現場の声から生まれる顧客視点のアイデア
2023年に開催された「デジタルソリューション アイデアコンテスト」に挑戦し、見事金賞、銀賞をそれぞれ受賞した2名の社員。
一人は、トヨタ支店に配属されてから一貫して自動車のボデー(さまざまな部品を取り付ける車両のベースの部分)設計開発業務を経験し、現在は16名からなるチームのリーダーを務めている岩本 英朗。
もう一人は、入社してから自動車のランプや燃料タンク、プラモデルなど多岐にわたる設計開発に従事。現在は第一東京支店にて自動車ランプの設計開発業務を行う高橋 颯です。
2人とも、アビストで設計開発エンジニアとして日々真摯に業務に取り組み、活躍してきました。
岩本が、アイディアコンテストに挑戦したきっかけは、昨年初めに進(代表取締役社長:進 顕)が社内に発信したメッセージでした。
岩本:進さんが「全社員がアイデアを提案しやすい環境を作り、部下が自由に意見を述べられる社風を築くこと。また、良いと思ったアイデアを上に伝えてほしい」というメッセージを聞いて、私も自由にアイデアを出し合えるチーム作りの必要性を強く感じました。
トヨタボデーチームでは、月に1回のペースで自由な意見交換の場を設けています。チーム全体が積極的に意見を出し合える方法を模索する中で、まずリーダーとして率先してアイデアを提案する姿勢を部下に示すことが大切だと考え、このコンテストに参加しました。
高橋は、普段から業務の中で感じた課題や自身の考えをまとめる習慣があったと語ります。
高橋:業務の中で「こんな便利なものがあったらいいな」と考えることがあり、以前からアンケートがあった際にはそれらのアイデアを記入する習慣がありました。この機会を活かしたく、今回応募することにしました。最初は4つのアイデアを提出しましたが、先輩社員との雑談の中でさらに多くのアイデアが出てきました。それらを詳細にまとめて応募することにしました。
今回のコンテストでは、岩本は金賞、高橋は銀賞を受賞しました。異なる環境で活動している2人ですが、アイデアを生み出す際に共通しているのは「顧客視点」であるという点です。岩本は、とくにビジネス価値を重視していました。
岩本:実現可能なビジネス価値を意識していました。ボデーの設計開発においては、軽量でありながら高い剛性を持ち、かつ無駄のない設計が求められます。その中で、時間を要する単純作業を見直し、自動化の可能性を探りました。この自動化ができれば残業時間の削減につながり、こだわりたい部品設計の検討などに時間を充てられることで、顧客にも喜ばれると考えたのです。
一方で、高橋は2つの重要な点に焦点を当ててアイデアを考えました。
高橋:顧客の要求レベルが上がっていることを、私も現場で感じています。これに対応するためには、「工数を可能な限り減らすこと」「どの担当者でも同じ工数と品質で業務を遂行できる状態を作ること」が重要だと考えました。
私の担当するランプ設計開発業務を振り返った際、比較的単純でシステム化しやすい作業工程を見つけ、その工数を削減できないかと考え、アイデアとして提案することにしました。
設計開発はチームワーク。大切なのはお互いを尊重したコミュニケーション
2012年に新卒で入社した岩本。子どものころから乗り物に対する憧れと興味が強かったと語ります。
岩本:地元の岐阜県高山市は冬に雪が多く降る場所でした。学生時代、通学時に電車を利用していましたが、雪が降っても時間通りに電車が運行される日本の技術の優秀さに感銘を受けました。
このような技術に携わる仕事がしたいと思い、自動車への憧れもあったことから機械工学を学ぶ学校に進学しました。アビストに入社した理由は、自動車の設計開発に関わりたいという想いがあり、とくに大手自動車メーカーの設計開発に関われることが決め手でした。
入社後はトヨタ支店に配属され、これまで一貫して自動車のボデー設計開発に携わってきました。5年目以降主任として現場責任者を経験し、2022年からは係長として16名のチームを率いています。
一方、高橋は2015年に入社しました。3D-CAD(3次元データの製図を作成するソフト)を使用して自動車の設計開発業務に関われる点に魅力を感じ、アビストへの入社を決意しました。
高橋:自動車が好きで、なおかつ人々の生活に欠かせないものであると感じ、将来は自動車に関わる仕事に就こうとその分野を学べる学校に通いました。子どものころからモノの分解や組み立て、内部の構造に興味を持っていたので、学校で3D-CADを使うことがとても楽しく、これを仕事にしたいと強く思いました。
就職先を探す中で、3D-CADを専門的に使って自動車の設計開発に関われるアビストに魅力を感じ、入社を決めました。入社後は宇都宮受託チームで自動車のランプや、燃料タンクの設計、プラモデルの開発に携わり、その後2022年6月からは第一東京支店に異動し、現在は再びランプの設計開発に携わっています。
岩本はリーダーとして、仕事をする際に以下のことを大切にしていると語ります。
岩本:ボデーは車体の骨格。設計開発では初期検討から関わることができ、多くの人と協力する仕事でやりがいを感じる一方で、難易度が高い仕事でもあります。チームとして課題に向き合うため、常にメンバーとのコミュニケーションを大切にしています。
