建設中の住宅やビルを目にすることは多く、建設業界を身近に感じている方も多いのではないでしょうか?しかし、建設業界に内包される企業は建物をつくる企業だけでなく、鉄道や道路をつくるほか、そのための建設機械を製造販売する企業、建設資材を販売する企業、電気工事や内装工事を行う企業と多様な企業があります。
本記事ではそんな建設業界の概要、そして実際に建設業界で働く人々の生の声をご紹介していきます。就職活動の情報収集にぜひ活用してみてください。
「建設業界」とは?どんな職種があるの?
建設業界は、元請けであるゼネコンを頂点とした重層下請け構造になっていることが特徴です。また、通常、設計と施工は別の企業が行うなど、建物などを建造する上でも多くの企業・ステークホルダーが関わっているのです。建設業界の大まかな分類と職種の一例をご紹介します。
▶︎建設業界の分類
・ゼネコン
日本におけるゼネコンは総合建築業を指し、発注者から建築・工事を請け負い、施工会社や設備会社などを取りまとめます。
その中でも企業規模や売り上げ規模の大きい大手5社はスーパーゼネコンと呼ばれています。高層ビルや製造施設、物流施設のほか、発電所など、大型で特殊な建設物にも携わります。また、海洋土木を中心に建設を手がけるマリコンなどもあります。
ゼネコンの職種例:営業、設計、施工管理、エンジニアリング、技術開発、インテリアデザイン、積算、事務 など
・ハウスメーカー/工務店
ハウスメーカーや工務店は個人向けの住宅建設を中心に手がけます。ハウスメーカーは全国に営業拠点があるなど、規模や営業エリアが大きく、工務店は地域に密着している傾向にあります。
ハウスメーカー・工務店の職種例:営業、設計、施工管理、インテリアコーディネーター、積算、事務 など
・建設設計事務所
建設設計事務所は建造物の設計や設計通りに施工が行われているかを監理します。建設設計はデザインを主に手がける意匠設計、建造物の強度や安全性に関わる土台や骨組みなど設計する構造設計、ガスや電気、給排水や空調、冷暖房に関わる設備の設計をする設備設計に分類されます。
建設設計事務所の職種例:営業、設計、施工管理 など
・施工会社/設備会社
サブコンとも呼ばれ、ゼネコンやハウスメーカーなどから受注を受け、実際に建設や工事を管理、または工事を行います。橋や鉄道、道路などをつくるほか、河川や海岸などを工事する土木工事、建物内のガスや給排水、空調や冷暖房の設備を設置する工事、建物内の床や壁、建具などの内装工事、送電線や配電盤などの電気工事、解体工事などに特化しているケースが多くあります。施工の管理のほか、施工後の管理や点検なども行います。
施工会社・設備会社の職種例:施工管理、営業 など
・職人
施工会社から仕事を請け負い、実際に工事を行います。大工や、とび職、左官、重機オペレーターなどに分類されます。
・建設機械メーカー
ショベルカーやクレーン車、ブルドーザーなど、建築物を建てる際に必要な機械を製造・販売します。
建設機械メーカーの職種例:製品企画/開発、生産技術、生産管理、製造、原料調達、品質保証、営業 など
・建築材料メーカー
木材や石材、セメントや鉄鋼材など建築物を建てる際に必要な材料を製造・販売します。建築材料メーカーとゼネコン、ハウスメーカーなどの間に建築材料に特化した商社がパイプ役として入るケースもあります。
建築材料メーカーの職種例:製品企画/開発、生産技術、生産管理、製造、原料調達、品質保証、営業 など
・建設コンサルタント
ダムや河川、道路、空港などの社会資本に関する計画、測量・調査、設計、監理などを行います。国や都道府県、地方自治体などの行政機関のほか、民間企業から発注を受けて業務に当たります。建設、都市設計、環境などに特化した企業もあります。
建設コンサルタントの職種例:調査・測量、設備設計、建築設計、営業 など
・建設業界向けソリューション提供企業
建設業界でも、業務の効率化や生産性の向上による労働時間、工数の削減などに向けてDXが進められており、IoT、ICT、AI技術が活用されています。たとえば、AIを用いた画像認識を活用した技術や自動運転技術、ARなどを用いたソリューションなども開発されているほか、施工管理をクラウド化しアナログを脱却する取り組みもなされています。
