症状ではなく「病因」を特定する。最上流で求められる本質的な課題解決
日本TCSのコンサルティング部門であるGCP(Global Consulting Practice Unit)に所属するアサド。ここではレガシーシステムの刷新や、最新のクラウド技術を活用したビジネスアジリティ(俊敏性)の向上など、企業の競争力を左右するITトランスフォーメーションを支援しています。
現在、アサドが担当しているのは、大手総合商社のクラウド移行プロジェクトにおける提案活動や、航空業界の顧客に対するビジネス要件定義など、プロジェクトの成否を決める最上流工程です。顧客のビジネス部門が抱く要望を深く汲み取り、それを開発チームへと的確に橋渡しする役割──いわゆる「ビジネスアナリスト」や「ソリューションアーキテクト」としての責務を担っています。
業務を遂行する上で、アサドが何よりも重視していることがあります。それは顧客の言葉の奥にある真意を捉えること。
「お客さまは往々にして、表面的な『症状(Symptom)』を訴えられます。しかし、その背後にある根本的な『病因』については、お客さま自身も認識されていないケースが少なくありません。もし診断を誤ったまま処方箋を出しても、病状は改善しないでしょう。ITプロジェクトにおける診断ミスは、莫大なコスト超過やスケジュールの遅延、そして何よりビジネス機会の損失を招きます。
だからこそ私は、お客さまへのヒアリングを重ね、真の課題を特定するプロセスに最も時間を割くのです」
ビジネスにおける信頼関係とは、単に親密になることではありません。アサドにとっての信頼とは、プロフェッショナルとして的確な「診断」を下すことで初めて築かれるものです。
「『自社の悩みを深く理解してくれている』と実感していただいてこそ、真のパートナーになれるのではないでしょうか。日本TCSには、商社部門をはじめとする業界特化の知見や、グローバルネットワークに蓄積された膨大なナレッジがあります。
これらの情報を総動員し、お客さまのビジネスにとって何が最適解なのかを考え抜く。それこそが、私の果たすべき役割だと自負しています」
試行錯誤の末に到達した、全体最適の視点とソリューションアーキテクトという答え
1993年、バングラデシュから来日したアサドは、大学で情報工学を専攻した後、日本のIT業界でキャリアの一歩を踏み出しました。当初はSIerで、黎明期のJava開発プロジェクトに参画。エンジニアとしての基礎技術を徹底的に磨き上げました。しかし、彼の探究心は開発だけに留まることはありませんでした。
「システムがビジネスの現場でどのように活用され、価値を生み出すのか。そのライフサイクル全体を俯瞰したい。そのような思いから、保険会社の社内IT部門へ転身。要件定義から開発管理、受け入れテスト、そしてリリース後の運用に至るまで、すべてのフェーズを経験しました。この時培った『全体最適の視点』は、現在の仕事に活かされています」
その後、クラウドコンピューティングの波が到来すると、アサドは大手クラウドベンダーへと活動の場を移します。そこでは金融業界全体を担当し、数多くの金融会社の顧客課題に触れる機会を得ました。しかし、ベンダーという立場ゆえの葛藤も抱くようになったと言います。
「クラウドベンダーのミッションは、あくまで自社サービスの導入促進です。しかし私は、『クラウドを売る』こと以上に、『技術を用いて顧客の課題をどう解決するか』というソリューションそのものに情熱を感じていました。自身の知識と経験を、製品の枠に縛られず、より自由にお客さまのために還元したい。そう考えたとき、上流のコンサルティングから実装まで一気通貫で手掛けられる日本TCSというフィールドが、最適解だと思ったんです」
アサドは、エンタープライズアーキテクチャの国際的なフレームワークである「TOGAF」の資格を取得。これは、組織全体の構造を体系的に理解し、ビジネス課題を解決へ導くための標準規格です。
「日本ではまだ『ソリューションアーキテクト』という職種が十分に定着していませんが、グローバルではきわめて一般的なロールです。技術的な可否だけでなく、ビジネス価値を見極め、優先順位をつけて解決策を提示する。約25年のキャリアのなかで、学びと実践を繰り返しながら、私はこの役割にたどり着きました。
