健全な緊張感を持ち、自身と会社のパーパスを鑑みてアクションを起こしたい
2023年2月現在、未来社会&テクノロジー本部の6G推進グループで、富士通の6Gコミュニティを牽引する山口。入社当初は5Gの部署に在籍していて、その後、2022年3月に6G推進グループに異動しました。今までの経験を通じて培った、自分の軸となる想いがあると語ります。
山口 「現在、6Gという最先端の技術検討に携わっていますが、最先端の技術は既存の技術の積み重ねの上に成り立つものだと認識しています。そのため、基礎を重視して学ぶことを大切にしています。その上で、しっかりとアクションを起こしたいという想いを自分自身のパーパス『巨人の肩の上に立ち、世界の先駆けとなるアクションを起こす』に込めました。
“巨人の肩の上”というのは、すでに人類が獲得している英知を意味している言葉で、私が大事にしている“基礎”と通底していると感じてこのパーパスとしました」
パーパスを胸に日々仕事に打ち込む山口。現在の価値観に大きく影響を与えているのは、6G推進グループへの異動前に携わっていたローカル5Gシステム構築/実証での経験だと言います。
山口 「現場に行くと、想定外のことが当たり前のように起こります。また、ベテランの方にとっては想定内でも、私にとっては想定外ということもあります。現場に行かずに机上の議論をするだけでは認識が難しく、現場感が非常に重要であると、現場でのシステム構築や検証を経験して学ぶことができました」
しかし、6G推進グループへ異動した後、現場へ足を運ぶ機会は少なくなったと言う山口。だからこそ、培われた現場感覚を忘れないために、意識して取り組んでいることがあると語ります。
山口 「周りの人との『対話』を大切にしています。検討していることを咀嚼して自分の中で腹落ちさせる。そして同じグループの方とさまざまな観点から深い議論を重ねる。そうすることでより地に足のついた検討内容にしていけるのではないか、と考えています」
その上で、自らに対しては、「健全な緊張感」を持ち、物事を冷静に見つめることを心がけていると言う。
山口 「今担当している仕事が、今後も富士通に残っているかは分からないし、市場としても求められるとは限らない。だからこそ、現状維持ではなく、常にプラスアルファの取り組みができないか、健全な緊張感を持ち行動するようにしています」
5Gから6Gへ。自ら決断し挑戦する新たなステージとは
学生時代は理工学研究科で物性を学んでいた山口。学びを深める中で、人々の生活に欠かせない存在となっている通信インフラに特に強い関心を抱き、次世代通信ネットワークである5Gを推進している富士通への入社を決めました。
山口 「入社当初から、希望していた5Gに携わることができました。2年目からは、プロジェクトの上流から下流まで一元的に担当し、顧客先でのネットワーク構築/実証といった現場対応にも従事しました。
担当していたのは5Gの中でも特に、企業や自治体などが特定のエリアにおいて個別に5G環境を構築・運用できる『ローカル5G』でした。ローカル5Gを導入する場合、多くのステークホルダーを巻き込んだ、さまざまな準備が必要となります。
たとえば、設置ひとつをとっても、単に顧客先に機器を納入するのではなく、どんなユースケースを考えていてそのためには敷地のどこに電波を飛ばす必要があるのか。そのためにはアンテナを地上何メートルに設置するべきで、その際には新しくポールを設置できるのか、それとも既存の設備を活用できるのか。
また、アンテナのチルト角や向きをどうするべきかを決めるために、事前に電波シミュレーションを行った上で協議するなど、顧客と密に連携しながらプロジェクトを進めていました」
しかし、業務を進める中で、ある想いが生まれたと語ります。
山口 「すでに5G技術はグローバルで概ね標準化済みのもの。一方でちょうど6Gのビジョンをはじめとする議論がグローバルで始まりかけているというのは認識していて、その最前線の場での議論に参加したい、という想いが強くなっていました。
そのタイミングで偶然、未来社会&テクノロジー本部で6Gに携われるポジションの募集がかけられました。挑戦できるのは今しかない、という想いから、ポスティングすることに決めました」
富士通グループの英知を結集し、6Gで国際的なプレゼンスを向上させたい
希望が通り、社内外での6Gコミュニティ推進活動に、リーダーとして従事する山口。英語ベースでのグローバルな会議に出席する機会も多いと言います。
