インド、中国、フィリピン出身の多様なメンバーとも連携しながら、プロジェクトを進行
インド発のIT企業タタ・コンサルタンシー・サービシズと三菱商事の合弁会社として2014年に発足した、日本タタ・コンサルタンシー・サービシズ(以下、日本TCS)。鍵田が所属するクラウドビジネスユニットでは、日本TCSが国内外で培った経験とクラウドおよびデータ&AI技術を用いて、日本のお客さまのビジネス成長を継続的に支援することをミッションとしています。
「入社から現在に至るまで、建設業のお客さまのデータ基盤を担当してきました。データレイクというデータを溜めておくシステムの要件収集、設計、運用などが主な業務です。お客さまのデータベースやファイルサーバーから、構造化データや非構造化データを取得してデータレイクに溜めたり、データ活用を見据えたデータの整形を行ったりしています」
データの蓄積や活用は、多くの企業が抱える課題です。そのため、日本TCSには大きな期待が寄せられていると言います。
「これまでほとんどの企業が、データを部門ごとに管理していました。しかし、データを効果的に利活用するには、自部門だけでなく他部門のデータも含めて解析した上で知見を得る必要があります。
データレイクを構築するのは、各部門に散在するデータを集めて利活用につなげたいというニーズに応えるためです。部門ごとのデータを1カ所に集めるだけでなく、関連するデータを紐づけて整理しておくことで、スピーディーにデータを利活用することができます」
データレイクの運用を担うチームのリーダーとして、顧客のシステム担当者や部門の責任者などとコミュニケーションを深める鍵田。一方、自身のリソースの40%ほどを開発作業に費やし、テスト作業にも関わるなど、オールラウンダーとしてプロジェクトに携わっています。
「アジャイル開発のフレームワークのひとつである、スクラム方式でプロジェクトを進めています。各個人が状況に応じて役割を見つけて、能動的に動くことを大切にしているので、『この人がこれをやる』といった明確な役割分担はしていません」
プロジェクト運営においては、55カ国で事業を展開するタタコンサルタンシーサービシズの一員である日本TCSならではの、多様な知見を取り入れた進め方を採用してきました。
「プロジェクトを立ち上げた際、データレイクについて海外メンバーからグローバルの知見や事例の共有を受けつつ、お客さまと一緒に理想のデータレイク像を描きました。プロジェクトが成熟期に入った現在は、システムを使う中で出てくるお客さまのさまざまな要望の実現に向けて動いています。
社内にはインド出身のメンバーが多い上、私のチームには中国やドイツ出身のメンバーもいるので、彼ら、彼女らの知見も参考にしながらプロジェクトを進めています」
英語が話せても避けられない認識の齟齬。相手の目線に立ったコミュニケーションを
2019年に新卒で入社した鍵田。大学と大学院では音声信号や生体信号などの解析から知見を得る信号処理の研究に従事し、脳波から痛みを定量化する研究を専門にしていました。日本TCSへの入社経緯を次のように振り返ります。
「プログラミングや機械学習を用いて解析を進めていく中で、先進的なIT技術に惹かれるようになりました。また、英語力を活かした仕事がしたいとも考えていたんです。IT技術を駆使して活躍できるグローバル企業を探す中で、インドのIT企業のグループ会社という特異性を持つ日本TCSに興味を持ち、インターンシップ参加を経て入社を決めました」
成長著しいインドの外資系企業であることに加えて、日本TCSと鍵田にはこんな意外な接点もありました。
「幼稚園児だったころ、2年間ほどインドに住んでいたことがありました。当時の記憶はあまり残っていませんが、人がとにかくフレンドリーで優しかったことを覚えています。そんな原体験も影響しているかもしれません」
また、小学校時代はフィリピンや南アフリカで暮らし、さまざまなバックグラウンドを持つ子どもたちと一緒に学び遊んだ経験も。多様性に富む日本TCSで働くための素地が鍵田には備わっていました。
「周囲と比べると、国籍やバックグラウンドの違う人と一緒に過ごすことに対する抵抗感は少ないと思います。当社では外国人メンバーと働く機会も多いので、自然とこれまでの経験が活かされているかもしれません」
そんな鍵田にも、入社後に意思疎通に苦労する場面がありました。海外のインド人エンジニアと日本人顧客とのあいだを取り持つ、ブリッジエンジニアとしてプロジェクトに参加した時のことです。
「プロジェクトには通訳の方にも参加してもらいましたが、文面のとおり翻訳してもらったとしても、メンバーのバックグラウンドが違うので認識の齟齬が多く生まれていました。本来なら、ブリッジエンジニアである私がサポートすべきでしたが、当時の私は入社したばかりの新人。経験不足のため、十分に役割を果たすことができませんでした。
