次世代のパワエレ技術とリーダーシップの経験を、ものづくりの現場で
大学ではパワーエレクトロニクス分野を専攻し、次世代半導体であるGaN(窒化ガリウム)パワーデバイスを活用した車載向けアプリケーションの研究・開発に取り組んでいました。GaNパワーデバイスとは、従来のシリコン材料を超える高効率・高速スイッチングが可能な半導体素子で、電気自動車などへの応用が期待される技術です。この研究を通じて、電力変換技術の奥深さや将来性、それが社会に与えるインパクトの大きさを肌で感じていました。
また、大学からアメリカンフットボール部に所属し、副キャプテンとしてチームを牽引した経験も、私の財産のひとつです。副キャプテンの役割は、チームの目標である1部リーグ昇格に向けて、競技面だけでなく、メンバー全員が主体的に取り組める環境をつくることでした。経験やモチベーションが異なる仲間をひとつにまとめるために、一人ひとりの立場や考えを丁寧に理解しながら向き合い、自分自身が誰よりも率先して練習や準備に取り組む姿勢を示し続けました。その積み重ねがチーム力の底上げにつながり、最終的に目標を達成することができました。現在も社会人アメリカンフットボールチームに所属し、Xリーグでプレーを続けています。
就職活動では、大学時代に培ったパワーエレクトロニクスの知見を生かしながら、自動車や産業用機器向けのモータ・電力変換器などの製品開発に携われる企業を中心に検討していました。新しい技術への挑戦やグローバルに活躍できる環境も重視しており、パワーエレクトロニクスや電動化分野で高い技術力を持つ大手企業を中心に選考を進める中で、夏季インターンシップをきっかけに内々定をいただいていた企業も有力な選択肢の一つでした。
豊田自動織機については、エレクトロニクス事業において車載用DC-DCコンバータ(直流電力の電圧を変換する装置)や充電器などを開発しており、大学時代の研究テーマと近い領域で事業を展開している企業として認知していました。トヨタ自動車向けに採用されている製品を手掛けているという点からも、高い品質と技術力を備えた企業というイメージを持っていました。
実際に選考や面接を通じて社員の方々と対話を重ねる中で、そのイメージはさらに確信へと変わっていきました。とくに印象的だったのは、仕事に対して楽しそうな一面を持ちながらも妥協しない姿勢や、相手の意見を丁寧に受け止める物腰の柔らかさを持った技術者の方々との出会いでした。「自分も将来、こんな技術者になりたい」と素直に思えたことが、最終的に豊田自動織機への入社を決めた一番の理由です。専門性を生かしながら、世界で使われる製品の開発に挑戦できる環境があることも、大きな後押しとなりました。
幅広い視点で挑む、産業車両の開発現場
入社後は、集合研修や工場実習を経た後、トヨタL&Fカンパニー実験部で約9カ月間の実験実習に取り組みました。エンジン車・電動フォークリフトの評価、試作車の製作・改造を通じて、車両の構造や信頼性を実践的に学びました。開発業務に携わる前に実際の製品に直接触れられたことは、その後の仕事を進める上での大切な基盤になっています。
配属後から現在まではSC開発部に所属し、主に産業車両である電動フォークリフトや電動トーイングカーのモータコントローラ(モータを制御する装置)の開発と、そのBCP(生産継続計画)対応に携わっています。産業車両は商品のラインナップが多く、多種多様な機種を同時並行で開発していくため、開発機種毎の特性や要求仕様を幅広い視点で多角的に情報整理しておく必要があります。これまでに携わったモータコントローラの開発案件としては、車両の稼働効率を向上させるために従来誘導モータで動作させていたものを新型モータに変更する開発や、オペレータの作業負荷を低減するために従来機械式で動作させていた機構を電動化するシステム開発を進めてきました。また、コントローラ内部の電子部品生産中止にむけた代替開発計画策定や課題対応や設計変更、部品代替後の車両評価対応も実施し、電動車の生産継続に貢献してきました。
入社前では、大規模なメーカでは業務が細分化され、若手のうちから製品開発全体に関わる機会は限られるのではないかと考えていました。しかし、実際に業務に携わってみると、自身の担当領域に責任を持ちながら、設計・評価・生産・調達など多くの関係部署と連携して仕事を進める場面が多くありました。モータコントローラの開発も回路設計や単体評価だけで完結するものではなく、車両へ搭載した際の影響であったり、部品の供給状況、生産への影響まで見据え、最適な判断を行うことが求められます。こうした経験を通じて、開発者には技術的な専門性に加え、製品全体や後工程を意識する視点が必要であることを実感しました。
一方で、仕事を進める上で困ったときには、職場には頼れる上司や先輩方ばかりですので相談もしやすく、必要に応じて支援を得られる環境があります。全社で通年開催される基礎知識講座や各部署のノウハウ講座など、自ら選んで学べる機会も充実しており、会社が人材育成に力を入れているんだと感じています。自らが主体的に学び、行動することで、若手でも大きなテーマに挑戦できるような職場です。
自動運転を支える電動化技術で、社会課題の解決へ
SC開発部のミッションは、事業部の製品開発力を強化するため、産業車両のバッテリ車向けモータコントローラの開発を推進することです。 モータコントローラは、産業車両の四大要素である「走る・止まる・曲がる・荷役する」という基本機能を制御するキーコンポーネントです。 そのため、高い信頼性と安全性を確保しつつ、市場ニーズに合った製品を開発することが求められます。 また、事業領域は日本にとどまらず、海外拠点であるToyota Material Handling Group(TMHG)にも及ぶため、グローバルに展開する製品の開発も進めています。
