アスリートも活躍。多様なバックグラウンドの人が、ポテンシャルを活かせる職場に
──2021年から人事部長に。人事としてどんなことを大事にしていますか?
2022年10月に新人事制度を導入し、「多様な個のポテンシャルの解放~Unleash your potential〜」をコンセプトに、従業員一人ひとりの価値観や時期によって、「働きやすく」「働きがい」がある環境を選べるように改革を行いました。
最近では、サッカーやバスケットボールの社会人アスリートを営業として複数人採用していますが、これも一つの例として挙げられると思います。彼ら彼女らは“仕事とスポーツの両立”や“未経験である”というハードルがある一方、それを克服する努力の仕方を知っていて、苦労して乗り越えた成功体験がある点や、精神的なタフさ、学習能力の高さなど、強みを活かして働いてもらっています。
派遣会社の私たちが扱う「派遣」という働き方はまだまだマイナーですが、自由に一人ひとりの仕事と働き方をカスタマイズできる仕組みです。だからこそ、リクルートスタッフィングの社員には、多様な働き方への気概を持ってほしいと思っています。
これから当社への転職を検討していただく方も、多様な働き方に関心がある人や、従来の「年功序列」「フルタイム」「愛社精神」を前提とした制度・カルチャーに問題意識を持っている人は向いていると思いますし、派遣スタッフ一人ひとりの状況や相談事に共感できるという点で、さまざまな経験や苦労がある人はそれが強みになると思います。
サッカーボールひとつで、国籍や価値観を越えてボーダレスにつながれる場に惹かれて
──アスリートの採用を後押ししたということで、ご自身もスポーツとの接点があったんですか?
小学生からサッカーを始め、中学生になってJリーグが始まって、そこからずっとサッカーオタクです。地元が名古屋なので、当時の名古屋グランパスのエース選手だったストイコビッチという選手が大好きでした。プレーが華麗で抜群にうまいのはもちろん、よく感情的になってイエローカードやレッドカードをもらう人間くささも含め、その振れ幅に惹かれたのだと思います。
そんな興味からか、高校時代は、アスリートの人間性に触れるような、スポーツノンフィクションの本やスポーツ雑誌『ナンバー』を愛読していました。そこから、スポーツライターを志望するようになり、大学に入ってからは、ストイコビッチ選手の母国語を学びながら、スポーツビジネスのゼミに入ったり、スポーツライター講座にも通ったりしていました。
──2002年には日韓ワールドカップもありましたね。
日韓ワールドカップがあったのはちょうど大学3年生のころで、日本を訪れる海外サポーターに向けてイベントやツアーを企画する学生団体で活動していました。いろいろな大学から多様なメンバーが集まっていて、所属メンバー以外に関わる人たちも、自治体や市民団体、地元のサポーターやワールドカップのボランティア、さらに海外サポーターと幅広く多様でした。ワールドカップ期間中は、海外サポーターと一緒に砂浜でサッカーをしたり、銭湯に行ったりという経験もして、まったく違う価値観、国の人たちが集まってボール1つで友だちになれる感覚がとても心地よかったんです。
多様な人が交わる“クロスカルチャー”な場で、個々が共感し高め合える心地よさは、サッカーを通して経験した面も大きかったと思います。
「心」を扱う職に就く両親のもと、“はみ出し者”が気になっていた子ども時代
──多様な人が交わる場に惹かれるのは何か背景があるのでしょうか?
