大学の研究で培った技術力と実践力、そして就職活動の軌跡
大学では情報工学を専攻し、自動運転に必要な要素技術の研究に取り組んでいました。きっかけは学生時代にハマっていた動画配信サイトでした。毎日のように動画を見ているうちに、「このサービスを作っているのはエンジニアなんだ」と知り、興味を持ったんです。また、エンジニアという職業は比較的自由な働き方ができそうだというイメージがあり、自分に合っているのではないかと思い、情報工学を専攻することにしました。
大学・大学院の研究では3D LiDARを用いた物体認識をテーマにしていました。センサーデータから周囲の物体を検出・分類する技術で、自動運転の「目」となる重要な部分です。特に印象に残っているのは、企業との共同研究を任されたことです。それまでは与えられた課題に取り組むことが多かったのですが、この共同研究では「自分がやらなければ」という責任感を初めて強く感じました。納期は2か月と短く、プレッシャーもありましたが、試行錯誤を重ねて無事に一定の成果を出すことができました。この経験を通じて、限られた時間の中で成果を出す難しさと達成感を学び、自分自身の成長を実感しました。
一方で、飲食店で3年半アルバイトを続けていました。選んだ理由は3つあります。1つ目は家から近かったこと。通いやすさは長く続けるうえで大事だと思いました。2つ目は、「忙しくて大変」という噂を聞いていたこと。あえて厳しい環境に飛び込むことで忍耐力が身につくのではないかと考えました。3つ目は、単純にうどんが好きだったことです。忙しい時間帯のオペレーションや接客を通じて、効率的に動くことやチームで連携する大切さを学びました。
就職活動では、職種はエンジニア一択でした。技術を使ってものづくりに携わりたいという思いが強く、これが最優先の軸でした。業界は物流、SIer、IT系を中心に見ていました。特に物流業界は今後自動化が進む分野として将来性を感じていました。その他の条件としては、自分が興味を持てる事業内容か、福利厚生が整っているか、ワークライフバランスを大切にできるかを重視していました。インターンシップに参加していなかったので、周りと比べて出遅れているのではないかという不安はありましたが、大学で取り組んできた研究内容をしっかりアピールすることを意識しました。
この会社については、正直なところ「トヨタグループの会社」「フォークリフトで有名な会社」というイメージが強かったです。トヨタグループということもあり、福利厚生がしっかりしていてワークライフバランスを大切にできる会社だろうという印象を持っていました。
入社の決め手は大きく2つあります。1つ目は、自分の研究が活かせると感じたことです。物流業界は今後ますます自動化が進むと考えており、大学で研究していた自動運転や物体認識の知見を仕事に活かせるのではないかと思いました。2つ目は、働く環境です。勤務地が愛知県内に限られており、転勤があっても生活基盤を大きく変えずに済む点が魅力でした。また、ワークライフバランスを大切にしながら長く働ける環境だと感じました。
面接では研究室のOBの方が出てきたことが印象に残っています。OBということもあり、研究内容についてかなり踏み込んだ質問をされました。3D LiDARを使った物体認識の技術的な部分や、研究で工夫した点などを詳しく聞かれましたが、事前にしっかり準備していたおかげで自信を持って答えることができました。自分の研究をきちんと理解してくれる方がいること、そして技術的な話ができる環境があることを感じ、「この会社でなら自分の知識を活かして働けそうだ」と思えた瞬間でした。
織機の歴史から現場体験まで、半年を超える濃密な研修期間
新卒として入社した後に待っていたのは、段階的に設計された充実した研修プログラムでした。最初の新人研修では、トヨタグループのルーツである織機の歴史について学びました。チームワークの大切さを学ぶプログラムもあり、これから社会人として働く上での基礎を築くことができました。
次に待っていたのは、半年間にわたる工場実習です。私はRAV4の内装・外装の検査を担当することになりました。実際に車のライン検査に携わり、モノづくりの現場を肌で感じる貴重な経験となりました。昼勤と夜勤が毎週入れ替わる生活は、正直なところ体力的にも精神的にも大変でした。同じ作業の繰り返しで、時間がたつのがとても遅く感じたことを今でも覚えています。単調な作業を続けていると、つい自分流のやり方に置き換えてしまいたくなりますが、それが事故の原因になりうることを身をもって学びました。決められた手順を守ることの重要性を実感し、その後の業務においても「なぜこのルールがあるのか」を意識するようになりました。この経験を通じて、現場で働く人たちへの感謝の気持ちが生まれ、自分がオフィスで開発する技術が最終的には現場で使われることを強く意識するきっかけとなりました。
その後は3か月間の技術研修が続きました。機械・電気・情報の各分野について座学で学び、幅広い技術知識を身につけることができました。この研修で築いた基礎は、その後の業務において大いに役立っています。半年を超える研修を経て、ようやく先行開発部の三室への配属が決まりました。最初は画像処理検査の業務を担当することになり、いよいよ本格的なキャリアがスタートしました。
