結果が目に見えることが仕事の醍醐味──責任感を原動力に新規顧客の開拓にも挑む
田中は現在、タイにある東洋製罐の事業グループ会社・Bangkok Can Manufacturing Co., Ltd.(以下、BCM)に出向し、そこではアドバイザーを務めています。
「2021年に東洋製罐の海外子会社に出向しています。そこで私は営業とサプライチェーンのアドバイザーを務めています。社長直下で業務や意思決定を円滑に進めるためのサポートをするのが私の役割です」
営業においては、スタッフのサポートや教育を行っています。
「具体的には日系のお客様の対応や、価格や条件面などの交渉をサポートしています。また、会社として大きな意思決定をしなければいけない場合や、東洋製罐のポリシーに沿った業務の進め方などもフォローします。スタッフ教育も行ってはいますが、私自身も文化的な違いから学ぶことが多いですから、お互いに教え合うような形で業務を進めています」
サプライチェーンでは、適正な調達を行える様に確認と軌道修正を行っています。
「調達から供給までの全体を見ていますが、とくに調達の部分と生産計画のところは重点的にケアしています。需要と供給のバランスを取ることや、タイミングというのは非常に重要ですから、日本での営業経験を活かしながら進めています」
会社にとっても影響力が大きい田中の業務。それだけに、強い責任感を持って従事しています。
「営業では、投資を伴うような戦略的な内容や、経営に影響が出るような意思決定をしなければいけないときもあります。一方、サプライチェーンの販売量やタイミングに関しても、会社の業績に直結する重要な部分であり、適切な管理と意思決定が求められます。言葉の壁もありますから、そこの部分も気をつけながら対応しています。
一方で、自分の行動がすべて数字に直結する分、結果が目に見えやすいというのは今の仕事の醍醐味です。会社の期待に応えられているという実感は得やすいですね」
会社全体では340名在籍し、そのうち田中を含めた5名が日本人駐在員です。オフィスには約40名が在籍し、タイ国籍のメンバーについて田中は次のように話します。
「タイのメンバーは非常に元気が良く、日本のように黙々と仕事をするわけではないため、オフィスは常ににぎやかな雰囲気です。積極的にコミュニケーションを取っており、日頃からメンバー同士で盛んな情報共有が行われていますね」
異なるフィールドに挑戦するためタイへ──そこで生まれた「諦めない」という価値観
2005年に東洋製罐の清水工場に入社した田中。そこから約15年間、国内で営業一筋のキャリアを歩んできました。
「入社後は営業部門に配属され、清水工場で2年ほど経験を積んだ後に本社へ異動となりました。そこでは飲料部門のクライアントを担当し、係長にも昇進しました。係長になってからは、それぞれの担当の業務をまとめるのが私の役割でした」
国内営業の経験を積む中で、田中は「より幅広いフィールドで挑戦したい」という想いが芽生えます。そんな時、上司から海外赴任の声がかかったのです。
「上司もタイに赴任していた経験があり、私も海外に興味があったことからタイへの赴任が決まりました。以前から、上司には『異なるフィールドで挑戦してみたい』と伝えていたので、実際に決まった時は本当に驚きましたが、良いタイミングだったのかなと思います」
海外赴任を決意する上で、田中が一番懸念していたのは言語の壁でした。
「やはり言語の不安は大きかったのですが、当社では語学習得をフォローしてくれる制度があります。赴任前は英会話スクールに通わせてもらい、タイに行ってからも英語とタイ語の学習支援を受けました。タイ語はまったくわからなかったため、補助を受けることができたのは非常に助かりましたね」
タイに赴任してから、田中にとって価値観が変わる印象的な出来事がありました。
「当社ではタイ国内だけでなく海外のお客様とも取引を行っています。国によっては、国内の混乱によって他国との取引が非常に厳しい状況に陥ってしまったお客様もいました。缶が調達できず、生産ラインが止まってしまったとのことで当社に声がかかったのですが、支払いに関する問題で取引が滞っていまして……。
あらゆる手法が上手くいかず途中で諦めかけましたが、粘り強く銀行との交渉を重ねていき、本社にも協力してもらいながら、なんとか取引を実現させることができました」
この経験を通じて、「どんなに厳しい局面であっても諦めない」という価値観が生まれたと言います。
「取引が難航するなど紆余曲折はありましたが、結果的には要望を叶えることができ、お客様からはすごく感謝されました。時間はかかったものの、いろんな人を巻き込みながら最後には良い形で着地できたので、諦めなくて本当に良かったですね。諦めずに着地点を探し続けることの大切さを再確認しました」
3年かけて業績を改善──お互いを高め合いながら積み上げた努力が実を結ぶ
長年、国内営業に従事していた田中ですが、タイに赴任後は「国が違うことによる難しさ」を痛感したと言います。
