「誰と働くか」が決め手。 人の温かさに惹かれ、豊田自動織機へ
大学では機械工学を専攻し、自動車や産業機械のトランスミッション、つまりエンジンの動力を車輪に伝える変速機構に関する研究に取り組んでいました。 研究では、実際に試験機を用いてトランスミッションの伝達効率を評価し、性能向上や課題解決に向けた検討を行っていました。 研究室では毎日のように工具を片手に試験機と向き合い、つなぎをオイルまみれにしながら実験を繰り返していたことを今でも覚えています。
就職活動では、「働くクルマを通じて社会に貢献したい」という軸で企業を探していました。もともとモノづくりや自動車に興味がありましたが、その中でもフォークリフトには特に惹かれました。フォークリフトは、「走る・止まる・曲がる」という自動車の基本機能に加えて、荷物を持ち上げて運ぶ荷役機能も備えています。構造が複雑で奥深く、モノづくりとして非常におもしろい製品だと感じました。 また、自分が携わった製品が世界中で使われる環境で働きたいという思いから、グローバルに活躍できる企業を志望していました。
最終的に豊田自動織機への入社を決めたのは、インターンシップへの参加やリクルータの方々との関わりを通じて、「この人たちと一緒に働きたい」と素直に思えたからです。 私は、「どんな仕事をするか」と同じくらい、「誰と働くか」を大切にしていました。最後の決め手は、豊田自動織機で出会った人たちの親身に向き合ってくださる姿勢や温かさでした。
想像と違った品質保証の仕事
入社後の研修を終えて配属されたのは、トヨタL&Fカンパニー 品質保証部 お客様品質室でした。配属前は、「お客さまからのクレーム対応や製品交換、謝罪対応が中心の仕事なのかな」と思っていました。しかし実際は、品質保証の仕事というのは、どちらかというと刑事の仕事に近いかもしれません。市場で発生した不具合に対して、車両に残された痕跡やお客さまの使用状況、部品の状態などを一つひとつ確認しながら真因を追究していきます。不具合には必ず原因がありますが、それが最初から見えていることはほとんどありません。現場へ足を運び、現物を確認し、関係者から話を聞きながら仮説と検証を繰り返し、少しずつ真因に近づいていきます。毎日が謎解きのような仕事であり、そこに大きなおもしろさとやりがいを感じています。
その中で私の仕事の考え方を大きく変えたのが、入社7年目に経験した中国拠点での1年間の海外研修です。現地では市場不具合への対応や工場全体の品質改善活動に携わりました。言葉や文化、仕事の進め方が異なる中で、自分の考えを伝える難しさを痛感しました。日本では担当者同士で合意すれば進むことも、現地では上司の指示や合意がなければ前に進みません。当初は戸惑いましたが、自分の考えを押し通すのではなく、相手の立場や文化を理解しながら信頼関係を築くことの大切さを学びました。
また、とくに言語が違うこともあり、言葉だけで細かなニュアンスを伝えることには限界があります。そのため実際に現場へ足を運び、現物を見ながら一緒に問題点や対策を確認することを徹底しました。 この経験を通じて強く実感したのが、「現地・現物」の重要性です。現地現物は単に事実を確認するための手段ではなく、言葉や文化の違いを超えて相手と共通認識を築くためのコミュニケーションツールでもあります。机上の資料や報告書だけでは見えないことも、実際に現場へ行けば見えてくることがあります。車両の状態、お客さまの使い方、工場での作業工程、現地メンバーが抱える悩み。そうした事実を自分の目で確認し、同じものを見ながら対話することで初めて理解できることがあると学びました。真因究明の出発点は、まさに現地現物にある。この中国での経験は、今でも私の仕事の原点になっています。
2年かけてたどり着いた真因。 そして、同じ失敗を繰り返さないために