建設業界向けソリューション提供企業の職種例:企画、開発、営業、カスタマーサクセス、カスタマーサクセス など
建設業界を目指したきっかけ・動機
建設業界を目指す就活生も、その理由はさまざまです。きっかけには次のようなものが挙げられます。
・いろいろなステークホルダーと関われる
冒頭でも記載した通り、多くのステークホルダーとともに建造物を形にするのが建設業の特徴でもあります。多くの人と共に何かを成し遂げたい、という理由で目指す方も少なくないでしょう。
・ものづくりが好き
ものづくりが好きという方が就く企業・職業にはメーカーやエンジニアなど、さまざまなものがありますが、大きいものをつくりたい方や歴史に残るものをつくりたいといった想いから建設業を目指す方も多いのではないでしょうか。
・身近な人が建設業界にいる
建設業界に進む人の理由の中でも少なくないのが、ご実家が建設業であったり、家族に建設業界で働いている方がいるからというものです。ご家族が携わった建設物を一緒に見に行った思い出が後押しするケースが少なくありません。
・人の生活に貢献する仕事をしたい
建物の建設だけではなく、河川や海岸の工事、橋や鉄道、道路など人の生活を支えるものを生み出す仕事でもあります。安全性や使いやすさを追い求め、人々が安心して安全に生活できる基盤をつくる仕事がしたいという想いから志望するケースも多いのではないでしょうか。
建設業界で働く人々のリアルな声
実際に建設業界で仕事をする方々はどのような想いで建設業界に進み、キャリアを歩んでいるのでしょうか?建設業界で働く方々の声をピックアップしました。
※記載の情報は記事公開当時の内容です。
▶︎京王建設株式会社
事業内容:建築(マンション・宿泊施設・鉄道関連施設など)、土木(道路・造成・鉄道関連施設など)、軌道管理保守
*ストーリー:「あって当たり前」を支える仕事。鉄道建設の現場で感じ続ける、緊張感とやりがい
・2018年新卒入社
・仕事内容:土木本部で土木施工管理を担当
・きっかけ:
プラモデル制作やバイクのパーツを分解して組み立て直すなど、昔から「ものづくり」が好きだった望月さん。高校では産業課、大学では建設系の方面に進みました。
望月さん 「高校入試のときにはすでに、建設業に進路を決めていました。大学入学後、最初は足場組みや左官など技術系の分野をメインに学び、大学3〜4年生の時には都市開発の研究室に入りました。(中略)
私は車の運転が好きで、いろいろな場所に出かけますが、日本の道路は隅から隅まで整備されているんですよね。それは、誰かが作って管理しているからこそです。
街中にある家も、鉄道も、使っているときは『あって当たり前』のもの。でも、ないと人は困ってしまう。そこに気づいてから、『影ながら人の支えになっているものっていいな』と思って。公共性の高い仕事に興味が湧きました」
・やりがい:
望月さん 「漠然と『人の役に立ちたい』と思っている人に、鉄道建設業はおすすめです。もちろん仕事ですから、精神的、体力的に大変な部分もあります。でも公共性の高い仕事に携われるので、スケールもやりがいも大きいんです。
とくに鉄道は、1日に何十万人も利用するものです。そんな鉄道に関わるプロジェクトや工事に、計画から現場管理まで幅広く携われて、しかも多くの人を支えられる。こんな仕事はなかなかないです」
▶︎清水建設株式会社
事業内容:建築・土木等建設工事の請負(総合建設業)
*ストーリー:ものづくりで得られる達成感が原動力──子育てもキャリアも諦めない女性技術者の挑戦
・新卒入社
・仕事内容:土木技術本部 技術計画部で都市土木工事に携わる
・きっかけ:
父親が建築関係の仕事をしていたと言う足助さん。子どものころ、父が手掛けた建物を一緒に見に行ったことがきっかけで建築の仕事に憧れを抱き、土木に興味を持つようになったと言います。
足助さん 「父が関わった建物を見たとき、あんなに大きなものをつくる仕事はきっとおもしろいに違いないと思いました。そのときは建築に興味があったのですが、大学に進む際、土木工学科という分野があることを知ったんです。土木では道路や橋、ダムなどの建造に携わるので、建築物よりずっと大きく、たくさんの人の役立つところに魅力を感じ、土木の道を選びました」
・やりがい
