ナレッジを集約し全社のAI戦略を推進。本質的な課題に向き合い、確かな価値を届ける
國澤が所属するのは、AI.Cloud統括本部内のAI Center of Excellence(以下、AI CoE)。AI領域の高度な専門知識と実践知を集約する組織として、全社的なAI戦略の標準化や、ベストプラクティスの策定を担っています。
「これまでは社内の各チームがそれぞれ独自にAI開発を進め、ナレッジが分散している状態でした。AI CoEは、そうしたサイロ化したAIの取り組みを横断的につなぎ、全社最適で活用していくことを目的に発足したチームです。
現在は若手も含め、生成AI分野で実務経験を積んできたメンバーが集結しています。プロトタイピングを高速で回しながら、お客さまの本質的な課題を抽出し、スケール可能なソリューションへと昇華させていくことがミッションです」
生成AI開発のエキスパートとしてプロジェクトをリードするのが、國澤の役割。開発から技術支援まで、担当領域は多岐にわたります。
「最近は、生成AIを活用したシステムの精度向上に注力しています。実際にコードを書くこともあれば、技術的な知見が求められる場面では、新規のお客様へのヒアリングや提案にも同席し、構想段階からプロトタイプのデモまで、一気通貫で支援しています」
2024年からは、社内向けの「Generative AI Academy(生成AIアカデミー)」で講師も務める國澤。全社の生成AIリテラシー向上に貢献してきました。
データサイエンティストとして國澤の原点にあるのが、「顧客第一のものづくり」という考え方。その姿勢は今も変わっていないと言います。
「何より大切なのは、お客さまのニーズや期待にまっすぐ向き合い、応えることだと思っています。“使える”ソリューションかどうか、それが重要です。だからこそ、常にお客さま起点で価値を届けることを意識しています。
根底にあるのは、『ものづくりを通じて、誰かに喜んでもらいたい』という想いです。学生時代から、アプリのようなものをつくって、それを誰かが喜んでくれる瞬間にやりがいを感じてきました。その延長線上に、今の仕事があります」
高い技術力とフラットなカルチャーを背景に、前例なき挑戦を重ねて磨いた固有の専門性
國澤のAIとの出会いは学生時代にさかのぼります。生体認証や通信品質推定の研究に携わったことが、キャリアの出発点となりました。
「学部で取り組んだのは、心電データから個人を識別する研究です。大学院では、リモート通話中に『元の声からどれだけ音質が劣化したか』をAIで推定するモデルの研究に没頭しました。考察を深めるうちに、テーマそのものよりAIのおもしろさに惹かれるようになり、AIに関わる仕事がしたいと考えるようになっていきました」
外資系・IT・AIを軸に就職活動を進める中で、國澤の心を強く動かしたのが日本タタ・コンサルタンシー・サービシズ(以下、日本TCS)。技術力とカルチャーの両面に魅力を感じたと言います。
「現在の上司が主催していたハッカソン型のインターンに参加したんです。社会課題に対して、AIを使ったソリューションを考えるという実践的な内容でした。切符の価格をリアルタイムに最適化すれば混雑を解消できるという仮説を立て、そのアルゴリズムを実データで検証し、どれくらい利益につながるか提案したのを覚えています。
日本TCSのチームは、抽象的な話にとどまることなく『実際にAIを組んでいる人たちだ』とすぐにわかるレベルの技術力でした。メンターを担当した方も印象に残っています。『こういうソリューションはどうですか』と相談すると、否定から入るのではなく、同じ目線に立って一緒に考えてくれたんです。ここなら自分らしく働けると感じ、入社を決めました」
入社後はネットワーク、IoT領域を経て現職のAI CoEへ。分野を横断して経験を積みながら、着実にスキルを磨いてきました。
「製造業や保険業界向けのデータ処理、ビッグデータの運用・保守、生成AIシステムの開発・精度向上など、汎用的なプロジェクトを担当する一方で、レーシングチームのデータ分析や、大学でのDX講師といった社内でも事例がないプロジェクトにも挑戦しました。
とくにレーシングチームの案件は、社内にもウェブにも情報がない状態。本を読み込み、叩き台となるモデルをつくっては、お客さまやマネージャーとディスカッションする──その繰り返しで独自のノウハウを積み上げていきました」
こうした未知の領域を自ら切り拓く経験は、國澤にとって大きな財産に。
「前例がないのですから、手取り足取り教えてもらえる環境ではありません。大規模システム開発のような応用の利くスキルは身につかないかもしれませんが、その代わり固有の専門性を磨けました。誰もやっていないテーマに挑んだ経験が、キャリアの幅を大きく広げたと感じています」
現場に飛び込み、課題を可視化。“勝利”に伴走して見えたデータの向こう側
