夢を見つけそこに向かって走り始めた学生時代
子どものころから活発的な性格だったと語る相良。忙しい両親の代わりに10歳のころから料理をするようになり、自然と「料理人」になりたいと思うようになったと言います。
「学校の休み時間は結構はしゃいだり、天気がいい日は外でサッカーをしたりしていました。外で遊ぶのも好きでしたけど、テレビを見るのも好きで、暇さえあればドラマやバラエティ番組を片っ端から見ています(笑)。
料理をするようになった当時、料理アニメに出てきたご飯と卵だけのチャーハンをおいしそうだと思って真似して作っていましたね。家族に料理を振る舞うと『おいしい!』って言ってもらえることが、何より嬉しくて料理が好きになりました」
いつしか「料理」というものが、家族のためから自分の好きなことへと変化していきます。中学生の進路のタイミングで、相良は料理の道に進むことを決意しました。
「早い段階で自分の『料理人になる』進路と扱う料理ジャンルが決まっていました。僕が好きな洋食界のスターシェフたちは、まずはフレンチから学んでいることをテレビ番組で知ったんです。そこで僕もまずはフレンチから学ぶことにしました」
高校生になった相良は、いち早く料理に触れるために調理を経験できるアルバイトを始めました。
「初めてのアルバイトはファーストフード店。その後は、個人店でキッチンスタッフとして働きました。最初は仕事内容を理解するのに苦労し、周りに多くの迷惑をかけました。今ではどんな仕事でも自分で対処できますけど、当時はうまくできずたくさんの人に支えてもらっていたなって」
高校卒業後は専門学校に通い、より高度な技術・知識に触れた相良。専門学生時代は、好きを仕事にするために一生懸命になり、かなりストイックな学生生活を送ったと語ります。
「専門学校の期間は1年間でした。選択したカリキュラムは、フレンチ・イタリアン。座学と実習が半々だった前半の授業が、後半からは1日中実習になりました。料理にどっぷりの1年間でしたね。大変でしたけど『ここにいる誰よりもおいしい料理を作って有名店に行くんだ』という気持ちが強かったです。
調理実習中は1分1秒も目が離せないですし、授業も食い入るように見ていました。学校に外部講師として実際の飲食店シェフが来校されていたので、授業が終わると積極的に質問しに行きました。休み時間の予習・復習も欠かせませんでした」
フレンチの世界への挑戦──挫折する日々
専門学校を卒業後、5年間でフレンチの店を3店鋪経験した相良。フレンチレストラン時代は挫折の連続だったと振り返ります。
「1年目に入ったのは、フランスの3つ星シェフが有名ブランドとコラボした銀座のお店でした。今でこそレストランとブランドのコラボはよくありますが、当時は先駆けで、卒業前にオープンしたお店に新卒採用として入社が決まったんです。
実際に入社してみると、シェフもフランス人、先輩方もフランス帰りの人たちばかりで基本的に皆さん会話がフランス語でした。僕がフランス語を話せなということもあって、圧倒的に違うスキル・技術を目の当たりにして、『これが一流の人たちなのか』って圧倒される日々でした。
次に就職したのは、専門学校時代にお世話になったフレンチ界の巨匠のお店で1年間勤めました。当時は前菜と賄いを担当していて、2時間で40~50人分の賄いを作っていました。
その後就職したのは、今までで一番大きな六本木の会員制のお店でした。そこではバンケット部門(宴会料理)を担当しました。宴会料理の担当が初めてだったので難しいことも多かったです。とくに塊肉を焼く温度管理が本当に難しくて……。唇音で肉の中の温度を測るスキルは、本当に職人技というか、専門学校では習えなかったことを知ることができました。どのお店で出会った先輩たちも尊敬できる憧れの人たちばかりです」
目まぐるしい日々を送る中でも、隙間時間を見つけては勉強をすることを欠かさなかったと言う相良。
「1人でフレンチレストランに訪れて勉強する以外にも、たくさんの本を買い漁りました。トップシェフの最新情報やレシピを紹介した『料理王国』をはじめ、各スターシェフの本、ハーブ本など、とにかく自分の知識になる本を買っては読みふけっていました」
料理の世界に飛び込んで5年間は、そう簡単なものではありませんでした。そんな中でもがむしゃらに働き学び続けてきた相良が、当時を振り返ります。
「正直なところ、辞めようと思ったことは1度か2度はあったかもしれないです。でも、もし料理を辞めたとして他の仕事をしている自分が想像できなかったんです。『辞めて何やりたい?いや、料理しかないな』って。最初に料理が好きになったきっかけの通り、料理を作って、誰かに食べて喜んでもらえるこの仕事が、やっぱり好きなんです」
自分には「料理しかない」と語る相良はいつしか「自分の店を持ちたい」と思うようになります。
