数々の案件から学んだ、“柔軟さ”が導くプロジェクト成功の鍵
関が所属する「G&TS Global Consulting Practice(GCP)」は、日本TCSの中でも、お客さまの事業推進やシステム化構想など、最も上流のフェーズを担う部署です。チームメンバーはベテランが圧倒的に多く、コンサルティングファームや大手SIer出身者、金融や製造のプロフェッショナルなど、多様なバックグラウンドを持つ人が集まっています。
「当社はシステムの導入構想から、実際の導入、運用・メンテナンスに至るまで、上流から下流まで一貫して手掛けていますが、GCPはその最も上流と呼ばれる領域です。
システムの導入をまだ決定されておらず、お客さま自身が悩まれている状態から対話を重ねて方向性を一緒に見つけたり、あるいはシステムの導入は決まったものの、何の製品をどんな風に導入するかを一緒に考えたりします。時には導入プロジェクトのPM(プロジェクトマネージャー)やPMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)としての支援、トラブル発生時のサポートなども行います」
最近のプロジェクトとして、製造業のお客さまへの支援を例に具体的な仕事の流れを説明します。
「その企業は既存の事業の将来性に課題を感じておられ、『IT部門としてどんなことを経営に進言できるのか一緒に考えてほしい』と言われ、業界調査からM&Aの可能性まで、あらゆる打ち手を洗い出し、お客さまとディスカッションを重ねました」
時には、お客さまと共にインドへ視察にも訪れたと言います。
「インドでは、TCSがビル全体でお客さまのITを包括的に支援している事例をご覧いただきました。お客さまからは『スケールが違う』『日本との隔たりを感じる』といった感想がありました。そこで、いきなり同水準をめざすのではなく、数年後の姿を見据えて段階的に目標を設定していく方向で議論を重ね、最終的な方針を定めました」
これまで工場の現場で業務プロセスを可視化する仕事の経験はありましたが、ここまで大規模な案件は初めてだったため、お客さまやTCSの先輩方と共に学びながらプロジェクトを進めていったと言います。
このような仕事に向き合う上で、関が最も心がけているのは「柔軟さ」。
「近年はとくに担当業務の幅が広がり、自身の得意分野以外のプロジェクトに携わる機会が増えています。そのため、まずは与えられた仕事を受け入れ、やってみる姿勢を大切にしています。必要に応じて他の方に引き継ぐ柔軟さも持ちながら、自分が貢献できる部分には積極的に関わるようにしています。そうした柔軟性が、これからの時代にはより重要だと感じています」
「お客さまと対話をしたい」──挑戦を積み重ねて見つけた自分らしい道
関は新卒で日本TCSの前身であるアイ・ティ・フロンティアに入社しました。
「学生時代はITの知識はまったくありませんでした。当時は就職氷河期で、まずは安定した職に就くことが第一でしたね。その中で、IT分野は今後確実に成長すると感じ、不安はありましたが、思い切って挑戦しました」
最終的な入社の決め手は、スケールの大きさと充実した研修制度でした。
「取引先が大規模な企業が中心で、スケールの大きな案件に携われる点に魅力を感じました。また、当時から研修制度が充実しており、成長できる環境だと感じたことも入社の決め手でしたね」
しかし、入社後のプログラミング研修ではつまずき、辛い思いもしたと言います。最初の配属はシステムエンジニアの部署でした。
「システム開発部門ではお客さまの顔が見えず、自分の作業がどのように価値を生んでいるのかがわかりづらかったこともあり、また、プログラミングそのものが自分にはあまり合っていなかったのかもしれません。
『お客さまと対話をする仕事がやりたい』と相談し、希望がかなって組織改編のタイミングで、営業とSEの間に新設された『ソリューションセンター』へ異動することになりました」
異動後、関にとってキャリアのターニングポイントは2つあったと言います。
「一つは、新卒2年目の時ですが、ウェブ会議システムを日本に普及させるというプロジェクトがあり、ちょうどそこに私がアサインされました。当時はまだ『日本市場には時期尚早』といった意見もありましたが、続けていくうちにプレゼンテーションのスキルも向上したこともあり、受け入れてくださるお客さまも増えてきました。
対話を通じてお客さまの認識が変わり、導入に至るプロセスは楽しく、それが転機だったと感じています」
もう一つは、全社横断のプロジェクトで、外部のコンサルタントと数年間、一緒に仕事をした経験でした。
「非常に刺激的な経験でした。午前中の会議で『この方針で進めよう』と決まったことを、午後のうちに資料化し、その日のうちに別の方と『これで進めましょう』と合意形成を図るという……。そのスピード感や資料の質の高さに触れ、それに必死でついていく日々が、自分の中では非常に大きな経験になったと思っています」
