現場第一線の声を聞き、自らの経験で決定し形にする仕事
電計事業本部の工事事業部は、電気・計装工事を専門とする組織です。親会社である日本製鉄の仕事を中心に、再生可能エネルギー設備、半導体工場、データセンター、SAF(持続可能な航空燃料)関連施設、マンションなど、幅広い分野の電気・計装工事を手がけています。
その中で、山田が所属する工事企画グループでは、事業部全体の売上目標や利益計画の策定に加え、それを達成するためのKPI設定や中長期的な戦略立案を担っています。
「現場で培った経験があるからこそ、数字だけでは見えない課題や可能性を捉えることができます。そして、これらを基に、現場の実態に即した戦略を描き、反映させることが、成果につながると考えています」
また、山田はDX推進の仕事も行っています。
「近年、企業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の重要性が高まる中、当社でも現場のDX化に力を入れています。工事企画グループでは、仕事の効率化と品質向上を目的に、積算システムの刷新や、重複作業を排除したドキュメントの一元管理システムの開発を急ピッチで進めています。
また、現場の作業負荷を軽減するために、一度の入力で仕様書や施工計画書などを自動生成できる仕組みの導入もめざしています。さらに、見積もり情報を活用した人材管理システムの構築も計画中です。
従来は個々の経歴を人づてに確認していましたが、見積書に記載された業務内容に着目し、客観的な人材評価の仕組みづくりを進めています。見積もりから得られる情報を、業務経歴や技能評価の実績として活用し、より効率的で公平な人材管理を実現したいと考えています」
仕事に取り組む上で山田が重視しているのは、“人の意見を尊重しながらも、自分なりの判断基準を持つこと”です。
「システムなど、広く使われるものは人の意見を聞いて作り上げるべきだと思っています。一方で、ものづくりには自分の経験に基づいた判断やポリシーが必要です。
現場目線を大切にしながら、社員一人ひとりと向き合い、より良い仕組みづくりに取り組む。その判断基準となるのは、自身が積み重ねてきた現場での経験です」
厳しさの中にあった成長の種。先輩の姿から学んだ“自分なりの完成形”を描く力
山田が入社したのはバブル全盛期の1992年。社会全体が活気に溢れていた時代に当時の君津支店第一工事課に配属され、日本製鉄向け熱延仕上げ制御更新工事などの案件に携わりました。
「当時は現場の職人さんからの厳しい指導が日常茶飯事でした。現場監督として施工管理の立場でしたが、経験が浅く、正しい指示ができないことも多々ありました。そんな中で、職人さんから“愛のある叱咤激励”を何度もいただきました。大変でしたが、そのおかげで一通りの仕事を早く覚えることができました」
その後、1998年にプラント工事グループへ異動します。ここで経験したのが“設計施工”という働き方でした。
「一般的には、設計と施工が分業されていることがほとんどですが、設計施工では1人で計画から設計、施工までを担当します。設計段階から関わることで、誰よりも工事内容を理解した状態で施工に臨むことができるのが最大のメリットです。情報の一貫性が、品質にもつながります」
一方で、設計施工には生産性の面での課題もありました。
「設計と施工を1人で担うため、一つの案件を完成させなければ次の案件に取り掛かることができないなど、業務の効率性という点では難しさもありました」
また、この時期、さまざまな企業からの仕事が増えたことで、山田の仕事の幅も大きく広がりました。
「さまざまなお客さまと接することで、エンドユーザーやパートナー企業も変わり、人との関わり方も多様になりました。その都度、異なる価値観やニーズに触れることで、視野が広がったと感じています」
当時、現場には山田にとってのロールモデルとなる先輩社員がいました。
「その先輩は、常に先を読み、打ち合わせの流れを自分のペースに導く力を持っていました。自分の作りたいものが明確に見えているからこそできることだと思います。その背中を見て、私も『自分なりの完成形をめざす』という仕事への向き合い方を身につけることができましたね」
