営業のサポート業務を担うバックチームを牽引。貫いてきたのは、誠実さ
所が所属する非鉄事業部は、銅や錫、アルミなど、鉄以外の金属を対象に、海外の資源国からの調達や、国内外の顧客への販売を行う部署。その中でアルミを専門に取り扱うアルミ新地金グループに在籍しています。
「アルミ新地金グループでは、アルミを中東やオーストラリアなどから調達し、日本国内やアジアの大手の自動車メーカーや電機メーカーに向けて、先物取引を絡めながら販売するトレーディング業務を行っています」
現在、同グループには10人のメンバーが在籍。営業を担うフロントチームの6人と、営業のサポート業務を担うバックチームの4人から構成されています。
「私はバックチームのひとりとして、主に三国間貿易を担当しています。そのほか、スケジュール管理や貿易書類の受け渡し、計上・入出金業務も行っています。営業サポートの業務は、非鉄特有の知識や、先物取引の知識が不可欠であり、貿易実務以外にも広く学ぶ必要があります」
バックチームのリーダーを務める所は、フロントチームとバックチームの架け橋として日々業務にあたっています。
「バックチームリーダーとして、メンバーのサポートはもちろん、業務プロセスの改善へ取り組んだり、部横断のプロジェクトに参加したりしています。業務中は、メンバーが抱える困り事に寄り添い、改善・解決を図ります。実際に、何か問題が起こった際には、組織内外とコミュニケーションを取って連携できるように心がけています」
非鉄部門の中でも、世界的に取扱量の大きいアルミを扱う所には、入社当初から大切にしていることがあります。
「アルミは取扱量だけでなく取引先の数も多いため、いかにスムーズかつ正確に調達を完了するかが問われます。大切にしているのは、誠実に仕事をすること。取引先の方に対してはもちろん、社内の人との関わりにおいても、当たり前のことを当たり前に、丁寧にやることを意識してきました」
非鉄事業部で培った幅広い経験。不安を抱えながらも果たした育休からの職場復帰
海外と関われる仕事に憧れて商社を志望した所でしたが、実際に入社してみるまで、仕事のイメージは明確に描けてはいなかったと言います。
「商社というと忙しく働く印象を持っていましたが、実際にその通りではありましたね。中でも豊田通商を選んだ理由は、会社の説明を聞いたり社員の人たちと接したりする中で、当社の社員がもっともいきいきとして見えたこと。会う人すべてが楽しそうに働いていると感じ、自分もこの会社の一員になりたいと思いました」
所は2006年に豊田通商へ入社。非鉄事業部に配属され、これまで部内で異動を繰り返しながら、銅、錫、アルミの貿易実務を担当してきました。
「ひと括りに非鉄といっても、銅には銅、錫には錫の特性があり、用途も主要な取引先となる国も異なります。担当する金属が変わるたびに、新しい知識を吸収し、蓄積することができました。
たとえば、錫はアルミに比べると小さな業界です。サプライヤーとなる取引先の数が少なく、調達が思うようにいかないことも少なくありません。そのため、できるだけ販売先のお客様をお待たせしないよう、サプライヤーとの関係構築がより重要です。こうして、取り扱う金属ごとに注意すべきポイントが違うことを学んできました」
その後、2014〜2016年にかけて1度目の育休を取得しました。
「当時は、私の周りに時短勤務をしながら働いている人が少なかったため具体的なイメージがつかず、いざ育休を取得するとなった時、職場復帰してちゃんとやっていけるのかとても不安だったのを覚えています。
16時までの時短勤務を申請し、いかに効率良く業務を進めていくかはもちろん、急な子どもの体調不良も想定し、スケジュールになるべく余裕を持てるように日々取り組みました。それでもやはり周りの人たちに助けていただかないといけない状況も多々あり、育児と仕事の両立の難しさに悩みました。
また、挑戦してみたい仕事があっても、最後まで責任を持って取り組めるか、時短勤務の自分が参加することで逆に迷惑をかけてしまわないか不安で、手を挙げることにためらうことも。当時は初めての育児と仕事のバランスがうまく取れず、必死にもがいていました」
育児と仕事の両立がいまは当たり前に。組織開発プロジェクトに携わって変わった組織観
そんな職場環境が変化し始めたのは、所が2度目の育休を取得した2017〜2019年ころのことでした。ちょうどDE&Iへの取り組みが活発化し、制度や組織など社内のさまざまな部分が見直されていった時期でもありました。
