大学4年次に味わった初めての挫折。就職浪人を経て、富士通グループへ
2021年、富士通Japan株式会社に新卒入社した佐藤。その就職活動は、決して順風満帆とは言えなかったと振り返ります。
佐藤 「実は大学院に進むつもりだったのですが、入試に落ちてしまったんです。受験に失敗する経験がそれまでなかったので、とてもショックでした。就職も考えましたが、中途半端に始めるよりは翌年に仕切り直そうと思い、大学の在籍期間を1年伸ばして就職浪人をすることにしました」
今後の進路について改めて真剣に考えた佐藤は、身近にいた起業家の影響を受け、「将来は起業したい」という結論に至ります。そこで、自分でイチからサービスを作って発信できるエンジニアになることを目指し、翌年から就職活動を始めました。
佐藤 「そう決めたものの、未経験からのエンジニア職への就職は難しくて。条件を見直し『ゼロイチの開発ではなくてもITに関われる職種』『自分にとって身近な領域の仕事』という軸で探すことにしました。そして出会ったのが、富士通マーケティング(現富士通Japan)でした」
入社後の研修を経て、ヘルスケアソリューション開発本部 部門ソリューション事業部に配属された佐藤。ヘルスケア領域のSEとして、キャリアをスタートします。
佐藤 「最初は先輩の補助役として、システムのリプレースや、導入先での設定・変更を行う業務に携わりました。その後は、放射線技師が使う、電子カルテと連携するシステム『RIS(放射線科情報システム)』の運用保守を担当することに。
僕はデリバリー側のSEとして、開発側が作ったパッケージシステムやプログラムを病院様の現場に持っていき、実装してテストするという、開発とお客様をつなぐような役割を担っています」
仕事内容やメンバーの詳細がわかる組織図があれば、初配属や異動時の不安を解消できる
所属事業部の仕事に取り組む一方で、佐藤が入社1年目の夏に立ち上げたのが「すごい組織図」プロジェクト。
「すごい組織図」は、その名の通り富士通グループ内の組織図を可視化したツールです。使う人のことを考えたUIや機能になっていて、各会社や部署、そこに紐づくチームなどが整理され、一覧で見られるようになっているのが特徴です。
さらにチームをクリックすると、そこに所属するメンバーの名前と顔が表示され、その人の詳細なプロフィールを見ることができます。「すごい組織図」プロジェクトを立ち上げるきっかけとなったのは、佐藤自らが感じた課題でした。
佐藤 「富士通グループ内には、これまでも組織をリストで見られるものは存在していましたが、同じ会社や同じ部署が繰り返し表示されている箇所があるなど、見づらい点がありました。また、情報濃度が薄く、その部署を知らない人が見ると、業務内容が掴みにくかったんです。
僕も配属先が決まった時、自分の所属部署がどんな仕事をしているのかを調べたのですが、リストを見てもよくわからず、これからの人生を投資する仕事や環境が見えないという状況に、すごく不安を感じたのを覚えています」
その後、富士通グループには「業務の10%を自分が興味ある活動に使える制度」があると知った佐藤。この制度を利用して、初配属や異動時の不安を解決できるような組織図を作りたい、と決意します。
佐藤 「就職浪人した僕は、『同期より1つ年上なんだから頑張らなければ』と、新人研修でもリーダーを買って出るなど、積極的な行動を心がけていたんです。『すごい組織図』も、そんな焦りに近い感情に突き動かされ、何か新しいものを立ち上げたいという想いから生まれたものでした」
企画概要を固めた佐藤は、社内SNSとして活用されているYammerでプロジェクトメンバーを募集。若手からベテランまで、佐藤と同じように組織図に課題意識を持っていた10人が集まり、「すごい組織図」プロジェクトは本格的に動き出しました。
お互いの部署を可視化し、知ることで、グループ内にイノベーションを生み出したい
プロジェクトが始動して約1年。佐藤は、企画段階での難しさをこう話します。
佐藤 「理想を実現するには開発が必要ですし、開発にはスキルが欠かせません。そのための協力を得ることに非常に苦労しました。メンバーの伝手を最大限利用しても、協力者が見つからなくて……。最初は自分たちができる範囲でやっていこうと、まずはすでにある組織情報リストの内容を一つひとつ改善していきました」