「六本木のお店の後、ラーメン屋にバルにと自分の店を持つためのスキル獲得を重視して働き始めました。そうして『自分に新しい技術』を身につけようって考えた時に『チーズだ』と思い至ったんです。9年前、 知り合いの紹介で半年間ほどイタリアにいました。その時に出会った『ブッラータチーズ』にめちゃくちゃ感動したのがきっかけです。そのおいしさに衝撃を受けたのを今でも鮮明に覚えています」
当時、日本で珍しかったブッラータチーズが忘れられなかった相良は、ウェルカムが経営する「GOOD CHEESE GOOD PIZZA」(以下、GCGP)に出会います。
チーズ職人として始まった初めての経験の連続
奇跡的な出会いの後、ウェルカムに入社した相良。GCGPでチーズクラフトマンとしてキャリアがスタートしました。
「毎朝、東京都清瀬市から搾りたての生乳が届き、その日のうちにフレッシュチーズに加工します。チーズ工房に入って2年半、チーズクラフトマン(チーズ職人)として活躍する貞光 信哉に師事してチーズだけに触れてきました。料理だと『塩が足りないな、これで味を調整しよう』って手直しが効きますが、チーズはそうはいきません。その日の菌の動き、発酵スピードが違うので習得するには2カ月かかりました(GCGPチーズ工房の様子はこちら)」
2年半にわたりチーズクラフトマンとして腕を磨いた相良は、リニューアルオープンすることになった国立店に異動。そこで近隣農家との交流を深めていきます。
「電話で『見学に行かせてください』とアポを取っては自転車を走らせました。作っている農作物に対しての情熱やおいしい理由を聞いて、たくさんのことを教えてもらいました。マルシェでお店の前に野菜を並べ、店内ではそれを使った特別メニューを販売します。
ポイントになるのは、僕自身が見つけて『うまい!』と感じた食材を使うこと。それをお客さまに食べてもらえること、その魅力を自分で発信できることが何より嬉しかったです。たくさんの学びや出会いをこのマルシェ企画通じて得ることができました。
僕たちはただ商品を販売するだけではダメなんです。農家さんが真剣にやっていることに対して僕たちも真摯に向き合わないといけないんです。自分たちの売り上げだけじゃなくて携わってくれた農家さんもいい方向に進むようになっていければなと思って活動していました(実際に開催したマルシェ『東京西洋野菜研究会』)」
現在、相良はシェフとして全体の店作りとメニュー開発を任されています。
「在庫の管理、減価率や人材育成など基本業務はもちろんですが、メニュー開発は3カ月に1度。たとえば『ハレの日』『発酵食品をメインに』など季節ごとに考えられたコンセプトをもとに開発しています。その時期の旬の食材を使うのはもちろん『お客さまは何が食べたいだろう』ってお客さまの気持ちを考えて開発することを大切にしています」
好きを追い求めた先──お店と自身の成長に終わりはない
心からGCGPが大好きだと語る相良は共に働くお店のメンバーについてこう話します。
「社員もアルバイトも一人ひとりが真摯に仕事に向き合う良いお店だと思います。それでも課題はまだまだたくさんあります。本当に1つのチームになるためには、経験や知識、料理の質を上げることはもちろん、メンバーの一人ひとりが自ら考えて行動できるような環境が必要だと考えています。これからもすてきなお店作りをめざしていきたいです。
飲食業に携わって約18年経ちます。けれど僕はまだまだ一人前ではありません。日々吸収していくことがたくさんあります。『当たり前の基準を上げていく』ことをモットーに、勉強の毎日を送りながらスタッフ育成に力を入れています。お客さまに対して恥じることは絶対にしたくありません。『まぁ、いいか』では済まさず、完璧を提供していくことが大切です」
いつか出会う新しいメンバーへは「愛情」を持って仕事に向き合ってほしいと語る相良。
「ウェルカムではみんな自身の所属するブランドを愛しています。まずはそこが必要不可欠です。経験の有無は関係ありません。GCGPであれば、チーズやピザが大好きな人。なんとなく働くというよりは、好きなことを学びたいと思う人に来てほしいです。まずはたくさん学んでそれを形にしていくこと、その先に『これに挑戦してみたい』と思って行動してもらえるとお店全体もいい方向で向かっていくと思います」
自身の将来の夢について、働くうちにさらに想いが強くなっていったと言います。
「ここ数年でさらに自分のお店を持ちたいという想いが大きくなりました。いまから『絶対、チーズとピザのお店がいい!』って決めています。僕がまさにやりたいお店はGCGPみたいなチーズとピザのお店です。僕って本当にGCGPが大好きなんですよね。誰でも気軽に来店できてお客さま同士の距離も近い、ワイワイできるお店がしたいです 」
料理のこととなるととても楽しそうに笑顔で語る相良。お店の売り上げを考えることはもちろんのこと、相良の中には常にお客さまや生産者への感謝の想いが溢れています。愛情を持って決して妥協しない相良は、これからも追及した料理を多くの人に届けていきます。
GOOD CHEESE GOOD PIZZA公式Instagram
※ 記載内容は2023年11月時点のものです

