何万メートルものフィルムが高速で流れる食品パウチの印刷の品質を守る
東洋製罐豊橋工場は、「フレキシブルパッケージ(FP)」の全工程を一貫して担う工場です。レトルトカレーなどの食品用パウチから、洗剤の詰め替え用袋まで、その用途は多岐にわたり、年間約4,000種類もの製品を生み出しています。製造課GP(グラビア印刷)工程に所属する北岡は、レトルトカレーや鍋の素など、誰もが一度は目にしたことのあるパウチの「顔」となる印刷工程を担当しています。
「GP工程の現場は、ロール状の原紙が、驚くほどの高速でラインを駆け抜けていきます。1日に印刷されるフィルムの長さは何万メートルにもおよび、幅も多岐にわたります。毎週のように異なるパッケージデザインが配置され、印刷されます」
この工程で、北岡はオペレーターとしてライン全体を管理しています。最も神経を使うのは、印刷の品質チェック。
「高速で流れるラインの中で、わずかな変化も見逃さないよう集中します。その一瞬で不具合の有無を見極めます。もし不良を見逃してしまえば、それまでの作業が無駄になってしまう。責任感を持って、冷静に、かつ迅速に判断を下すことが求められます」
所属するのは、20代を中心とした活気あるチームです。年齢が近いこともあり、プライベートで飲みに行くほど仲が良く、現場では阿吽の呼吸でフォローしながら、連携して作業を進めています。
北岡が何より大切にしているのは、先輩からも後輩からも「頼られる人」であること。一人ひとりが役割を全うし、息を合わせて作業を進めるチームプレーこそが、この高速ラインを支える力となっています。
数歩先を見る力、先輩の動きからつかんだ「先読み」の習慣
北岡は2022年4月に東洋製罐に入社しました。入社前は「ラインを見ているのが主な仕事」というイメージを持っていましたが、実際には想像以上にアクティブな現場でした。
「配属当初は専門用語がわからず、戸惑うことも多かったです。言葉が理解できず、頭の中がパンクしそうに。わからないことは先輩が丁寧に教えてくれて、一つひとつ学んでいきました。必死に先輩の背中を追う毎日でしたね」
転機は、入社半年後に訪れた多忙なラインへの異動でした。扱う印刷の色数が増え、スピードも上がりましたが、現場の人数は変わりません。北岡は、オペレーターが機械を稼働する前に、必要な資材をすべてそろえる段取りが追いつかないという事態に陥ります。
「インクや版の準備が生産開始までに間に合わないことがありました。周囲に責められることはありませんでしたが、自分自身が情けなく、プレッシャーを感じましたね。2人で担当しているラインで自分だけが遅れると、そのまま生産効率に響いてしまうからです」
そこで北岡は、仕事の早い先輩の動きを観察し、数歩先を見据えた準備の重要性に気づきます。
「熟練した先輩は、次の準備だけでなく、2点、3点先の資材まで手元にそろえていました。私もそれを手本に、次に必要なものを瞬時に判断して動くように。これができるようになってから、ようやく自分のペースで業務を進められるようになりました。身体を使って先回りで動く感覚が、徐々に自分のものになっていく手応えを感じましたね」
「なぜそうなるのか」を教えられ、知識を線でつなぎ、原因特定ができるように
北岡のキャリアにおいて、今でも強く印象に残っている出来事があります。それは、入社2年目の終わりに直面したあるトラブルへの対応でした。
「印刷の不具合が発生したのですが、その時、私の頭の中にはいくつかの原因が浮かびました。インクの粘度の変化、版に異物が挟まること、あるいは乾燥オーブン内にフィルム片が飛び散って版に当たっている可能性など、それらを一つひとつ冷静に検証した結果、幸いにも原因を特定することができたのです。自分の判断で特定することができたため、先輩からも『習得が早い』と温かい言葉をかけてもらいました」
このときの対応を、周囲の先輩や上司が「判断力がある」と高く評価してくれました。通常、ラインのリーダーを務めるには6年ほどの経験が必要とされていますが、周囲からの後押しを受ける形で、北岡は2年目にラインのリーダーを任せてもらえるようになったのです。
「早く原因が特定できるようになったのは、先輩に質問すると常に『なぜそうなるのか』という経緯まで教えてくれ、知識を点ではなく線で理解することができたからです。こうして教わった知識は、すぐに現場で確認し、自らのスキルとして着実に定着させるよう努力を積み重ねてきました」
リーダーとして現場を統括する立場になった今、北岡が最も意識しているのは、周囲が頼りやすい雰囲気を作ることです。
「自分が新人だったとき、余裕をなくしている人には相談しづらいと感じた経験を忘れず、どんなに多忙な時でも感情を態度に出さず、笑顔を絶やさないよう心がけています。冷静に判断し、チームで情報を共有することを大切にしながら、後輩たちが仕事を深く理解できるよう、丁寧な説明を心がけ、チームを支えたいと思います」
店頭で見かける製品がモチベーション。自分が手がけた製品が誰かの手に届く瞬間が誇り
この仕事のやりがいについて、北岡はこう語ります。
「お店で自分が印刷に携わった製品を見つけたとき、一番の誇りを感じます。誰かがそれを手に取る姿をふと見かけると嬉しいですし、友人に『これ、うちで作っているんだよ』と胸を張って言えるのも、喜びですね。
入社当初は右も左もわからず苦労もありましたが、自分たちの仕事が人々の生活を支えているという確かな手応えが、今では大きなモチベーションになっています」
北岡は、自らを「身体で覚えるタイプ」だと言います。机の上でメモを取るよりも、まずは現場に立ち、身体を動かしながら実践を通して技術を吸収してきました。その努力の結果、最近では業務における視野がぐっと広がったと実感しています。
「自分のラインだけでなく、隣のラインにも目が届くようになりました。製品の切り替え作業は時間がかかり、息を切らしながら取り組むこともあります。しかし、そんな大変な時こそチームプレーで助け合う。無我夢中でスピーディーに動いていると、時間はあっという間に過ぎていきます。実は、その活気ある時間がとても楽しいんです」
東洋製罐には、個人の価値観を尊重する柔軟な風土が根付いています。北岡が愛する野球も社内チームで楽しんでおり、そこでのつながりは、現場での円滑な連携にも役立っています。
「身なりのルールも、上司が現場の声を汲み取って掛け合ってくれたおかげで、現在は製品の品質に影響のない範囲で自由度が高まりました。若い世代の価値観を否定せず、認めてくれる姿勢があるからこそ、職場に向かう足取りも自然と軽くなります」
最後に、北岡から新しい仲間へメッセージを送ります。
「専門的な知識は、後からついてくるものです。それよりも現場を積極的に動き回り、トラブルに向き合っていける体力が、ここでは一番の武器になります。印刷の世界は奥が深く、時にはベテランですら原因究明に頭を抱えることも。
しかし、完璧な人がいないからこそ、チームで知恵を出し合い、補い合って正解を追求していく過程がおもしろい。スポーツや趣味の話をしながら、一緒に楽しく働けたら嬉しいです。 ここには支えてくれる仲間がそろっています。新しい一歩を、ぜひ私たちと一緒に踏み出していきましょう」
※ 記載内容は2026年1月時点のものです
