「なぜこのルールが存在するのか」を問い続ける、品質保証という仕事の本質
私が現在所属しているのは、エンジン事業部の品質保証部です。部署のミッションは一言で表すと、「正しいことを正しく行う」ものづくりを実現し続けること。品質を支えるしくみの維持・管理、人材育成のための教育、継続的な改善活動を通じて、法規順守とコンプライアンスを組織全体に根付かせ、一人ひとりが法規やルールを理解し、日常業務の中で確実に実践できる職場環境づくりに取り組んでいます。
私自身の担当は大きく以下2点です。
1つめは量産されているエンジンが法規や社内ルールに沿って正しく管理されるためのしくみづくりです。具体的には、エンジンの重要な性能指標である排出ガス、出力/トルク、燃費に関わるルール整備や運用改善、量産検査を適切に実施するための標準化活動などを進めています。
2つめは監査業務です。具体的には内部監査やエンジン構成部品の仕入先の工程監査を行い、品質管理状況やルール通り業務ができているか監査し、必要に応じて改善提案をし、お客さまが安心出来る製品をお届けする役割も担っています。また当局や認証機関が行う外部監査の事務局として、運営や監査の指摘に対する推進を担当しています。
仕事をするうえで私が最も大切にしているのは、「なぜこのルールが存在するのか」を常に意識することです。品質保証部の仕事は、ルールを守らせることのみが目的ではありません。そのルールの背景にある目的を理解し、守られなかった場合に何が起きるかを想像することが本質だと考えています。規程やしくみを作るときには、法規や合意事項などの根拠を必ず明確にして、自分自身が説明責任を果たせる状態にすることを心がけています。
また「相手が本当に必要としていることを考え、自ら提案・行動する」ことも私の大切なモットーです。依頼された内容をそのままこなすのではなく、相手の意図や仕事の全体像を理解し、本質的な解決につながる提案を心がけています。品質保証の仕事では、議事録や規程、報告書など、多くの文書を扱います。だからこそ、単に情報を残すのではなく、なぜその対応が必要なのか、何をめざしているのかを関係者にわかりやすく伝え、共通認識や行動につなげられるように意識しています。
品質保証という仕事では、さまざまな部署の考えや要望を踏まえながら物事を進める場面が数多くあります。そうした中で私が最もおもしろいと感じるのは、それぞれの立場だけでなく、会社全体やお客様、法規の要求なども含めて広い視点で物事を捉え、最適な解決策を考えていく過程です。複雑な課題を整理し、多くの関係者と協力しながらしくみとして形にできたとき、そして関係部署から感謝の言葉をいただけたときに、この仕事の大きなやりがいを感じます。
「人生一度きり」の好奇心が背中を押した、セラミックスメーカーから品質保証への転身
新卒で入社したのは、自動車及び産業分野向けのセラミックス製品を手がけるメーカーでした。設計・開発部門に配属され、セラミックス製品の設計や新製品開発、評価業務に携わりました。製品の設計検討から試作品の評価、量産化の検討、さらには他用途への展開まで、開発の上流から下流まで幅広く経験させてもらいました。
その中でもとくに印象に残っているのが、新製品の電気特性に関する新測定方法の立案及び設備導入です。「面白そうだからやりたい」と自ら手を挙げたのですが、実際に向き合ってみると想像をはるかに超える難しさでした。
とくに苦労したことは、大きく二つありました。
1つめは、新測定方法の妥当性や必要性を関係者に理解してもらうことです。 仕事を進める上で社内の関係部署やお客様の理解と協力が欠かせませんでしたが、当時の私は技術的なエビデンスを示せば理解してもらえると考えており、相手の立場で物事を考える視点が十分ではありませんでした。例えば、生産技術部門であれば設備の導入時期・期間や必要人員、製造部門であれば作業のしやすさや作業に要する時間、お客さまであれば品質面の担保など、それぞれが重視するポイントは異なります。そのため、自分では十分に説明したつもりでも納得を得られず、議論が前に進まないこともありました。
そこで、自分一人で解決しようとするのではなく、上司や有識者へ積極的に相談するよう意識を変えました。週1回の報告会だけでなく、日々の進捗や困りごとをこまめに共有し、多くの助言をいただきながら説明内容や進め方を改善していきました。また上司にはデータの見方に関するご指導や上位層への説明の場を設けていただくなど、多くの支援をいただきました。この経験を通じて、技術的な正しさを伝えるだけではなく、相手が何を求め、何を不安に感じているのかを理解した上で仕事を進めることの大切さを学びました。
2つめは、測定精度の向上と測定環境整備です。 新測定方法を実用化するためには、まず測定データの信頼性を高める必要がありました。しかし当時の私は電気に関する知識が十分ではなく、装置のしくみや測定原理、安全面に関する知識を一から学び直さなければなりませんでした。参考書を読み込みながら基礎知識を習得するとともに、社内外の有識者にも相談し、測定条件や評価方法の検討を繰り返しました。また、精度の高い測定ができることだけをめざすのではなく、実際に運用する人の安全性や作業時間にも配慮しながら、現場で使いやすい測定環境づくりにも取り組みました。その過程で知識不足を補うため、第三種電気主任技術者や品質管理検定2級の資格も自主的に取得しました。最終的には新測定方法の立案及び設備導入に貢献し、上司からいただいた「こまめな報連相を続けた結果、それが最短ルートだった」という言葉は今でも強く印象に残っており、現在の仕事においても大切にしている考え方の一つです。