その中で、現在私が担当している業務は、自動運転車両向けのEPS(Electric Power Steering)コントローラ(車両の操舵機能を電気的に制御する装置)の開発です。仕様検討から搭載設計、電気設計、制御設計まで、開発の幅広い工程に関わりながら、さらには設計・実験・製品企画・調達・品保・サービスなど、多くの関係部署と連携して業務を進めています。担当領域における技術的な取りまとめ役として、関係者が共通の目標に向かって適切に判断・行動できるよう、必要な情報を整理して伝えることも、自身の重要な役割だと考えています。
この仕事を始めた当初、EPSコントローラの開発は自身にとって初めて担当する領域でした。周囲にも知見を持つメンバーがいない中で、信頼性・品質を確保するための検討項目をいかにして漏れなく洗い出すかが大きな課題でした。そこで他部署のメンバーにも協力してもらいながら、EPSコントローラの車種ごとの設計仕様を一覧化した資料を作成し、競合製品のベンチマークや比較調査をした結果をまとめることで、操舵機能を設計する上で必要な検討項目を整理していきました。完成した資料は、これまで個別に確認する必要があった情報を一元管理したもので、周囲の設計メンバーからは「検討すべき項目を洗い出しやすくなった」「車種ごとの仕様差分や特徴を一覧で確認できるようになった」という反応をもらいました。この取り組みは、今後のEPSコントローラ開発における基盤となり、後続の開発にも役立てられるものにできたと感じています。
一方で、苦い経験もあります。関係部署との認識合わせが十分ではないまま仕様検討を進めた結果、後から前提条件の違いが明らかになり、検討内容の見直しや再設計が必要になったことがあります。この経験を通じて、思い込みで設計検討を進めることの危険性と、開発の初期段階で前提条件や仕様の認識を十分にすり合わせることの重要性を、身をもって学びました。現在は、仕様や課題を関係者と早期に共有し、一緒に解決策を考えることが、より良い製品開発につながると意識して取り組んでいます。
そんな中で、「この仕事をやっていてよかった」と強く感じた瞬間があります。自分が検討した仕様や対策が実際に車両へ反映されたときです。EPSコントローラは車両の操舵に関わるため、安全性への責任も大きいのですが、その分、車両全体の性能や使いやすさに直接貢献できる領域でもあります。自ら設計した製品が車両の一部として形になるという実感は、開発者にとっては自信や喜びにつながっていきます。また、自動運転車両は物流現場における人手不足といった社会課題の解決にも貢献できる可能性を秘めています。その実現を支える製品開発に携わっているという事実も、自分をより前向きにしてくれる大きな力になっています。
物流の未来をともにつくる仲間へのメッセージ
私の直近の目標としては、現在取り組んでいる自動運転車両向けのEPSコントローラの開発を、安全性と信頼性を高い水準で満たした製品として市場に届けることです。この経験を通じて、電気・制御設計だけでなく、車両システムや操舵の機能安全に関する知識も深めていき 、開発の上流工程から量産を見据えた評価・設計変更対応まで幅広く経験し、課題に対して自ら提案、そして判断できる技術者になることをめざしています。
将来的には、モータコントローラをはじめとする電動化技術を軸に、産業車両の電動化・自動化を支える製品開発をリードしていくことが目標です。部品やコントローラ単体の設計にとどまらず、車両全体やお客さまの現場にとってどのような価値を生み出せるかを常に考え、それを実現するために技術を製品として形にできる人材でありたいと思っています。また、国内だけでなく海外拠点とも連携しながら、製品全体としての価値を高められる存在になることをめざしています。
豊田自動織機の魅力は、社会やお客さまの課題解決につながる製品を、幅広い関係者と直接的かつ協力しながら開発できる点だと感じています。 私が所属するトヨタL&Fカンパニーでは、物流現場を支える産業車両を世界トップシェアでリードし続けており、さらには電動化や自動化といった変化の大きい領域で、新しい技術や製品の開発に取り組むことができます。 また、設計、評価、製造、品質、調達など、多様な専門性を持つメンバーと連携しながら仕事を進めるため、自分の専門領域を深めるだけでなく、製品や事業を幅広く捉える視点も身につけられます。
転職を考えている方の中には、これまで培ってきた専門性が通用するのか、新しい環境になじめるのかといった不安を感じる方もいるかもしれません。私自身も、新しい領域に挑戦する中で同じような不安を感じてきましたが、豊田自動織機にはメンバーの意見や考えを尊重し、チームで課題解決に取り組む風土があるため、安心してものごとに挑戦できると考えています。また、異業界で得た知識や視点は、既存のやり方を見直し、新しい価値を生み出すきっかけにもなります。 実際の開発現場では、ムダの発見や多角的な課題解決力を必要とする場面がまだまだ多く、私たちにない視点を持ち込んでいただくことで、それらを伸び代に変えることができると考えています。 入社後は製品や開発に関する知識を身につける必要がありますが、周囲に相談しながら少しずつ学んでいき、これまでの経験と組み合わせることで、早期に力を発揮できると確信しています。
「これまでの経験を活かしながら、新しい領域にも挑戦したい」と思っている方には、一歩踏み出してほしいと思います。世界の物流を支えるものづくりに、ぜひ一緒に取り組んでいきましょう。

