三位一体となって生産ラインの課題を解決。期待を超える付加価値のある提案をめざす
ロボティクス事業部エンジニアリングセンターの広畑ロボティクスグループに在籍する森本。事業部全体は約90名のメンバーで構成され、そのうち、およそ1/3が同グループに所属しています。
「メーカーの生産設備について、ロボティクス(ロボット工学)による自動化、品質改善、生産性能向上の提案を行い、設計段階から製造、設置後の試運転、メンテナンスまでワンストップで事業を展開しています。親会社である鉄鋼メーカーにとどまらず、自動車メーカーやガラスメーカーなど、幅広い業種のお客さまに生産設備を納めてきました」
グループの中でも、森本はトータルエンジニアとして生産設備に組み込む機械設計を担当しています。各メーカーは生産上さまざまな課題を抱えているため、細かくヒアリングを行い技術課題を抽出し、試験設備をつくって問題点をクリアしながら設備を完成させていくと言います。
「生産設備にはさまざまな種類がありますが、私はとくに『ホットスタンプ』という、成形難易度の高い自動車用高強度鋼板を加熱してプレスする成形技術に長く携わってきました。
お客さまからは『ホットスタンプ設備の加熱システムをCO2削減のためにガス炉から電気炉に切り替えたい』という要望があり、これに対して技術開発や事前テストに取り組み、課題解決を提案。この提案が高く評価され、その後、20ライン以上の大型契約受注に結び付きました」
設備の導入に際しては、設備計画の立案から見積もり、設計・製作管理、そして現地で機械の据え付けや試運転まで森本が担当。その中で大切にしていることがあります。
「お客さま、ベンダーさん、私たちが三位一体となってお客さまの満足度向上に努めてきました。たとえば、ホットスタンプ設備で、ロボットが鋼板を搬送するルートを検討する際には、複数社のロボットを用いてシミュレーションを重ね、最適と思える提案を行いました。お客さまの期待を超える付加価値のある提案をめざすところに、自分の強みがあると思っています」
製鉄所のスケールの大きさに覚えた感動。上司の教えを胸にノウハウを蓄積していく
大学院ではロボティクスを専攻し、猫型ロボットの研究をしていた森本。日鉄テックスエンジに惹かれた理由を次のように振り返ります。
「私はもともと大きく角ばった『メカメカしい』フォルムが好きで、大型設備を手がけるメーカーで働きたいと考えていました。『ロボット=単純作業を行うもの』というイメージを持っていたため、それほど興味がありませんでした。
ところが、当社の企業説明会に参加しロボティクス事業について知ることで、そのイメージが一変しました。とくに印象的だったのは、当社ではさまざまな装置とロボットを組み合わせて複雑な動きを実現していること。さらに、当社が扱う設備はメカメカしいものばかり。これはおもしろそうだと感じたのを覚えています」
そして日本製鉄の関西製鉄所和歌山地区の高炉を見学したことが、入社の決め手になりました。
「製鉄所の圧倒的な規模に驚嘆しました。『こんなに巨大な設備をどうやって動かしているんだろう。そこにどんな技術やノウハウがあるんだろう?』と興味がいっそう深まり、入社を決意しました」
入社後、機械の図面作成や強度計算からキャリアをスタートさせた森本。1年目に出会った上司の教えがとくに印象的だったと言います。
「豊富な技術の知識を持ち、問題解決能力に長けた上司だったのですが、とくに印象的だったのは、1日1ページ、ノートを書くことの大切さを教えられたことです。書くのはメモではなくノート。ノートだから誰が見てもわかるように情報を整理して記録するよう勧められました。
3年目を迎えるころにはノートは4〜5冊に。たとえば、特定の計算式を忘れてしまっても、該当ページを開けばすぐに思い出せる、なくてはならないノウハウの蓄積になりました」
入社3年目には、単独で現場を訪問するようになりました。
「現場に足を運ぶうちにベンダーさんやお客さまと話す機会が増え、早い段階で現場の機械改造などもまかされるようになりました。6年目には、見積もりから設計、試運転まで、プロジェクト全体の主担当に。
当初は社内外に指示を出すことに不安があり、お客さまやベンダーさんとの電話による情報交換に多くの時間を費やしていた記憶があります。非効率的な方法だったかもしれませんが、この情報交換がお客さまやベンダーさんとの関係を深める良いきっかけになったと思います」
