「こういうのが欲しかった」を生み出す仕事
私が所属しているITデジタル推進部では、設備や環境、作業員、製品データなど、製造現場に関わるさまざまなデータを横断的に活用し、新たな知見や価値を生み出すことで、ものづくりの進化を目指しています。
その中核となるのが、全社データ活用基盤「Global Architecture for Ultimate Data Insights(以下GAUDI)」です。GAUDIは、製造現場をはじめとする社内外の多様なデータを収集・蓄積・活用するための基盤であり、AIやデータサイエンスも活用しながら、現場の改善や新たな価値創出を支えています。私は、GAUDIのプロダクトオーナーとして、製造現場におけるデータ活用の推進を担当しています。ユーザーの声をもとに、本当に必要な機能や取り組みの優先順位を見極めながら、その価値向上に取り組んでいます。
ユーザーから要望を受けたときに意識しているのは、その要望をそのまま機能にすることではありません。「なぜそれが必要なのか」「本当に解決したい課題は何なのか」を掘り下げ、背景にあるニーズを理解することを大切にしています。そのために欠かせないのが対話です。ユーザーとの会話はもちろん、チームメンバーとの議論も重ねながら、多様な視点を取り入れて意思決定を行っています。
私が仕事の中で最もやりがいを感じるのは、ユーザーから「こういうのが欲しかった」と言っていただけた瞬間です。システムを作ること自体が目的ではありません。データを価値に変え、期待を超える体験を届けること。その実感を得られる瞬間が、この仕事の最大の魅力だと感じています。
今の私を支える、現場で学んだ対話力
現在の仕事の原点になっているのは、前職で経験した品質管理システムの開発プロジェクトです。
当時は製造業のIT部門で社内SEとして働いており、実際にシステムを利用する工場の方々と接する機会が多くありました。しかし、新しいシステムを導入する際には、「今のやり方で困っていない」「本当に必要なのか」といった声も少なくありませんでした。
そこで私が取り組んだのは、とにかく現場へ足を運ぶことでした。
「どんなことに困っていますか」
「どうなれば使いやすいですか」
そんな会話を一人ひとりと重ねながら、現場の課題を理解し、システム化によって得られるメリットを丁寧に伝えていきました。この経験を通じて実感したのが、現地現物の大切さです。机の上で考えるだけでは、本当に必要なものは見えてきません。実際に現場を見て、人の話を聞き、課題の背景を理解してはじめて、使われるシステムをつくることができるのだと思います。
その姿勢は、現在のプロダクト開発にもつながっています。どれだけ技術が進化しても、価値の出発点は人との対話にある。その考えは今でも変わっていません。
一方で、現場に深く入り込みながら仕事を続ける中で、将来を見据えた働き方についても考えるようになりました。ものづくりを支える仕事には大きなやりがいを感じていたからこそ、長くその仕事を続けていくためには、自分自身の生活との両立も大切だと感じるようになったのです。
転職活動を行った際も、「製造業のIT部門として、ものづくりを支える仕事」という軸は変えませんでした。現場に寄り添いながら価値を生み出す仕事を続けたい。その想いを持ちながら、より柔軟な働き方ができ、自分らしく挑戦を続けられる環境を求めて転職活動を進め、現在の職場と出会いました。
PoCから全社展開へ。キャリア入社後の挑戦
入社後、最も印象に残っているのは、PoC段階にあったシステムを本番リリースまで導いた経験です。
PoCでは技術的な有効性を確認できますが、本当の価値が生まれるのは、実際にユーザーへ届けられたときです。そのため、リリースを迎えた瞬間は「嬉しかった」という気持ち以上に、「ようやく価値を届けられる」という安堵感が大きかったことを覚えています。
この経験で活きたのが、前職で培った本番システム開発の経験でした。
品質や運用面で絶対に外してはいけないポイントを理解していたからこそ、本番展開に向けた議論や判断にも自信を持って取り組むことができました。これまで積み重ねてきた経験が、新しい環境でも確実に活かせることを実感した出来事でもあります。
ただ、新たな環境で大きな壁となったのがアジャイル開発でした。
前職ではウォーターフォール型開発が中心だったため、スクラムを活用しながら短いサイクルで価値を磨き込んでいく開発スタイルには戸惑いもありました。しかし、実際に手を動かして試行錯誤を続ける中で、少しずつ考え方が変わっていきました。
特に大きかったのは、ユーザーを見る視点の変化です。前職では特定の部署がユーザーでしたが、現在は全社がユーザーです。目の前の一人にとっての最適解だけでなく、組織全体にとって何が最善かを考える機会が増えました。
全体を俯瞰しながら価値を届ける視点は、プロダクトオーナーとして今も磨き続けている力の一つです。
もっと大きな価値を届けるために
現在、私が最も力を入れているのは、工場から収集されるIoTデータを、全社データ活用基盤であるGAUDIへ統合することです。
これまで個別に管理されていたデータが一か所に集まることで、新たな分析や価値創出の可能性が広がります。ものづくりに関わるさまざまな人たちの意思決定を支える基盤として、さらに成長させていきたいと考えています。 また将来的には、自分自身でゼロから立ち上げたプロジェクトを最後までやり遂げることが目標です。
これまで担当してきたプロジェクトの多くは引き継いだものでしたが、担当する以上は内容を深く理解し、自分の言葉で説明できる状態でありたいと思っています。だからこそ、いつかは企画段階から関わり、自ら立ち上げたプロジェクトを責任を持って最後まで推進してみたい。その挑戦が、自分自身の成長にもつながると考えています。
最後に、この記事を読んでくださっている方へお伝えしたいことがあります。私自身、入社してから多くの挑戦の機会を得てきました。全社規模やグローバル規模の課題に向き合えることは、この仕事ならではの魅力だと思います。また、自分で考え、自分の意見を持ち、主体的に行動する人にとっては、大きく成長できる環境だと感じています。 難しい問題に直面することもありますが、その分、価値を届けられたときの喜びは大きなものです。
もし「ものづくりを支える仕事がしたい」「ユーザーに本当に喜ばれる価値を届けたい」という想いがある方であれば、ぜひ一緒に新しい価値づくりに挑戦できるとうれしいです。

