製鉄所を支える制御技術。進化を続けるために「ボトムアップ」を大切にしていく
日鉄テックスエンジの電計事業本部 エンジニアリング事業部。大手鉄鋼メーカーである日本製鉄の製鉄所における制御技術を担う重要な部門です。
「原料を輸入するところから鉄鋼石を溶かして銑鉄にし、その後製品にするまで、鉄鋼の現場にはさまざまな製造工程があります。私たちエンジニアリング事業部は、その工程で必要な電気系統と計装系統の制御関係の仕事を担当しています」
エンジニアリング事業部エンジ企画グループでアシスタントマネジャーを務める立野。工場を稼働させるための制御技術について説明します。
「私たちが提供する技術は、大きく2つの役割をはたしています。1つめは、電気制御というモーターなどのアクチュエーターを制御することで工場の設備を動かすもの。2つめは、計装制御という水やガスなどの流体を制御することで製品の品質を担保するものです。
昔はPLCのような機器がなく、すべてハードウェアの回路で構成されていましたが、今は、コンピュータを使用したソフトウェアによる制御が主流です。私たちは、長年日本製鉄の生産ラインにこの技術を提供しており、近年では食品・化学・紙パルプ・電力・環境といった幅広い業界にサービスを提供しています」
現在、立野が所属しているエンジ企画グループは、全国各地の拠点で行われる業務の調整役として機能しています。
「各拠点のメンバーが実際に設計業務や現地での施工業務を行っています。彼らの業務を円滑に進めるために、契約前の顧客との調整のサポートや社内の実行体制の調整をするのが私の役割です。また、全国各拠点の工事の進捗確認や収益面の確認なども行っています」
そのほか、エンジニアリング事業部では新技術導入に関する課題にも取り組んでいます。
「直近の新しい技術でいうと、AIの導入です。将来の事業部のあるべき姿を見据え、生成AIをどう活用していくのかという方針を決めて検証・開発を促しています」
こうした業務を進める上で、立野が大事にしているのが「ボトムアップ」の考え方です。
「新しい技術に対して、柔軟で直感的な意見を持つ若手の声を常に反映できる、ボトムアップな仕組みづくりが重要だと思っています。そのため、私自身がさまざまな声を吸い上げ、エンジニアリング事業部内に広く展開するように心がけています」
大規模プロジェクトへの参加、技術営業への挑戦。未経験の業務に飛び込む
大学では電気電子工学を学んでいた立野。その後、日鉄テックスエンジへと入社します。
「入社後は、北海道にある室蘭支店に配属されました。そこで、鉄鋼プロセスに必要な昇温したコークス(石炭をコークス炉にて高温で乾留することで得られる炭素質の固体)を次の工程に運ぶため、製鉄所内に敷設された鉄道ルートを変更するという大規模な案件を担当することになったんです」
設計業務を学びながら、電車の動作プログラムや動作設計、機能確認などを行っていった立野。
「とくに印象深かったのは、設計後の現地での試運転で指揮者を任されたことです。1年目としてはハードルが高い仕事でしたが、電車担当やコークス側担当などさまざまな部署との調整、お客さまとの打ち合わせなど複合的な指揮を執る経験ができました」
この経験は、後の仕事に大きな影響を与えることになります。
「試運転とスケジュールの進め方が重要で、事前にしっかりイメージしておく必要があることを学びました。あらかじめさまざまな状況を考慮して進めることで、ある程度計画通りに進められます。
この経験は、プロジェクト全体のスケジュール感を把握し、マイルストーンを事前に決めて進めることの重要性を教えてくれました」
入社8年目となる2017年、立野は日本製鉄大分製鉄所(現九州製鉄所大分地区)での仕事で大きな転機を迎えます。
「詳細なプロジェクト内容はお話しできないのですが、1,000人以上が関わる大規模プロジェクトで、その中の4〜6人のコアチームの一員として、参加しました。そこで、設計や調整だけでなく、配線のルート構築など、通常の業務では経験できない貴重な経験を積むことができました。
もっとも大変だったのは、これまで担当したことがない専門外の設備に対する知識不足でした。しかし、多くの仲間と協力し、期限内でプロジェクトを完遂することができました。この経験が後の技術営業へのステップアップにもつながり、強い人脈も築くことができました」
技術営業をめざして、自ら選んだ異動と新たな壁。すべてが今に生きる財産に