その後、コンサルティング部門に配属され、業務プロセスの可視化からPM、PMOまで多様なプロジェクトを経験し、キャリアを築いていきました。
「完璧じゃなくていい」。日本TCSで築いたしなやかな姿勢
20年以上のキャリアの中では、順調なことばかりではなく、挫折も経験したと言います。
「プロジェクトの途中で、お客さまが求めるスキルセットが自分の専門領域と合わなくなり、モチベーションを維持するのが難しかった時期がありました。『自分にも対応できないことがある』と痛感した出来事でしたね」
当時は真剣に落ち込んだと言いますが、ある考えが関を浮上させます。
「『常に完璧でなければならない』という考えを手放すことにしました。後輩やお客さま、周りの方々に自分の至らない部分も開示しながらやっていこう、と。周りと補い合いながら進めていく姿勢を大切にするようになりました」
若い頃は「良い案件にアサインされたい」「質の高い資料を作ろう」と意欲的で、一人でプレゼンの練習を繰り返した時期もあったという関。今は、そのモチベーションの持ち方が変化しています。
「今、若い方々が熱意を持って入社されるのを見ると、その方々と成長を支える立場として、できるだけ『行き詰まった時にはこういう視点を持ってみてはどうか』といったアドバイスをしたり、一緒に考えたりする立場でありたいと感じています」
また、関は双子を育てる母親でもあります。仕事との両立において、日本TCSの環境が大きな支えになったと語ります。
「産休・育休、時短勤務などの制度をすべて活用しましたが、利用に対して後ろめたさを感じるような風土はなく、むしろ周囲の理解が非常にありました。
当社は、働く母親に対しても平等な環境です。子育て中であることを理由に、業務上の制約を前提に扱われるようなことはありませんでした。多くの社員が家庭と仕事を両立しており、その点でも先進的な企業だと感じます」
変化の激しいIT業界で長くキャリアを続けてこられた原動力は、業界のおもしろさと日本TCSの働き方にありました。
「まず業界として、2000年代当初から現在に至るまで、ITは常に最先端の分野であり続けています。『IT活用は必須である』という認識が日本全体で高まっていく中で、その流れに伴走してこられたことは、良い業界選択だったと自負しています。
そして、日本TCSでキャリアを継続できているのは、プロジェクト単位で業務が変わるため、常に新しい挑戦ができることが魅力的です。困難なプロジェクトを経験しても、次にはまた新たな機会がある──その繰り返しが、自分に合っていたと思います」
自分の意思を伝えながら、道を切り拓いていく。これからのキャリアの築き方
多くのプロジェクトを経験することで、関は自身の役割についてこう語ります。
「プロジェクトを推進する上で、異なる個性を持つメンバーが集まると、時には摩擦も生じます。その中で、チームが円滑に動けるよう支援する“潤滑油”のような役割を意識しています。
自分はできるだけ場を和ませ、問題を取り除くためには誰に対してどのような配慮をすべきか。自分ができることを大切にしながら、関わっていけたらいいなと思っています」
多くのメンバーがプライベートと仕事を両立させている姿を見てきたからこそ、パフォーマンスという一面だけでは判断しない、という温かい視点も大切にしています。
そんな関が、これから入社する新卒の皆さんに持ってほしい考えについて語ります。
「今、小学生の子どもたちが10数年後に就職活動をする際、どのようなスキルがあれば、社会で活躍できるのだろうか、などと最近よく考えます。これから当社に入られる新入社員の方も同じ状況で、今まさにAIの世界でどのように変革していくべきか。会社としても模索している最中だと思います。
そのため新人の方も、『自分はこれしかできない』と枠を決めず、幅広く変化に対応し、学び続けることができる。そうした方が当社で活躍できるのではないかと考えています」
若い世代ならではの視点や知識にも、大いに期待を寄せています。
「AIなどの最新分野では、若い世代の方々のほうが知識を持っていることも多く、そうした方々が自信を持って提案してくれることで、新しい価値が生まれると期待しています」
一方で、協調性も大切だと言います。
「当社には本当に多様な人がいますので、そうした方々と協調していこうという姿勢のある方や相手を尊重し、思いやれる方がやはり望ましいです。互いに歩み寄りができるといいですよね」
最後に、新卒で入社し20年以上キャリアを築いてきた先輩として、自身の経験を踏まえたキャリアパスの描き方について、力強いメッセージを送ります。
「『このプロジェクトに挑戦したい』『この分野に関心がある』といった意思を明確に伝えながら、自分の道を切り拓いていく。その姿勢がこれからのキャリア形成には欠かせません。これから入社される皆さんには会社に委ねるだけでなく、自らキャリアを選び取っていってほしいと思いますね」
※ 記載内容は2025年10月時点のものです