「国によってレギュレーションがまったく異なるので、そこが国内営業との大きな違いだと思います。関わる人たちも国内の人だけではなく、加えてローカルのルールも多く存在しますから、そこも考慮しなければいけないのは難しい部分ですね」
ときにはもどかしさを感じながらも、この難しさをポジティブに捉えています。
「お互いを高め合えるように、常に学ぶ姿勢を意識しているんです。そうすれば、もどかしい部分が出てきてもストレスにはならず、学びにつながるとポジティブに捉えられます。学び続けることは日本にいた時から大事にしていた価値観ではありますが、タイに来てからはより想いが強くなったように感じます」
仕事をする上でのやりがいに関しても、大きな変化を感じていると言います。
「自分の行動が経営に直結しますから、国内営業の時より結果がすぐ見えます。その分、難しさや責任は大きいですが、海外拠点ならではのやりがいや達成感につながっています」
タイに赴任した当時、会社の業績は低迷していたと話す田中。そこで、売上の柱を増やすために、田中は新規顧客の開拓や新しい領域に挑戦します。
「海外のお客様も取り込もうと、顧客リストを作成して求められているものを分析し、みんなで一緒に考えながら新規開拓に取り組みました。また、ココナッツウォーターなどタイならではの飲料缶の販売など、新しい取り組みにも挑戦していきました。
そうして3年かけて、ようやく業績が向上してきました。自分たちが蒔いた種が実になって返ってくるのは、やってきてよかったなと感じる一方で、ほかにもっとできることはないかと考えるようにもなりましたね」
さらに、田中は営業スタッフを一から教育したことで、業績の向上につながるだけでなく、個々の意識も変化していったと言います。
「当初、タイの営業スタッフは積極的な営業活動にはあまり慣れていませんでした。そこで、自分たちで意思決定をしながら行動してもらえるように、会社の原価構造や利益の仕組みについて、イチから丁寧に説明しながら理解を深めていきました。
根本的な部分から教育することで、仕事に対する姿勢はもちろんですが、営業としてのおもしろさや買ってもらうことの喜びを感じるところまで成長してくれました。今ではお客様の数も増え、営業チーム一丸となって取り組めていると感じます」
協力し合える文化が東洋製罐グループの強み─グローバルな環境でさらなる飛躍をめざす
国内営業をしていた頃も、自ら積極的に新しいことに取り組んでいた田中。その意識は、タイに赴任してからさらに強まりました。
「日本にいた時も、担当外のお客様を見つけに行ったり、後輩と一緒に新しい取り組みを始めたりしていたんです。もともと、そういうスタンスを持っていたので、タイへ出向したことで取り組むべきことが増え成果につながったのかもしれません」
今後のビジョンについて、田中はこう考えています。
「これまでの経験を活かしつつ、引き続き新たなことに挑戦できればと思います。帰国後は、海外での経験を日本の業務にも還元し、会社全体のグローバル化にも貢献していきたいです。国内外を問わず、自分が役立てる場所があればどこでも挑戦したいと考えています」
続いて、タイの拠点については次のようなビジョンを描いています。
「自分がいなくても仕事が回るように体制を整え、取り扱う製品の幅を広げながら拠点をさらに成長させていきたいと考えています。現在は限られたものしか扱っていないため、営業として新しい領域を開拓していきたいですね」
東洋製罐に入社して約20年。グループ会社も含めた組織の魅力を田中はこう話します。
「東洋製罐グループは缶をはじめとする容器を取り扱う企業ですが、その分野はとても幅広く、いろんな業界の企業と関わることができます。やる気さえあれば、さまざまなことにチャレンジさせてくれる環境があり、新たな挑戦を受け入れてくれる体制があることも魅力です。
また、タイに来てから感じたのは、東洋製罐グループの結束力です。タイにはグループ会社が8社あり、約40人の日本人駐在員がいます。仕事面で困ったことがあれば助け合う文化があり、人を大事にしてくれる会社だと日々実感しています。足りない部分を補い合い、メリットの有無にかかわらず協力し合う文化がある──このチーム力こそが当グループの強みだと感じています」
最後に、田中からメッセージを贈ります。
「海外勤務はハードルが高いように感じるかもしれません。でも、私も留学経験があったわけではなく、やる気があれば誰でも挑戦できますから、もっと海外を身近に感じてもらえたら嬉しいですね。
当社には語学のサポート制度も整っていますから、自ら声を上げればグローバルで活躍できるチャンスもあります。ぜひ、自分の可能性を信じて、さまざまなことにチャレンジしてほしいですね」
国や文化の違いを乗り越え、チームで1つの目標に向かって進んでいく。海外拠点ならではの醍醐味を味わいながら、田中の挑戦は続いていきます。
※ 記載内容は2024年9月時点のものです
