「原理原則」を大切に、現場メンバーと協働しながらトラブル解決へ導く
現在、鈴木は静岡工場の製造課に在籍。
「担当しているのは、詰め替え用洗剤などに使われるスパウト付きパウチの製造工程です。ロール状のフィルムを裁断して袋の形にする製袋工程と、そこに注ぎ口となるスパウトを取り付ける工程の両方を見ています」
鈴木の役割は、ラインの稼働率や生産数の目標達成に向けて、現場メンバーをサポートすること。年上の先輩から若手まで、幅広い年齢層のメンバーが共に働いています。
「製造機械について一番詳しいのは、日々現場に立っているメンバーです。だからこそ私は、これまで培ってきた『原理原則』や機械の基本的な知識をもとに、トラブル対応が正しい方向に向かっているか、一緒に考えることを意識しています」
鈴木が語る「原理原則」とは、問題の表面だけを見て対処するのではなく、その根本原因を突き詰める考え方です。
「トラブルや不良が起きたときは、まずその状態をしっかりと把握することが重要です。なぜそうなったのか、4M、つまり材料(Material)、人(Man)、機械(Machine)、方法(Method)という観点で原因を考え、再発しないように対策を講じる。
機械はそれぞれ違いますが、この基本的な考え方はどんな現場でも活かせます。メンバーの知見を借りながら、一緒に最適な解決策を探していくんです」
現場でメンバーと対話を重ねてサポートにあたる一方、工場や課の生産実績などのデータをまとめて報告資料を作成する管理業務も担う鈴木。現場と管理、両方の視点を持ちながら、チームをまとめ、より良いモノづくりに取り組んでいます。
「自分がやるしかない」。3年目で託された機械立ち上げプロジェクトで得た責任感
鈴木が東洋製罐に入社したのは2010年。工業高校を卒業し、社会人としての第一歩を踏み出した時のことを、こう振り返ります。
「当時はリーマンショックの影響で、求人自体が少なかったんです。その中で高校の先生に勧められたのが東洋製罐でした。私たちの生活に不可欠な『容器』を製造する仕事なら、安定して需要があり、やりがいがありそうだと感じたのが入社の決め手です。景気の変動が激しい時代だったからこそ、会社の規模や安定性にも魅力を感じましたね」
入社後、鈴木は長きにわたりプリフォームの製造に携わります。そして2012年、彼にとって大きな転機となるプロジェクトが始動しました。品質と生産能力向上のため、新しい方式の製造機械を導入する一大プロジェクト。その立ち上げメンバーに、入社3年目の鈴木が抜擢されたのです。
「新しい機械は、それまで工場で使っていたものとは方式が異なり、静岡工場では初めての導入で、知見のある人がいない状態からのスタートでした。
社内の専門部署が選定した機械を、現場でセットアップし、良品を安定して作れる条件を見つけ出すのが私たちの役割です。温度や射出スピード、圧力、冷却時間など、無数にあるパラメーターを一つひとつ調整して、透明で濁りのない、規格通りの製品ができる最適条件を、テクニカルセンターの担当者と共に探していきました」
この困難なプロジェクトを任されたのは、鈴木のほか、年上の先輩や同期を含む4人ほどの少人数のチームでした。
「当時の上司が、若いうちからさまざまな経験を積ませるという方針でした。だから、私のような3年目の若手を最前線に立たせてくれて、ベテランの先輩たちがしっかりとフォローしてくれる体制だったんです。
また、入社以降担当していた旧型機のメンテナンスを通じて、機械の基本的な構造や電気的な知識は身についていました。その土台があったからこそ、新しい機械にも向き合えたのだと思います」
少数精鋭のプロジェクトだけに、若手であっても大きな責任が伴います。交替勤務で24時間稼働する工場では、その時間帯の現場担当者の中で、機械に詳しい立ち上げメンバーが鈴木1人だけ、という場面も多く発生します。
「担当する時間帯に何かトラブルがあれば、私がどうにかするしかない。だから、テクニカルセンターの人に必死で質問し、構造を理解しました。この経験を通じて、まず自分自身が理解して道筋を見出すという責任感はもちろん、成形技術に関する知識も深く学ぶことができました。
プロジェクト完了までには2年近くを要しましたが、最終的にラインが安定稼働し、製品が出荷されていくのを見た時は、大きな達成感がありましたね」
工場と開発部門をつなぐ「潤滑油」として。新天地で広がった視野と人脈