この他にも資格は20程度取得していて、たとえばJavaやOracleの資格はほとんど取りましたね。学生で学んだレベルは社会では通用しないことがわかり、早くアウトプットを出すために必死で勉強をしました」
課題に向けて自ら道を切り拓いていく。日本TCSだからこその醍醐味
入社からわずか1年余り。アサドはすでに製造業、飲食業、航空業、保険業と多岐にわたる業界のプロジェクトで確かな実績を残しています。なかでも特筆すべきは、大手ファーストフードチェーンのクラウドコスト最適化プロジェクトです。
「当時、お客さまはクラウド運用のコスト増大に悩まれていました。そこで私は、単に設定を見直すだけでなく、コスト管理のプロセスそのものを再構築するアプローチを取ることに。『どのような手順を踏めばコストを抑制できるか』という分析手法をチームメンバーに共有し、組織として実践できるようにしたのです。
その結果、1年間で約15%ものコスト削減を実現。お客さまからも高い評価をいただくことができました」
日本TCSで働く魅力について、アサドはこう語ります。
「大手コンサルティングファームでは、組織が細分化され、提供するソリューションも型化されている傾向があります。対して日本TCSは、組織として成長過程にあり、柔軟性が高いのが特徴です。『お客さまにとって何がベストか』をゼロベースで構想し、ソリューション自体を自分たちで定義していける余地があります。自ら課題を発見し、解決策をデザインしたい方にとっては、非常にエキサイティングな環境だと言えるでしょう」
敷かれたレールの上を走るのではなく、顧客のために必要な道を自ら切り拓く。アサドが日々感じているやりがいも、まさにその点にあります。
「自ら提案した解決策が具現化し、それによってお客さまのビジネスが成功する。そのときのお客さまの『笑顔』を見ること以上の喜びはありません。過去にはお客さまの要望に対して『こちらの方が合理的です』と議論したこともありましたが、一次的な抵抗があったものの、最終的には私の案が採用され、プロジェクトは大成功を収めました。真剣に向き合うからこそ生まれる信頼と成果。それこそが私の原動力です」
世界の知見を武器に。顧客の笑顔を生み出すプロフェッショナルへ
現在、アサドは自身の知見を「オファリング」(パッケージ化したビジネスモデル)として体系化する取り組みに注力しています。
「私1人が対応できるお客さまの数には物理的な限界があります。しかし、私のノウハウを標準化し、若手メンバーがそれを実践できるようになれば、より多くのお客さまを支援することが可能です。とくにクラウド活用において、お客さまが直面しやすい課題を先回りして解決する仕組みを構築したいと考えています」
日本TCSの最大の強みは、グローバルとのシームレスな連携にあります。インド本社には、AIや最新テクノロジーに特化した専門部隊が存在し、常に最先端の技術検証が行われています。
「たとえば生成AIの活用など、先端技術を学びたいと思えば、すぐにインドの専門チームとつながり、その知見を日本のお客さまへ提供できます。このスピード感とリソースの厚みは、他の日系SIerにはない圧倒的なアドバンテージでしょう」
そんな日本TCSでともに働きたい新しい仲間に向けて、こんなメッセージを語ります。
「私が共に働きたいと願うのは、自律的に学び、お客さまを助けたいという純粋なマインドセットを持つ方です。スキルはあとからついてきます。重要なのは、目の前のお客さまの課題を『自分ごと』として捉えられるかどうか。日本TCSは、自ら手を伸ばせば世界中の知識にアクセスできる環境が整っています。
顧客は自社の困難な課題を共に解決してくれるパートナーを求めています。お客さまの課題を解決し、その成功を分かち合う。その瞬間のために、われわれは学び、考え、提案し続けています。自らのキャリアを切り拓きながら、世界レベルの知見でお客さまの笑顔を創出したい。そのような志を持つ方と、ぜひ一緒に挑戦していきたいですね」
※ 記載内容は2026年4月時点のものです

