いつも応援で溢れていた。仕事を通して気づく親の偉大さ
──伊藤さんは現在、リクルートスタッフィングで派遣営業として働きながらバスケットボールを続けているとのことですが、簡単に経歴を教えてください!
バスケットボールは5歳のころに、兄がプレーする姿に憧れて始めました。その後、ミニバスケットボールのチームに入ったのをきっかけに本格的に力を入れ始めて、大学卒業後にプロバスケットボールチームに入団し、現在は品川CC WILDCATSに所属しています。並行して、派遣営業の仕事をしています。いわゆる、デュアルキャリア(※)ですね。
※ デュアルキャリア…アスリートたちが選手活動を行いながら、もう一つのキャリアを積むこと
【伊藤 尚人 バスケットボール経歴】
5歳:兄の影響でバスケットボールを始める
小学校2年生:ミニバスケットボールのチームに入り本格的に始める
中学2年生:愛知県選抜として、全国大会ベスト8
高校3年生:東北大会優勝、インターハイ、ウィンターカップベスト16
大学2年生:インターカレッジ出場
大学卒業後:
2017~2018 B.LEAGUE東京サンレーヴス入団
2018 SIMON.EXE(3×3)
2019 EARTHFRIENDS.EXE(3×3)
2020~2022 KOTO PHOENIX(3×3)
2023 品川CC WILDCATS.EXE(3×3)★現在(取材時)
──伊藤さんはなんと3x3.EXE PREMIER 2023での準優勝で出場権を得て、世界大会に出場されたばかり。タイムリーな状況でのインタビューです!世界の強豪との試合はいかがでしたか。
世界大会で僕らと対戦したチームは、世界ランクが9位のチームと11位のチームでした。 結果的には2試合とも負けてしまったのですが、点数的には本当に最後、どっちかが1本取れば勝ち……ぐらいのところまで持ち込めていたため悔しかったですね。
その大会も印象的でしたが、世界大会の出場権を勝ち取った9月のPREMIER JAPANでのプレーオフで準優勝したことは今思い出してもすごく熱い気持ちになります。「こんなにたくさんの人が応援してくれるんだ」と本当に嬉しくて。
今までバスケを続けてこられたのって、本当にさまざまな方々に支えられてきたからだと思います。母もそのひとり。小2のころから地元にあるミニバスを続けてきたのですが、練習場所が家から離れていたんですね。毎日のように練習があったので、送迎をはじめいろいろなことをサポートしてもらって、本当にお世話になりました。
兄も姉も通っていたので、長きにわたって当時の母はどうやって仕事と家庭を両立させていたのか……など、実際に仕事をするようになってあらためて思います。仕事、家事、子育てとずっと応援して支えてくれた母には本当に感謝しかないです。
どうしてもバスケを続けたい。気持ちにブレがなかったから仕事も頑張れる
──プロバスケットボールの選手から、仕事との両立に至るまでのお話をお聞かせください。
大学卒業後に、プロバスケのチームに入団しプレーしてきました。転機となったのは、新型コロナウイルス感染症が拡大しはじめたころ。私は、子どもたちにバスケのコーチをしながら、自分もバスケを続ける生活を始めたばかりだったのですが、感染症の拡大を抑えるために活動を自粛する動きがバスケ界にも広がり、練習自体ができなくなってしまったんです。練習がないので給料も出ず、「これはもうこの生活を続けるのは厳しいな」と。
今後の人生を考え出した結論は「5人制のバスケ選手1本でやっていくのではなく、“働きながら3×3のバスケ選手としてやっていく”こと」でした。3×3は5人制ほどまだメジャーな競技ではないため、選手は仕事をしながらでないと生活が難しいのですが、今後もバスケ選手として生きていきたいため、自分の中で答えが決まっていました。
「3×3好きだな、続けたいな」という気持ちにブレがなくて、だったら仕事も頑張ろうって。そこから覚悟が決まりました。
──リクルートスタッフィングに入社されましたが、どのような流れだったのでしょうか?
リクルートスタッフィングには中途で入社しました。最初の数社はいわゆる有形商材という、清掃用品だったりウォーターサーバーだったりの営業をしていました。派遣社員として働いていたころに、営業の方に親身に寄り添ってもらったこともあって、「私も、自分のようにキャリアについて悩んでいる方に寄り添う仕事がしたい」と感じ、リクルートスタッフィングに応募し、入社が決まりました。
入社してから、自分と同じようなアスリートがいたり、業界未経験で入社し活躍している人がいたりと、多様な人を受け入れる環境があると感じています。
──競技1本から、仕事を両立するデュアルキャリアに移行されるとき、一番苦労されたのはなんですか?
