はじめてマネジメントに挑戦する際、「自分に務まるだろうか」「失敗してしまったらどうしよう」という不安や心配、プレッシャーを感じる方も多いでしょう。しかし、誰しもが最初から完璧にこなせるわけではありません。
また、チームやビジネスの状況や目標、チームメンバーの個性やバックグラウンド、仕事のスタンスなどによって、求められるマネジメントのスタイルは異なり、柔軟に変化していく必要もあります。
さらに、マネジメントをするあなた自身が、先陣を切っていくタイプなのか、チームを後ろから支えるタイプなのかによっても、手法は変化してくるはずです。
普段私たちが接している、リーダーやマネージャーとして活躍している方々も、こうした多角的な要素を踏まえて試行錯誤を重ね、チームのメンバーや自分自身と対話を重ねながら、チームやチームメンバーともに成長し、現在に至っているのです。
そこで本記事では、失敗や挫折を経験しながらも、チームとともに歩んでいるマネジメント経験者たちのエピソードを3つのテーマに分類してご紹介します。
※ 掲載内容は記事公開当時の内容です
1.チームの力を最大化するために取り組んだこと
▶︎freee株式会社
事業内容:「クラウド会計ソフト freee会計」と「freee人事労務」を提供
・現在の仕事内容:セールスチームの責任者を経て新卒採用の責任者を担う
いろいろなアプローチでチームと向き合ってきた羽山さん。自身のブレイクスルーを感じたのは、ジャーマネになってから1年後の2019年でした。
羽山さん 「当時はかたくなにメンバーのモチベーションさえ良ければ、すべてはうまくいくと信じていました。結果として、自分のやりたいことばかりを優先してしまい、ジャーマネに就任してから3クォーターほど経っても、まったく成果が出ませんでした。
振り返ると、業績マネジメントや育成の粒度が荒く、メンバーの自力を伸ばすことができていませんでした。そこで一旦、自分のことは横に置いて、業績マネジメントだけに集中することにしました。“覚悟”を持って取り組むことで、初めて達成することができました。メンバーも手応えを感じてくれていて、このときはやりきって良かったと思いました」
羽山さんの“覚悟”は生半可なものではありませんでした。
羽山さん 「何に向き合うべきかわかっていながらも、ずっと逃げていたんだと思います。そのクォーターで目標が達成できなければ、一旦ジャーマネを辞めようと自分の中で決めていました」
具体的なアプローチとして行ったのは、コミュニケーション方針を変えたことでした。
羽山さん 「以前は意思決定をメンバーに委ねていました。と言うと聞こえはいいのですが、要するに入り込むことで嫌われたらどうしよう、という不安な気持ちが先行していたんだと思います。結果、メンバーの意見をくみ取ってまとめることが仕事になっていて、そこに自分の意思はあまりなかったように思います。
改めて向き合ってみると、達成に向けて自分がやるべきことがどんどん決まっていきました。また、メンバーに伝えるべきことも発信できるようになりました」
羽山さんはこの経験から「自分の意見を持ち、ぶつけ合うこと」の大切さを学んだと言います。
羽山さん 「メンバーの意見を引き出し、その意思を尊重することこそが大切で良いことだと信じてきました。ただこの経験を通して、それだけでは足りないと気づきました。ジャーマネ自身が客観性を持って介入することで、新しい解を一緒に見出す必要があると思うようになりました。
今はお互いの解をぶつけ合うこと、つまり『私はこう思う』としっかり伝えて、より良い解を一緒に作り上げることが、成長や成果につながると思っています」
→ストーリー:チームを理解するカギは“コミュニケーションと観察”──ジャーマネとしての成功体験から得た学びと覚悟
▶︎株式会社グロービス
事業内容:グロービス経営大学院、企業内研修、スクール型研修、ベンチャーキャピタル、BLOBIS学び放題、出版・発信
