現場と経営の両輪を回す。薬剤師と薬局長、2つの視点で挑む店舗運営
大阪府大阪市。地域の人々の生活道路に面したVドラッグ西淀川みてじま薬局で、辰巳は薬局長を務めています。
「現在は薬剤師5人、事務スタッフ2人の計7人体制です。基本的にはその中から常時5人から6人ほどで店舗を運営しています。この店舗のミッションは、地域の方々に信頼されるかかりつけ薬局として、在宅医療の対応件数を増やしていくことです」
薬局長として、また1人の薬剤師として。辰巳は現在、両方の視点を持ちながら業務にあたっています。
「薬局長としての店舗管理と、現場の薬剤師業務。感覚としては両立させているイメージです。患者さまが多く来局される時間帯はカウンターに立ち、投薬や健康相談に乗ります。その合間や空いた時間を使って、店舗の売上管理やスタッフのシフト調整、働きやすい環境づくりといったマネジメント業務を行っています」
多忙な日々の中で、辰巳が仕事をする上で最も大切にしている価値観。それは「とりあえずやってみる」というシンプルなものでした。
「着任した当初、この店舗では患者さまのご自宅へ伺う在宅医療業務の取り組みがまだ本格化していませんでした。だからこそ、ここを強化できれば薬局としてさらに地域に貢献できると考えたんです」
薬局の中で待っているだけでは現状は変わらないと、辰巳は自ら行動を起こしたと話します。
「まずは地域の相談窓口である『地域包括支援センター』へ挨拶に行き、認知症の方々と接する地元の集まりにも参加しました。どのデザインのチラシなら患者さまの目に留まるかスタッフと議論し、実際に地域へ出ていく。そうして顔を覚えてもらうことで、今まで接点のなかった方からも薬や健康に関するご相談をいただける機会が増えていきました」
また、辰巳は店舗の枠を超え、関西エリア全体の業務効率化をめざす「ムダゼロPJ(プロジェクト)」にも参画しています。
「これは残業が多い店舗があれば実際に足を運び、『どの業務に時間がかかっているのか』『どうすればスムーズに回るか』を現場のスタッフと一緒に話し合って業務の効率化を考える取り組みです。自分の店舗だけでなく、エリア全体が働きやすくなる仕組みを作っていけることに、大きなやりがいを感じています」
あえて知らない土地へ。成長を求めて飛び込んだ高山での日々
辰巳のキャリアの原点は、学生時代に遡ります。
「学生時代、テニス部の副部長や飲食店のアルバイトリーダーを務める中で、周囲の意見を汲み取りながらチームをまとめ、現場を改善していくことにやりがいを感じていました。就職活動では製薬会社のMRなどの営業職も検討しましたが、自分は本当に何がしたいのかを突き詰めていく中で、より現場に近い距離感で組織を動かすマネジメント業務に惹かれていると自覚したんです。Vドラッグは薬局長やその上のエリアマネージャーと現場の距離が近く、自身のビジョンを実現できる環境だと感じて入社を決めました」
そして最初の配属先として、地元である関西ではなく、岐阜県の高山エリアへ進んだ辰巳。しかしそれは、最初から「高山」という土地を指名したわけではありません。
「就職活動時、『多様な処方箋を扱い、在宅医療も進んでいる薬局で経験を積みたい』という希望を伝えたところ、採用担当者から高山の店舗を提案されました。挑戦するなら最も成長できる環境に身を置きたいと考え、見知らぬ土地であっても迷わず配属を受け入れたんです」
もちろん、住み慣れた土地を離れ、初めての一人暮らしをすることに不安がなかったわけではありません。しかし、その環境も彼にとってはポジティブな要素となりました。
「寂しさよりも心強さの方が勝っていましたね。というのも、高山に配属された同期たちの社宅間が非常に近かったんです。週末になれば集まってバーベキューをしたり、仕事の悩みを相談し合ったり。同じ境遇の仲間がすぐそばにいてくれたおかげで、新しい環境にもすぐに馴染むことができました」
また、学生時代に培ったある経験も、辰巳の支えとなりました。