「社内で育休を取得する社員が増えたことで、組織としても徐々にうまく対応できるようになっていったように思います。ちょうど2度目の育休から復帰してしばらくしたタイミングで、時短勤務を利用できる期間が延長され、子どもが小学4年生になるまで使えるように。復帰後の役割分担についても見直しがありました。
非鉄事業部内には育休を取得している後輩社員が多くいました。今後、時短勤務の社員が増えたとしても、多様な働き方に対して組織が無理なく機能し続けられるようにと、上司と働き方に合った役割分担とは何か、見直しを進め細部を詰めていきました。現在は、子どもを育てながら働くことが部内では当たり前になっていると感じます。
とはいえ、私もいまはまだサポートしてもらう立場。このステージを越えた後は、小さい子どもを抱えながら働く後輩に手を差し伸べられる存在になっていきたいと思っています」
一方、2022年からは非鉄事業部が独自で立ち上げた組織開発事務局のメンバーとして名を連ねることとなり、組織開発プロジェクトにも携わってきました。上司から組織開発に参加することを打診された時には、やはり自分が参加することで迷惑をかけないか迷ったと話します。
ですが、上司の熱い想いや以前より働きやすい環境になっていたこと、周りからの理解も得られるだろうという安心感から挑戦する決心がつきました。
「組織開発プロジェクトは部内のエンゲージメント向上をめざし、研修や改善活動を企画、実施しています。部員一人ひとりが組織づくりへ真剣に関わっていくこと、安心して発言ができる風土醸成、自分たちの心の声に耳を傾け、建設的に意見を交わし、対話するチームづくり、の3つを実現していきたいと考えて活動しています」
事務局の活動に参加したことで、組織の一員としての意識が大きく変わりました。
「これまで、組織づくりを主導するのは上司だ、と自分が思い込んでいたことに気づきました。けれども組織開発に携わるようになったいま、組織を変えていくのは組織に所属する私たち自身だと考えています。
事務局メンバーだけでなく、非鉄事業部の部員全員が主体的な立場で組織づくりに取り組むことができれば、現在よりずっと強い組織になるはずです。すぐに結果が出ることではありませんが、いずれは一人ひとりの中にそうした意識が育まれる部署にしていきたいと思っています」
母親として妻として、そして豊田通商の社員として、いつまでも自分らしく
夫が単身赴任中であることから、現在はひとりで育児をこなし、仕事と両立していますが、仕事を辞めることを考えたこともあったと所は振り返ります。
「夫の転勤が決まったのは第2子を妊娠していた時でした。ひとりでふたりの子どもの面倒を見ながら働き続けることはさすがに難しいと悩み、同僚に相談したところ、『試してもみないのに、できないと決めて仕事を辞めてしまうというのはもったいない』と言われ、思いとどまりました。夫は単身赴任を、私はこの地で子どもを育てながら仕事を続けることを決断しました」
その決断の背景にあったのは、「豊田通商の社員としての自分」も大切にしたいという想いでした。
「人にはそれぞれ、いろいろな役割があるものです。私であれば、母親であり妻であり、親にとっての娘でもあります。また私は、豊田通商にここまで育ててもらった恩を感じていて、周りの人たちからもたくさんのものをいただいてきました。母や妻であると同時に、豊田通商の社員として、今度は私のほうから与えられるような存在になっていけたらと思ったのです」
今後の目標に、自身のキャリアが多様な働き方のひとつとして、周りにポジティブな影響を与えられる存在になりたいと所は話します。
「私が時短勤務をしながらいろいろなことにチャレンジしている姿を見せることで、後輩たちに『所さんがやれているのだから、自分にもきっとできるのではないか』と思ってもらえるような存在になれたらと考えています」
所のそんな想いは、後輩のもとにすでに届き始めています。
「先日、『所さんは私の精神的な支柱です』と言ってくれた後輩がいました。その人はいま、私と同じように時短勤務をしていますが、私が頑張っているから頑張れると言ってくれるのです。とてもうれしく、励みになっています」
2度の育休を経たいま、母として、そして豊田通商ではたらく「所 美紀」として、一つの役割にとらわれることなく、自分らしく、誠実にさまざまなことにチャレンジしていきます。
※ 記載内容は2023年11月時点のものです

