グローバルでチームを組成し、顧客にベストプラクティスを提供
日本タタ・コンサルタンシー・サービシズ(以下、日本TCS)に入社後、一貫して設計・製造プロセスの改善や業務効率化のためのシステム導入に携わり、製造業のクライアントを支援してきた中野。現在は半導体メーカーの品質向上をめざした、要件管理システムの運用保守・改善プロジェクトに参画しています。
「アプリの開発とシステムの基盤保守を担う改善チームのリーダーを務めています。担当している要件管理システムは、半導体メーカー様が顧客から依頼を受けた何千何万という設計要件を適切に管理し、品質を担保するための重要なツールです。
また技術情報を整理してシステムに登録することによって、同時進行している複数のプロジェクトでの設計や開発に役立てるなど、業務の効率化が可能です」
日本TCSでは、お客さまにベストプラクティスを提供すべく、豊富な知見や技術を持つ世界各地のタタコンサルタンシーサービシズ (以下、TCS)のメンバーと協働してプロジェクトに臨む「ハイブリッドモデル」を採用してきました。中野のチームにも1名、インドに常駐しているメンバーが在籍しています。
「私が所属するIoT&デジタルエンジニアリングは、製造業のお客さま向けにシステムやソリューションを提供する部署です。この部署はもともとインドにしかなかったこともあり、常にグローバルのメンバーと知見を共有しながらプロジェクトを進めてきました。
お客さまに提供している要件管理システムが現時点では日本に浸透していないため、運用や保守を行う上でグローバルの知見が役立っています。お客さまが当社を選んでくださったのも、グローバルのノウハウをもとにビジネスを加速させるパートナーとしての期待があったからです」
日本TCSが経営ビジョンに掲げている「Gateway to Globalization(業種やビジネスの拠点を問わず、競争力を高めるパートナー)」と「Catalyst for Technology-led Business Innovation(ITやデジタル技術を駆使し、ビジネス変革を加速するパートナー)」の実現に向けて、グローバルのノウハウの活用は不可欠です。ナレッジを共有しやすい仕組みの構築も進められてきました。
「グローバルのナレッジを集約しているチームがあるため、事例やノウハウについて知りたいときに相談しています。過去の案件や進行中の類似プロジェクトを紹介してもらえるので、迅速に情報や担当者にアクセスできてとてもスムーズです」
「狭き門より入れ」を指針にカオスな環境へ。日本とインドをつなぐエンジニアになる
2017年に日本TCSに新卒入社した中野。あえてカオスな環境に身を投じ成長したいと考えたことが決め手でした。
「日本TCSは、インドを本拠地とするTCSと三菱商事のIT子会社の合弁会社として2014年に設立されました。私が就職活動を行っていた当時は、誕生して数年。まだ混乱期にあり、若手にも積極的に挑戦機会が与えられるに違いないと期待して入社を決めました」
思い切った決断に至ったのは、中学時代の恩師から授かった言葉が中野の指針になっていたからでもありました。
「先生からは『狭き門より入れ』『ふたつ道があるときは、難しいほうを選ぶと自分を鍛えられる』と教えられていました。これまで常に困難で挑戦し甲斐のある道を選んできたと思います」
大学ではヒンディー語を学び、何度かインドを訪れて現地の文化や国民性を理解していた中野。それでも入社後は多くの困難に直面したと言います。
「当時はまだ、インドのメンバーと連携して日本のお客さまにサービスをデリバリーするためのベストプラクティスを確立できていない状況でした。私たち日本TCSのメンバーが、お客さまの発言の背景にある意図をインドのメンバーにうまく伝えることができなかったことが理由です」
そうした課題を一つひとつ克服しながら、インド人メンバーが顧客と円滑にコミュニケーションできる体制を構築してきました。
「日本TCSのエンジニアは、日本のお客さまと海外メンバーの橋渡し役となることがあります。プロジェクトを効果的に推進するためには、日本とインドの両文化を理解するエンジニアのサポートが欠かせません。
お客さまの話を咀嚼した上で、必要な情報のみを必要なメンバーに伝えるなど、『フィルター』のような機能を果たせるよう努めています」
重要なのはチームとしての成果。100点を取れなくてもいいし、周りを頼ってもいい
中野にとって、キャリアを通じてもっとも印象深いプロジェクトがあります。入社3年目に担当した農機具メーカーの案件です。