・現在の仕事内容:グロービス・エグゼクティブ・ディベロップメント(GED)のチームリーダーを務める
同じ社内と言えど、チーム構成や風土、チームメンバーの性格はさまざま。マネジメントスタイルを柔軟に変えながら最適化することを池田さんは意識しています。
池田さん 「今のチームには自立したベテランメンバーが揃っているので、お互いに自由に仕事をしながら、それぞれが十分に力を発揮することを第一に考えてチームを設計しています。お客様にとって価値あるサービスを提供できるように、その結果九州エリアでのグロービスの存在感を高めていくために、短期だけでなく中長期的な売上目標も意識しています。
中長期的な目標を追いかけて、それぞれが工夫を重ねて活動していくスタイルが今のメンバーには合うと思っているからです。名古屋時代の一体感を意識していたチームづくりとは異なりますが、自立したメンバーだからこその刺激のあるチームだと感じています」
揺るぎないマネジメントスタイルを確立しようとするのでなく、カメレオンさながらに環境適応能力を発揮し、チーム力の最大化を追求してきた池田さん。いま、チームリーダーという役割に大きなやりがいを感じています。
池田さん 「さまざまなお客様のことを知ることができているのはチームメンバーのおかげ。自分ひとりでできることは限られていて、マネジメントを任されたメンバーの数だけチャレンジの幅が広がるのを感じます。より多くのお客様に価値提供や貢献ができているという点で、リーダー職はやりがいに満ちた仕事です」
→ストーリー:型はひとつじゃない。組織ごとに最適なマネジメントスタイルを追求するリーダーの信念
▶︎株式会社コメ兵
事業内容:中古品・新品の宝石・貴金属、時計、バッグ、衣料、きもの、カメラ、楽器などの仕入・販売
・現在の仕事内容:「KOMEHYO GINZA」の店長を務める
塚原さんが旧銀座店の副店長を経て店長になったのは2021年のこと。前店長が「彼女ならできる」と会社に推薦をしたことがきっかけでした。
塚原さん 「店長になったことで『最終的にスタッフの想いを受け止めるのは自分だ』と実感しています。副店長時代は部下に何を言われても、何が起きても店長に相談できましたが、今は私がその立場。最後の砦として、どう行動すべきか常に考えながら働いています」
塚原さんが店長として大切にしているのは、メンバーそれぞれの想いを受け止めながら、個性を引き出すこと。
塚原さん 「店長だからといって自分が一番できる人じゃなくてもいいというか……。みんなの得意なことを引き出して、力を借りればいいという考えなんです。これを知っていれば、きっと誰でもできると思います。私よりお客様へのおもてなしが上手な人、数字に詳しい人、アイデアが豊富な人など、スタッフみんなの魅力を引き出し、まとめていくことが私の役割だと思っています」
→ストーリー:社員教育や女性の意識改革にも取り組んできた「KOMEHYO GINZA」店長
▶︎マルホ株式会社
事業内容:医療用医薬品等の研究・開発・製造・販売・輸出入ならびにこれに付帯する業務
・現在の仕事内容:人事部 人材開発グループでグループマネージャーを務める
マネージャーとして、上杉さんにはもうひとつ意識してきたことがあります。それは、メンバーに積極的に仕事を任せ、主体性を引き出すこと。
上杉さん 「最初のころは、社内に送るメールの文面確認を頼まれたり、何かを実施するたびに、『どちらがいいと思いますか?』と相談が寄せられたりしていました。でも私がそれに対応し続ければ、いつまでたってもメンバーは自分で判断できるようになりませんから。
そこで、『あなたならばどっちがいいと思う?Aがいいと思うならそうしてみよう』と伝えるようにしたんです。もちろん、メンバーの判断通りに進むケースばかりではありませんが、彼らがのびのびと意見を伝えられる雰囲気づくりに努めてきました」
こうした取り組みの甲斐もあり、この1年間で確かな変化を実感していると話す上杉さん。
