海外拠点を支える縁の下の力持ち、コミュニケーションを軸とした働き方
私は現在、グローバル事業本部総務部庶務グループに所属しています。私たちの部署のミッションは、海外拠点と連携して庶務業務を円滑かつ効率的に推進することです。世界10ヵ国以上に展開する支店や現場を支える、まさに縁の下の力持ちのような役割を担っています。
本社から海外拠点に書類や物品を送る一連の業務を担当しており、作業着やヘルメットは海外から直接注文することができないため、欠かすことができません。海外勤務者や海外出張者対応を担当する同僚とコミュニケーションを密に取ることを意識しながら、業務を進めています。
私が仕事をする上で最も大切にしていることは、コミュニケーションです。私は生まれつき耳が全く聞こえません。右耳のみ補聴器を着用して、相手の声を聞きながら口の形を見てコミュニケーションを取っています。意思疎通が上手くいかないこともありますが、そういった時こそ、直接顔を合わせて対話し、お互いが思っていることや考えていることを、しっかり分かるまで伝え合うことを意識してコミュニケーションを図っています。
清水建設で拓く、私のダイバーシティ&インクルージョンへの道
私は大学時代、障がいのある児童・生徒が必要とする体育・スポーツの在り方について研究を重ね、中学・高等学校の保健体育教育免許を取得しました。この学びの中で、障がいのある方々がスポーツを通じてどのように成長し、社会参画していくのかを深く考える機会を得ることができました。
大学を卒業し、清水建設に入社した私は、同部署や人事部の方々に自分の障がいのことやコミュニケーション方法について説明する時間を設けていただきました。私は手話が第一言語なので、簡単な手話を皆さんに覚えていただくために、週に一回10分間の手話教室を開催して、楽しい時間を作っています。
入社後はグローバル事業本部に配属されました。それまでは国内での教育分野に関心を持っていた私でしたが、グローバル事業本部での業務を通じて、文字通り世界観が大きく広がりました。海外勤務者との関係性を築く中で、それぞれの国の文化の違いや多様性の豊かさを実感することができたのです。
清水建設への入社の決め手は、ダイバーシティ推進への取り組みでした。様々な従業員の個性を活かすための組織づくりや、障がい者が働きやすい環境改善提案などの情報に触れる中で、これこそが私が求めていた働き方なのではないかと強く感じました。
特に魅力を感じたのは、単にダイバーシティを掲げるだけでなく、実際に障がい者の視点から環境改善に取り組んでいる姿勢でした。大学時代から続けている障がい者スポーツへの関わりを活かせる環境がここにあると確信したのです。様々な情報を通じて自分の視野がさらに広がり、より多くの人々の役に立てる仕事ができるのではないかという期待が入社の決め手となりました。
世界選手権優勝の裏にあった挫折と成長の軌跡
入社以来、私にとって最も印象深い出来事は、2024年6月に沖縄県で開催されたデフバレーボール世界選手権です。日本代表として全試合に出場し、チームの優勝に加え、個人としてベストセッター賞を受賞することができました。
しかし、その裏には大きな挫折もありました。「会社に行かないといけない!練習も行かないといけない!」と自分を追い込み、精神的に不安定になってしまい、会社に行けなくなってしまった時期もありましたが、上司に相談することで状況が改善されました。そこからは、心と体をちゃんと休ませる時間を作り、気持ちをコントロールすることを心掛けるようにしました。
こうした経験を通じて、私は大きく成長することができました。大学時代はバレーボールが大好きな人達の集まりの中で生活することが日常でしたが、社会人になってからは色々な人と出会い、一人ひとりの生き方や考え方を学ばせていただく機会が増え、価値観が変わったと思います。国内だけではなく国外も意識し、どのようにコミュニケーションを取ればいいのかを考える余裕を持てるようになりました。
デフリンピック金メダルへの挑戦と多様性を活かす未来
今年の11月、日本で初開催となる東京2025デフリンピックに、デフバレーボール日本代表として出場します。聴覚障がい者のためのこの国際大会は、私にとって大きな挑戦であり、金メダル獲得を目指して日々練習に励んでいます。
現在は、フレックス勤務制度を活用し、早朝から業務を開始して早めに退社し、残りの時間を練習やトレーニングに充てています。大会一ヶ月前からは休暇をとり、競技に専念してコンディション調整を行う予定です。このような柔軟な働き方ができるのも、会社や同僚が多様な働き方を理解し、応援してくれているからこそだと感じています。
障がい者が活躍するには特別な環境を作るのではなく、誰もが生きやすい環境づくりが重要です。私も障がい者の視点から職場環境の改善に向けて協力したいと考えています。
障がいがあることは不便なことではありますが、それを一人で抱え込むのではなく、まず自分から動いてみて、自分に合う働き方や環境を見つけることが大切です。配慮してほしいことを自分の言葉で相手に伝えることで、相手は理解してくださり、一緒に働きやすい環境を考えてくれます。
これからもデフバレーボールを通じて、聴覚障害への理解を広めたいです。また、社会人としても自立してキャリアを積んでいくことで、障がいのある子どもたちのロールモデルの一人になれれば、と思っています。
※ 記載内容は2025年10月時点のものです

