効率化から、価値創造へ。ITSM導入でビジネス目標と現場の整合性を実現
単なるITシステムの運用管理を超えて、ビジネス目標との整合性を重視した戦略的な役割を担うITSM。デジタル化が加速する現代のビジネス環境において、企業のITシステムを効率的に設計、提供、運用・管理、改善する上で不可欠なアプローチとして、その重要性をいっそう高めています。
DXCにおいても、ITSMのライフサイクル全体を網羅したサービス提供に注力し、コンサルティングから技術提供、運用サービスに至るまで、包括的な支援を通じて顧客のビジネス価値の創造に貢献してきました。
土屋:ITSMコンサルタントの主な職務は、情報システム部門におけるIT業務の最適化に向けたコンサルティングです。限られた資源を最大限に活用し、情報システム部門を戦略的かつ効率的に運営する方法論を提供しています。
情報システム部門は企業の中で、コストセンターとして認識されることが少なくありません。そのため、予算主導でシステム構築が行われ、現場(エンドユーザー)の期待値からかけ離れたものができあがり、運用開始後に不満や混乱を招くケースがよくあります。
一方で、企業のIT戦略と現場のニーズにミスマッチが生じ、結果として情報システム部門に対して過度な期待がかけられているケースも珍しくありません。こうした状況を改善するためには、すべてのステークホルダーが適切に合意形成を行い、納得感のあるかたちで運用を開始することが大切だと考えています。
顧客企業のITSMプロセスを分析し、ベストプラクティスの導入支援を通じて継続的な改善を促進することがITSMコンサルタントの役割。寄せられる相談は多岐にわたります。
鈴木:典型的な事例として、IT専門知識を持たない人材が情報システムの運用管理を担当している状況が挙げられます。このような環境下のお客様からは、システム障害発生時の復旧プロセスなど、標準的なプラクティスの指導を求められることが多く、国際的な標準規格であるISO/IEC 20000シリーズなど、ITSMの代表的なフレームワーク導入を提案しています。
土屋:ユーザー満足度の低下に関する相談も頻繁に寄せられます。システム障害の長期化、同一障害の再発、障害対応状況の不透明性といった、運用上の混乱や非効率さを改善したいというニーズが高く、改善提案をします。
また、改善提案とあわせて、当社が運用自体を受託(アウトソース)するケースもあります。当社では、ITIL(Information Technology Infrastructure Library)ベースの標準運用モデルを適用した運用サービスを提供することで、効率的な運用体制の構築を実現しています。
鈴木:ITILとは、IT業務の効果的な運用・管理のための指針となるベストプラクティスをまとめた、世界的なフレームワークのひとつです。PMBOK(プロジェクトマネジメント)やCOBIT(ITガバナンス)など、数あるフレームワークの中でもITSMに特化している点が特徴で、このITILの実践的な導入方法に関する相談も多く寄せられています。
また、個々の技術的問題に対処はできても、それらの問題に効率的に対応するための業務プロセスの体系化や、効率的なワークフローの確立に課題を抱えている企業も多い印象です。このような状況に対して、当社が運用自体を受託し、包括的なサポートを提供することもあります。情報システム部門は日常的な運用管理の負担から解放され、IT戦略の立案や新規プロジェクトの推進など、より付加価値の高い業務に注力することが可能になります。
現場経験が育んだ使命感。技術とビジネスの架け橋となり、IT業務の最適化を
ITの複雑化に伴い、効率的なITSMの必要性はますます高まっています。土屋と鈴木がITSM分野のコンサルタントを志した背景には、強い使命感がありました。
土屋:私は長らく運用現場の業務に従事してきた経歴を持ちますが、その時の苦い経験が、私のITSMコンサルタントとしてのキャリアの出発点です。
たとえばシステム障害が発生した際、チーム全体が混乱し、誰もが解決に向けて懸命に取り組んでいるにもかかわらず、効率的な対応や関係者との適切なコミュニケーションが取れないために解決がされない、そしてそれが繰り返されるという現状にもどかしさを感じることがよくありました。
そんな時に出会ったのがITILの体系的なインシデント管理プロセスです。明確な責任者の設定、効果的なコミュニケーション方法など、ITILの指針が運用現場の課題解決に直結すると確信し、深く学び始めました。
また、ITILはシステム開発段階における適切な運用設計の重要性も説いています。運用フェーズでの障害対応だけでなく、上流工程フェーズでのITSMの重要性を認識したことが、コンサルタントとしてのキャリアを志す動機となりました。
鈴木:前職ではインフラ運用エンジニアとしてさまざまな分野で実務経験を積んだ後、約4年間にわたりITSMの設計・導入プロジェクトのマネジメントを担当しました。お客様との対話を通じて業務プロセスの弱点を特定し、根本的な問題解決を図ることにやりがいを感じ、2023年にITSMコンサルタントとして当社に入社しました。
実は、私のコンサルタントとしてのキャリアの原点は、IT業界に足を踏み入れる前の、パン職人の経験なんです。店頭に立ち、自分が焼いたパンを購入されるお客様と向き合うことは、自分の仕事が誰かの生活に直接影響を与えているということを目の当たりにする日々で、お客様本位の考え方が養われました。
この当時培われたお客様の満足を追求する姿勢が、ITSMコンサルタントとしての重要な糧になっていると思っています。
ITSMコンサルタントとして、技術とビジネスの整合性を図り、戦略的な価値創造に貢献してきたふたり。熱意ある現場のマネジメントこそが、ITSMの本質であると強調します。
土屋:現在も広く採用されているITILv3で語られているように、ITSMを成功に導くためには4つのP、「Process(プロセス)」「Product(製品・技術)」「People(人)」「Partner(パートナー)」が大事であるとされています。
