大怪我やコロナ禍に見舞われても続けたサッカー。ドイツ留学では「多様性」を体感
小学3年生から始めたサッカーに夢中になり、大学まで続けたという田端。高校は地元・宮崎を離れ、熊本の強豪校に進学し、部活漬けの毎日を送りました。
「サッカーの実技試験を経て入学できるセレクションに合格し、志望校に入学できました。入部後は睡眠時間より練習時間の方が長い日も少なくなく、振り返るとキツイ思い出しかありません(笑)。それでも頑張れたのは、サッカー選手になりたいという夢があったからです」
ところが高1の時に左足第五中足骨骨折を負い、手術を経験。1年ほどサッカーができない状態に。
「完治しても前のような感覚が戻らず、高校時代は不完全燃焼で終わってしまいましたね」
一度はサッカーを諦めかけた田端ですが、大学に入り、心機一転で再びチャレンジする道を選びます。
「サッカーで挑戦するラストチャンス、という覚悟で、サッカーの本場であるドイツに留学しようと考えました。ただ、高校時代から寮生活をさせてもらっていた上、留学するとなるとかなりのお金がかかり、親に負担をかけてしまう……。そこで、大学の交換留学制度を使えるように、学業、部活、アルバイトの合間を見つけ、必死で勉強しました」
努力が実り、交換留学生としてケルン大学に通うことになった田端。異国の地で勉強とサッカーに励んでいた矢先、今度は新型コロナウイルスの流行という未曽有の事態に見舞われ、帰国を余儀なくされてしまいました。
「1年間の留学期間が数カ月と短くなったものの、シェアハウスで多国籍の方々と交流し、世界には多様な文化や考え方があることを体感しました。ネガティブな面で言えば、コロナ禍という異常事態だったこともあり、アジアンヘイトを直接的に受けたことは衝撃的でしたね。バスや電車から降ろされることも少なくありませんでした。
一方で、もともとドイツ人は親日家が多く、留学生として心細く過ごしていた私にとても親切に接してくれました。一緒にサッカーをしたり、ランチに行ったり、楽しい思い出もたくさんできました」
忘れられない被災体験と“奇跡の一本石垣”。人の魅力に惹かれ、清水建設へ
帰国後はオンラインでケルン大学の授業を受けながら、九州大学サッカー連盟の一部リーグという舞台でサッカーを続けた田端。就職活動で建設業界を志望した理由を次のように語ります。
「高校時代に熊本地震を経験した時、インフラの重要性を痛感しました。また、当時の記憶で忘れられないのが、被災した熊本城が一筋の石垣でなんとか倒壊を免れていた姿。これは“奇跡の一本石垣”として多くの方に感動を与えましたが、私も勇気をもらった一人。こうした背景から、建設業やインフラ系の企業に就きたいと考えていました」
数ある企業の中から、田端が最終的に清水建設を選んだ決め手は「人」だと言います。
「就職活動ではゼネコンを中心に選考に臨みましたが、企業の人との距離が一番近いと感じたのが清水建設でした。リクルーターが親身になって相談に乗ってくれましたし、会社の良いところだけでなく悪いところも包み隠さず教えてくれたのも好印象でした」
こうして、2022年に清水建設へ入社した田端。全体研修と管理系部門2部署(経理部と総務部)での研修を経て、入社4カ月目からは施工管理・現場事務員として建設現場に配属されました。
「入社前からの憧れであった工事現場の仮囲いの中に初めて入ったときの高揚感は今でも覚えています。職人さんたちが、目の前の課題に対してチームで議論し、夏の暑い日も冬の寒い日も一生懸命働いている姿に心を打たれました。自分たちの仕事や生活は、こうした現場の方たちに支えられているんだと改めて気づくことができました」
障がい者向け現場見学会で気づいた可能性。若い世代も巻き込み、DE&I推進をめざす
建設現場での施工管理や事務を経験したのち、2023年7月、田端はコーポレート企画室DE&I推進部に異動しました。
「DE&I推進部では主に二つの活動を担当しています。一つは、2022年度からスタートした『シン・ダイバーシティ活動』。これは社内のジェンダーギャップを解消し、女性管理職の登用を全社的に推進する取り組みで、2030年までに女性管理職比率10%以上を目指しています。
もう一つは、グループ会社を含むシミズグループ全体でのDE&I推進で、グループ会社で働く方たちへのインタビューを通じて意見交換をしています。そこで挙がったさまざまな課題、例えば採用から定着、働き方、仕事とプライベートの両立などについて、今後の施策を考えるとともに、シミズグループとしてのDE&I推進方針を策定する予定です」
