「できない理由を考える」ことが、より良い電池づくりへの第一歩
私は現在、電池事業室の生産技術部に所属しています。部署全体のミッションは、今の世の中に存在する電池よりもさらに優れた電池をつくること。そのミッションを、生産技術という側面から実現していくのが私たちの役割です。
電池の製造にはさまざまな工程がありますが、私がメインで担当しているのは「ロールプレス工程」です。これは、電池の性能を左右する重要な部品である電極を、ローラーで圧縮して密度を高める工程(圧密)のことを指します。電極の精度は電池の充放電性能や寿命に直結するため、電池製造における源泉工程のひとつと位置づけられています。電極の性能を根本から決める工程を担う、責任のある立場だと感じています。
仕事をするうえで私が大切にしているのは、「現象が起きた理由を考えて動く」ということです。新しいことに挑戦していると、うまくいかないことは必ず出てきます。そのとき、ただ「うまくいかなかった」で終わるのではなく、「なぜそうなったのか」を丁寧に掘り下げることを意識しています。
そして、「うまくいかない理由を考える」ことを怠らないようにしています。うまくいかない理由を明確にすることで、次に何をすべきかが見えてくる。それが問題解決の第一歩になると信じています。困難はつきものだからこそ、向き合い続ける姿勢を大事にしています。
生産技術の仕事は、ただラインを動かすだけではありません。現状の電池をどうすればもっと良くできるか、製造プロセスの観点から常に考え、改善を積み重ねていく仕事です。そのプロセスの中で、自分の担当するロールプレス工程がいかに電池の品質に影響を与えるかを日々実感しながら、仕事に向き合っています。
「設備をつくって終わり」ではないと気づいた、出向という転機
前職では、生産設備メーカーで機械設計を担当していました。生産設備とは、製品をつくるための機械や装置のことです。そのメーカーに勤めながら、客先となるメーカーへ出向する機会をいただいたことが、私のキャリアにおける大きなターニングポイントになりました。
出向前の仕事では、設計した設備を客先に納入する際、設備の仕様を満たしていれば、自分の役割は完了という感覚がありました。その設備を使って実際にどんな製品ができあがるのか、仕上がりがどうなのかを目にする機会は、ほとんどありませんでした。設計した設備が「その先」でどう機能しているのかは、正直なところ見えていない部分でした。
ところが、出向先では状況が異なりました。設備を立ち上げた後に品質不良が発生し、設備の仕様は満たしているにも関わらず、製品としては成立していない現実を目の当たりにしました。設備を使う側の立場に立ち、その設備から実際にできあがる製品までを、設備設計の視点からとらえ直す経験ができたのです。「設備をつくって終わりではなく、その設備で製品ができあがって初めて、設備は意味を成す」——出向を経て初めて、この当たり前のようで見落としがちな事実が腑に落ちた瞬間がありました。
出向先では製品の品質や完成度に直接つながる感覚がありました。そのプレッシャーの大きさと同時に、自分の仕事が成果として目に見えるやりがいも強く感じました。
この経験が、転職を考えるきっかけになりました。設備を使う側の視点を持って仕事がしたい。その思いをより追求できる環境を探していたとき、
現在の会社に出会った際、出向先と同じ電池分野に取り組みながらも、世の中にまだない電池づくりという新たな挑戦を続けている会社だと感じました。成長が期待される電池事業の最前線で、生産技術として開発上流から製品づくりに関われることに大きな魅力を感じました。また、設備開発と工法開発の両方に携わりながら、自ら新しいものづくりを生み出せる環境に惹かれ、転職を決めました。
前職での経験を活かしながら、これまでとは違うステージで自分の力を試したい——そんな思いを胸に、転職を決意しました。
計画段階から共有することの大切さ
前職は機械の設計者だったのに対して、現在は生産技術になり、アウトプットの出し方に大きな差を感じています。以前は機構の成り立つ図面を描くことがアウトプットだったのに対して、現在は出来上がった製品だけでなく、工法の検討とその結果がアウトプットになります。
機構が成立するかどうかが図面で機械的にわかった前職に対して、現在は、成功するかわからない工法を考えるうえで、何を目的として、どんな条件でテストを行うのかを事前に共有し、関係者と目線を合わせることが不可欠だと気づかされました。実施内容への納得感がなければ、丁寧に結果を報告しても、その意義を理解してもらうことは難しい。
それに気づいて以来、計画段階から周囲と共有し、実施内容の目線合わせをしてからテストに臨み、その結果をフィードバックするという流れを意識するようにしています。入社してまだ間もない中で、仕事の進め方の根本を問い直せたことは、自分にとって大きな変化だったと思います。
一方で、前職での経験が今の仕事に活きていると感じる場面もあります。前職では設備の機構、つまり機械がどのような仕組みで動き、ワーク(加工対象物)にどのような力を与えているかを理解する機会が多くありました。その知識が、現在の品質にまつわる分析において大きく役立っています。
製品に何らかの不具合や異常が生じたとき、「なぜこうなったのか」や改善のための工法は機械的に成立するのかを考えるためには、機械がどのように動きその製品がどのようなプロセスで加工されたか・機械の加工精度や機構的にその工法は成立するのかを理解することが前提になります。設備がワークに与える力の大きさを算出したり、機械の動きの仕組みを踏まえて加工プロセスを読み解いたりすることで、現象の背景にある原因に近づきやすくなると感じています。前職で積み上げてきたメカニズムへの理解が、新しいフィールドでも生きていることを実感しながら働けています。
「巻き込み、巻き込まれる」関係のなかで新しい挑戦を楽しめる人へ
これからこの職場への転職を考えてくださっている方に、私たちの部署は、まだ世の中にないものを生み出すことが多い職場です。答えのない問いに向き合い続ける環境なので、正直戸惑うことも少なくありません。しかし、その分やりがいも大きく、入社してからは想像以上にテーマを任せてもらえました。裁量も大きく、自分で考えながら仕事を進める機会が多くあります。 また、前職では設備設計が中心でしたが、現在は設備という視点だけでなく、工法や品質、生産性、コストまで含めてものづくり全体を考えるようになりました。そのため視野が大きく広がったと感じています。 さらに、何か課題にぶつかったときには関係部署の方々がとても協力的で、相談すれば一緒に考え、解決に向けて力を貸してくれます。挑戦の機会が多く、現時点ではできないことでも実務として任せてもらえる。そして周囲がしっかり支えてくれる。そんな環境だからこそ、安心して新しいことにチャレンジできる職場だと感じています。
そんな環境で力を発揮できるのは、周りを巻き込みながら、同時に周りに巻き込まれることを楽しめる人だと思います。原理原則に基づきながら周囲と合意を取り、新しいことへの挑戦を楽しめる人。そういうマインドを持っている人なら、活躍できると確信しています。そして、そういう人と一緒に働きたいと思っています。
難しい局面もある職場ですが、その分だけ成長できる場所でもあります。「まだ正解のない仕事を一緒につくっていきたい」という気持ちがある方に、ぜひ来ていただきたいです。

