出せる企業で働きたいという気持ちが大きくなっていったという廣木。
「ベンチャー企業でいろいろと任せてもらい、ダイレクトにその反響を感じられることに魅力を感じていました。一方でより大きなインパクトを残したいという気持ちが強くなっていきました。
自分の気質からすると、ベンチャー企業の方が合っていると思いましたし、周りからもそう言われていました。でも、より大きなインパクトを残すことを考えたときに、それが本当に正解なのか、と迷い始めたんです」
好きなことを仕事にできた喜びから一転して、大きな挫折を味わうことに
「より大きなインパクトを残す」ためには、どういう軸で就職活動を進めるのがいいのだろうか。考え続けた結果、廣木の中で、大きく2つの軸があるのではないかという考えにたどり着きます。
「SNSの発信などインターネットメディアの可能性やインパクトを感じていたため、IT業界は外せない軸だと考えていました。また、企業研究を進める中で、あまり知られていない企業やそのサービスのマーケティングと、誰もが知っている企業とでは、マーケティング戦略やスケールが違うのではないか、とも感じ始めていました。
ただ、企業研究だけでは限界もあり、自分の目で確かめた上で就職先を決めたいと思い、就職活動ではどちらかに絞り込まず、幅広い企業にエントリーしていました。ありがたいことに、複数社から内定をいただきましたが、最終的には、よりスケールの大きな仕事ができ、自分の強みが生かせると一番感じられた富士通に入社することを決めました」
廣木が最初に配属された部署は、インターンの経験が活かせるところだったと言います。
「AIを使って広告を最適化するサービスを展開するなど、広告運用に関わる部署に配属されました。インターンで学んだマーケティングやプロモーションの経験が活かせる部署だと思い、自分から希望しました」
しかし、好きなことを仕事にできた喜びの一方で、苦しいことも出てきたという廣木。
「広告の運用業務を任されて楽しく仕事をしていたのですが、責任の重さや仕事量の多さなど、楽しいだけでは乗り越えきれない側面も出てきて。ネガティブな気持ちが少しずつ顔を出してきました」
そんな中、忙しさがピークに達したところで、ネガティブな気持ちにさらに追い打ちをかけるような出来事があったと言います。
「ある案件でかなりの額の広告費をかけたにもかかわらず、効果が出なかったという大失敗をしてしまったんです。それは入社まもない私にとっては、ものすごく大きな金額に感じましたし、取り返しがつかないことをしてしまったと思い悩んでしまいました」
どん底からV字回復。「仕事は楽しまないともったいない」
仕事での失敗で思い悩み、負の考えが頭の中でループし、抜けだせない日々を過ごしていた廣木。しかし、ある時ふと「仕事で失敗しても日常は変わらない自分」に気がつきます。
「『死ぬこと以外かすり傷』という本があったと思いますが、あんな失敗をしても会社を離れることもなく日々は続いているんだなと。時間はかかりましたが、そこまで考えられるまでに、心が回復していきました」
もちろん失敗に「蓋」をしたわけではなく、しっかりと失敗と向き合った廣木。この苦い経験が大きな転機になったと言います。
「ふと、周りを見渡すと、大小の違いはあるものの、いろいろなことに悩んでいる人が多いことに気がつきました。とくに、私と同じ社会人1年目だと、学生と社会人との環境の変化になかなかついていけてなかったり、ちょっとした失敗で委縮してしまったり。なんとか今いる場所だけで頑張ろうと、一生懸命にとにかく踏ん張ろうとしがちだと思うんですよね。
だけど部署や担当している業務って、一つの『場』でしかなくて。もちろんそれは大切な『場』ですが、ほかにもいろいろな人と関わり、さまざまな経験ができる『場』はあるよっていうのを伝えるようにしていました。とはいえ、それを連呼していても、状況が変わらないことも見えてきて。ならば、みんながわくわくできるような『場』を自分が創ろう、と考えたんです」
そこから、社内外を巻き込むコミュニティ活動を立ち上げるようになります。