立ち上げの経験で得た責任感と深い知識は、鈴木のキャリアを新たなステージへと押し上げました。2021年、テクニカルセンターに新設された「プロセスイノベーション技術開発部(PIT)」へ異動することに。PITのミッションは、工場での効率的な生産をサポートし、テクニカルセンターで開発された新技術をより早く確実に各工場へ展開することです。
「PITでも、静岡工場と同様、プリフォームを担当することになりましたが、仕事の舞台は全工場に広がりました。工場での改善活動や、新しい設備の立ち上げをサポートするのが主な業務です。
たとえば、広島工場で他社製の機械と接続する新しいラインが立ち上がった際には、現地に赴き、部署のメンバーをはじめ、テクニカルセンターや工場の製造課のメンバーと共に製造条件の最適化に取り組みました。テクニカルセンターの担当者が技術的な観点から分析するのに対して、私たちは、作業のしやすさや現場の安全性を高めるための設備改善の観点からさまざまな課題解決に当たります」
静岡工場にいた頃は、出張に行く機会はほとんどなかったと言う鈴木。PITに行ってからは、埼玉や大阪、広島など、全国の拠点に足を運びました。
「金型の不具合など、各地の工場で起きている課題を直接見て現場の意見を聞き、それをテクニカルセンターに正確にフィードバックすることが求められました。双方の立場や考え方を理解していなければならない難しい業務でしたが、製造現場の経験があったからこそ、工場とテクニカルセンターをつなぐ“潤滑油”のような役割を果たせたと思います」
またPITには、パウチやPETボトル、缶など、さまざまな製品分野の経験を持つメンバーが集まっていました。年齢層も30~50代のベテランから年下まで幅広く、多様なバックグラウンドを持つ仲間との交流は、大きな刺激になったと話します。
「さまざまな工程の情報を知ることができましたし、技術的にわからないことがあっても、すぐに相談できる人がたくさんいる環境でした。また、他工場やお客さまとのやり取りを通して仕事の幅が大いに広がりました。ここで得た知識や人脈は、現在、静岡工場に新設されて間もないパウチ工程を管理する上でも大きな助けになっています。視野が格段に広がった3年間でしたね」
自身も経験した「若手の挑戦をチームで支える文化」を未来へつなぎたい
PITから静岡工場の製造現場に戻って約1年。鈴木は今、新たな目標を見据えています。
「今担当しているラインは、立ち上がってから日が浅いものもあります。まずはこのラインを安定稼働させることが第一の目標です。その上で、担当者の負担を減らし、効率よく生産できる工程に改善していきたい。皆で知恵を出し合えば、品質も生産性も最大限に高められるはずです」
キャリアを振り返ると、常に「立ち上げ」という挑戦の場に身を置いてきた鈴木。その経験が、関係部門を巻き込み、協力しながら物事を前に進めるという強みになっています。
「自分1人の力で解決してきたというより、いつも関係部門の仲間たちの協力やフォローがありました。1人で考えるよりも、多くの人の知識を借りた方が、より早く正解にたどり着けます。全員で連携しながらやっていくことが何より大切だと感じますね」
この「全員で取り組む」姿勢は、若手時代の上司の姿から学んだものでもあります。責任ある仕事を任せ、挑戦を促し、陰ではしっかりと支える。その文化を、今度は鈴木自身が後輩たちに継承していきたいと語ります。
「何事も、現場に立って実際に自分でやってみないと、仕事の本質はわかりません。だから、若手メンバーには積極的に挑戦してほしい。そして、私は彼らを全力でフォローできる存在でありたいと思っています」
自分だけでなく、同期の仲間もまた、若いうちから他工場との人的交流に参加するなど、それぞれの場所で挑戦を続けてきたと話す鈴木。挑戦を後押しする文化は、東洋製罐全体に根付いています。
最後に、これから東洋製罐をめざす若い世代に向けて、鈴木はこんなメッセージを贈ります。
「当社は、積極的に新しい仕事を任せてくれる会社です。その挑戦が、自分自身の成長につながります。現状維持で満足するのではなく、『こんなことをしたい』と自分の意見を持ち、会社や工場をより良くしていきたいという気概のある人にぜひ来てほしいですね。チャレンジ精神が、ここでは何よりの強みになるはずです」
※ 記載内容は2025年6月時点のものです
