世界を旅して見つけた、グローバルに働くというキャリアの軸
学生時代、私は制御工学を専門とする研究室に所属し、リハビリテーション支援技術の研究に取り組んでいました。制御工学とは、機械やシステムの動作を目標通りにコントロールする技術分野のことです。研究は単に大学内で完結するものではなく、現場のニーズに即した技術を開発するために大学病院と共同で進めました。実際に医療現場と連携しながら研究を深めていくなかで、「技術は使われてこそ意味がある」という感覚を強く持つようになりました。
研究と並行して、長期休暇のたびに世界各地を旅していました。気づけば訪れた国の数は約30カ国にのぼります。異なる文化や価値観、まったく違う日常の風景に触れるたびに、自分のなかに無かった考え方や視点が生まれていくような感覚がありました。知らない世界を知ることへの探求心が、旅の原動力でした。
そうした経験が、仕事を選ぶ軸にも大きく影響しました。旅のなかで感じた刺激——文化や考え方の違いが自分の思考を広げてくれるあの感覚——を、仕事の場でも得たいと思うようになったのです。グローバルな環境で働くことで、仕事面でも同じように視野や発想を膨らませられると確信していました。だからこそ、就職活動の軸として「グローバルな舞台で活躍できる機会があること」を最も重視しました。それに加えて、「維持ではなく新たな価値を創出できる業界であること」「制御の知識を活かせるフィールドがあること」という三つの軸を掲げて企業を探していきました。
豊田自動織機については、入社前から「特定の分野にとどまらず、多様な事業を展開している企業」というイメージを持っていました。その中で産業車両・物流ソリューション事業は、制御の知識を活かして新たな価値を生み出せるフィールドとして可能性を感じました。そしてグローバルに活躍できる機会も多そうだという印象が、入社を決める理由になりました。グローバルに働きたいという思いは、将来的に海外で働く経験を積みたいという志向にもつながっていました。日本にいながら海外拠点と協働するだけでなく、実際に海外で働く機会があるかどうかも、豊田自動織機を選ぶ際の大切な判断基準の一つでした。
制御・ソフトウェア開発で培った、グローバル連携の土台
入社後は、全社共通の導入研修、技術職向けの基礎技術研修、工場実習を通じて、社会人としての基礎から製造現場の考え方まで幅広く学びました。さらに、高浜工場に配属決定後、開発業務に携わる前には実験部門でフォークリフトの実機に触れ、構造や仕組みを理解する実習の機会も得ました。こうした研修を通じて、実機や現場を自分の目で見て考える「現地現物」の大切さを学びました。この経験は現在も、企画・開発の仕事で製造・販売の現場を意識して考える姿勢の土台になっています。
これらの研修を経て正式配属となったのが、技術部EC開発室(現在のES開発部)です。ここでの仕事は、フォークリフトを中心とした産業車両の制御仕様およびソフトウェア設計です。設計者として担当したのは、仕様検討やソフトウェア設計・実装・テストだけではありません。実験・品質保証部門と連携した信頼性試験の検討、生産・販売部門との仕様合意、量産開始初期の品質確認にも携わりました。さらに、海外拠点の開発支援や海外工場での量産立ち上げなど、海外のメンバーと協働する機会もありました。製品開発では、担当領域を起点にしながら、開発から生産、販売まで幅広い関係者と連携します。このような経験を通じて、技術的な実現性だけでなく、生産や販売への影響まで踏まえて考える視点を培いました。また、多様な関係者と協働して仕事を進める力も身につけました。これらの経験は現在、海外拠点との開発連携を進めるうえでの土台になっています。
ES開発部での経験を通じて、より一層グローバルな仕事に携わりたいという思いが強まりました。上司とのキャリアに関する対話を重ねるなかで、自身の経験や組織のニーズを踏まえ、製品企画部への異動が実現しました。
海外拠点と進めるグローバル連携。その難しさとおもしろさ