10年目以降はプロジェクトマネジャーとして案件を統括する立場に。新人を指導する立場になったいま、上司の教えを胸に、後輩にも同じようにノートを取るよう指導していると言います。
「技術だけでなく、仕事の本質やノウハウを教えてくれた新人時代の上司のことをいまでも師と仰いでいて、当時の教えはいまに活きています」
思い描いたものをカタチに。ダイナミックに動かせることがロボティクスの魅力
これまで数々のことを経験してきたと話す森本。中でもとくに大きな学びにつながった出来事がありました。
「納品設備にトラブルが発生し、急いで復旧させたことがありました。原因は私のミスでしたが、周りの仲間が優先してトラブルを解析してくれたり、別グループの方たちが材料メーカーに問い合わせてくれたり、そしてベンダーさんが難しい加工を急ピッチで進めてくれたり。
結果として、社内外の10人以上を巻き込む事態となりましたが、トラブルは無事解決され、最終的にはお客さまの満足も得られました。この時に感じたチームワークへの感謝は、私にとって大きな財産となっています」
森本がこのことをいまも鮮明に覚えている理由はもうひとつあります。
「トラブルが解決した後、『このトラブルを通じて、何を教訓として得たか』と上司から何度も問われました。その問いかけに対して、仕事の進め方や技術の面での問題点を再検討することで、スケジュール管理が不十分だったことを痛感したんです。
当時、お客さまから追加要望を受けて何度も設計を見直した結果、プロジェクト後半のスケジュールが圧迫されてしまったことがトラブルの一因でした。プロジェクトの初期段階で余裕を持ってスケジュール管理することの重要性を学び、意識改革につながったことはとても大きな気づきでした。これは、その後プロジェクトマネジャーとして海外に出張した際にも活きました」
現地エンジニアとは言葉が通じなくても、専門用語や図面で意思疎通が取れると笑顔で語る森本。この仕事は魅力にあふれていると言います。
「自分が想像するロボットをカタチにして、大規模な設備で動かせるのがロボティクスの魅力です。また、ロボティクス事業部は、機電複合で設備の基本計画から現地での試運転まで、たくさんのものを組み合わせて大きな設備を動かしていくので、0を1にするどころか、1を10にするおもしろさがあります。
幅広い業種のプロジェクトに参加できる点も魅力的です。業界ごとに設備の特徴が異なるため、新たな発見につながっています。また、自分が手がけた設備で生産された自動車を街で見かけた時は、大きなやりがいを感じますね」
組織力を高め、より大規模な設備プロジェクトに挑めるチームに
事業部の中で中核的な役割を果たす森本。これから入社を希望する学生に伝えたいことがあると言います。
「自分の『こうしたい』というアイデアを表現できる人を歓迎します。独自のアイデアがあれば、達成時の喜びは大きいもの。他のメンバーと意見交換しながら、アイデアに磨きをかけていってほしいと思います。
アイデアを生み出すには、観察力が欠かせません。世の中の動きや新しい技術を注意深く見ることで、おのずとお客さまの要求の背後にあるニーズが理解できると考えています。
また実務的なスキルよりも、物理学や力学など、大学で学ぶ基礎科学を身につけることが重要だと思います。良いアイデアは、基礎知識の上に生まれるものだからです」
そんな森本の現在の目標は、人材育成。さらに次のように続けます。
「私たちのチームは20〜50代までの幅広い世代から構成されており、技術的なことを相談できる先輩もいれば、気軽な会話ができる同年代のメンバーもいて、非常に居心地が良い環境です。
ロボティクスの中でも私は機械が専門ですが、電気を担当するメンバーが近くにいるなど、専門分野を超えて活発に情報交換しながら設計業務を進められていて、とても良いチームワークがあると感じます。
ひとりでできる仕事は限られていますから、今後は新人を一人前に育てることにさらに力を注いでいくつもりです。組織力の向上に貢献し、複数の案件をスムーズに進行できるチームへと育て、将来的にはさらに大規模な設備プロジェクトに挑戦したいです」
斬新なアイデアを一つひとつカタチにしてきた森本。その想像力が、これからも次世代の技術革新の道を切り拓いていきます。
※ 記載内容は2024年2月時点のものです