DE&I推進部に配属以降、田端が「大きな学びや気づきがあった」と振り返るのが、障がいのある従業員向けに実施した現場見学会でした。
「2023年10月に、障がいのある従業員を対象とした現場見学会を開催しました。1泊2日で建設現場の雰囲気を味わってもらうのはもちろん、懇親会も開いて参加者同士でコミュニケーションを取れるようにしました。
私はこれまで障がいのある方と接する機会がほとんどなかったのですが、一緒に寝泊まりし、長い時間を共に過ごした中で、彼ら彼女らが自分にはない感性や突出した能力を持っていると気づきました。従業員が障がいの特性を周囲が理解し、互いに協力し合うことができれば、彼ら彼女らが持つ独自のアイデアを活かせると、そのような可能性を感じた出来事でした」
経営トップらも全国の部門を回って従業員と話す機会を設けるなど、加速を続ける清水建設のDE&I推進。田端は入社3年目ながら、早くもその変化を感じていると言います。
「社宅や寮などの住まいに関する福利厚生や、育児介護休職、不妊治療手当などの諸制度が新設、拡充されるなど、私が入社してから1~2年の間でもさまざまな変化があり、どんどん働く環境の整備が行われていると感じます。新卒採用の女性社員の割合が3割を超えたことも、この業界では大きな変化だと思います」
一方で、「若い世代の従業員はDE&Iへの関心が薄い」という課題もあると話す田端。その原因を次のように分析しています。
「多様性や働きやすさについて考えるきっかけとなるのは、例えば、子育てや介護をしながら働くことになったとき、怪我や病気でこれまでと同じように働けなくなったときなど、自分がマイノリティの当事者になったタイミングが多いのではないでしょうか。心身共に健康で、結婚や子育て、介護の経験や心配がまだない若い世代にとっては、DE&Iの推進は自分事として考えにくいのかもしれません。
しかし、DE&I推進は一朝一夕で実現できるものではないからこそ、いまから全社的に取り組み、将来私たちが当事者になるまでに整えておくことが自分たちのためになります。その点を若い世代に伝え、巻き込んでいきたいと思っています。
大切なのは相手の立場に立って考え、理解すること。自分がもしその立場になったら……と想像して寄り添うことは、どんな仕事をする上でも重要なことだと思います」
若手ならではの視点やアイデアを発揮し、清水建設をより働きやすい会社に
DE&I推進に携わって約半年。田端は、さまざまな活動に取り組む上で常に意識していることがあると言います。
「DE&I推進の取り組みに協力してくれた社内の方たちに『やって良かったな』と思ってもらえるように心がけています。たとえば『シン・ダイバーシティ活動』では会長や役員たちと一緒に各部門を行脚したのですが、ともすると私たちからの一方的なアプローチになってしまいがちだと感じました。
『DE&Iの推進、ジェンダーギャップを解消することで、皆さんももっと働きやすくなりますよ』という点を伝えればより多くの協力を得られると思いますし、活動の成果を社内外に広報すれば『協力した甲斐があった』と思ってもらえるはず。何より女性管理職比率アップという目標を達成して、これまで協力してくださったすべての方々に感謝を伝えたいです」
大学時代の留学で多様な文化や価値観に触れ、社会人となった今、さまざまな人が活躍できる職場づくりに真摯に向き合う田端。自身の役割を次のように捉えています。
「最近は社外のダイバーシティ関連担当の方たちと関わる機会も増えてきたのですが、私と同世代の担当者は少ないように感じます。DE&Iについてはまだまだ勉強中ですが、若手の私だからこそ出せる意見やアイデアもきっとあるはず。若手社員の関心を高める活動も含めて、自分ならではの強みを発揮していきたいですね」
誰もが自分らしく働ける環境で、それぞれの個性がシナジーを生む、そのような組織をめざして動き出した清水建設。田端は、会社の魅力を次のように語ります。
「清水建設には、目標に対してしっかり努力できる、芯のある人が多いですね。また、従業員が熱量を持って『やりたい!』と言ったことに対しては、NOとは言わない会社。挑戦を前向きに捉えて、チャレンジを後押ししてくれる風土があると思います。
働く環境は今後ますます良い方向に変わっていくと思いますし、女性はもちろん、外国籍の方や障がいのある方もさらに活躍できる会社になっていくはずです。DE&I推進担当として、多様性を認め合いながら成長できる職場づくりに、今後も貢献していきたいですね」
※ 記載内容は2024年2月時点のものです

