製鉄所における特殊な設備を担当。レビューを繰り返してプロジェクトをスムーズに
現在、機械事業本部エンジニアリング事業部機械エンジ4部の部長を務める沼田。この部署では千葉県の君津エリア、市川エリア、茨城の鹿島エリアのほか、東北や北海道の室蘭にも広がる、広範囲なエリアを担当し、製鉄所をメインに機械のエンジニアリング(設計業務)を行っています。
「部署は7グループで構成され、所属社員は約110名。協力いただいている技術員の方を含めると、約150名におよぶ組織になります。おもな業務は、親会社である日本製鉄の製鉄関係のエンジニアリング(設計業務)。仕事の約75%が製鉄関係の案件、残りの25%が製鉄以外の案件です」
製鉄所には、さまざまな規模・用途の機械が活躍しています。たとえば、最上流の工程で鉄を溶解する「高炉製銑エリア」は、ひとつあたりの重量が100トンクラスのものも。
一方で、高炉から出てきた溶けた鉄は製鋼工程の「転炉」や「連続鋳造設備」などを経て強靭な鋼に変わり、中間素材であるスラブができます。このスラブが「圧延機」で薄く延ばされて、鋼板となります。このような工程で使用される、さまざまな規模の特殊な機械設備の設計、製作、据付を行っています。
「仕事をスムーズに進行するために実施しているのが、デザインレビューと呼んでいる設計段階での良し悪しを評価するミーティング。これは案件を受注したらすぐに担当に振り分けるのではなく、私やグループ長、営業や工事部などの関連部署とともに、まずは案件の進め方をすり合わせます。
『この工程でやればスムーズに進行する』『この仕様ならここに注意しなくては』『図面を書くのはどの会社が最適だろうか』などの意見を出し合いながら考えていきます。デザインレビューの際には、わかりやすいように3Dシミュレーションを使用。お客様を交えて進めることもありますよ」
案件の規模によって、デザインレビューの実施回数は変わります。大きい案件だと、ステップが進むごとに幾度も繰り返すことも。
「レビューをせずにいきなり着手すると、途中でやり直しになってしまうことがあります。それを防ぐために、最初に経験のあるメンバーを集めて、重要な点を話しておくのが大事。私の部署は20〜30代の若手がとても多いので、たくさんの知見とノウハウが必要になるんです」
最近ではカーボンニュートラルをはじめとして、環境負荷低減を求められることが増えています。
「製鉄業はCO2の排出量が大きいため、2030年までに排出量30%削減をめざし、カーボンニュートラルを進めているところです。大事にしているのは、メンバーみんなに共通の課題意識を持ってもらうこと。
環境負荷低減へのビジョンの説明をして終わり、会議を開いて終わりにならないように共通のフォーマットを用いて課題点を見える化し、みんなで議論ができるように心がけています」
また、すべての業務で共通して大事にしているのは、とにかく対話をすること。かつては個人でやる仕事が多かったものの、案件のボリュームが増している昨今、若手も含めた一人ひとりの積極的な協力が求められます。
「書類はすべてオンライン上の共有ボックスで管理するようにしています。各工程の期限をみんなが参照できるなど、誰でも業務を把握できるようなオープンな環境に。
工程をチェックし、期限までに課題を終えられるかどうかのフォローを実施し、『みんなでやる枠組み作り』を構築することで、それぞれが自分ごととして関与できるようにしているんです」
特殊な設備は過去の知見を頼りに。当社の強みを活かしてスムーズにプロジェクトを進行
1997年に入社した沼田。当時の部署名は、エンジニアリング(設計業務)部門ではなく、工事部門でした。それから現在に至るまで、東日本製鉄所君津地区に身を置いています。
「さまざまな案件に取り組んできましたが、印象に残っているのは、2019年の台風15号の被害ですね。大きな設備トラブルが起き、生産が止まってしまったんです。なんとか早く復旧したいというお客様の要望を受け、最短で立て直しを図りました。
早期復旧には、とにかく人手が必要だったため、お客様とも相談しライバル会社にも声をかけました。一刻を争う状況をみなが理解し、一丸となって協力し合いました。
私はまとめ役という立場で関わりましたが、工程をどう短縮するかは、私1人の知見だけではとても考えきれません。そこで頼りにしたのは、過去の知見。
当社は全国に拠点があるので、だいたいの設備は前任者が経験しています。過去の知見が得られるのは当社の強み。そのときは、大分の類似設備での知見があったので、設備の計算書や図面をもらったりアドバイスをもらったりして、本来であれば3~4カ月かかるところを1カ月で復旧することができました」
一般的な機械ではなく、特殊な設備を扱う当社では、過去の知見が頼りになります。2010年ごろに経験した転炉効率化の案件もそのひとつ。
「生産効率をアップさせるべく、約50トンの装置を新しく据えつけることになりました。スペースがまったくないところに装置を配置するということで、難しい案件でした。しかも操業の関係で、据付時間が24時間ほどしかありません。施設計画、取り組み方法も含めて、各地域からの過去の知見を集め、経験者にさまざまなことを聞きました」