上杉さん 「一人ひとりが仕事に取り組む姿勢や、メンバー間の関係性が大きく変わりました。また、会議や打ち合わせなどで議論が混とんとしてきたときに、そもそもの目的に立ち返ることのできるメンバーも増えてきたように感じます。
まず自分が周囲に影響を与えられるようにならなければ、会社に良い影響をもたらす存在になることはできないと考えています」
→ストーリー:より良い組織づくりのために人事ができること。キャリア入社ならではの視点を武器に進化に挑む
▶︎ランスタッド株式会社
事業内容:人材派遣サービス、人材紹介サービス、テクノロジーサービス、アウトソーシング事業、人事サービス
・現在の仕事内容:代表取締役社長
猿谷さん 「リーダーにとって一番大事なのは権限委譲し、信じること。自分1人でできる範囲は限られているということを認めた上での組織づくりがものすごく重要だと思っています。やりたいことがあれば、メンバーとコミュニケーションして伝え、信じて任せること。
任せた後、メンバーが何かハードルを感じていることがあれば、乗り越えられるようにしっかりとサポートする。それが信頼関係につながっていくと思います。メンバーを頼ってみんなで走った方が早いので、チームとしてどう動けるかを常に考えています」
→ストーリー:失敗からの成功ストーリー。若き社長が語る「リーダーとしての使命」
2.メンバーの成長のために取り組んだこと
▶︎三菱自動車工業株式会社
事業内容:(1) 自動車及びその構成部品、交換部品並びに付属品の開発、設計、製造、組立、売買、輸出入その他の取引業。 (2) 産業用エンジン等及びその構成部品、交換部品並びに付属品の開発、設計、製造、組立、売買、輸出入その他の取引業。 (3) 中古自動車及びその構成部品並びに交換部品及び付属品の売買。 (4) 計量器等の販売。
・現在の仕事内容:デザイン本部デザインマネジメント部 部長
竹林さん 「部長になったころ、大先輩からアドバイスをもらいました。『部長は絵を直接描いちゃだめだ』と。自分で描いたら負けだって言われましたね。
デザイナー、クリエイターというのは、『上司、部長に言われた通りにやりました』ではなく、“自分のアイデアが採用される” “このアイデアを通してやる”という熱意や情熱が大切です。そして案が採用されたとき、その人自身の成功体験となり成長につながると思っています。そういう機会をみんなに経験してもらいたいので、部長として直接絵を描くようなことはしないようにしています」
メンバーの“描く”を支える側になることで、デザイナーだったころとは物事の捉え方、見方が違っていると話します。
「現場目線だけではなく、経営者目線で俯瞰してみることにすごくこだわっています。デザイナーの『こうしたい』というのは伝わってくるのですが、経営戦略や目標に対して違うところは、明確に伝えていく必要があります。
時には、デザイナーから見ると厳しい印象を与えてしまうこともあると思います。丁寧に相手の目線で必死に考え、納得してもらえるよう、言い方や伝え方はすごく気を遣っています(笑)」
→ストーリー:メンバーの“描く”を支えたい──現場目線と経営者目線でカーデザインに携わる部長の想い
3.チームで乗り越えるために取り組んだこと
▶︎株式会社デンソー
事業内容:自動車技術、システム・製品を提供する、グローバルな自動車部品メーカー
・現在の仕事内容:生産管理部 海外生産管理室に所属し、デンソーの輸出品に対し関税を減免するしくみであるEPAの推進のため、社内体制や運用構築を担当
メンバーとどう向き合うべきか、あらためてコミュニケーションスタイルを見直すこととなった山下さんは、マネージャーとしての素養を磨いていきます。
山下さん 「ヨーロッパに行く前の私は、仕事での会話を“ディベート”のように思っていました。相手を論破したときの気持ち良さをどこかで楽しんでいたように思います。それは見方を変えると相手のミスを特定し、ネガティブに攻める行為でもありました。
