「止まる」を本気で守る。ブレーキ専門メーカへと導いた学生時代の原体験
工学部機能工学専攻で数学や物理を学びました。もともと理系科目が得意で、「もっと深く学んでみたい」という気持ちから理工系の道へ進みました。勉強と並行して力を注いだのが、アイスホッケー部での活動です。
大学のアイスホッケーというと、ほとんどの選手が大学から始める競技です。ところが、東海地方のリーグに所属する6大学のうち、ひとつの大学だけは経験者を推薦入試で受け入れていました。つまり、私たちのチームは「大学から始めた選手たち」で、経験者ぞろいの相手に勝たなければならない状況だったわけです。
その壁を乗り越えるためにチームで選んだのは、シンプルに「誰よりも練習すること」でした。大学とスケートリンクを何往復もして、とにかく氷の上に立つ時間を増やしました。夏休みには、朝の貸切練習→一般営業中のスケート練習→陸上練習→筋トレ→夜の貸切練習なんてスケジュールの日もありました。体力的にきつい日も多かったですが、仲間と一緒に積み重ねた日々は今でも鮮明に覚えています。その努力が実を結び、創部以来初のインカレ(全国大学アイスホッケー選手権大会)出場を果たせたときの達成感は格別でした。
就職活動では、「乗り物に関わる仕事がしたい」という気持ちを軸に企業を探し始めました。乗り物の中でも最も多くの人が日常的に使うのは自動車だと考え、自動車メーカーよりもさらに裾野が広い自動車部品メーカーに的を絞りました。どのメーカーの車にも部品は必要ですから、より多くのユーザーの生活に貢献できると思ったのです。
その中で前職となるブレーキ専門メーカーを選んだ理由は、大きく二つあります。
1つめは、製品がブレーキに特化していたことです。入社前から自分が携わる製品や仕事を具体的にイメージでき、専門性を高めながらキャリアを築いていける環境に魅力を感じました。また、ブレーキは自動車の「止まる」を担う重要な保安部品です。人々の安全を支える仕事に携われることに、大きなやりがいを感じました。
二つ目は、会社が掲げる「交通事故死0」というビジョンです。ブレーキメーカーとして社会の安全に貢献するという強い使命感に惹かれました。とくに印象的だったのは、その目標が単なるスローガンではなく、現場の一人ひとりにまで浸透していると感じられたことです。社員全員が同じ方向を向き、本気で目標の実現をめざしている姿勢に共感し、この会社で働きたいと強く思いました。
供給問題、品質問題との格闘と新たなチャレンジを模索しての転職
前職では、ブレーキに使用されるリザーバタンク(ブレーキフルードを蓄える容器)の設計からキャリアをスタートしました。その後、樹脂製キャップの新規開発やゴム部品の開発、国内生産製品の供給問題対応、品質問題対応など、設計開発から問題解決まで幅広い業務を経験してきました。
入社3年目には、リザーバタンク用樹脂製キャップの新規開発を主担当として任されました。試作品の形状検討や評価を進めながら、お客さまへの開発進捗報告も担当しました。当時は対面での打ち合わせが中心で、お客さまへの報告には大きな緊張感がありましたが、その経験を通じて設計者としての考え方や説明力、そして責任感を養うことができたと感じています。
その後担当した供給問題対応は、前職でも前例のない大規模な課題でした。製品切替に伴い300品番以上の金型修正が必要となり、社内外の関係者が対応に追われる状況でした。そこで問題解決手法を活用して現状を整理し、製品ごとの生産量や使用材料に着目して樹脂使用量を見える化しました。その結果、限られたリソースの中で優先的に対応すべき製品を特定し、在庫枯渇を回避するための切替計画を立案しました。 また、材料変更に伴う性能変化の検証では、DRBFMを用いてリスクを整理し、短期間で成立性を評価しました。必要に応じて外部分析機関とも連携し、材料特性のメカニズムまで掘り下げて検討を行ったことで、お客さまの理解と合意を得ることができました。この経験を通じて、課題を構造的に捉え、関係者を巻き込みながら解決へ導く力が身に付いたと考えています。
品質問題対応では、月次の役員報告が必要となる重要案件を複数担当しました。グループ異動直後の新たな分野への挑戦でしたが、これまで培った問題解決の進め方を活かしながらメンバーと協力して対応を進め、約1年をかけて案件を収束させることができました。 問題解決の考え方はどのような仕事にも応用できると言われますが、この経験を通じてそれを実感しました。扱う製品や不具合の内容が変わっても、本質的には「問題を正しく捉え、原因を明らかにし、解決策を考える」というプロセスは共通であり、自分の強みとして活かせることを学びました。
