富士通グループひと筋の30年選手。SEから営業、BPとして小売業界に貢献
ITとはまったく縁のなかった法学部を卒業後、1989年に富士通東北システムエンジニアリング (現在は富士通Japanに統合)へSEとして入社した鶉橋。
鶉橋 「Uターンするつもりで、地元仙台に拠点を構えていた富士通のグループ会社に入社しました。ところが、3カ月の研修を終えるとすぐ、富士通本社に配属されて東京に戻ることに。3年ほど、小売業向けのPOSシステムのパッケージ開発に携わりました」
その後、再び富士通東北システムエンジニアリングに戻ると、東北6県の顧客へのPOSシステム導入・運用サポートを担当。POSシステムの展開先を小売店だけでなく、病院・市役所・空港や道路公団などにも拡張していきました。そうした実績を見込まれ、SEから営業職にキャリアチェンジしたのち、グループ各社を渡り歩き、実に30年以上に渡って販路拡大に貢献しています。
2022年10月現在は、富士通Japanの宮城支社第3ビジネス部に在籍。ビジネスプロデューサー(BP)として小売ビジネス全般に携わっています。
鶉橋 「現在、私が担当しているのは、大手商社系の商業施設。一般の小売店舗などと比較すると、小売販売だけでなく不動産業なども絡んでくるので、幅広い視点が必要となるところにおもしろさを感じています。たとえば一般的な小売店の場合、われわれのシステムを導入したことで店舗の売上が上がり、発展してくれれば単純に喜ばしいもの。
しかし、大手商社系の商業施設の場合、売上増加によって施設の価値が上がれば売却される可能性がありますし、逆に売上が低迷しても撤退や倒産とはならず、投資してテコ入れするケースも。一筋縄ではいかない部分をいろんな角度から考え、営業やコンサルを進めていくのは難しくも刺激的ですね」
ずっと夢見ていた異業種間コラボ・クロスインダストリーに本格着手
そんな鶉橋が今、本業と並行して力を注いでいるのが「DATETRA」。「DATETRA」とは、富士通が進める全社DXプロジェクトである「フジトラ」から派生した、富士通Japan宮城支社が独自に展開する変革プロジェクトのこと。「伊達藩」と「トランスフォーメーション」を掛け合わせて名付けられました。
鶉橋 「2021年の発足当初は、DX推進やCSR活動など、あらかじめ上層部が決めたグループに分かれて活動していたのですが、徐々に『自分たちが興味のあるテーマに取り組もう』という声が上がり、今ではいくつもの個別プロジェクトが持ち上がっています。日々の本業を必修科目とするなら、『DATETRA』はいわば自分のやりたい活動を選べる選択科目ですね。
私はこれまで本業の中で、市役所や病院、空港、道路公団などいろんな業種を横断してビジネスを展開してきた経験があるため、クロスインダストリーというテーマに興味を持ち、取り組んでいます。
実は10年ほど前から、業界を越えてコラボする仕事がやりたくてしかたなかったんです。でも、当社では自治体営業、ヘルスケア営業、小売営業など縦割りで部署が分かれていて、そこを飛び越えて協業するのが難しい状況でした。
それが『DATETRA』をきっかけに実現できるかもしれない。各業界を担当するチームにも熱意ある人が多いので、おもしろいことができそうだという予感があります」
「DATETRA」は宮城支社メンバーの「やりたい」を起点に動き出したからこそ、全社員の8〜9割が参加していると言う鶉橋。活動のテーマも、音楽やスポーツ、ヘルスケア、文教などさまざまな分野に広がっています。
鶉橋 「たとえば、仙台市内に新たに建設が構想されている複合音楽ホールで、ITの力を使ってより良い体験を提供できないかと活動しているチームがあります。これまで音楽とは無縁の会社ではありましたが、まったく新しい発想から事業を生み出そうとしています。
また、ヘルスケアの分野では、ひっ迫する医療体制や労働環境の改善、便利化ツールの開発、システム化、データ活用など、幅広いテーマを掲げています。特に食育の分野では、これまでコラボしたことがない食品卸企業との連携を図るなど、新しい角度からアプローチしているところですね」
さらに、「DATETRA」に取り組む「DATETRAクルー」の中には、北海道や東京など宮城支社以外から参加するメンバーもいて、活動の幅が広がっています。