風向きが変わったのは、Yammerで協力者を募ってからしばらくたった頃でした。
佐藤 「富士通ラーニングメディア(以下、FLM)の代表取締役が、『うちでも同じようなことをやりたいと思っていたから、一緒にやらないか』と声をかけてくださったんです。これをきっかけに活動のスピードが加速し、今はFLMが開発を担当し、僕らは利用者を増やす活動を行っています」
こうして開発が軌道に乗り始めた「すごい組織図」。その特徴は、大きく2つあります。
佐藤 「1つは、組織改編時に部署が自動更新される上に、その内部のチームやプロジェクトまで追加登録できるようにしたこと。これまでは、部単位までしか細分化されていませんでしたが、そこに紐づくチームやプロジェクトを新たに登録・表示することで、部署の中でどんな活動が行われているか、より具体的にイメージできるように工夫しています。
もう1つは、誰でも編集可能なこと。Wikipediaのように誰でも編集できるようにすることで、最新の情報が更新されやすい仕組みになっています。現在は、ようやく骨組みが出来上がり、トライアル公開中です。
まだ改善点は多いものの、周囲からの反響は上々。今後、アジャイル開発でどんどんアップデートしていく予定です。個人ページなども設置しているので、記入ワークショップなどを通して利用を促し、ファンの拡大につなげていきたいと思っています」
活動の中では、「すごい組織図」が完成に近づくことに加えて、何より、年齢も経験も違うメンバーと同じ目線で仕事ができていることが、佐藤にとって貴重な経験になっています。
佐藤 「富士通は、組織規模が大きい企業。だからこそお互いの部署を可視化し、知ることで、社内のコラボレーションがもっと活発になるはず。『すごい組織図』というシステムが、グループ内にイノベーションを生み出すきっかけとなることを期待しています」
「不」にアンテナを張ることがチャンスに。応援してくれる環境、仲間と共に挑戦を続ける
「すごい組織図」プロジェクトでの経験を経て、社内変革に興味を抱いた佐藤。社内ポスティング制度を利用し、2022年10月から富士通本体のデジタルシステムプラットフォーム本部へ異動することが決まりました。同部署は社内システムのモダナイゼーションを通じて富士通グループ全体のDXを推進中。異動後はその中で組織風土変革にフォーカスした活動を行う予定です。
佐藤 「社内ポスティング制度に応募した理由は2つ。1つは、『すごい組織図』の活動で社内の声をもとに発信し、その反応を見るのがとても楽しいと感じられたこと。もう1つは、同部署で働く同期の活躍に触発されたことでした。
異動先では、最新ツールの導入など、やりたいことがたくさんあります。まだジャストアイデアの段階ですが、たとえば、他社製品に気軽に触れたり、その情報を簡単に集めたりできるような場所を作れたらと考えています。そうした機会があれば、自社製品の開発や改善、商談にも役立つのではと」
自ら志願した異動を目前に控え、佐藤は「これからも新しいことに積極的に挑戦していきたい」と意気込みます。
佐藤 「『すごい組織図』は、各部署の仕事や人が見えないという“不安”がきっかけで生まれたもの。同じように、仕事や生活の中で出くわす不安や不満、不便といった“不”の中に、新しいチャンスがあると思っています。
そんな未知の可能性を見つけ、試行錯誤しながらどんどんチャレンジすることが、自分の強み。将来的には自分で事業を立ち上げたいと考えているので、その糧となる経験を自ら進んで積み重ねていきたいですね」
「すごい組織図」の立ち上げ当初は、時に反対されたり、厳しい言葉をかけられたりもしたと言う佐藤。そんな時に支えとなったのは、応援してくれる人の存在でした。
佐藤 「何かに挑戦する時は、それを後押ししてくれる環境や仲間を見つけるのが一番。僕は自分自身がチャレンジするだけでなく、チャレンジする人を応援するのも大好きなので、グループ全体がそういう環境になり、挑戦者が増えてくれると嬉しいですね」
富士通にチャレンジマインドを持つ人、それを応援する人が溢れ、さらなる進化を遂げるために。佐藤は新たなフィールドに立ち、次なる変革に挑みます。