現在、私は製品企画部 グローバル技術企画室に所属しています。部署のミッションは、社会生活や会社経営に貢献できる産業車両・物流ソリューションの企画・開発を推進することです。その中でも私が所属するグローバル技術企画室は、海外拠点と連携しながら、競争力の向上と開発の効率化を図る役割を担っています。私は主に、欧州・北米の拠点との連携を担当しています。
現在の主な仕事は大きく二つあります。1つめは、海外の複数拠点が参画するグローバル連携開発プロジェクトの立ち上げです。グローバル連携を通じた競争力向上と開発効率化をめざし、開発内容や進め方について、海外拠点と対話を重ねながら合意形成を進めています。二つ目は、グローバル連携開発を加速させるための仕組みづくりです。前部署で培ったソフトウェア設計の経験を生かし、グローバルで開発を進めるうえで必要な改善を、国内外の関係者を巻き込みながら推進しています。
中でも、製品企画部へ異動して初めて担当したグローバル連携開発プロジェクトの立ち上げは、とくに印象に残っています。開始当初は、各拠点でテーマへの考え方やこれまでの取り組みが異なり、目指す方向性や連携の進め方について認識をそろえることが課題でした。そこで私は、議論の土台となる資料が必要だと考え、自ら手を挙げて、拠点ごとの違いを可視化し、共通している点と確認が必要な点を整理しました。そのうえで、検討を進める手順や意思決定までの流れを提案しました。その結果、各拠点が同じ資料をもとに意見を出せるようになり、共通の方向性を探りながら、具体的な議論を進められるようになりました。こうした働きかけに対して、海外拠点のメンバーから「Fantastic work!」という言葉をもらったことも印象に残っています。この経験を通じて、海外拠点との協働では、共通理解をつくることの難しさと、その大切さを実感しました。
こうした経験のなかで、とくに成長を実感しているのが、論理的に考え、それを相手にわかりやすく伝える力です。人や部署を巻き込むためには、資料や説明に筋道が通っていなければ、相手の理解や協力を得ることはできません。国内外の関係部署への説明や依頼、上司・経営層への報告など、さまざまな相手や場面で経験を積み重ねてきたことが、自分自身の成長につながっていると感じています。
各拠点の考え方や要望を踏まえながら、グローバル全体の競争力向上や開発効率化につながる価値を形にしていくことに、難しさとともに面白さを感じています。
各拠点をつなぎ、グローバル連携をリードする人材へ
短期的な目標は、現在取り組んでいるグローバル連携の取り組みを一つひとつ着実に実現させることです。それぞれのプロジェクトでは、海外拠点のメンバーとの協働が求められます。一つひとつの経験を積み重ねながら、グローバル連携を推進する専門性を高めていきたいと考えています。
中長期的には、各拠点間をつなぐ「架け橋」となり、グローバル連携をリードする役割を担いたいと思っています。こうした連携を加速させることは、会社の競争力向上につながると確信しています。グローバルな関係者と協働し、連携のあり方を構想から実行までリードできる人材をめざしたいと考えています。
豊田自動織機には、上司と自身のキャリアについて対話する機会があります。私自身、入社以来、グローバル連携に携わりたいという思いを伝え続け、関連する業務にも積極的に挑戦してきました。本人の意思や行動、経験、組織としてのニーズを踏まえながら、キャリアの可能性を広げていける環境だと感じています。
就職・転職を検討している方にお伝えしたいのは、前向きに挑戦し、多様な人とのコミュニケーションを楽しむ姿勢を大切にしてほしいということです。グローバルな環境では、異なる専門性やバックグラウンドを持つ人々と協働する機会が多くあります。これまで培ってきた経験や専門性を生かしたい方はもちろん、新しいことを学びながら視野を広げたい方にとっても、挑戦の機会がある環境です。違いをおもしろがり、積極的に関わっていける方と、ぜひ一緒に働きたいと思っています。