両立するとなると、どうしても「バスケも仕事も両方頑張りたい!」となり、仕事もバスケと同じくらい本気で取り組むんですが、そうなると仕事の方に時間を費やしてしまい、バスケのほうが疎かになってしまったり……などスケジュール管理には、最初はかなり悩みましたね。なので、行動計画にしっかりと力を入れて、改善していきました。
時間管理や行動計画は、デュアルキャリアの大事な共通事項
──デュアルキャリアには、行動計画が大切ということですね。
行動計画っていうのは、競技でも仕事でもすごく大事かなと思っていて、そこに気づけたのは良かったと感じています。
競技でも、次の試合に向け、逆算してスケジュールを考え進めているのでそれを仕事にも応用することができました。たとえば、競技では「今日はトレーニングして、試合の前日2日前ぐらいに軽めのトレーニングをして……」とか「前日はちょっと軽めのシューティングにして……」とかいろいろと行動を立てるんですけど、仕事でも同じように、その月の目標に向かって「今週あれやろう」など考えを巡らせ、競技と仕事の両立をめざした行動計画を練ることができています。
競技でも仕事でも大きなゴールを立て、それに向かって日単位、月単位での計画を立てるのはすごく大切だなと感じました。
──ほかにも、仕事と選手を両立する上での気づきはありましたか?
競技と仕事、どっちかだけがうまく進むんじゃなくて、両方叶えるためにはどうすればいいか、“Will Can Must”を通して見えてきました。
リクルートスタッフィングでは、“Will Can Must”といって、本人が実現したいこと(Will)、強み(Can)、ミッション(Must) を出して、自分が実現したいWillに向かって頑張っていこうという取り組みがあります。 競技と仕事を両立してく中で実現したいことが、これまではっきり見えていなかったのですが、言葉にすることで明確になりました。
ちなみに、バスケの目標と、仕事の目標、両方達成するためにどうやっていこうなども、上長であるマネジャーが親身になって考えてくれるんですね。仕事onlyじゃなくて。
大事な試合がある日は早めにマネージャーに相談して、「じゃあ前日のこの日は有給休暇を取得しよう」と提案してくれたりとか、「この月は休んだ分、目標達成できるようにこう動いていこう」とかアドバイスをくれます。そういったところが今、両立できている要因になっていると感じます。自分の状況もチーム全体に共有してくれるので、すごく安心感があります。
競技と仕事をずっと続けていくために大切なこと
──バスケットボールとお仕事、自分ならではの両立法があれば教えてください。
正直、そこに関してはまだトライアンドエラーで勉強中はあるんですけど、毎日できなかったことをしっかり書き出し、それを練習後にやるのか・次の日の朝やるのか、自分の中で計画立ててやることは心がけています。
最初はPCで管理していましたが、自分は“書き出す”ことで頭に残るのでメモにして残しています。翌日、書き出したものを見ながら「今日は朝一番にこれやろう」「先週はこうやったけど、今週は違う方法でやってみよう」などと決めて取り組んでいます。繁忙期と大きな大会が重なって焦りそうになる時も、目標や優先順位が明確であれば、慌てずに乗り切ることができます。
今いる環境は周りがデュアルキャリアを応援してくれるので、それに応えられるように自分も覚悟して頑張っています。気合いで頑張る瞬間もありますが……(笑)。そういう気持ちにさせてくれる環境が周りにあるのはとてもありがたいことだなと感じます。
──これからの目標を教えてください。また、競技と仕事の両立をめざしている方に、ご自身の経験を通して伝えたいメッセージをお願いします。
まずは日本一になって、もっともっと世界に出て、世界の強豪に勝っていけるようにしたい。また、とにかくバスケがあっての人生なので、なるべく長く競技を続けていきたいと思います。
あと仕事面でも成長していきたいし、自分がサポートできる立場になっていきたいという想いがあります。今まで自分もチームメイトから、チームメイトが努力して得たノウハウなどをたくさん共有してもいました。それがすごくありがたくて。
今後は、自分がチームをサポートできるようになっていきたいです。
今後競技と仕事の両立をめざしている方に伝えたいことは、営業スキルやPCスキル……など仕事する上で必要なスキルを身につけるのは、後からでも間に合う・吸収できるということ。自分のマインド次第でどんどん学ぶことができると思います。
また、両方始める道を選んでから、「今は仕事だけ」とか「片方だけ頑張ろう」と思うのではなく、「両方でしっかりと結果出そう!」という覚悟を自分の中で強く持てるようになりました。その結果、競技と仕事どちらも結果を出すことにつながっています。
大事なのは、リクルートスタッフィングのような両立できる環境を探すこともですが、そこで頑張れるかどうかは結局自分次第だと思うので、その覚悟や想いを言語化して挑戦してみると良いのではと感じます。
※ 記載内容は2023年11月時点のものです