「飲食店のアルバイトは非常に忙しいお店だったのですが、リーダーとしてどんな状況でも、自分だけは冷静でいることを心がけていました。リーダーが動揺を見せると、それはチーム全体に伝播し、パフォーマンスを下げてしまいます。私が常に落ち着いて振る舞うことで、後輩から『辰巳さんがいると現場が安定して安心する』と言ってもらえたことがあります。この時に学んだ一歩引いて全体を俯瞰する力は、初めての土地で働く上でも、今の薬局長としての業務でも、私の土台になっています」
実績を積み上げ、つかみ取った関西への異動。自らの行動で切り拓いたキャリア
高山での2年間、辰巳は着実に実績を積み上げていきました。1年目で社内プレゼンコンテストに優勝。2年目には、エリア全体の収益向上をめざす「加算プロジェクト」のメンバーに抜擢されます。「加算」とは、質の高い医療サービスを提供することで得られる診療報酬のこと。これを算定するには、厳格な要件を満たす必要があります。
「自分の店舗だけでなく、エリア内の他の店舗にも働きかけ、加算算定のレベルを引き上げることがミッションでした。うまくいかなかった事例も含めて情報をオープンにし、『一緒にやりましょう』と粘り強く訴え続けました。その結果、エリア全体の数値が向上し、診療報酬改定という逆風もチームで乗り越えることができたのです」
そして入社3年目となる2024年、結婚を機に関西へ戻ることになります。それは単なる帰郷ではなく、高山で培った実績を携えた、次なるステップへの挑戦でした。
「会社には、結婚を機に関西に戻りたいという思いを正直に伝えました。異動の希望を制度として出せるわけではありませんが、日頃の面談などの中で社員のライフイベントやキャリアについて丁寧に対話してもらえる風土があります」
そうした中で、希望を実現するためにはただ思いを伝えるだけでなく、会社から必要とされる存在であることを示すことが大切だと考え、辰巳は行動で示しました。
「私の場合、高山で取り組んだ加算プロジェクトでの成果や、地域医療への貢献意欲を評価してもらえたのだと思います。その結果、関西でも力を発揮してほしいという声をいただき、新たな環境でチャレンジする機会を得ることができました」
タイミングよく枠が空いたわけではなく、高山時代に辰巳が積み上げた努力が、新たな道を切り拓いたのです。
場所は関係ない。大切なのは「どこで何をしたか」ということ。
現在、若くして薬局長を務める辰巳がめざすのは、かつて自分が先輩たちに支えられたように、後輩の「やりたい」を実現できるマネージャーになることです。
「新人の頃、自ら考えて提案した時、当時の上司や先輩方は決して否定せず、『挑戦してみよう』と背中を押してくれました。自分の意見を聞き入れ、協力してくれた経験があるからこそ、今の自分があると感じています。だからこそ今度は私が、年次は関係なく意欲のある意見には耳を傾け、その実現のために動ける存在でありたい。そんな風通しの良い組織を作っていきたいですね」
これから入社を考える学生、とくに初期配属で地元を離れることに迷いを感じている学生に向けて、辰巳は自身の経験からこうアドバイスを送ります。
「地元を離れることは、決してマイナスではありません。むしろ、仕事に集中し、濃密な経験を積むための絶好の機会です。そこで得たスキルや自信は、将来どこへ行っても通用する武器になります」
そして、将来的に地元へ戻ることを希望する人へ、辰巳はエールを込めてこう語ります。
「もし、地元で仕事をしたいという想いがあるなら、今いる場所で何かに打ち込んでみてください。それが自信となり、アピールポイントになります。Vドラッグには、挑戦する人を全力で応援する土壌がありますから、必ず道は開けるはずです」
自らの意志で環境を選び、実績を積み重ねてきた辰巳。その歩みは、働く場所に関わらず、情熱を持って行動すれば希望のキャリアは描けるということを力強く物語っています。
※ 記載内容は2026年2月時点のものです
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