レーシングチームのプロジェクトでは、御殿場のガレージへ週に何度も足を運び、毎月のレースにも同行。事前知識やノウハウがない中、現場で何が起きているのかを丹念に追い続けました。
「『車の走行性能を高められないか』という相談をいただいたものの、レーシングカーのチューニングに関する知見はゼロ。お客さまと対話し、要望の奥にある本質的な課題を探るところからスタートしました。
レーシングカーのセッティングは、本番前に十分な試験時間を確保できません。試せるのは当日、わずか2〜3パターンのみ。そのため、ドライバーのフィードバックと計測データがなかなか噛み合わず、エンジニアが有効な打ち手を出せないという構図がありました」
現場で起きていることをデータで可視化できれば、改善の糸口をつかめるのではないかと、國澤は試行錯誤を重ねます。
「まず大きな壁となったのは、レーシングカーのシミュレーター構築です。専門的な数式が多く、最初は理解が追いつかず、お客さまに一つひとつ確認しながらモデルを組み立てていきました。
さらに、求められる分析のテーマはレースごとに変わります。『前回は曲がりが弱かったから、今回はコーナリング分析をしたい』と言われると、それまでの作業を中断しなくてはなりません。2週間でアウトプットを仕上げたり、1週間でアプリを構築したり。凄まじいスピード感でした」
顧客の熱量と期待が大きく膨らむ中、ときにはピット(レース中に車が整備やタイヤ交換のために立ち寄る作業エリア)内で作業することも。“勝利”という明確な目標に向けて全力で伴走した結果、國澤は大きな成果を手にします。
「私たちだけの力ではもちろんありませんが、一部のレースで優勝を果たすことができました。また、開発したAIシミュレーターと物理シミュレーターの差分を確認したエンジニアの方から、『AIシミュレーターは物理シミュレーターとは異なる挙動が出ていて興味深い』とコメントをいただくなど、新しい知見の発見にもつながっています。
データ分析では、精度を上げることに意識が向きがちですが、データを見ているだけでは絶対に気づけない事実がいくつもありました。現場で何が起きているかを理解することの大切さをあらためて学んだと思います」
その後、AI CoEが立ち上げられ、社内の横串連携が一気に加速。各業界を担当する営業メンバーからも生成AIに関する相談が頻繁に寄せられるようになり、仕事の幅とやりがいが大きく広がったと國澤は話します。
「毎日新しい知識や技術に触れられるのは魅力ですし、多くのお客さまがまだ方針を模索しているフェーズです。ディスカッションを重ねながら伴走し、アウトプットに落とし込んでいくプロセスにやりがいを感じています。
事業会社を中心に生成AIエンジニアの需要は今後さらに高まっていくはずです。大規模システムと違い、皆でキャッチアップしながら成長していける点も、この分野のおもしろさだと思います」
挑戦を後押しする環境と巨大なグループ連携を強みに、顧客に寄り添った価値創造を
入社以来、独自のキャリアを歩んできた國澤を支えてきたのが、日本TCSの組織風土。オープンで心理的安全性の高い環境が、成長の原動力となってきました。
「外資系というとクールでドライな印象を持たれがちですが、国内資本が入っている影響もあってか、日本TCSの社員は本当に人柄がよく、あたたかい風土だと感じています。
任された仕事に真摯に向き合うことで、次のステップとなる業務にも取り組む機会をいただけます。挑戦を歓迎するカルチャーがあるからこそ、幅広い経験を積むことができたと思っています」
さらに、三菱グループのネットワークを活用できる点も大きなアドバンテージだと話します。
「ここ数年、『三菱CC研究会』の生成AI部会に参加し、各社のIT系人材と知見を共有してきました。銀行や商社など、システム導入後に事業会社が直面するリアルな課題を当事者の目線で聞ける機会はとても貴重です。
技術的にも最新トレンドをキャッチアップできますし、提案活動の場面でもグループ連携が発揮されていて、ネットワークの強みを日々実感しています」
だからこそ、日本TCSに求められるのは、この恵まれた環境を“使いこなせる”人材です。
「自分のやりたいことを言語化し、主体的に発信できる人。そして、それを実現するために、目の前の役割をきちんと果たせる人がフィットすると思います。お客さまを第一に考え、共に歩む意志を持っていることも大切です」
自身もまた、徹底した顧客志向を土台にキャリアを築いてきた國澤。その軸はこれからも揺らぐことはありません。
「ソリューションをただ提案するだけでなく、数年先を見極め、『そもそもこのアプリは本当に必要なのか』と根本から問い直しながら、お客さまにとって最適な提案ができる存在であり続けたいです。
先端技術領域で将来を見通すのは簡単ではありませんが、生成AIが“仕事を奪う技術”ではなく、“人の能力を拡張する技術”として社会に根づいていくよう、貢献していけたらとも考えています」
※ 記載内容は2025年12月時点のものです

