ものづくりが好きで建設業へ進んだ──「公共性の高い仕事がしたい」という想い
プラモデル制作やバイクのパーツを分解して組み立て直すなど、昔から「ものづくり」が好きだった望月。高校では産業課、大学では建設系の方面に進みました。
望月 「高校入試のときにはすでに、建設業に進路を決めていました。大学入学後、最初は足場組みや左官など技術系の分野をメインに学び、大学3〜4年生の時には都市開発の研究室に入りました」
研究室では、街の観光支援から、空き家問題の解決、インフラ整備についての計画まで、幅広く学んだ望月。この研究室に入ったのは、公共性の高い仕事に興味が湧いたからでした。
望月 「私は車の運転が好きで、いろいろな場所に出かけますが、日本の道路は隅から隅まで整備されているんですよね。それは、誰かが作って管理しているからこそです。
街中にある家も、鉄道も、使っているときは『あって当たり前』のもの。でも、ないと人は困ってしまう。そこに気づいてから、『影ながら人の支えになっているものっていいな』と思って。公共性の高い仕事に興味が湧きました」
就職活動の会社選びでは、「公共性」と「インフラ系」を軸にしていた望月。最終的には、京王建設へ入社を決めました。
望月 「京王建設は、京王線沿線をメインに業務を展開しています。その事業基盤からくる、地域密着性の高さが決め手でした。実際、面接時には、『京王線で好きなところはどこですか』など、利用客数や駅数を聞く質問もあり、京王線への思い入れを感じられました。
また、京王建設の中で私が志望していたのは、鉄道系の部門。時間管理に厳しいイメージがあり、自分の性格的にはこの部門が合っていると思っていました。さらに鉄道という特殊な環境下で働くことに惹かれたのも、志望した理由の一つです」
規模の大きな「連続立体交差」を作る仕事──電車とお客様が最優先
望月は2018年に入社。1年目は耐震補強、2年目は検査、3年目は予防保全に携わってきました。
2022年10月現在担当しているのは、全部で8工区ほどある笹塚~仙川駅間の連続立体交差事業(笹塚連立工事)の6工区です。
望月 「連続立体事業は10年以上前にスタートした、大きな計画です。現在は2030年に終了予定ですが、すでに計画が後ろ倒しになっています。それほど難しく、思い通りには行かない仕事です。
もちろん、理由があります。連続立体交差事業では、稼働している路線の隣に高架を作っています。鉄道と関係ない部分の作業は昼間でも進められますが、線路内での作業は終電後の夜間に線路に立ち入って行うため、作業時間が限られているのです。
私が主に担当しているのは、まさにその夜間作業。朝は初電を決まった時間に必ず通さなければなりません。工期を守るだけでなく、『電車と、電車をご利用するお客様に絶対に影響を与えない』ことも、大事なミッションです」
望月は夜間工事に携わった初日からの責任感と緊張感を、今も保ち続けています。
望月 「初めて、1人で夜、線路内で作業をしたときのことは、強く記憶に残っていますね。1年目や2年目の時は、夜でも他に責任者の人がいました。ですが、1人のときは、私が責任者。初電が通らなかったら私の責任です。眠気も起きないほど、緊張しました。
責任者業務を1人で行うようになって半年経ちましたが、今でもこの緊張感は変わりません。夜勤前の仮眠時間は、寝られないです(笑)。初電が通ったのを確認できたら、やっと安心できて眠くなります。
経験20年以上のベテランの方でも『夜勤前は緊張する』と言っているので、緊張感は多分なくならないと思います。でも、その方が常に新鮮な気持ちで現場に立てますし、安全面でも大切なことかもしれません」
周囲の助けで成長を実感──できることが増えてきたから、やりがいも大きい
連続立体交差事業に携わる中では、全体を意識した動きが求められます。普段の仕事ではあまりない仕事も発生するため、望月は「課題に直面することもある」と語ります。
望月 「2022年4月から、複数の企業が共同で工事を行う働き方(JV)の現場所属になりました。それで変わったのが、現場の人数です。京王建設だけの現場では、1現場に3人、多くても4人ぐらいでした。
