全社のリスクを「第2線」から支える。AI審査とモデルリスク管理の新領域に挑戦
──所属している統合リスク管理部の役割について教えてください。
統合リスク管理部は、経営・事業の安定性を確保するため、当社で発生する可能性のあるさまざまなリスクを統合的に管理する役割を担っています。
もう少し詳しく説明すると、当社における各種リスクの特定・評価から対応策の検討、継続的なモニタリングと改善まで、リスク全体を俯瞰しながら一貫して管理する役割です。
当社を含む多くの金融機関では、営業などの事業部門を「第1線」、リスク管理やコンプライアンスの部門を「第2線」、内部監査部門を「第3線」と位置付けて役割を分担していますが、第1線である事業部門がリスクを適切に把握・管理できるように、当部が第2線の立場から牽制と支援をすることで、事業のリスク抑制とスピードの両立をめざしています。
──その中で、HOIZUMIさんは具体的にどのような業務を担当していますか。
私はAI審査とモデルリスク管理の2領域を主に担当しています。AI審査は、社内で新たにAIを導入する際に、その利用可否を判断する業務です。審査では、主に7つの観点から検証します。たとえば、AIが正確に機能するかという信頼性、AIが差別的な判断を助長しないかという公平性、物理的またはデジタルな損害を引き起こすリスクから保護する情報セキュリティの観点です。
モデルリスク管理は、意思決定の基礎となるモデルに内在するリスクを適切に管理する業務です。モデルは過去のデータや一定の仮定に基づいているため、市場環境の変化などにより妥当性が低下する可能性があります。妥当性が低下したモデルによる出力結果は誤った意思決定を招く恐れがあります。そのため、定期的なモニタリングや検証を通じてモデルの限界や前提条件を明確にし、健全な運用態勢を維持しています。
また、第1線と第2線の役員レイヤーで、全社的なリスクについて議論するミーティングの運営も担当しています。全社員向けリスクアンケートの自由回答をAIで分析し、重要なテーマに分類して議論の土台を整えるなど、新たな取り組みにも挑戦しています。
まだ会社に貢献できていない──育児休業中に向き合った、三井住友カードへの想い
──就職活動はどのような軸で行っていましたか?最終的に三井住友カードに入社した決め手も教えてください。
大学は法学部に在籍し、金融機関を中心に就職活動を行っていました。金融業界は形のない商品を扱うため、人としての信頼や提案力で勝負できる点に魅力を感じました。
三井住友カードを選んだ決め手は、面接でお会いした社員の方々の人柄に惹かれたことです。他社の最終面接を控えていることを正直にお伝えしたところ、「ぜひ行ってきてほしい。それでもなお当社を選んでいただけたらうれしい」と快く送り出してくださいました。こういう方々と働きたいと純粋に思えたことが入社の理由です。
──その後、一度退職したのはどのような想いからだったのでしょうか?
当時は、結婚・出産を経て管理職として活躍している女性社員がまだ少ない時代でした。将来的に子どもを持ちたいという想いがある一方で、管理職への挑戦も諦めたくなかったのです。両立の道を模索する中で、女性が経営の最前線で活躍しているメガベンチャーに関心を持ち、入社6年目に転職を決意しました。
その会社では4年近く法務として働いたのですが、IPOまでの道のりを経験してみたいという想いが芽生え、スタートアップに移りました。
──2024年にカムバック採用で再入社した経緯を教えてください。
3人目の育児休業中に、今後のキャリアについて考える機会がありました。その時あらためて抱いたのが、「自分を育ててくれた三井住友カードに、まだ十分な貢献ができていない」という想いです。この気持ちと正面から向き合わなければ、必ず後悔する──そう考え、カムバック採用に応募しました。
復帰にあたっては、不安はほとんどなかったです。同期とは退職後も交流が続いていて、会社とのつながりが途切れていなかったことが大きかったと思います。
再入社して実感した変化は、女性の管理職が活躍していることです。子育てをしながら時短勤務で働いている女性管理職の方もいらっしゃったりと、私が退職した当時とは大きく変わっていました。コアタイムなしのフレックス、在宅勤務、中抜けや時間単位の有給休暇など、柔軟な働き方を支える制度がとても充実していると感じています。
ベンチャー勤務や子育ての経験を活かして。自分のスタイルで、キャリアを広げていく
──カムバック後、前職での経験が活きていると感じる場面はありますか?
AI審査やモデルリスク管理は、当社業務として新しい領域です。SMBCグループベースの枠組みに基づき、社内体制を作っていくフェーズですが、前職のベンチャーでも同様の経験を積んできました。そのためこれまで培った、自ら仕組みを構築していく力が活かせていると思います。
他社を経験したことで、あらためて三井住友カードでキャリアを築くおもしろさを感じています。AI審査やモデルリスク管理は、他社であればデータサイエンティストや統計の専門家が主に担当する領域です。しかし当社では、法学部出身の私にもその機会が与えられています。専門外の領域にも挑戦できる環境が、キャリアの可能性を広げてくれていると感じています。
──仕事と子育てを両立するために、意識していることはありますか?
転職を経験して気づいたのは、自分にとって完璧なロールモデルは存在しないということです。誰か1人を参考にするのではなく、さまざまな人からヒントを得て、自分に合うロールモデルを組み立てればよいと考えるようになりました。そして、すべて自分でやることが理想の子育てだと思い込まずに、子どものためにいろんな人を巻き込んで「子育てチーム」を作ること。それが私が導き出した考え方です。
我が家では、夫が毎日の保育園送迎を担当し、子どもの急な発熱などのイレギュラーな対応は私が引き受けるという役割分担をしています。その際にとても助かっているのが、リモートワークやフレックスタイムといった制度です。柔軟な働き方ができる制度が充実しているだけでなく、周囲の理解が浸透しているため、最大限に活用して子育てと仕事の両立に役立てています。
キャリアの主語が「自分」から「組織」に。役割に応えることで、想像の先にたどり着く
──今後のキャリアについて、どのようなビジョンを描いていますか?
正直なところ、「個人として何をしたいか」という問いに対しては、明確な答えを持ち合わせていません。ベンチャーでの勤務、管理職の経験、3人の子育て、そして三井住友カードへのカムバック。一通り自分がやりたかったことを経験できたことで、「こうしたい」「こうなりたい」という想いは徐々に薄れてきました。キャリアを築く上での主語が、「自分」から「組織」へと変わったと感じています。
今は、当社がビジョンとして掲げている“デジタル”&“イノベーション”カンパニーになるために、自分に何ができるのか、何が求められているのかを追求する日々です。会社に貢献するために、新しいことにも全力で挑戦していきたいと考えています。
──具体的に、どのようなことに力を入れていきたいですか。
まずはAI審査とモデルリスク管理の業務については、持続的運用をめざして取り組みを進めており注力したいと考えています。その際に意識しているのは、管理部門の論理だけで設計しないことです。実際に業務を遂行する現場の社員が「この進め方なら対応できる」と、納得感を持って運用できる仕組みを整備していきたいと思います。
目の前の業務に集中しつつも、先々のことはあまり決めすぎないようにしています。周囲から求められる役割に応えていく中で、キャリアは自然と広がっていくものだと考えているからです。その方が自分が想像していたところよりもはるか遠く、もっと広い場所にたどり着けると信じています。
※ 記載内容は2025年12月時点のものです