マネージャーとしての第一歩─部下に任せる難しさを知り、任せることで得られた気づき
2017年、山田はプラント工事グループ長に就任。長年現場で培ってきた経験と自分なりのやり方があったからこそ、管理職としての指導に悩むことになります。
「今まで現場でずっとやってきたので、資料の作り方やお客さまとの接し方など、自分なりのスタイルが確立していました。それを、管理職として現場の所長や設計担当者に伝えることが難しく、人に教えるよりも自分でやった方が早いと思ってしまうタイプでした。人に任せることに苦手意識や不安がありました」
この状況が大きく変わるきっかけとなったのが、2011年の東日本大震災です。震災から半年ほど経った頃、山田は3日間だけボランティア活動に参加しました。
「当時40歳前でしたが、恥ずかしながらほぼ何の役にも立てませんでした。言われた通りの作業を淡々とこなすだけで、体力的にも迷惑をかけたのを覚えています」
この経験を通じて、山田は“自分ができること”よりも“人に任せること”の重要性を痛感します。震災後には太陽光発電バブルが起こり、仕事量が格段に増加、顧客対応に追われる中で、現場の業務を部下に完全に任せる必要が生じました。
「この経験を通じて部下に権限を委譲することの重要性を学び、現在のマネジメントにおいてもその時の学びが活かされています」
2022年からは、工事企画グループとして、事業部全体の売上目標や利益計画の策定、KPI設定、中長期的な戦略立案、さらにDXによる業務効率化を目的としたシステム開発に取り組んでいます。
現場での経験を活かしながら、チームの力を信じて任せることで、自分自身も成長できる──それが山田のマネジメントスタイルです。
多様なキャリアが叶う会社で──未来における戦略と働き方改革への挑戦
長年にわたり日鉄テックスエンジでさまざまな現場を経験してきた山田は、同社の最大の魅力を“総合力”だと語ります。
「一般的な建設会社は、建物や機械装置、設備工事など、個々の工事を完成して引き渡すところまでが業務範囲です。しかし、当社はそれだけにとどまらず、工事完成後の設備メンテナンスまで一貫して請け負うことができます。こうした点を、私たちは『総合力』と呼んでいますが、実はここまで一貫して対応できる会社は非常に少ないんです」
この“総合力”は、顧客へのサービスの幅広さだけでなく、社員のキャリア形成にも大きなメリットをもたらしています。
「入社して『この仕事は自分に合わないかもしれない』と感じたとしても、建設、機械据付、整備など多様な業務があります。私が所属する電計事業本部だけでも、設計、工事、システム開発といった選択肢がそろっているため、合わないから辞めるのではなく、自分に合った部署へ異動するという選択ができるのは大きな魅力だと思います」
現在、山田が力を注いでいるのは、DXによる業務効率化です。現場の負担を軽減し、より戦略的な業務に集中できる環境づくりをめざしています。
「まず現場の業務をどれだけ減らせるかが課題で、工事監督が現場に多くの時間を束縛されている状況をなんとか改善したい。タブレット端末などを用い、今までキーボードで打っていた指示書は音声入力で文章はAIが構築する仕組みで、現場でもある程度の業務ができるような自動化を進めていきたいです」
そして、さらなる将来に向けては、より戦略的な視点での貢献をめざしています。
「私が所属している電計事業本部では、現在は工事部門が売上のトップランナーとして事業を牽引しています。しかし、将来的には他部門が主力となる時代が訪れると考えています。その時に備えて、工事部門において、今いる人員にどのようなキャリアを積ませ、どのように育成していくか。
そして、どのような人員構成であれば、最も効率的かつ利益を最大化できるのか──そうした人材育成と利益分析に取り組めるような業務にもチャレンジしたいと考えています」
多様な事業領域を持つ日鉄テックスエンジだからこそ実現できる、柔軟なキャリア形成と変化への適応力。山田の長きに渡る豊富な経験が同社の可能性を物語っています。
※ 記載内容は2025年10月時点のものです
