技術を「伝わる言葉」に翻訳する。公共領域のプリセールスという仕事
榊󠄀 広大は現在、フレクトで公共領域のプリセールスを担っています。プリセールスとは、商談が成立する前の段階でお客さまの課題を掘り起こし、自社のサービスや技術でどう解決できるのかを設計して提案する役割です。
「この仕事は、社内で資料をつくり込むだけでは完結しません。お客さまのもとに足を運び、業務の実態や意思決定の流れを直接伺いながら、こちらの仮説をぶつけて論点を整理していく。そのディスカッションの積み重ねが、提案の精度を決めていきます」
公共領域のお客さまは、民間企業とは異なる意思決定のプロセスや制約を持っています。そのなかで榊󠄀が重視しているのは、技術を「翻訳」して届けることです。
「技術をそのまま説明しても、価値は伝わりません。相手の立場や業務フローを理解したうえで、『この技術がどう役立つのか』をお客さまの業務の言葉に置き換えて届ける。技術的な知識を持ちながら、それをわかりやすい言葉に翻訳してコミュニケーションできるか。それこそが、プリセールスとして日々意識していることです」
こうした視点の土台にあるのは、エンジニアとしての経歴です。大学で専攻したのは地球物理学。流体力学の解析などでプログラミングに触れたことが、この道の出発点でした。
「最初に使った言語はFortranというかなり歴史のある言語でしたが、『自分が書いたコードが実際に動く』という体験に夢中になりました。その感覚が、今もこの仕事への情熱の根っこにあると思っています」
前職では組み込み系のエンジニアとして、工場のIoTシステムや産業用ロボットの開発に携わりました。その後、クラウド領域への関心が高まったことをきっかけにフレクトへ転職。開発の現場を知っていることは、提案の場面でも効いています。
「お客さまとの対話の中で『この課題には技術的にこういうアプローチが取れる』と、実現性まで踏み込んで話せることが強みになっていると感じます。
訪問を重ねるなかで、お客さまの課題の輪郭が少しずつはっきりしてくる瞬間があります。『そういうことを実現したかったんですね』という気づきが生まれ、そこから提案の骨格が定まっていく。そのプロセスに、今の仕事のやりがいを強く感じています」
技術を武器に、お客さまと直接向き合う現在の役割は、これまでのキャリアの延長線上にありながら、まったく新しい挑戦でもあります。
「チャレンジするなら早い方がいい」組み込みからクラウドへの決断
前職時代の榊󠄀は、組み込み系エンジニアでした。組み込み開発とは、家電や産業機器といったハードウェアに組み込まれたソフトウェアを開発する仕事です。入社から2年半ほどが経った頃、榊󠄀は転職を考え始めます。きっかけは、AWS(Amazon社が提供するクラウドサービスの総称)の資格取得でした。
「資格の勉強を通じてクラウド技術のおもしろさに触れ、『もっと深く学びたい、クラウド領域でキャリアを積んでいきたい』という気持ちが強くなっていきました」
初めての転職。2年半という短さで前職を離れることに、迷いもあったと振り返ります。
「不安がなかったと言えば嘘になります。周囲から『もうやめてしまうのか』という声も一部あがりました。それでも、『チャレンジするなら早い方がいい』という気持ちの方が強く、自分がやりたいことの方向性は明確になっていたので、その確信を信じて踏み出すことにしました」
数ある選択肢のなかからフレクトを選んだ理由は、事業の広がりと待遇の両面にありました。
「当時の社員規模は350人に満たないくらいでしたが、誰もが名前を知っているような大手企業と数多く取引をしていました。これほどの規模の会社がこれだけ多様な業界のお客さまとビジネスを展開できていることに、純粋に魅力を感じました。
また、提示された年収が、内定をいただいた会社の中でもっとも高かったことも、入社を後押ししてくれました。待遇面と事業の魅力、どちらも納得できる選択肢がフレクトでした」
一方で、入社後には想像とのギャップもあったと言います。
「AWSの知識をどんどん身につけたいという気持ちで入社したのですが、他にもSalesforce(セールスフォース/顧客管理や営業支援に広く使われるクラウドサービス)など、マルチクラウドを扱う案件が多かったことは驚きました。
SalesforceやAWSといった幅広いクラウド技術を扱える環境に身を置けたことは、今となっては良かったと感じています」
組み込みからクラウドへ。領域としては大きなキャリアチェンジでしたが、この一歩を踏み出せたことが、その後の成長につながっていきました。
担当範囲で線を引かない。省庁案件でつかんだ手応えと、社内に先駆けたAI活用
入社してから榊󠄀がもっとも大きく成長を実感しているのは、お客さまとの向き合い方です。
「フレクトに入るまでは、チーム開発の進め方やクラウド領域の技術的な知識も十分ではありませんでした。でも、それ以上に変わったのは『お客さまは何を考えていて、何を本当に望んでいるのか』という当事者意識の持ち方だと思っています」
その転機となったのが、ある省庁様のプロジェクトです。会社として初めてお取引させていただくお客さまで、そのキックオフから中心メンバーとして参画し、プロジェクトリーダーとしてリリースまで一貫して担当したことは、榊󠄀にとって初めての経験でした。
