農場で働く人たちの作業を効率化するために、システム開発を
テクノロジーの力で農業のさまざまな課題解決に挑むたねまき。農業を持続可能な産業として地域に根付かせることを目的に2019年に設立されました。
「たねまきは、農業を構造から変革し持続可能にするため、さまざまな開発や農作物の生産、販売などをワンストップで実施しています。たねまきの関連会社であるたねまき常総では、茨城県常総市に日本最大級のミニトマト生産拠点を有し、2023年から本格的に稼働を開始しました。
私が所属する技術開発部は、農作業の自動化・効率化を推進するとともに、これまで経験や勘に頼ることの多かった農業をデータドリブンにすることをミッションに掲げ、ロボットやソフトウェア製品の開発を担っています。
農業というと『キツい・汚い・危険』という3Kのイメージを持つ人も少なくないと思いますが、テクノロジーの力をうまく取り入れていくことで、農業に携わる人たちの負担を少しでも減らし、作業を効率化できるよう日々取り組んでいます」
現在は、PM(プロジェクトマネージャー)としてシステム開発に従事している一色。労務や農作業管理に関するシステムの開発に携わっています。
「農場で働く従業員がスマートフォンで利用できるシステムで、生産性の向上や働きやすい環境作りのため、作業の指示や実績の報告、勤務シフトの調整などが行えます。多くの人数が所属する大規模農場においても、すべての従業員が効率よく働ける仕組みの構築をめざしています。
いずれは農場のさまざまな機械やデータと紐付けして、農業全体を見える化・効率化するとともに、世界一の農業関連データを持つデータプラットフォームとなることを最終的なゴールとしています」
現在、開発したシステムを活用する人が目の前にいる環境だからこそ、課題解決の視点が重要だと一色は話します。
「どんなシステムを作れば農場で働く人たちの負担が減るのか、自社農場へと何度も足を運び、実際にシステムを使用する従業員の人たちの意見を取り入れながら、実装に向け一つずつ開発を進めていきました。
農業従事者の中にはご年配の方も多く、スマートフォンを使用したことがない人も多数いました。システムのUIや使い勝手の改善を行うだけでなく、スマートフォンの操作レクチャー会を開催するなど、地道な取り組みを重ねた結果、最終的に『これ使いやすいね』と言ってもらえた時は嬉しかったですね。
もともとアナログ中心な農業の分野において、システムを導入することでどんな風に作業が効率化するのか具体的に提示しながら進めていくことはなかなか大変でしたが、現場の人たちが日常的に活用できることがゴール。作って終わりではなく、実際に現場に導入してみて農場の仕事にマッチするのかを調整していくことも大切にしています」
これまで培ったSEとしてのキャリアを活かし「役に立つもの」を作りたい
工学系の大学を卒業後、10年ほど常駐SEとして経験を積み、開発技術や知識、プロジェクトマネジメントを学んだ一色。別の立場からシステム開発に携わっていきたいという想いが芽生え、転職を決めたと言います。
「システムを作るのなら、使う人たちにとって本当に役立つものを作りたい。そのためには、ただ言われたものを作るのではなく『もっとこうした方がいいんじゃないか?』と自身の意見を伝えたり、話し合ったりすることが必要だと気づき、そんな風にシステムを作り上げることができる場所に行きたいと思ったんです」
飲食業界や医療業界など、幅広い分野で挑戦をしてきた一色。社内のシステム開発にはじまり、Webサイトやアプリケーションの開発まで、携わってきた領域は多岐にわたります。
「これまで在籍した企業でさまざまな業務に携わってきましたが、いつも仕事を選ぶ際に大切にしてきたことは『誰かの役に立つ仕事をやっていきたい』という気持ちです。
前職である医療系へと転職したのは、これまでに自身が培ってきたシステム開発の経験を活かすことで、医療の世界に貢献できるのではと考えたことがきっかけでした。
ただ、それと同時に実際に全国各地の病院を訪問していく中で見えてきたのは、地域ごとの格差。交通インフラや医療体制の維持が難しい過疎地域を訪問するたびに、この地域格差をシステムの力でどうにかできないか──地域に元気を与えられるような手助けができればと考えるようになりました」
地域創生に関わりたい。そんな矢先に出会ったのが、SBプレイヤーズであり、たねまきだったと一色は振り返ります。
「後継者不足や異常気象による農作物への被害など、さまざまな課題を抱えている農業を持続可能な地域産業にすべく、新しい取り組みを始めようとしているたねまきの姿勢に興味を持ちました。