「Process」は業務の骨格となる規定や手順を指し、「Product」はITSMを効率的に遂行するためのツールです。「People」は関係者の理解度と実行力を表し、「Partner」はアウトソース先の管理能力を意味します。
この中でも、「People」の要素がとりわけ重要だと私は考えています。ITSMを効果的に推進するには、プロセスの本質を理解し、適切に行動できる人材が不可欠だからです。
鈴木:ITILには詳細なガイドラインが記載されていますが、それを機械的に適用するだけでは不十分です。各プロセスの根本的な意義を理解し、適切に実装し、運用し続けなければ、障害の低減など真の改善は望めません。ITILの知見をお客様やプロジェクトの特性に応じて適切に選択し、カスタマイズすることが重要です。このプロセスにおいてこそ、ITSMコンサルタントの真価が問われると考えています。
また、お客様の組織内部に熱意あるITSMの推進者がいなければ、プロジェクトは成功しません。その方と共に、ITSMの価値を組織に浸透させることも私たちの使命です。
土屋:実は、私は先述した4つのPに加えて、5つめのPとして「Passion(熱意)」の重要性を唱えているんです。現場のエンジニアのモチベーションを高め、効率的かつ快適に働ける環境を整え続け、ITSMを推進し続けていく熱意がなくては、成功はありません。ITというと技術に目が向きがちですが、熱意のある現場のマネジメントがITSMの鍵となります。
大企業との協働が成長の糧に。DXCだから発揮できるITSMコンサルティングの真価
顧客の役に立つことにやりがいを見出してきたふたり。DXCでITSMコンサルティングに取り組む魅力を次のように話します。
土屋:ITILには、システム運用のベストプラクティスと、システム設計時の指針が詳細に記載されています。10年近く前の話ですが、運用面の知識のみに依存し、効果的な成果を上げられていない企業の情報システム部門に対して、システム設計時点からのアプローチを提案したことがありました。その結果、目を輝かせながら「腹落ちして理解できた!」という言葉をくださったお客様の表情を、今でも鮮明に覚えています。
大企業との取引が非常に多いことがDXCの特徴です。お客様の情報システム部門の規模が大きいほど、ITSMプロジェクトの影響力は高まるため、それだけ大きなやりがいを感じることができています。
また、大企業のお客様の場合、当社がシステム開発や運用を提供している以外の部署からの改善要請をいただくことも多く、価値提供機会が豊富な状況にあることもDXCならではの魅力です。
鈴木:情報システム部門の次期戦略策定支援において、お客様のニーズを迅速に具体化して明確な計画を立案し、「おかげで見通しが立ちました。これで安心して進められます」と感謝の言葉をいただき大きな達成感を得たことがありました。
また、コンサルティングの結果として具体的なソリューションが必要となった際、自社でソリューションを構築し、サービスを提供できる点にDXCの独自性を感じています。アプリケーション開発からシステムインフラ、サービスデスク業務まで、包括的なサービスを提供できることは当社の大きな強みです。
加えて、各分野の社内のエキスパートと協働できるのもDXCだからこそです。前職では技術、コンサルティング、マネジメント、セールスなどさまざまな役割をひとりで担っていましたが、当社ではコンサルティングに集中し、他の役割はそのエキスパートに任せることができます。自身の専門性を最大限に発揮できる環境が整っている点に、魅力を感じています。
顧客本位の精神が導く次世代のITサービス。持続的な価値創造の実現に向けて
ITSMコンサルタントには、学習意欲と適応力を備えたチャレンジ精神が不可欠だと口を揃える土屋と鈴木。それを根底で支え、真の価値創造へと導くのは、顧客本位の姿勢です。
土屋:鈴木さんは2023年に当社に入社しましたが、入社後の社内への適応と活躍振りの速さに驚きました。私は、これにはITSMの特性が関係していると考えています。
ITSMの基本構造は、業種を問わずどのお客様の情報システム部門についても共通しているので、どこで働いたとしても共通言語で話せるのです。ITILや情報システム部門の機能と最適な運営方法への深い理解がある方であれば、入社後即戦力として活躍できると思います。
もし現時点でITSMの専門知識や経験が不十分だとしても、強い学習意欲と向上心があれば、十分にキャッチアップが可能です。ITSMに興味を持ち、お客様の業務改善に貢献できる人材の参画を期待しています。
鈴木:ITSMコンサルタントには、多様な分野への挑戦意欲を持つ人材が適していると思います。私自身、システム運用を軸としながら、アプリケーション開発、ネットワーク、サーバ、ITSM、そしてマネジメントスキルなど、幅広い領域に積極的に取り組んできました。好奇心と学習意欲が、成長する力になると信じています。
また、お客様との持続的な関係構築には、お客様本位の姿勢が不可欠です。洗練された資料をつくる能力も大切ですが、それ以上にお客様との協働を通じた問題解決への積極的な姿勢が求められます。
ふたりが見据えるのは、より洗練されたITサービスの未来。DXCのITSMコンサルタントとして描く明確なビジョンがあります。
鈴木:AI技術の急速な進化に伴い、単純な技術スキルだけでIT業界を生き抜くのは難しくなると予測しています。近い将来、コンサルタント的な思考力と問題解決能力が不可欠となり、改善提案や革新的なアプリケーションの企画といった高次元のスキルが必要になるでしょう。ひとりでも多くのITSMコンサルタントを育成していくことが、IT業界全体の質的向上につながると考えています。
土屋:システム設計者からエンドユーザーまで、ITに関わるすべてのステークホルダーに価値をもたらす仕事をすることが、私の変わらない目標です。ITSMの実践を通じて、さまざまな関係者が共感できる情報システム部門の構築に貢献することが、私の使命だと考えています。
※ 記載内容は2024年9月時点のものです