もちろん、沼田の部署が、他地域から頼られる側になることもあります。全国に拠点があるからこそ、各地域から知識を集めて、保有する知見は惜しみなく提供し合う。集まった知見をもとに相談しながら提案できるのが日鉄テックスエンジの強みだと言えます。それぞれの得意な領域を活かすことで、全社的にスムーズな業務遂行を実現しているのです。
メンバーの成長を支援していくことに尽力。趣味での交流が相互理解につながることも
たくさんの案件を経験してきた沼田。仕事をしていて一番うれしい瞬間は、お客様からお褒めの言葉をいただいたときです。
「製鉄所の案件は、操業の関係から短工期でやらなくてはいけない案件が多いんです。それがうまくいって、お客様から『よくやってくれたね』と言っていただけると、やりがいを感じますね。デザインレビューでお客様と事前に課題を共有しているからこそ、ねぎらいの言葉をくださるのだと思います」
現在は、部長として150名をまとめる立場。指示を受ける側から管理者側に立場が変わったことで、心境も大きく変化したと言います。
「これまでは、がむしゃらに頑張って自分の仕事を遂行して、終わった後に達成感があるという感じでした。でも管理者になり、かつ近年案件がかなり大型化しているということもあって、1人で進められる案件はほとんどありません。とにかくまわりを巻き込んで、成長を支援していくことがとても大事だと感じています。
それだけでなく、仕事以外のことでも気軽に話して、関係を深めていくことも大切だと思っています。幸いにも私は趣味が多くて、バンドやゴルフ、釣り、ドライブなど、共通の趣味をきっかけに幅広い世代の方と話が盛り上がることも。
会社の若い方とバンドを組んで活動もしているんですよ。仕事以外のことで若手と交流すると、いろいろな意見を聞くことができます。多趣味でよかったなと思う瞬間ですね」
共通点をみつけて、おたがいの理解を図っていく。あたたかな人柄は周囲を惹きつけ、メンバーの心をひとつにして、仕事に取り組みます。そんな沼田が感じる、仕事の魅力とは。
「機械の仕事は、すべての土台にあたる大事な業務だと思っています。機械ができていないと、電気の制御もできず、生産もできない。重要だからこそ難しい側面も多いですが、そこにやりがいを感じるんです。
また製鉄所においては、精密機械から何百トンという巨大整備までを扱えるのもいいところ。こんな幅広いエンジニアリングは、他の業種ではなかなかできません。幅広いノウハウを網羅できるので、製鉄所で経験を積めば、どんな分野の機械にも対応できるんじゃないかと思うほどです」
「困ったときは助けあう」。関係性を深めて、働きやすい環境をつくっていく
これからの中長期的な目標について、沼田はこう語ります。
「2030年までは、カーボンニュートラルの案件で非常に忙しいと思います。ただ私としては、会社の経営にもっと関わって、2030年以降の安定した受注活動、売り上げを確保していきたいです。
メンバーみんながやりがいを持って働き続けられることが一番大事。働く環境の整備にもこだわって、ずっと成長できるような企業にしていきたいなと思っています」
若手が多く、個性豊かなメンバーが集まるチーム。コミュニケーションを密に取り、多様性を大事にしながらも一体感を作ります。
「若手のメンバーには、行動力があるタイプがいれば、慎重なタイプもいて、個性はさまざまです。でも、お客様の求めるものを実現するというゴールは一緒。ベクトルを同じ方向に向けながら、力を合わせて大きな案件に取り組んでいければと思います。
そのために、コミュニケーションを大事にしていきたいですね。そういえば以前、広島の呉にあった会社が当社と統合し事業所を縮小するになったため、呉で働いていた人の一部をこちらに受け入れることになったんですが、その方々へ向けてオリジナルソング付きのビデオメッセージを贈ったこともありました。『こちらは真剣に受け入れる体制を整えているから、心配しないでいいですよ』と。声や表情から想いを届けて、安心してもらいたかったんです。
どんな立場の人たちも、前向きな想いを伝えることで仲間になれます。おたがいに気持ちよく仕事ができるよう、これからも工夫していきたいですね」
仲間を思いやる沼田が大切にしている信条は、「困ったときは助けあうこと」。
「お客様、上司、部下、その他社員など、誰かが困っているときには助けることを大事にしています。これまでに自分たちもたくさん助けてもらったし、手助けすることで仕事の進行がうまくいったり、つぎの仕事につながったり。良いことばかりなので、これからも助け合い、組織として高め合っていきたいですね。
当社には、豊富な経験を積んできたメンバーがたくさんいます。彼ら、彼女らの知見を貴重な財産として引き継いで、将来的に全社のノウハウとして管理できるように、データ化などの取り組みも実行しているところです」
メンバーやお客様に、課題や想いを共有しながらプロジェクトを進める沼田。人に寄り添うやさしさで、人を惹きつけ、協力しあって。これからも日鉄テックスエンジの未来を支えます。
※ 記載内容は2024年3月時点のものです