入社前は、英語でインドメンバーと密にコミュニケーションを取ってさえいれば解決できない問題はないと思っていましたが、実際に業務を始めてみて、英語ができるだけでは解決できないことが多いことを知りました」
苦い経験を通じて、コミュニケーション上の課題を減らすための手段について考えるようになったと言う鍵田。これまでさまざまな工夫を凝らしてきました。
「コミュニケーションの齟齬が生まれる最大の原因は、バックグラウンドとおのおのの『当たり前』が異なるからだと思っています。そのため、本題に入る前に、前提となる情報を丁寧に説明して共通認識を持つことを心がけるようになりました。
また、社内のメンバー間の齟齬をなくす目的で、プロジェクトメンバーが新しく加わった際は、そのメンバーのバックグラウンドや開発経験に合わせた資料を作成するようにしています。開発資料の粒度が粗すぎても細かすぎても、認識のズレにつながってしまうからです。
相手目線に立って正確かつ適切なコミュニケーションを取るようにしたことで、認識の齟齬が起こりづらくなったと思います」
リーダーに就任して備わった、チームで成果を上げる視点
課題を分析して改善につなげ、プロジェクトを円滑に運用できるようになったことが評価され、2023年からチームリーダーを任されている鍵田。プレーヤー時代とは、大きく考え方が変わったと言います。
「バックグラウンドの異なるメンバーと適切で丁寧なコミュニケーションを取ろうとすると、思いのほか時間がかかってしまいます。そのため、メンバー時代は『依頼するよりも速いから』と、タスクをすべて自分で片付けてしまうことが多くありました。
しかし、チームリーダーになってからは、『チームの成果を最大化するためにどうしたらいいか』を真っ先に考えるようになりました。メンバーのスキルや経験値を向上させるために積極的にタスクを任せるなど、長期的な視点でチームのためになる選択ができるようになったと感じます」
共通認識を持つことや、相手に寄り添った情報伝達の重要性をメンバーとも積極的に共有してきた鍵田。現在では、自身が具体的に手を動かさずとも、要件の収集からリリースまでを完了できる体制が整うなど、チームの成長を実感していると言います。
また、入社してからこれまで、鍵田は実践を通してクラウド技術の知識も身につけてきました。さらに、外資系IT企業だからこそ得られる、稀有な経験ができていると話します。
「新卒研修時と入社4年目の2022年の2度、インドを訪れる機会がありました。とくに、2022年にインド出張したときのことが印象に残っています。先進技術を扱うメンバーと意見交換し、多くの刺激を受けました」
一方、学生時代に学んだことを仕事に活かせる場面も。
「Pythonの知識は、現在のプロジェクトでもかなり役立っています。また、業務の中では、自分で一からプロジェクトの目的や意義を理解し、手順を組み立てなければなりません。学生時代に、ロジカルシンキングの技術を身につけておいてよかったと実感しています」
自ら考え行動する力が問われる。だからこそ、やりがいも大きい
2024年で入社6年目を迎える鍵田。与えられる裁量権が大きいところに日本TCSの魅力を感じていると言います。
「一人ひとりに任せられる仕事の範囲が非常に幅広いので、多様な経験を積みながらIT技術を学びたい人にとって最適な職場だと思います。ただ自由度が高いぶん、自分で考えて行動することが求められる環境です。『いま自分は何をすべきか』を考え、必要な情報を集めながら、自らかたちにしていく能動的な姿勢が欠かせません。
しかし、自力で一からつくり上げるからこそ、仕事がうまく運んだときは大きな達成感ややりがいを手にできるはずです」
一方、かつて技術分野のスペシャリストを志していた鍵田でしたが、チームリーダーとしての経験を通じて、チームをマネジメントするおもしろさにも気づき始めていると言います。
「スペシャリストとして技術を追求するか、マネジメント職の道を進むか、まだ検討中です。当社には多様なキャリアパスの選択肢があるので、さまざまな経験を積んで適性を見極めながら決めたいと思っています。
どのようなキャリアを歩むとしても、日本のカルチャーと本社インドのカルチャーそれぞれの良い部分を取り入れながら、お客さまの成果の最大化に貢献していきたいです」
仕事を楽しむコツは、「恐れずに、自分で考えて行動すること」だと語った鍵田。今後も果敢に挑戦を重ねながら、顧客と日本TCS、海外メンバーと日本メンバーとをつなぐ架け橋として、ますます活躍の機会を広げていくことでしょう。
※ 記載内容は2024年1月時点のものです