鶉橋 「誰に指示されるでもなく、社員が自ら進んで各プロジェクトに参加しているのが『DATETRA』の最大の特徴です。これまでなかなか実現しなかった、部を横断した取り組みでもあるので、活動に参加する中で新たな気づきや知見が得られるなど、本業にも良いかたちで作用しているのを感じますね」
支社内、グループ社間の交流で生まれるシナジーが「DATETRA」を加速させる
「DATETRA」の活動については、社内イントラを通じて富士通グループ全体に発信されていると言う鶉橋。それをきっかけに、グループ内から「私も参加させてほしい」「話を聞きたい」という反応が返ってくることもあると言います。
鶉橋 「先日は、東京でスポーツ関連の新規ビジネスに関わるメンバーから、『DATETRA』で同じくスポーツビジネスに取り組むメンバーと意見交換したいという声があり、ミーティングを設けたんです。
東京のメンバーたちが、世界中から驚くほどの量の情報を集め、多角的な視点で考えながら課題に取り組んでいる姿は、われわれにとってとても良い刺激になりました。また、『DATETRA』からは、自治体や企業にどうアプローチしていくか、意見やアイデアを提案するなど、お互いにとって有意義な場になったと思います」
また、「DATETRA」の活動を通じて、ある気づきを得たと言う鶉橋。
鶉橋 「ある物事に対してやる気になれない、気が乗らないという場合、その本質についてよく知らない、というのが原因のひとつだと思うんです。たとえば私はバーチャル空間やゲーム系には詳しくないので、あるメンバーが『DATETRA』でアバターを使ったビジネスに挑戦したいと言い出した時、よくわからないまま話を聞いていました。
でも、彼らに教えてもらって理解していくと、俄然興味がわいてきて(笑)。その分野が好きな人、詳しい人とはまた別の、一歩引いた視点から『こういう風にすればビジネスに結びつくかもね』という提案ができたんです。
この年齢になっても、知らなかったことを知ることは楽しいし、その分野を知らなかったからこそ先入観のないアイデアが出てくることもある。『DATETRA』では、そうしたシナジーがどんどん生まれることを期待しています」
まずは実績。「DATETRA」がグループの変革活動を活性化させるきっかけになれば
「DATETRA」では現在さまざまなプロジェクトが進んでいますが、今後はいずれかを事業実績として形にしていきたいと言う鶉橋。将来のビジョンについてこう話します。
鶉橋 「まずは小さなものであっても、何かしらをビジネスとして稼働させたいと思っています。いま商談として進んでいるのは、地域活性化の起点となるようなスマートフォンアプリをつくるDXプロジェクト。具体的な中身は言えないのですが、これが成就すれば、現在進んでいるほかのプロジェクトの後押しにもつながると考えています」
一方で、「DATETRA」を進める上で課題に感じていることも。
鶉橋 「私たちビジネスプロデューサーは、比較的スムーズにクロスインダストリーを進めていますが、まだまだ業種単位で動いている部門も少なくありません。そこをどのように連携させていくかが、目下の課題ですね。
また、社内だけで全ての開発ができるわけではありませんので、外部の会社との連携も必要となり、適切な協業相手の選定や作業分担など、解決すべきことが山積みです。そこで、社内ではクロスインダストリーのプロジェクトを取りまとめる部署が新設され、期待が高まっています」
今後、宮城支社以外のメンバーの関心をますます集められるように、「DATETRA」の活動を充実させていきたいと言う鶉橋。次のように続けます。
鶉橋 「『DATETRA』がきっかけになって他の支社でも同じような活動が生まれ、『宮城に行ってみたい』『次は○○支社で集まろう』など、相互に社員が行き来するようになれば、今よりずっと楽しく仕事に取り組めると思うんです。そんな良い連鎖を生む原点のような存在に、『DATETRA』がなっていけばいいですね」
地方支社から生まれた変革の種「DATETRA」。その種が全国の支社やグループ全体に広がって根付き、持続的な変革活動につながることを目指して──鶉橋たち宮城支社メンバーの挑戦は続きます。