小学校のころは、勉強は得意だけれど、先生に当てられていないのに勝手に答えを言ってしまうような落ち着きのない子でした。自分自身の特性として“はみ出し者”だという自覚は多少あって、幼いながらに、同調圧力に対しての反骨精神みたいなものもあったかもしれません(笑)。
そのせいか、会社の中で自分と同じように「自分ははみ出し者だ」とくすぶっている人をみつけると、なんとかポテンシャルを解放してあげたいという想いになって燃えます。
「ストレングスファインダー®」という自分の強みとなり得る資質を診断するツールがありますが、そこで出てきた私の資質の1つに「包含(インクルージョン)」というのがありました。「包含」は、“みんな仲良くやろうよ”という資質。振り返ってみると、学校のクラスでも、グループ内で濃く付き合うというより、クラスの端で1人になっている子が気になって、「一緒にやろうよ」と声をかけるタイプでした。
また、多様な人が交わる場に惹かれるもう1つのルーツは両親です。父が精神科医、母が心理学者で、2人とも人の心を客観的に扱う仕事でした。そのせいか幼心に、人の心を客観視することへの好奇心はありつつも「人の感情にもっと触れたい」という意識もありました。学生時代に、人間ドラマにスポットライトをあてるスポーツライターを志望していたのも、そこから来ているかもしれません。
求めるのは経験値より、「誠実さ」と「自己開示力」
──その後、リクルートスタッフィングに入社し、営業企画、ITやマーケティングなどを経て、人事部長に抜擢されましたが、どのように受け止めましたか?
リクルートスタッフィングへの入社動機は大きく2つあって、1つはフラットでオープンな会社のカルチャー。もう1つは、人材派遣という仕事で、多様な人や職業と関われることが魅力に感じました。多様な価値観をもった人を受容できるキャパシティを持った人になりたい、という想いがありました。
人事部長を任されたときは、畑違いのところにいたので驚きました。ただ、これまでデジタルやマーケティングなどの部署にいて、新たな施策にチャレンジするポジションを任されることが多かったので、今回も「人事制度改革」というテーマで、“変革”の役割を期待されていると理解しました。
──たとえば、多様な人を採用するにあたり、現場からは懸念はなかったのでしょうか?
なかったですね。ベースにある会社のカルチャーとして多様な人への受容性が高いのだと思います。採用において、人事から現場に候補者を提案しますが、最終的に採用をジャッジしているのは現場。そういう意味で、むしろ現場の対応力と育成力に支えられていると感じます。
背景としては、人材派遣という仕事柄、たくさんの派遣スタッフのキャリアをサポートしてきた人たちが管理職になっているので、人材マネジメントの能力やポテンシャルを見抜く力が高い、というのがあると思います。
──採用の際にはどんなことを大切にしていますか。
大切にしているのは、人に誠実に対応できるコミュニケーション能力と、目標に対してまっすぐに試行錯誤できる精神力。明確なソリューションがある仕事ではないので、対面する相手が印象として受ける「人当たりの良さ」や「誠実さ」を持っていることは重要です。そのポテンシャルがあれば、未経験でも積極的に採用しています。
ちなみにリクルートスタッフィングに入社した人からは、「面接が変わっている」とよく言われます。「堅苦しくなく、雑談している感覚」「自分という個人にフォーカスされて想いを引き出された」といったコメントをよくもらいますね。形式的なやり取りではなく、その人の本質が見たいので、その人の今までの人生の中の意思決定やその背景をとことん聞くことも多いです。
個人的には、本音を素直に出せるかどうかの自己開示力も大事だと感じています。「私はこういう人です」と自分の特性や意思を自覚していて、かつ、素直に出せる人が社風にも合っているし、結果、顧客から信頼されやすいと思います。
相手に自己開示を求める分、私自身も面接で自己開示するように意識しています。“面接はお見合い”とよく聞きますが、本気でそう思っていて、公開されている情報だけでは相手も判断できないので、面接の場で仕事内容の酸いも甘いも、会社のカルチャーも感じてもらえるよう心がけています。
──最後に、これからの展望や就職希望者へのメッセージをお願いします。
多様な人に働いてもらいたいということは、理想論ではなく、その人たちによって事業が成長できると本気で思っています。また、個々にカスタマイズした働き方を提案する人材派遣会社だからこそ、働く従業員も多様で自分らしい働き方を実現してほしいという想いもあります。
「今の環境に生きづらさを感じているけれど、何かをやりたい」というエネルギーに溢れた人は好きですね。くすぶっていたり、もがいていたりして、現状を打破したい人にこそ、新しい環境としてこの職場にチャレンジしてほしいです。
※ 記載内容は2023年11月時点のものです