これまでに関わったことのない農業という分野のシステム開発は、農業自体が抱える大きな課題も含め、なかなか難しそうだと思いましたが、とてもやりがいを持って仕事に取り組むことができるのではと感じ、たねまきへの入社を決めました」
誰かの役に立つものを作るために、使う人に寄り添った開発を
たねまきに入社後、プロジェクトリーダーとして、さまざまなプロジェクトのマネジメントを担当してきた一色。
「どのように開発を進めていけばいいかというプロセスへの理解や、外部ベンダーとの調整はこれまでの経験を活かして取り組むことができています。ただ農業に関してはまったくの未経験。出てきた企画に対してそのままシステム開発を行うのではなく、自ら自社農場へと足を運び、そこで働く人たちに直接話を聞き課題を抽出していくところから始める必要がありました。今までにはない新しい経験で、とても新鮮でしたね」
現場の従業員の声を吸い上げる過程で、学んだことがあると一色は話します。
「実際にシステムを使うことになる農場で働く従業員の話を聞いていると、こんな風にやりたいという要望が次から次へと出てくるんです。ただ、すべての要望を一気に叶えることは難しい。だからこそ、何のためにやるのかという目的をしっかりと定め、本当に現場に必要とされる良いものを作るために、優先度を考えることが大事だと気づきました」
また、社員だけでなく、パート社員の人たち、とくにこれまであまりスマートフォンやシステムの使用に馴染みのなかった年配のスタッフの意見を吸い上げ、システム導入後のサポートまで担当したことも大きな経験になったと話します。
「最初は、ご年配の方に使い方を理解してもらうのがなかなか難しく……。どうしたらすぐに覚えてもらえるかを考え、操作画面自体をシンプルにわかりやすくする改善を重ねました。
システムの開発に携わる者として、今まで使う人に直接ヒアリングできる機会はなかなかなかったので、大変に感じることも多くありましたが、開発と現場が近いたねまきの環境だからこそできる、魅力的なポイントだと思っています」
新しいたねが芽吹き、持続可能性のある新たな農業をめざしていく
今後、10年10拠点を目標に、拠点展開をめざしているたねまき。同社では異業界から転職していたメンバーも多く活躍しています。
「私を含め、たねまきで働く社員の多くが農業とは関係のない業種からの転職者です。『日本の農業に、新しいたねをまく』という理念に惹かれて、これからの新しい農業に携わっていきたいと集まった人たちの経歴は実にさまざまで、いろんな人がいるからこそのおもしろさがあります。
実際に農場で農作業に従事している人、新しい拠点の開発に携わっている人、販売ルートの開拓に携わる人……社内にさまざまな業務を担当する人がいて、その人たちからいろいろな意見を聞いたり情報交換したりできる環境が整っています。システムの開発だけをやっていると、他の職種の人たちと話をしたり意見をもらったりする機会は案外少ないので、刺激になっていますね」
社内でしっかりと横のつながりを実感できることは、仕事のやりがいや働きやすさにもつながっていると話す一色。
「日々のやり取りはチャットで行うことが多いです。何か投稿をするとすぐに反応があるので、安心して仕事を進められています。
また、社員が顔を合わせて実施する定例会なども定期的にありますし、それぞれが書く日報を互いに確認することもできます。それを見ることで、直接聞かなくても『こんなことを日々考えながら仕事に取り組んでいるんだな』と知って自分自身のモチベーションにつながったり、他部署の状況をキャッチアップしたり。日々つながりを感じることができるのはたねまきで働く魅力だと思います」
今は、自社農場に対応したシステムを開発していますが、今後、拠点農場が増えていくことで栽培する農作物の種類が増えていくことや、栽培方法が変化することも考えられます。さらに効率的な農業を推進していくためには、最新の設備に対応する必要もあります。
「実際に農業に携わっている人から『すごくラクになった』と言ってもらいたい。現場でさらに役に立つシステムを作っていきたいというのが今後の目標です。いずれはそのシステムを自社農場以外でも使ってもらいたいですね。国内だけでなく、海外の農場も視野に入れた開発をやっていきたいと考えています」
テクノロジーの力を取り入れ、さまざまな作業が効率化・最適化された、農業従事者の負担が少ない先進的な農業をめざして。そんな未来をいつか自分の子どもにも見せてあげたいと語る一色の挑戦は、まだまだ続きます。
※ 記載内容は2024年8月時点のものです