また、部品担当者からの設計変更依頼にも応じる必要があり、その際にはできることとできないことを明確に伝えるだけでなく、相手の要望に対して的確に意見を述べ、代案を提案するなど相手が気持ちよく理解できるようなコミュニケーションを取ることを心がけています。
一方で、高橋が大切にしていることは2つあると言います。
高橋:1つは、仕事を始める前に必ずスケジュールを作成し、やるべきことを明確に整理することです。とくに、実務では顧客の要求を期間内に正確に満たす必要があります。
そのため、顧客の求めている内容やクオリティを明確に把握し、それに合わせたスケジュールを立てています。これにより、顧客に喜ばれるだけでなく、余裕を持って業務に取り組めます。
もう1つは、チームでの仕事において疑問や不明点があれば、上司や部下関係なく率直に伝えることです。解決されていない問題を放置するのではなく、積極的にコミュニケーションを取って問題解決に努めています。新しい仕事に取り組む際には他者の意見や考えを取り入れながら進めることで、仕事も覚えやすくなり、より楽しく取り組むことができると感じています。
環境の変化から得た価値観を大切にする、アビストの設計開発エンジニアたち
複数の顧客先でさまざまな案件を担当してきた高橋ですが、業務をより早く効率的に終えることに意識を向けるようになったのには、ある出来事がきっかけだったと語ります。
高橋:入社して3年目に、栃木の自動車メーカーに常駐請負として配属された際のことです。配属されて半月ほど経った時、共に働いていた先輩社員が2人もプロジェクトを外れることになったんです。
そのため、先輩が担当していた業務も引き継ぐことになりました。当時は「なんとかなるだろう」と考えて無我夢中で業務に取り組んでいました。
しかしスケジュールを作成せず、やるべきことが明確でなかったことが原因で体調を崩し、半年後には会社を休むことになりました。休職するかどうか迷いましたが、会社に相談したところ幸運にも第一東京支店への異動が決まりました。仕事を最短時間で終わらせる方法や効率的な作業に注力することを強く意識するようになったのは、この出来事もきっかけの一つだったと感じています。
岩本は、これまでずっとボデー開発業務に従事してきましたが、メンバーを率いる立場になってからさまざまな課題を感じるようになりました。
岩本:まとめ役としての役割を担うようになってから、顧客からの依頼業務をこなすだけでは不十分だと感じました。現場リーダーの負担が増えていることを実感し、その負担が若手メンバーの成長を妨げ、組織全体の改善を見据えることができない状況になっていることに危機感を覚えたんです。
自ら行動して組織を改善し、組織内のコミュニケーションを促進するための取り組みや、各チームが抱える問題に対する「なぜなぜ分析」を導入。上司と部下間のコミュニケーションや業務の進め方を含めて問題の根本原因を特定し、改善や対策を検討しています。
また、これまで取り組んでいなかった力学に基づいた設計業務に対応するため、週に一度の力学に関する勉強会を始めるなど、チーム全体の知識向上に向けた取り組みを実施しています。
自由にアイデアを出し共有し合う雰囲気づくりで、スキル向上と顧客貢献につなげていく
異なるキャリアを歩んできた2人。それぞれ異なる立場にあるものの、顧客の要望に応えるためには今後もデジタルソリューションのアイデアを積極的に提案し、自身やチームのスキル向上につなげていくことを考えています。
岩本:今回、アイデアを自分だけで考え込むのではなく、チームメンバーとの雑談の中でお互いに「こういうのあったらいいね」や「これどうにかできないのかな」という考えを共有することで、コミュニケーションを通じてアイデアの種が出てきたと感じています。
メンバーそれぞれがアイデアを口に出し、コミュニケーションを図ることで新たな着想を育てていきたいと思っています。とくに、若手のメンバーからもアイデアを引き出して共有していくことで、より多くのアイデアを生み出していけるよう努めています。
高橋は日々の業務で今後デジタル化できる可能性を感じる場面は多くあると語ります。
高橋:現在の仕事は、デジタルの力で解決できることが多いと感じていて、人間の手に頼る部分を減らすことが重要だと考えています。そうすることで人為的なミスを減らし、作業のの効率化や時間の節約、明確なルールによる顧客への説明時間の短縮につながり、利益率向上につながると思います。
今回のコンテストをきっかけに、私たち現場の社員が、業務を行う中で直面する問題をもっと社内に共有していくことが大切だと感じました。アビストとしてその問題をデジタル技術で解決し、ビジネスに活かしていくことで、会社がより発展することができると思います。今後もアイデアを積極的に発信していきたいと思います。
アビストで培った経験を活かし、新たなアイデアを生み出した岩本と高橋。社員が強い意欲を持ち、アイデアを共有する文化の構築をめざす中で、業界に大きな影響を与える新たな価値が生まれる日も遠くはありません。
※ 記載内容は2023年12月時点のものです
