一人ひとりの成長を支えたい。異文化の架け橋として見つけた使命
清水建設の人事部に2024年に設置された海外人財グループ。グローバル人財の獲得、育成や、多様な人財が活躍できる環境整備を担う部署です。その中で、グローバル人財育成施策の策定・推進や、外国籍従業員の職場環境整備に取り組むリムは、自身も外国籍従業員として、日本と海外の架け橋となる役割を果たしています。
「私たちのグループは、グループ長の下に主任2名が配置された3名で構成されています。新しい組織ということもあって、手探りの中、皆で悩みながら楽しくディスカッションを重ねています。
グローバル人財とは、海外で働く従業員だけをイメージしたものではありません。国内で働く従業員も、グローバルなマインドや異文化でのビジネスの進め方を学ぶことで、活躍の幅が広がると考えています。そういった取り組みも、私たちのミッションとして捉えています」
そのミッション達成に向けて建築系若手従業員を対象とした海外体験研修にも取り組んでいます。
「最近、ベトナムでの研修を企画・実施しました。短期の研修でしたが、現地での業務や生活環境を体感することで新しい気づきを得てもらえたと思います。その経験を、一人ひとりが今後の成長やキャリアにつなげてくれたら嬉しいですね」
また、外国籍従業員のフォロー体制も整えており、面談を通じてニーズを把握した上で、外国籍従業員と上司との橋渡し役も担っています。
「一人ひとりを大切にしながら、皆さんの成長をサポートしていきたい。そういう気持ちを常に持って仕事に向き合い、多様性の尊重と相互の信頼関係構築を図っています」
「日本に恩返ししたい」。ゼロからの日本語、優しさに触れて見えた社会貢献の夢
マレーシア出身のリムはマレーシアの高校を卒業後、日本の大学に4年間留学しました。
「日本の大学で学んでいた時、私は日本語がまったく話せませんでした。でも、周りの日本人の方々が親切に接してくれて、先生方も熱心にサポートしてくれました。このとき、日本人の優しさや思いやりの心に触れ、いつか日本の社会に恩返ししたいという気持ちが芽生えたのです」
その後、イギリスのランカスター大学院(ロースクール)に進学。コーポレートガバナンスに関する法律を学びます。
「法律を勉強する中で、自分がやりたいことは何だろうと考えた時期がありました。人との関わりを大切にしていく仕事、そして組織全体や社会に広く貢献できる仕事に携わりたいと思うようになりました」
そんな時、人財育成や良い職場環境づくりに関心を持ち、人事職としてのキャリアを志すことを決意します。
その思いを胸に2013年、清水建設に入社しました。
「日本の建設会社を選んだ理由は、日本は地震などの災害が多い国であり、建設会社は社会基盤を守る重要な役割を担っています。直接的な貢献ではありませんが、清水建設の従業員として会社のコア事業を通じて、間接的に日本社会に貢献できると考えました」
シンガポール支店の人事職として、リムは、海外の人財データベース(SAP)業務を担当することになります。
「人事データベースの管理、活用推進、機能拡張計画などを行いました。当時は海外のローカルスタッフのタレントマネジメントが課題で、13カ国の人事担当者とコミュニケーションを取りながら、チームワークでデータベースを構築。一見地味な仕事に見えるかもしれませんが、横のつながりを大切にしながらプロジェクトを完成させる中で、大きなやりがいを感じましたね」
人事担当者としての印象深い経験として、コロナ禍における従業員への対応をリムは挙げます。シンガポールに駐在していた当時、多くの従業員が不安を抱える中、会社は従業員とその家族の状況を重視する姿勢を示しました。
「一人ひとりと電話面談を行い、不安を解消するためのサポートを丁寧に行いました。当時は大変でしたが、従業員の方々から『ありがとう、私たちの不安を解消してくれた』というメッセージをもらい、とても嬉しかったですね」
その後、インターナショナルスタッフの人事業務全般を担当し、2022年には本社をより深く理解するため、自ら希望して日本へ。