「富士通では社内SNSが積極的に活用されているのですが、個性的なことを発信している若手が多くいるなと感じました。ただ、社外から富士通を見ると、役員やそれなりに肩書のある方の発信しか見当たらなくて。
もっと元気な若手の声を社外に出すことで、彼ら、彼女ら一人ひとりにスポットライトを当てる『場』ができるのではないかと考えました」
コミュニティを立ち上げることを決めた廣木ですが、より良い『場』にするために行動していきます。
「まず、コミュニティのターゲットをZ世代と明確にしました。そこからZ世代で個性的な発信をしたり、行動を起こしたりしているメンバーに声をかけて、コミュニティ活動を始めました。
さらに社内に情報発信をしてから社外向けに発信するのではなく、社外への発信を先に行い、それを社内の人に見てもらい、認知を高める手法を取りました。社外からの情報が社内に波及し、よりよい活動が増えていきました。そこから、また情報が社外に出て、メディアに取り上げてもらえるようにもなり、活動は加速していきました」
富士通の「おもしろい」にスポットライトを当て、“あたりまえ”を打ち破る
廣木が始めたコミュニティの名前は「Fujitsu Gen Z Community」。社内外Z世代の富士通への共感を醸成することを目的に活動しています。その活動を開始してから1年以上が経った今、成果が着実に見え始めていると言います。
「社外のZ世代とつながっていくことも意識して、大学や他社のZ世代とのコラボイベントも開催しています。活動開始から1年で、延べ750名以上の方がイベントに参加しました。
具体的には、『Fujitsuを共感する企業にするには?』というテーマで、大学生と2日間のワークショップを開催したほか、企業課題を起点とした他企業とのコミュニティ形成やワークショップを行いました」
この活動をきっかけに、富士通のイメージを変えることにもつながっているという廣木。
「他社の若手や学生から『富士通って堅くて、みんなスーツ着て、座席が決まっていて、いわゆる日本の古い企業だと思っていました』という声をよく聞きます。それが実際に富士通のZ世代社員と関わってもらうことで『あ、富士通って意外とおもしろいんだ』っていうイメージ変革につながっているように感じています」
そして、社内にもいい影響が出るとともに、コミュニティの認知度も上がっています。
「このコミュニティを立ち上げたのは自分ではあるのですが、参加者それぞれの想いが形になり、周りに波及していくといいなと思っています。実際に参加しているメンバー自身がやりたいことに積極的に取り組み、発信し、仲間が増えていく、といった良いサイクルが回っていて。Z世代が活きる場として、成長し続けている実感があります。
また、この活動は経営層にも認知してもらうまでになり、富士通のカルチャー変革を象徴するムーブメントとして評価されています」
そこでの成功体験や、社外からの富士通のイメージ変革をより加速させるために、新たな挑戦にも取り組み始めました。
「富士通の既成イメージを変えたいという想いを、別の形で実現させたのが、CARBON CAKESのプロジェクトです。富士通のソーシャルデジタルツインの技術を活用し、大気汚染の状態と私たちの行動がどのように社会に影響をもたらすかを、『ケーキ』という形で可視化し、環境問題の深刻さを人々に訴えるというキャンペーンを実施しました。
『今までの富士通にはない斬新さ』と社外から多くの反響を得たほか、社内からも『富士通ってこんなおもしろいことができるんだと勇気をもらった』という声がたくさんいただきました。
さらには世界的なクリエイティブの祭典であるCannes Lion International Festival of Creativity(カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル)で入賞する(全世界のエントリーの中で10%程度)ことができました」
自分の持ち味や行動力を遺憾なく発揮し、さまざまなアプローチでインパクトを与え続ける廣木。今後も社内外にいい意味で驚きを与え、新しい当たり前を創る仕事をし続けたいという強い気持ちとともに、今日も新しい企画を考えます。
※ 記載内容は2024年7月時点のものです