配属後に感じたのは、受動的で上司からの指示に従っていればよいという甘い考えではやっていけないということでした。先行開発部では、上司がすべてを指示してくれるわけではなく、自分で考えて行動することが求められます。何をすべきか、どう進めるべきかを自ら考え、提案し、実行する必要があるため、最初は戸惑いもありました。ただ、その分やりがいも大きく、主体的に動く力が身についたと感じています。
前例なき道を切り開き、技術と人を繋ぐ力を磨いた日々
現在、私は先行開発部の三室で、3D技術を活用したデジタルツインの開発を担当しています。工場の3Dモデルを作成し、レイアウト検討などに活用できる仕組みを構築することで、実際に物を動かす前にシミュレーションができるようになりました。この技術により、事業部の業務効率化に貢献しているのです。
入社後、最初に担当したのは画像処理検査の業務でした。しかし、この時期は正直に言ってなかなか成果が出せず、苦労の連続でした。当時の私は自分一人で何とかしようと抱え込んでしまい、周囲に助けを求めることができなかったのです。その後、業務の見直しがあり、現在の3D技術を使った業務に取り組むことになりました。この失敗経験から、困ったときは早めに上司や周りの人に相談することの大切さを学びました。今では日々の定例会で進捗や課題を報告し、悩んだら定例で現状と試したことを共有し、優先度付けや役割分担を決めることで早期に対応につなげるよう心がけています。
この3D技術を使った仕事で、私は大きな成功体験を得ることができました。社内向けに展開した簡易な3Dモデル作成技術が、それです。デジタルツインとして工場の3Dモデルを作成し、レイアウト検討に活用できる仕組みを構築しました。最も難しかったのはモデルのクオリティ向上で、簡易に作成したモデルでは精度不足が課題でした。撮影方法を試行錯誤し、複数のツールを試しつつAIを活用して改善を重ねました。外部ツールやアルゴリズムの比較・検証を繰り返し、撮影手順と後処理ワークフローを整備することで実用レベルに引き上げることができたのです。
この技術を社内に展開する際、資料と図を必ず用意し、導入イメージや工数・コスト感を明記して、現場のメリットが分かるようにしました。さらに、実際に現場へ出向いて撮影や使い方のレクチャーを行い、ハンズオンでのデモを通して理解と信頼を得るよう努めました。社内に先駆者がいなかった分野でしたので、外部の研究機関や大学の研究室、専門家に自らヒアリングを行い、得られた知見をもとに課題を一つずつ解決していきました。前例のない中で道を切り開き、最終的に社内展開まで持っていけたことは、本当に大きな達成感がありました。
こうした経験を通じて、私は大きく成長することができました。専門知識の深化、問題解決力の向上、そしてチームで働く力の獲得です。大学では自動運転の研究をしていましたが、入社後は画像処理や3D技術に関する知識がさらに身につき、自信を持って事業部の人たちへ技術の普及活動ができるようになりました。バグで詰まったときや困りごとがあったときに、要因を一つずつ潰して解決する力もつきました。学生時代は「自分で何とかしなければ」と思いがちでしたが、今は周囲と連携しながら仕事を進めることの大切さを理解しています。
3D業界のトップエンジニアを目指して、挑戦は続く
短期的な目標として、まず社内への技術移管を完了させることに注力しています。現在進めている3D関連の技術を社内で安定運用できる形に持っていき、その先には社外向けの外販パッケージを作ることに挑戦したいと考えています。社内展開でしっかりとした実績を積み重ね、それをパッケージ化して外部に提供できる形にしていく。このステップを着実に進めていきたいですね。
中長期的には、3D業界でトップレベルのエンジニアになることを目指しています。ただ専門性を高めるだけでなく、ハードウェアやAIの知見も併せ持つ「技術の万能型」を目指したいと思っています。将来的には技術リードとして、あるいは事業側との橋渡しができるポジションでチームを牽引していきたい。技術だけでなく、ビジネスと技術をつなぐ役割を担えるような存在になりたいと考えています。
この会社の魅力は、研究開発と現場実装の距離が非常に近いことです。実際に現場で動く成果を作れる環境があり、トヨタグループ由来の安定した制度や福利厚生がありながらも、チャレンジを許容する風土が根付いています。自由度が高く、裁量を持って技術探索できる点も大きな魅力だと感じています。
ここで活躍するには、生成AIを活用する能力や専門分野を深掘りする技術力、ソフトウェア開発スキルが必須です。それ以上に大切なのは、好奇心が強く、あきらめずに粘り強く取り組めるマインドです。現場志向でユーザー視点を持てる人なら、きっと面白い仕事ができるはずです。AI・フィジカルAIに関する知見を持つ方、仕事を半分趣味のように楽しめる方と、ぜひ一緒に働きたいですね。
入社前の準備としては、体力づくりとPythonの基礎知識を身につけておくことをお勧めします。現場での実働や不規則な勤務にも対応できる体力と、業務で使うスクリプトを書けるレベルのPython力があれば、スムーズに業務に入っていけます。最後に一言。とりあえず筋トレして体力をつけといてください。これ、本当に大事です。