「製品ライフサイクルに関連する情報を集約して管理するためのPLMシステムを、日本で初めてクラウド環境に導入するプロジェクトでした。私が務めたのは、開発基盤を設定したり、クラウド環境に置く上での設計や調整を担ったりするチームのリーダーのポジションです。
前例がない中、無事にプロジェクトを完了することができ、そこで得たノウハウはTCSのメンバーや海外のお客さまとも共有しています」
当時、チャレンジングな役割であることを理解した上でリーダーを引き受けたと言う中野。挑戦を決意した背景をこう振り返ります。
「以前に担当したプロジェクトを通じて、経験がないことが悪いことではないと理解していたんです。新しいことに取り組む以上は、完璧に準備することも、100点満点の成果を出すことも不可能だと気づいたことで、挑戦をためらう気持ちが和らいでいました。
現場でわからないことがあれば持ち帰って検討してもいいし、周囲と相談して答えを出してもいい。部門の上司が、『失敗しても構わない。臆せず前に進もう』と常に口にしていたことも、リーダーへの挑戦を後押しました」
しかし、当初は慣れないことばかりで、タスクをこなすのに想定以上の時間を要してしまうことも多かったと話す中野。思うように仕事が進められないことにもどかしさを感じる中、支えとなったのが、上司をはじめとする周囲の存在でした。
「仕事をうまくコントロールできずにもがいているときに上司から提案書の作成を依頼され、完全にキャパシティを超えたと感じ、『できません』と泣いてしまったことも。でも、素直な気持ちを吐き出したことで、私が追い込まれていることに上司が気づいてくれました。
その後、『一緒に取り組んでいこう』と親身になってサポートしてもらったおかげで、無事に完了できました。この経験をきっかけに、自分ひとりで抱え込まず、周囲に積極的に助けを求めることができるようになったと思います」
「ワンチーム」の精神が根づくフラットな文化の中で育む成長
早くからリーダーとして活躍してきましたが、自身のポジションを普段あまり意識することはないと言う中野。チームワークを発揮しやすい、フラットな組織づくりに努めてきました。
「リーダーは立場が上というわけでも、優秀な人が務める役割でもないと上司から聞かされていました。チームがゴールをめざす上で、たまたまプロジェクトを先導する役割を与えられたのがリーダーです。『リーダーもメンバーも対等な立場』という考えに共感し、いまもそれを大切にしています」
役割分担には性別も関係ありません。中野はこれまで参画したプロジェクトで、女性のリーダーやワーキングマザーを身近に見てきました。その経験から、自身が約1年間の育休から復帰する際、不安は感じなかったと言います。
「インドでは子育てをしながらキャリアを築いている女性が多く、自分も子育てをしながら働くイメージを自然と持つことができました。
実際に復帰してみて、仕事と子育てを両立しやすい職場だと感じています。それは、メンバー同士が助け合って解決しようとする『ワンチーム』という考え方が浸透しているから。
子どもの体調不良で急遽休まなきゃいけないときも、メンバーは嫌な顔をせずカバーしてくれました。『困ったことがあれば周囲を頼っていいんだ』という空気が醸成されているので、積極的にメンバーを頼っていますし、私も進んでメンバーの相談に乗ったりサポートしたりするよう心がけています」
かつて、カオスな環境をあえて求めて日本TCSに入社した中野。入社当時に比べて組織が格段に成熟したいまも、刺激的な環境であることに変わりはないと話します。
「TCSはインドという成長市場に本社を置いているので、メンバーが成長に対して貪欲です。また、インドのメンバーは新しい技術に対する感度が高く、知識を吸収したりシェアしたりすることにとても長けています。日本TCSのメンバーも積極的に勉強会を開くなど、インドのメンバーに刺激を受けて成長しているのを感じます。
外資系企業というとドライなイメージを持たれがちですが、グローバルでありながらチームで支え合う文化があるのが当社の強み。困難に直面しても楽しみながら乗り越えられるのはとても魅力的です」
将来的にはプロジェクトマネージャーに昇格し、顧客の長期ビジョンの実現を支援したいと意欲を見せる中野。挑戦による失敗を受け入れる環境、そして困ったときには手を差し伸べてくれるメンバーに支えられながら、これからも狭き門へと一歩を踏み出し続けます。
※ 記載内容は2024年1月時点のものです