それと比べると、今は13〜14人と多くの職員や、大勢の職人さんがいるので、より協力して仕事を進めなければなりません。私自身、職人さんと接することは多いものの、これだけの職員と働くのは初めてです。最初はコミュニケーションを取るのに苦労しました」
事業規模が大きいこの現場では、さまざまなプロジェクトが同時に進みます。また、昼と夜で担当する人間が変わるため、進捗具合や情報の共有が欠かせません。
望月 「引き継ぎの時間をどう効率的に回していくかが、今一番の課題です。そこで、わかりやすい資料づくりを意識しています。引き継ぎするときは、『自分の頭の中には大体入ってるけど他の人の頭には入ってない』という状況です。
でも、それを言葉で伝えるのは、結構難しい。聞き手としても全てを聞いて要点をまとめてメモを取るのは、労力が要ります。だからこそ、共有する資料自体の精度を高めて、口頭のやり取りだけに頼らない資料作りを心がけています」
入社から着実に成長を続ける望月。大きな現場に限らず、日々の現場での仕事から、事故を起こさないために柔軟に対応し、改善することの大切さを学んでいます。そうした成長の中では、周囲に支えられることも多くありました。
望月 「法律、手続き関係、書類作成などは、京王建設をはじめとする職員や監督者の方から学べます。一方、現場の進め方や施工方法などに関しては、職人さんたちからも教えてもらえます。職員や監督者の方、そして職人さんのどちらからもフォローを受けられるのは、本当にありがたいことですね。
年齢の幅は広いですが、京王建設の人は本当に良い人たちばかりで助けられることが多いです。昼夜両方の仕事において、いろいろ教えてもらえています」
成長し、できることが増えていく。やりがいを感じる場面も増えてきました。
望月 「半年ほど前、小さな工事で一連の流れを0から100まで担当しました。お客様との打ち合わせから協力会社さんとの相談、材料・機材の手配、当日の現場管理、工事後の書類作成に至るまで、全てをスムーズに進められたのです。その後も、同じ関わり方で2〜3件仕事を任せてもらえました。自信にもつながりましたし、何より楽しかったです。
また、その工事に参加していた昔から京王建設と付き合いのある協力会社の方からは、『君なら任せられるね』と言ってもらえました。『仕事を任せてもらえただけでなく、他社の方に認めていただいた』という実感が持てたのも嬉しかったですね」
いつまでも現場を大切に。これからも鉄道建設に力を入れていく
望月が現在、仕事をする上で最も大切にしているのが「現場」です。
望月 「入社5年目ですが、私はまだまだ若手です。仕事では、『とにかく現場に出ること』を1番重視しています。5年目になると、後輩に任せられる状況になり、現場に出ないで書類を作っていても日々の業務自体は成立してしまうんです。
でも、現場じゃないとわからないこともあるし、技術力も向上しません。施工管理の職種は、現場ありき。現場に出ることは何歳になってもおろそかにしてはいけない、と思っています」
望月は、今後も公共性の高い仕事に携わりたいと熱く語ります。
望月 「京王建設に入社したことで、大学生の頃に抱いた『公共性のあるものを作って、みんなを支えたい』という強い想いを実現できています。京王建設は民間工事も手がけていますが、やはり鉄道系の建設会社ですから、鉄道関連の工事には今後もずっと携わっていきたいです」
公共性の高い仕事に興味がある人に、鉄道系建設業はおすすめだと望月は考えています。
望月 「漠然と『人の役に立ちたい』と思っている人に、鉄道建設業はおすすめです。もちろん仕事ですから、精神的、体力的に大変な部分もあります。でも公共性の高い仕事に携われるので、スケールもやりがいも大きいんです。
とくに鉄道は、1日に何十万人も利用するものです。そんな鉄道に関わるプロジェクトや工事に、計画から現場管理まで幅広く携われて、しかも多くの人を支えられる。こんな仕事はなかなかないです」
人の役に立ちたい。公共性の高い仕事がしたい。変わらぬ想いを胸に、日々業務に打ち込む望月は、今後も周囲に支えられながら成長を続け、第一線で活躍を続けていきます。