対話を軸に、業務改善を進める。品質管理において重要なことはコミュニケーション
大分生産部 厚板精整課の工長を務める壁村。厚板製品の品質管理担当として、6つの職場を見守っています。
「厚板というのは板厚が4.5㎜から105㎜までの製品。幅は1mから5m、長さは3mから28mまでと規格はさまざまで、主に船舶や建築物、最近では風力発電の土台など、社会インフラを支える重要な製品の素材として使用されています。
工場には、ガス切り、塗装、矯正、疵の手入れ、クレーン、試験片切り出しの6つの職場があり、連携して製品を生み出しています」
とくに40㎜以上の厚い板は、通常の刃での切断が難しく、ガス切りという特殊な技術が必要だと言う壁村。どんな工程でつくった製品でも高品質を担保するために、日々品質管理の仕事に向き合っています。
「品質管理の業務は、大きく分けて3つあります。1つは、現場でトラブルや異常が発生した時、その原因を究明して対策を策定すること。2つめは監査対応で、厚板精整エリアに監査が入る場合、質問に回答したり確認したりする役割。
3つめが、現場からの改善要望などを主管工場に伝えること。実際に作業している方たちからの提案や要望をとりまとめ、日本製鉄の担当者へプレゼンし、業務改善につなげています」
こうした業務を担う壁村にとって欠かせないのが、現場とのコミュニケーション。管理者として一方的に要求するのではなく、対話することを大切にしています。
「たとえばヒューマンエラーが起きた時、ミスをした人はミスをしたくて起こしたわけではありません。その時は正しいと判断して行動したはずで、そこには判断を間違えるに至った“罠”があります。『なぜそのような判断をしたのか』という背景をしっかり聞き取って、今後間違った判断がされないように“罠”を取り除く対策を考えることが重要であり、本当の原因を理解できなければ、適切な改善もできないと考えています。
また、品質管理という仕事は、現場の作業内容や状況、使われているシステムなどを理解していないと成り立ちません。そうした部分はまだまだ勉強が必要なため、現場のパトロールをしながら知識を身につけています」
厚板精整の現場を経験し、品質管理部門へ。両方の業務を知ったことが大きな学びに
父親が土木関係の仕事をしていた影響から、高校・専門学校では土木建築を専攻した壁村。卒業後は測量のコンサルタント会社に就職したのち、日鉄テックスエンジと出会いました。
壁村が最初に担当したのが、鉄鋼板をガスで溶断する「ガス切り」作業や、板についた疵などの欠陥を見つける「手入れ」という作業。まったく未知の分野に、最初はとまどったと振り返ります。
「ガスで鉄板が切れる、ということ自体それまで知りませんでしたし、疵を見つける作業も、最初はどれが疵なのかすらわかりませんでした。先輩が作業する姿を見て学び、徐々に覚えていったのですが、初めて実際の製品を切るのを任された時は緊張しましたね」
その後壁村は、日本製鉄の品質管理部門に4年間出向。この経験が現在の仕事に大きく活きています。
「品質管理部門では、前日の作業実績を確認して朝会で報告したり、トラブルが起きた時に原因を調査したりという業務がメインでした。現在の仕事に通じる内容で、品質管理の基礎を学んだ期間でしたね。
また、それまで担当していた現場作業に加え、品質管理業務を経験できたことは、私にとって大きな学びになりました。品質管理をする上で現場のどんな情報が必要なのかがわかるようになったんです。現場との連携の大切さを実感したのも、この時だったと思います」
現場にトラブルがなく、効率的に生産できるように。品質管理の醍醐味を語る
日本製鉄で4年間品質管理に従事した後、再び厚板精整の現場に戻った壁村。キャリアの転機となったのは2017年でした。
「私が担当している工場が8カ月間稼働できず、加工設備などが使えない状態になりました。そこで私たちは別の工場で作られた板材を受け入れ、仕分けして出荷するという業務をすることになったんです。
その時私に任されたのが、作業手順を整えたり、品質面に問題がないか確認するといった品質管理に近い業務。限られた期間の中でも正確に業務を完遂するため、全体を見ながら冷静に進めていく力を、この時養うことができました」
こうしたこともあり、壁村は工場が稼働を再開した後も、品質管理に携わることになり、現在に至ります。長く続けてきたこの仕事の難しさとおもしろさを、どのように感じているのでしょうか。
「品質管理の仕事は、ひとたびトラブルが発生すると、時間や状況に関係なく即座に対応しなければなりません。退勤直前などに急遽対応が入ることもあるので、その点は覚悟が必要です。
一方で、現場の方と対話を重ねながら問題解決を図り、自分の考えを改善策に反映できることにやりがいを感じます。その結果、現場の方の作業がはかどったりするという結果が見えると嬉しいですね」
現場にトラブルがなく、効率的に生産できるように──壁村がそんな想いで取り組んだ、ある改善事例があります。
「流れてきた鉄板を検査する工程があるのですが、検査項目が多すぎると、人はどうしても見落としてしまうことがあります。そこで、これまでの工程で、すでに確認済みの項目は検査を省略することを提案しました。この場でしっかり確認すべきことと、確認しなくてもよいことを区別し、やるべきことに集中すればミスも減ると考えたんです。
作業工程は私たちが勝手に変えていいわけではなく、主管工場や日本製鉄の方々にも説明し、了承を得る必要があります。社内からも、これまでのやり方を変えることに反対する意見がありました。ですが、改善による効果などを整理して説明することで、理解してもらうことができました。
結果として、現場の方々の作業が楽になり、かつミスも減るという点で貢献できたことは、確かな手応えになりました」
業務のデジタル化を進め、現場の方たちが重要業務に集中できる環境をつくりたい
日鉄テックスエンジに入社して17年。壁村はこの会社で働く魅力について次のように語ります。
「待遇面がしっかりしていることに加えて、成果がしっかりと評価される環境です。また、社内の人たちともコミュニケーションが取りやすいことも魅力です。品質管理担当のもう1人の同僚とは席も近く、仕事以外の話もよくしています」
現場とのコミュニケーションが何よりも重要──そう考える壁村が現在力を入れているのが、業務のデジタル化です。
つい先日、現場の全員に携帯端末が配布されたところですので、皆さんの要望や意見を聞きながらさらなるデジタル化を進めていきたいですね」
改善を進める原動力について、壁村はこう語ります。