2018年、立野は室蘭支店を離れ、福岡県北九州市にある八幡支店へ異動となります。これまでの経験を活かし、技術営業の道をめざしたことが背景にあったと振り返ります。
「技術営業としてお客さまのところへ伺い、古い設備の更新提案や見積作成、契約締結などの仕事をしたいと考えるようになっていました。そこで、技術営業グループのある八幡支店への異動を希望しました」
しかし、八幡支店では予想以上の技術的な壁が待ち受けていました。
「室蘭支店時代では比較的大きな設備を扱い、動きが単純な制御を担当していましたが、八幡支店では連続ラインを担当することになり、より高度な技術が求められていたんです。
たとえば、鉄板を適切な張力で制御しないと、巻きほどけたり、切れたりする問題が発生するため、より深い知識が必要でした」
通常10年かけて習得する技術を3年程度で習得しなければならない状況でしたが、会社からの手厚いサポートがありました。
「八幡支店のエース級のメンバーが指導者となってくれ、密に連携を取りながら教育を受けることができました。まだまだ技術習得には道半ばですが、連続ライン技術のおもしろさを身をもって感じました」
その後、2022年に東京での企画業務という新たな挑戦の機会が訪れます。
「企画部署の存在は知っていましたが、具体的な業務内容はまったく把握していない状況でした。ただ、新しいことへのチャレンジ精神から、話があった際には二つ返事で引き受けました。
技術営業も非常に楽しかったのですが、企画系の仕事ができるタイミングが来たので一歩踏み出そうと考えたのです」
さまざまな場所での経験は、現在の仕事に大きく活きています。
「各エリアでの経験を通じて得られた人脈は、とても大きな財産です。困った時に相談できる人が多くなり、相談できる内容も広がりました。現場経験があることで調整やフォローもしやすく、誰がどんな案件に強いかという情報も把握できています」
温かい社風と豊富なチャレンジ環境。この場所で真摯に向き合い、未来を作っていく
日鉄テックスエンジの魅力は何か──立野はこれまでのキャリアを振り返り、豊富なチャレンジの機会だと答えます。
「専門性の高い人材と幅広い部署があるため、いろいろなことに挑戦する機会がたくさんあるところが魅力だと思っています。エンジニアリング事業部の中だけでも、エリアが変わるとお客さまもまったく違うため、スキルアップが可能です。自身の幅出しができる機会は多くあると思っています。
年2回の人事異動の希望を出せる機会があり、普段から上司に相談できる環境も整っているので、周囲のサポートがあることも魅力ですね」
また、社風についてもこう語ります。
「入社当時を振り返ると、明確なキャリアイメージはなかったものの社風に助けられました。社内のメンバーがとても温かく、家族のような雰囲気なんです。休みの日も家族ぐるみで一緒に集まるような会社です。
上司も『何か失敗しても責任を取るから、思いきりやれ』と言ってくれるような人ばかりで、迷うことなく仕事に集中することができています」
そんな環境の中で、とくに活躍できる人材像について、立野は次のように語ります。
「コミュニケーション能力が高くて、いろいろな人と会話するのが好きな方。たとえば、いろいろなところに行ってみたいとか、好奇心旺盛なタイプの方はすごく馴染みやすいのではないでしょうか。さまざまなことを吸収したい、経験したいと思っている方にとって、当社はとてもよい環境だと思います」
今後の展望について、立野は環境の変化を踏まえた新しい挑戦を考えています。
「事業部内のDXを担当しているのですが、各エリアの意見も聞きつつ、今の時代や環境変化に合った働き方に変えていくことを考えています。
あと10年も経てば、わたしたちの代が事業部の中核を担うことになってくると思うので、将来を見据え、営業的な戦略や事業部内の体制はどうあるべきなのかを真剣に考えていかなければなりません。そこに少しでも寄与するような働き方や役割を担うことができればと考えています」
最後に、若手社員へメッセージを送ります。
「私は、同世代の中では異動が多い方だと思います。ですが、人によってキャリアは違うので、10年程度同じエリアで働き、そこで技術をしっかり積み上げていく方もいらっしゃいます。
いずれにせよ、目の前の仕事に真摯に取り組むことで、さまざまなキャリアの道が拓けてくると思います。私のことも、『自身が求めればこういうこともできる』という1つの例として見ながら、自分らしいキャリアパスを描いていってください」
※ 記載内容は2025年4月時点のものです