「海外の人財だけでなく、本社の人事ネットワークも自分のキャリアに活かしていきたいと考えました。実際に日本で働いてみると、意外にもシンガポールよりも楽しいと感じるように。外国籍の従業員として、会社や社会に対して伝えられることが多くあり、日本語を使って皆さんの考え方に影響を与えられることはやりがいです」
外国籍従業員の声に耳を傾けて。日本の“当たり前”の背景を一つずつ説明する日々
外国籍従業員として日本での仕事に取り組む中で、最初は文化の違いによる苦労がありました。
「マレーシアでの教育では、完成した成果物を提出して評価を受けるスタイルでした。しかし日本では、完成したものを上司に持って行くと却下されることが多く、驚きました。
後から気づいたのですが、日本では『報連相』という言葉があるように、相談しながら一緒にものを作り上げていく文化があります。それを日本人の後輩たちが教えてくれて、仕事を進めるプロセスの違いに気づいたのです」
この経験は、現在の仕事にも活かされています。外国籍従業員との面談では、日本の働き方について不満や戸惑いなど、さまざまな声が寄せられます。
「『日本人は細かすぎる』『ルールが厳しい』『残業が多い』という声をよく聞きます。その際は、たとえば『日本は災害が多い国だからこそ、緊急時に備えてルールを守ることが大切です』というように、背景を丁寧に説明するようにしています。対話とコミュニケーションを通じて、お互いの理解を深めることができたら嬉しく思います」
主任になり、若い世代の声を上層部に伝える架け橋としての役割も担うようになりました。
「世代間にギャップがある中で、若い世代の声を上司に適切に伝え、相互理解を促進することを意識しています。私が異なる文化の中で学んだことを活かし、ギャップを埋めるようなコミュニケーションを心がけています」
夢に向かって挑戦する仲間と、“世界規模のスーパーゼネコン”をめざして
リムは今後、会社をより良い方向に変えていきたいという思いを持っています。
「従業員の成長を支援しながら、より働きやすい環境を構築していきたいと考えています。とくに会社をより楽しく、イノベーションが活発な風土にしていきたい。外国籍従業員として新しいアンテナ役となり、さまざまな情報を発信していきたいですね」
外国籍従業員と日本人従業員の間に立ち、それぞれの文化や考え方の違いを理解し、橋渡しする役割。それは、リムにとって大きなやりがいとなっています。
「お互いの立場を理解し合うことが何より大切。背景を説明し、対話を重ねることで、多くの場合は理解を得られます。この架け橋としての役割を通じて、より良い職場環境づくりに貢献していきたいと考えています」
こうした経験を活かし、今では新しく入社してくる外国籍従業員に対して、日本の企業文化を伝える役割も担っています。
「外国籍従業員の方には『焦らず、日本人とコミュニケーションを取りながら進めていくことが大事』とアドバイスしています。私自身の経験を説明すると共感してもらいやすいので、経験を共有しながら、スムーズに適応してもらえるように支援しています」
マレーシア出身のリムが日本で働き続ける理由をこう語ります。
「マレーシアでは『日本人から学べ』という言葉をよく聞くのですが、それくらい日本人の諦めない精神や真面目さは見習うべきもので、漫画『ONE PIECE』や『NARUTO』の諦めない心に強く共感しました。
当社にもさまざまな課題がありますが、皆で諦めずに新しい課題に向かって進んでいく。そんな姿勢に共感しながら仕事をしています」
これから一緒に働く仲間に向けて、こんなメッセージを送ります。
「夢を持って、チャレンジ精神があり、前向きに会社に貢献しようとする人に来てほしいですね。一人ひとりが自分のキャリアと会社のビジョンを重ね合わせて成長できるよう、清水建設は機会や支援を用意しているので、安心して飛び込んできてほしい。
また、将来的には日本だけでなく、『世界でも活躍できるスーパーゼネコン』として清水建設を成長させていくのが私の夢。その夢に一緒に挑戦していける仲間を歓迎したいですね」
※ 記載内容は2025年7月時点のものです