ですが、多様な価値観にふれたことによって、相手の立場になって考えるようになり意識が変わったと感じます。誰もミスをしたいと思っているわけではありませんし、組織や業務のルール・構造が原因の可能性もあります。大事なことは、いかにミスを繰り返さない仕組みをつくるかということに気づき、トラブルが発生した真因をしっかり議論し、チームが納得する再発防止策を一緒に考えていきたいと思うようになりました」
→ストーリー:デンソーの物流を支える女性マネージャーの挑戦——挫折や海外赴任から学んだチームワークの大切さ
▶︎トヨタ自動車株式会社
事業内容:自動車の生産・販売
・現在の仕事内容:次世代コックピットのUX/UIの設計・開発を行う
服部さん 「日本では、上司から部下へ仕事のアサインを一方的に行うケースが一般的だと思うのですが、それに対し、海外の企業では、プロジェクトベースの求人を行っていることもあり、本人が何をしたいのか、どういうモチベートをされたいのかを、マネージャーが聞いてからアサインします。
やりたいことであれば、多少苦しい状況でも乗り越えられることが多いと思いますし、アイデアも浮かびやすくなると思いますしね。
マネージャーにとっては、それぞれの専門性や意思を正しく把握することが、一番の仕事だと思います。そうすることでメンバーの能力の掛け算し、チームの力を最大化することができるのです。
その一方で、プロジェクトとしてのビジョンや目指す価値観はブレないように心がけています。チームが同じ方向を見て自立して動くことも、力を最大化するには重要なことだからです。そのためにも、私はマネージャーだけでなくリーダーとして、北極星を示し続けることも大事だと思っています」
→ストーリー:開発に終わりはない──プロジェクトリーダーが語るトヨタのソフトウェア開発
▶︎野村ビジネスサービス株式会社
事業内容:証券バックオフィス・サービス(総務部門サポート)、シェアードサービス
・現在の仕事内容:業務グループでマネージャーとしてマネジメントを担当
和泉さん 「管理職として周りの人といい関係で競い合い、能力をさらに向上させていきたいです。
業務知識、規律、情報管理、グループ運営など、同じ支店内でもお互いをチェックし合い、切磋琢磨しながら、組織全体として、高いパフォーマンスを発揮できるようにしていきたいと思っています。
不確実性の高い時代の中で、あらゆる可能性を予測し適切な選択を行うこと、今と昔では業務の進め方やコミュニケーションの取り方、考え方など、いろいろなことが変わってきていますので、変化に対して柔軟に対応することが、管理職としてのこれからの役割だと考えています。
環境に応じてまずは自分がカメレオンのように変化し、組織が成長するために必要な変化をリードしていきたいです。そして、危機感を持ちながらアンテナを高くし、切磋琢磨しながら視野を広げ成長していきたいと思います」
→ストーリー:チーム団結の鍵はコミュニケーション。変化に対応し、組織と共に成長するマネージャー
▶︎株式会社フレクト
事業内容:クラウドインテグレーションサービス、Cariotサービス
・現在の仕事内容:システム構築のPM/アーキテクトを務める
それ以降は、プロジェクト全体と各メンバーの状態を細かく把握するように心掛けていったという石井さん。リスクが高く苦しくなりそうな場合は、状況を迅速に共有し、自分からアクションを起こしています。
石井さん 「チームメンバーにも苦しい状況があれば早めに自分に伝えてもらい、きちんとアラートが上がってきやすくなるように信頼関係を結ぶことも大切だ、と実感しました。早めに手を打つことで問題が大きくなる前に解決する手段を身につけられた点が、チームマネジメント面での学びにつながったと考えています」
→ストーリー:失敗も強みに変えて。社内初の快挙で後進の育成支えるエキスパートへ
今回、13人のマネジメント経験者のストーリーをご紹介しました。身近にもお手本となる方々がいるかもしれませんが、他社の方の経験談もこれからのマネジメントのヒントにされてみてはいかがでしょうか?