私たちのチームには、日本だけでなく中国やアメリカなど海外拠点で生産されたフォークリフトの品質保証を担当しているメンバーや、物流搬送機器の品質保証に携わるメンバーがいます。扱う製品や市場は異なりますが、「お客さまに安心して製品を使っていただく」という共通の目標に向かって、日々知識や経験を共有しながら課題解決に取り組んでいます。
これまででとくに印象に残っているのが、慢性的に発生していたオイルにじみ不具合への対応です。こうした不具合は一つの要因だけで発生することは少なく、車両の使われ方や部品の状態、設計要件など複数の要因が絡み合っています。真因を特定するまでには約2年かかりました。設計部門、本社の分析部門、仕入先メーカーなど多くの関係者と協力し、お客さま車両の調査や再現試験を繰り返しながら仮説と検証を積み重ねました。何度も壁にぶつかりましたが、最後まで諦めずに可能性を追い続けた結果、有効な対策につなげることができました。その後は不具合の発生をほぼ抑え込むことができ、販売店の方から「修理対応がなくなって本当に助かっている」と言っていただけた時は、自分たちの取り組みがお客さまや販売店の困りごとの解決につながったことを実感し、大きなやりがいを感じました。
一方で、品質保証の仕事は不具合を解決することだけではありません。過去の失敗から学び、同じ問題を繰り返さない仕組みをつくることも重要な役割です。私は品質学習室の立ち上げにも携わり、過去の重要品質問題を紹介するパネル作成を担当しました。品質問題は時間が経つと風化してしまいますが、その中には未然防止につながる多くの教訓が詰まっています。だからこそ、不具合品の実物展示や動画なども活用し、過去の失敗を「自分事」として学べるよう工夫しました。品質を守るためには、問題が起きてから対応するだけでなく、過去の経験を組織全体で共有し、次の世代につないでいくことが欠かせません。品質学習室は、過去の教訓を未来の品質につなげる大切な取り組みだと感じています。
国内と海外をつなぐ品質人材をめざして
今私は、世界中のお客さまに安心して製品を使っていただけるよう、国内から海外拠点のメンバーと連携しながら、一つひとつの品質課題の解決に取り組んでいます。 その中で、将来的には再び海外拠点での業務にも挑戦したいと考えています。中国での海外研修では、個別の不具合対応だけでなく、工場全体の品質改善活動にも携わりました。現地メンバーと一緒に課題を見つけ、ときには悩みながら改善を積み重ねることで、工場全体の品質が少しずつ向上していく過程に大きなやりがいを感じました。将来はもう一度海外の地に身を置き、現地メンバーと力を合わせながら課題解決に取り組みたいと思っています。そして、これまで培ってきた経験を生かしながら、国内と海外をつなぐ架け橋として、グローバルな品質向上に貢献できる人材をめざしています。
私が豊田自動織機への入社を決めた理由は、「人の良さ」でした。そして、その印象は入社後も変わっていません。仕事では設計や製造、サービスなどさまざまな部署と真剣に議論しますが、困ったときには自然と手を差し伸べてくれる仲間がいます。また、休日のランニングや懇親会など、仕事以外で交流する機会も多く、公私ともに良い関係を築ける環境があります。 さらに、仕事と家庭を両立しながら働けることも大きな魅力です。現在は子どもがまだ小さいこともあり在宅勤務を活用していますが、残業時間も月20時間程度で、家族との時間をしっかり確保できています。仕事に責任を持って取り組みながら、家族との時間も大切にできる職場だと感じています。
品質保証の仕事は、すぐに答えが見つかることばかりではありません。だからこそ、現場へ行き、現物を見て、多くの関係者と議論しながら真因を追究していく過程におもしろさがあります。 「困っているお客さまや販売店のためにより良い製品を届けたい」「難しい課題も成長の機会と捉え、仲間と一緒に前向きに挑戦したい」。そんな想いを持つ方と、ぜひ一緒に働きたいと思っています。