「短納期であるにもかかわらず、カスタム開発(標準機能ではなく顧客ごとに独自で開発すること)が複数用意されており、いかにプロジェクトを管理・推進していくかが鍵となる現場でした。
なかでも難しかったのは、システムが金額計算を扱うという性質上、細かなロジックのミスが一切許されなかったことです。さらに、Salesforceの機能上の制限によって、実現方式をどう組み立てるべきか行き詰まる場面もありました」
打開の糸口になったのは、一人で抱え込まず、社内の知見を頼る姿勢でした。
「社内のSalesforceに精通した有識者に知見を求めたり、AIツールを使って解決の糸口を探ったりしました。最終的には、優秀なチームメンバーが解決案を提案してくれて、チーム全員で合意を取りながら、お客さまとも握りながら前に進めることができました。一人では乗り越えられない壁も、チームで向き合うことで突破できると実感した経験です」
このプロジェクトは、もう一つの挑戦の舞台にもなりました。社内のどのプロジェクトよりも先行して、AIツール「Cursor(カーソル)」を導入したのです。
「当時、部の方針としてAIを活用したレビュー効率化が推進されており、走り出したばかりのこのプロジェクトがパイロット案件に選ばれたのです。実際に使ってみると、コードレビューやドキュメント作成など幅広い場面で効果を実感できました。
『こうしたらもっとうまく使えるんじゃないか』と気づいたことをプロジェクト内で共有し、部内でも報告するうちに、社内外の講演で話す機会までいただけるようになりました。会社のAI活用に少しでも貢献できたと思うと、素直にうれしかったです」
こうした経験を経て、今の榊󠄀がもっとも大切にしているのが「圧倒的な当事者意識」です。
「自分の担当範囲外のことは考えなくていい、という姿勢でいると、お客さまの真の課題に気づけなかったり、後々自分たちに問題として返ってきたりすることがあります。だからこそ、調達仕様書(お客さまが発注内容をまとめた文書)に書かれた要件をそのまま受け取るのではなく、その背景にある意図まで、訪問とディスカッションを重ねて具体化していく。
仮説を立ててヒアリングし、それを提案書という形に落とし込んで、また次の訪問で検証する。そのサイクルを丁寧に回し続けた結果、『こんな提案をしてくれて感動した』とお客さまに言っていただけたときは、プリセールスの仕事をしていて本当によかったと感じます」
「最高到達点を伸ばしたい」前向きな人と共に、組織を次のステージへ
これまで多くの先輩から学んできた榊󠄀。その背中を見るうちに、自身が組織で果たす役割についての考え方も変わっていきました。
「公共セクターで培ってきたSalesforceの導入経験や技術的な専門性を活かして、組織に貢献できる存在になりたいと強く思うようになっていきました。
プロジェクトの立ち上げから完了まで、一連の成果をしっかりと出すこと。そして同時に、組織の売上構築や人材育成にも貢献できる人間でありたい。そうした思いが、マネジメントを志向するきっかけになりました」
その実現に向けて、今は二つのことに意識的に取り組んでいます。
「一つは、プロジェクトマネジメントに関する資格の勉強や社内研修への参加です。理論と実践の両輪で学ぶことを大切にしています。
もう一つは、プリセールスの現場に本格的に参画することです。公共という特殊な領域における営業活動の進め方、提案書の組み立て方、お客さまとの折衝の仕方を、実際の活動の中で身をもって学んでいます。知識として知っているのと、現場で経験するのとでは、やはり大きく違うと感じています」
榊󠄀が見据えているのは、3年後の姿です。
「複数の組織・案件を横断的にリードできる立場に就き、周囲のメンバーや組織全体にとってプラスの影響を与えられる人間になりたい。そのためにも、今この時期に幅広い経験を積んでおくことが重要だと思っています」
最後に、転職を検討している方へ向けて、榊󠄀はフレクトの環境と求める人物像を次のように語ります。
「フルリモート・フルフレックスで働けるため、ワークライフバランスを維持しながら仕事に取り組めます。また、困ったことがあって社内で質問を投げると必ず誰かが返してくれる、そういう支え合いの文化が根づいています。フルリモートでも孤立感を感じないのは、この文化があるからではないかと感じています。
資格取得支援制度や書籍購入支援制度など、自分の力を伸ばすための福利厚生も充実していて、私自身もだいぶ活用させてもらっています。さらに、キックオフ会や節目のイベントなど、直接対面で交流できる場も設けられていて、社員同士のつながりを実感できる機会があるのもいいなと思っています。
来てほしいのは、チームでの成功体験にこだわれる人、技術力を伸ばしたい人、マネジメント領域を広げたい人です。フレクトにはそういった方が活躍できるための土台が整っています。これまでのご経験を活かして、さらに自分の最高到達点を伸ばしていきたいという前向きな方と、ぜひ一緒に働きたいと思っています」
技術とキャリアを、自らの手で選び取る。榊󠄀の挑戦は、これからも続いていきます。
※ 記載内容は2026年8月時点のものです