こうした経験を重ねる中で、自分自身が大きく成長できた一方、「次はさらに新しい環境で挑戦してみたい」という思いが強くなりました。海外赴任や社内公募制度なども検討しましたが、自身が望むチャレンジの機会と巡り合うことができず、より広いフィールドで成長したいと考えたことが転職を意識するきっかけとなりました。
入社半年でクレーム解決。「面直」の交渉が生んだ、転職後初の大きな成果
現在私が所属しているのは、製品開発部VI室号口改良Gというチームです。「号口」とは量産を指す社内用語で、私たちのチームは量産車両の品質問題の解決、工場での生産上の問題の解決、そして仕入先が抱える困りごとの解決をミッションとしています。
その中で私は、フォークリフト駆動系部品(エンジンの変速機やブレーキなど、車両の「走る」「曲がる」「止まる」に関わる部品群)のチームに所属しており、設計担当として問題解決に向けた設計検証や実機検証を日々行っています。
入社してまだ半年ほどですが、印象に残っている出来事がすでにあります。市場から寄せられたクレームを起点とした品質問題を、1件解決できたことです。前任者が検討していた対策は工場側の負担が大きく、受け入れが難しい状況だったため、私は設計変更による代替案の立案に取り組みました。材料技術部とも連携しながら、問題発生のメカニズム解明から対策立案、効果確認までを進め、最終的には設計変更による解決につなげることができまし。
工場側と議論を進める中で意識したのは、メールだけで済ませないことです。できる限り相手の職場へ足を運び、直接話をするようにしました。対面で会話することで、言葉だけでは見えない相手の立場や考えを理解できると考えているからです。そうした積み重ねが、納得感のある解決策を生み出すためには欠かせないと感じています。
転職後初めての大きな成果だったこともあり、案件が完了したときは大きな達成感がありました。同時に、前職で培った問題解決の考え方が、新しい環境でも十分に通用することを実感できた出来事でもありました。
前職ではブレーキ部品の開発や供給問題、品質問題に携わってきましたが、扱う製品や業務内容が変わっても、課題を整理し、真因を見極め、関係者と協力しながら解決策を導き出すという基本的な進め方は変わりません。この経験を通じて、問題解決力は特定の製品や業界に限定されるものではなく、どんな環境でも活かせる強みなのだとあらためて感じています。
「深く、広く」を両立させて、リフト全体を知るプロフェッショナルへ
今後の短期的な目標は、現在担当している駆動系部品の知識をさらに深めることです。一方で、それだけに留まらず、マストやボデー、ハーネスといった他領域の部品にも積極的に挑戦していきたいと考えています。まずは駆動系の専門性を高めながら、フォークリフト全体を幅広く理解できるエンジニアを目指しています。
中長期的には、技術的な専門性を磨きながら、チーム全体の成果を最大化できる人材になりたいと考えています。前職では少人数のメンバーと協力しながら品質問題の解決に取り組み、複数の案件を並行して進めた経験があります。その経験を通じて、一人で成果を出すだけでなく、周囲を巻き込みながらより大きな成果を生み出すことにやりがいを感じるようになりました。 今後は、自ら問題解決をリードするだけでなく、メンバーの力を引き出しながらチームとして成果を出せる存在へ成長していきたいと思っています。
最後に、これから応募を考えていただいている方へお伝えしたいことがあります。フォークリフトの完成品が実際に動く現場を間近で見られるのは、車両メーカーならではの醍醐味だと思います。私自身、以前は部品メーカーに勤めていたので、完成品が目の前で動く瞬間を見るたびに、今でも純粋に楽しいと感じます。
また、一つの製品・部品を深く掘り下げたい人にとっても、リフト全体を幅広く見渡したい人にとっても、それぞれキャリアアップのチャンスがある環境です。守備範囲が広い仕事だからこそ、専門知識や問題解決能力だけでなく、周囲に積極的に助けを求めたり、協力し合ったりするコミュニケーションスキルも重要になります。
品質問題を扱うことが多い職場なので、ネガティブな印象を持たれてしまうこともあるかもしれません。ですが、だからこそ、明るく楽しく元気よく仕事に向き合える方と一緒に働きたいと思っています。そういうマインドを持った方のご応募を、心からお待ちしています。