足助さん 「新入社員の時に、何もないところから大きな道路をつくり上げ、達成感を得られた経験が大きかったですね。自分で計画したものが実際に形になっていくことに今でも大きな喜びを感じますし、それが仕事のモチベーションです」
▶︎株式会社アーキ・ジャパン
事業内容:建設エンジニアアウトソーシング事業、転職支援事業、建設事業
*ストーリー:目の前の仕事を一つずつ。ゼロから飛び込んだ建設業界で、できることを増やしていく
・2022年新卒入社
・仕事内容:物流倉庫の新築工事の現場で、空調・衛生設備の施工管理を担当
・きっかけ:
中込さん 「就職活動の軸にしていたのは、考え方の違う人たちに多く出会えるような職業に就くこと。剣道の活動や大学時代のアルバイトなどでたくさんの人と出会い、それぞれの人が話し方や考え方が違うことに興味を抱いていたんです。
職種や業種にはこだわりすぎず、その条件だけを提示して就活エージェントに相談したところ、紹介されたのがアーキ・ジャパンでした」
・やりがい
中込さん 「こうした建設業界での日々を振り返って、今の仕事は自分の性格に合っていると思っています。目の前の仕事を頑張って、できることが増えていく部分にやりがいを感じているんです。
たとえば、図面が読めるようになったときは達成感を覚えました。図面を調整する仕事や、施工計画書を作る事務作業は、人によっては苦手な人もいると思いますが、自分は苦ではありません。むしろ今は、この部分をもっとできるようになって、役に立っていきたいと思っています。
私のように未経験で挑戦しようと思っている方には、『とにかく一歩を踏み出してみればなんとかなる』とお伝えしたいですね。目の前の仕事に取り組んでいけば、少しずつできることも増え、仕事の中で自分に合う部分も見えてくるはずですから」
▶︎トライアロー株式会社
事業内容:通信・IT・建設業界を中心とした人材派遣・紹介事業
*ストーリー:建設業界をITの力でもっと魅力的に!重機操作訓練アプリ「重機でGo」が誕生するまで
・中途入社
・仕事内容:新規事業として建設業界向けのアプリの自社開発を行う
・やりがい:
島崎さん 「もちろんありますよ。建設業界はITに馴染みの薄かった業界だからこそ、クライアント側が『まさかこんなこと、解決できるはずがない』と長年思い込んでいるだけで、実はITの力を使えば解決できることが結構ある業界と言えるかもしれません。現場に足を運ぶことで、クライアントがまだ言語化できていない課題を予想しながら仕事に取り組むようになりました。
日々、他業界の人が感じている不便や苦労を知って、なおかつそれを自分たちの能力やスキルで解決できるというのはエンジニアとしての最大の喜びです」
▶︎BRANU株式会社
事業内容:建設業向けデジタルトランスフォーメーション事業
*ストーリー:ゼネコン出身の建設業界に通じる仲間を得て、ボトムアップで業界のDX化に挑む
・中途入社
・やりがい:
大関さん 「建設業界をテクノロジーでアップデートしていき、いずれ自分の子どもたちの世代に『建設業ってかっこいいね!』『建設業関係の仕事をしたい!』と思ってもらえるような業界にしていきたいですね。でないと業界の衰退は免れないと思っています。
私たちの使命は、建設業界という巨大産業のなかの約9割を占める中小企業や個人事業主の方々にソリューションを提供することなんです。ここを活性化させることができれば、業界は確実に大きく変化していきます。BRANUに入って面白いなと私が思ったのは、そこですね。やりがいや醍醐味をひしひしと感じています」
建設業界では専門知識が求められる職種も多く、大学での専攻が関係してくるケースもあります。しかし、多種多様な企業があるため、どんなものをつくりたいのか、どんな価値を提供したいのかなどを改めて整理した上で選択すると良いでしょう。また、近年では、国土交通省がICT技術を建設現場に導入することで、生産性向上を図る「i-Construction(アイ・コンストラクション)」という取り組みを推し進めています。働き手不足の解消や労働時間の適正化などにも取り組んでおり、変革が起きようとしている業界でもあります。
実際に建設業界で働く方々のストーリーを読むことで、建設業界のリアルを覗いてみてはいかがでしょうか。