山口 「Next G Alliance*¹という北米6G検討の場に、富士通の代表として出席しています。文字通り最先端の議論が行われていて、非常に刺激的な毎日を送っています。一方で、自分の発言が富士通としての意見と捉えられる、という責任も感じています」
異動前の部署にて5G技術に携わっていたことから、6G検討における基礎的な知識は元々持ち合わせていた山口。しかし、6Gコミュニティの議論の場では、ネットワークの枠組みを超えて、広義の6Gについての議論が交わされることも多いと言います。
山口 「たとえば水不足や生物多様性減少などの環境問題を解決するために、6Gはどう在るべきか、という議題もあります。今までの自分の知識の範囲を大きく超えるトピックが扱われる場合、新たな用語が出るたびに意味を調べたり、ホワイトペーパーを読み込んだりなど、地道にコツコツと知識を蓄えるよう努めています。
私よりもはるかに知識や経験のある方々と議論をする場面ばかりなので、そこについていく大変さももちろんありますが、その過程自体を純粋に楽しめていると感じています」
刺激を受ける環境に身を置きつつ、強い想いを持って社内で推進しているのが「社内6Gコミュニティ立ち上げ/推進」だと山口は語ります。
山口 「6Gの事業化については、長期スパンで考える必要があります。その分、われわれの活動に対して社内の理解を得ることが難しい場面も出てきます。そのため、社内の各部署の将来につながる内容をインプットし、今後の社外6Gプレゼンス向上を見据えた社内連携が円滑に進むよう努めています。
具体的には、社内SNSであるYammerを活用し、最新の6G検討状況をかみ砕き、親しみやすい内容を富士通グループ内全体に共有しています。いずれは、双方向性を活かし、他部署とのつながりから、新たなイノベーションが生まれると良いなと考えています」
*¹ Next G Alliance:米通信業界団体のAlliance for Telecommunications Industry Solutions(ATIS、電気通信産業ソリューション連合)が創設した6G推進団体。6Gを中心とした民間主導の取り組みを通して、今後10年間の北米の無線通信技術におけるリーダーシップの推進を目指している。技術の商業化に重点を置き、研究開発、製造、標準化、市場準備の全ライフサイクルを網羅した活動を行っている。
ネットワークを空気のように。6G技術を用いて目指す次世代のまちづくりとは
6Gに力を入れるべく、社内外で奔走する山口。富士通が進めるスマートシティや次世代のまちづくりにとって、6Gは欠かせない要素となります。山口自身は6Gが実用化された社会を、どう見据えているのでしょうか。
山口 「ユーザー目線で言うとネットワークを『空気のように意識する必要がないもの』と感じる社会にしたいと考えています。ユーザーがWi-Fiを探したり、端末の再起動を試したりなどの試行錯誤が必要としないものと捉えられるようにすることが理想像の一つだと思っています」
とはいえ6G技術はまだまだ発展途上。6Gが身近な生活圏に登場するのは、もうしばらく先となります。
山口 「6Gの実用化は2030年頃の見通しです。市場規模は充分に大きいことが見込まれていますが、現在は投資段階。収益化が見込めるようになるまでには時間がかかります。先が長い活動においていかに社内外を巻き込みながら未来を創造していくか。常に挑戦し続けることが求められます」
そして、収益化することと両立する形で、忘れてはならない観点があると山口は語ります。
山口 「地球環境に配慮しているか、という観点です。単に技術を実装するだけでなく、持続可能性があるかを常に意識しながらの開発推進が求められています。
ビジネスとして収益化できるかという財務の観点と共に、脱炭素など地球にとって良い技術なのかといった非財務の観点の両輪を意識し続けていきたいと思っています。将来的には、私たち人類にとって、よりサステナブルかつ幸福度の高い社会やまちづくりを実現するために、6Gという技術が基盤となれるよう推進活動に従事していきたいと考えています」
少し先の未来を見つつ、足元もしっかり見て前に進み続ける山口。実現したいまちづくりができたか、答え合わせは2030年まで待たなければいけないが、山口の強い想いがきっと反映される素晴らしい世界となっていることでしょう。