転職を意識し始めたのは2024年頃です。妻の妊娠がわかり、将来について真剣に考える中で、故郷である三河地方に戻って働きたいという思いが強くなりました。また同世代の友人たちと話をする中で、転職によって新しい経験や成長の機会を得ている人が多いことを知り、私自身「人生一度きりだからこそ、転職を経験してみたい」という挑戦の気持ちが強くなりました。
前職ではセラミックス製品の内、自動車に関わる製品開発に携わっていた経験があったため、これまでとは異なる分野にも挑戦したいと考えるようになり、自動車産業への興味が深まりました。その中で出会ったのが、現在所属している豊田自動織機エンジン事業部です。前職で培った技術的な知識を活かしながら、新たな知識や経験を積める環境に魅力を感じました。また、愛知県を代表する企業の一つであり、自身の希望であった三河地方で働けることも転職を決めた大きな理由でした。
しくみづくりから監査対応まで、品質保証の最前線で学んだこと
豊田自動織機エンジン事業部に入社してから、とくに印象に残っている仕事は二つあります。
1つめは量産検査結果の管理方法を見直した改善活動です。それまでは、記録の保管場所や命名ルールが統一されておらず、必要なデータを探すだけでかなりの時間がかかっていました。改善にあたっては多くの関係部署と議論を重ねながら、記録の保管方法や命名ルール、異常が発生した際の記録の管理方法を標準化できました。関係者が多く調整や合意形成に苦労した一方で、「目的を正しく理解し、関係者を巻き込みながらしくみを作ること」の重要性を学ぶことができました。
二つ目は当局や認証機関による監査対応です。海外当局や認証機関による監査対応では、海外拠点との英語のやり取りや受入対応などこれまで経験したことのない業務に携わりました。とくに監査当日は実際の測定設備やエンジンを用いて説明を行う必要があり、限られた期間の中で多くの関係部署と連携しながら準備を進めることに苦労しました。また監査でいただいた指摘に対して改善を進める際には、エンジンの知識に加え測定設備の測定原理や関連する法規など専門性の高い知識が必要となり、多くのことを学びながら対応を進めました。
これらの経験を通じて、前職では携わる機会の少なかった法規や認証業務について深く学び、加えてエンジンや測定設備に関する知識も身につけることができました。また監査対応や改善活動を通じて規程やルールの整備・標準化にも携わり、組織全体の業務改善に貢献できたことは大きなやりがいでした。
転職してとくに良かったと感じているのは、前職の設計・開発業務だけでなく、品質保証や法規対応、監査といったより幅広い視点でものづくりに関われるようになったことです。前職で培った技術的な知識やデータに基づいて考える力を活かしながら新たな分野の知識や経験を積むことができており、自身の成長につながっていると感じています。
「成長したい人」に届けたい。人の良さと挑戦できる環境が両立する職場
短期的な目標は、現在担当している排出ガス、出力/トルク、燃費に関する業務の知識をさらに深め、品質保証業務を一通り自立して遂行できるようになることです。その中でエンジン・法規の理解や規程等の文書作成能力を高め、ルールの背景や根拠をきちんと説明できる品質保証担当者をめざしています。
また量産検査管理や監査対応で培ってきた業務整理・標準化の経験を活かして、品質保証業務のデジタル化にも挑戦したいと考えています。PythonやPower BI、Microsoft Copilotといったツールを活用しながら、単にルールを運用するだけでなく、業務をより効率的かつ確実に進められるしくみを構築し、部全体の業務改善に貢献できる存在になることが当面の目標です。
中長期的には、共通の課題に対し関係部署を巻き込みながら解決をリードできる人材になることをめざしています。問題が起きてから対応するだけでなく、未然防止のしくみづくりやデジタル化を推進し、品質保証部全体の業務価値を高めていきたいと思っています。法規や規程を深く理解したうえで、担当業務の範囲を超えて周囲への指導や支援ができるレベルまで成長することが、私の描く中長期キャリアの一つのゴールです。
最後にこの職場への入社を検討している方にお伝えしたいのは、「人の良さと成長できる環境が、本当に両立しています」ということです。私自身、中途入社で品質保証という未経験の業務に携わることになりましたが、周囲の皆さんが丁寧にサポートしてくださったおかげで、安心して新しい分野に挑戦することができました。
この仕事では、品質保証や法規の知識だけでなく、論理的思考力、文書作成能力、データ分析力、関係者を巻き込む力など、どの職場でも活かせるスキルを幅広く身につけることができます。また、認証から量産まで幅広く関わるため、ものづくり全体を俯瞰して学べる点も大きな魅力です。
「成長したい」「新しいことに挑戦したい」「良い仲間と一緒に働きたい」という方にとって、きっと魅力的な環境だと思います。素直に学べる姿勢と、「もっと良くできないか」と考え続けるマインドを持った方と、ぜひ一緒に働きたいと思っています。
