先端技術研究室が担う、テスト技術の未来
私たち先端技術研究室は、今期、コーポレート戦略本部の下に新設された部署です。主にテストの自動化(テストオートメーション)とAI技術という先端技術の研究開発を進めています。
私たちのミッションは、IoT、ブロックチェーン、AIといったエッジテクノロジー、つまり先端技術を研究開発することによって、テスト技術のレベルを向上させていくことです。これは単なる技術革新だけでなく、テストの品質と効率性を根本から変革していく取り組みだと考えています。
研究室には主に3つの部署があります。1つ目は企画グループで、他のグループと横断的に連携しながら、マーケティングのプランニングや展示会企画、人材採用といった管理企画業務を担当しています。2つ目のSETグループは、ソフトウェアエンジニアリングテストと呼ばれる領域で、テストの自動化を推進していく専門チームです。3つ目のAIグループは、AIモデルの開発やアプリケーション開発、さらには海外の先進的な事例の研究開発やリサーチを行っています。
現在、私たちのチームは6名の正社員で構成されています。企画グループには、バックオフィス業務やマーケティング業務の経験者が配置されています。 SETグループには、プログラミングや設計、実装の経験を持つエンジニアが在籍しています。そして AIグループには、データサイエンスや機械学習理論、統計学といった専門知識を持つメンバーが所属しています。
私自身は、室長として組織のあり方を定義し、人員採用や組織文化の醸成、KPIの設定など、部署全体の方向性を示す役割を担っています。先端技術研究室の特徴は、その名の通り、誰も確立していない新しい技術領域に挑戦していることです。前例が少なく、時には手探りの状態で進めていかなければならないため、確かに苦しい面もあります。
しかし、チームメンバーは皆さん、高い専門性を持つプロフェッショナルばかりで、雰囲気は非常に良好です。互いの知見を共有し、日々の会話を通じて切磋琢磨しながら、自己研鑽に励んでいます。新しい技術への挑戦は確かに困難を伴いますが、それを乗り越えていく過程でチームの結束も強まっていると感じています。私たちは、この苦しくも和気あいあいとした雰囲気の中で、テスト技術の未来を切り拓いていきたいと考えています。
技術革新への挑戦と組織づくりの軌跡
私たちの部署が発足した背景には、ソフトウェアテストを取り巻く環境の大きな変化がありました。これまで当社では、ソフトウェアテストは主に手動で行われてきました。人の目と手で一つ一つ確認していく従来の方法です。しかし、ソフトウェア開発の手法自体が、従来のウォーターフォール型からアジャイル開発へと移行していく中で、開発されるアプリケーションの数が増え、デプロイメントのスピードも加速していきました。
そうした変化に対応するため、まず取り組んだのがテストの自動化です。しかし、これは単なる自動化への移行ではありません。AIをはじめとする先端技術を活用した応用研究も視野に入れた、より広い展望を持った部署として先端技術研究室が立ち上がりました。
発足後、真っ先に取り組んだのは自動化エンジニアの採用と育成です。当時は社内にソフトウェアの自動化ができるエンジニアがいなかったため、外部からの採用を進めながら、同時に社内の人材育成にも力を入れました。具体的には、社内の既存メンバー向けにソフトウェアテスト自動化の研修プログラムを立ち上げ、現在までに233名のトレーニングを実施しています。さらに、とくに優れた能力を持つメンバーには、アドバンスドクラスという上級研修も用意しました。
このトレーニングの実施には、さまざまな工夫と苦労がありました。まず、適切な研修内容を見つけるため、多くのベンダーにインタビューを行いましたが、私たちが求める内容の研修コースは存在していませんでした。そのため、自分たちで一から研修コンテンツを作成する必要がありました。
また、287名という大規模な受講者に対して、3カ月という限られた期間でトレーニングを実施しなければならないという課題もありました。対面での集合研修は現実的ではないため、オンラインでのトレーニングを選択しましたが、これも簡単ではありませんでした。受講者の多くは顧客先で働いており、それぞれ異なるネットワーク環境や時間的制約がある中で、調整を重ねながら進めていきました。
しかし、この取り組みを通じて、予想以上の成果も得られています。これまで見過ごされていた成長意欲の高いメンバーを発掘でき、適切なトレーニングを提供することで、劇的な成長を遂げる人材も現れてきました。来月には第1タームが終了し、第2タームではさらに発展的な応用トレーニングを予定しています。また、AIグループでは、新しいポジションの開発や、海外の最新研究の調査など、将来を見据えた取り組みも進めています。
マネジメントと組織づくり:挑戦と成長の軌跡
私たちの部署は、ポールトゥウィンの中でもまったく新しいことに挑戦しています。テストの自動化やAIの研究など、これまでにない領域に踏み込んでいるのです。何もないところからのスタートですから、正直なところ非常に苦しい道のりでした。
とくに印象に残っているのは、メンバーとの激しい議論を重ねた時期です。時には軋轢を生むこともありましたが、そこは常に事実に基づいて、サポートの言葉を添えながら伝えるように心がけてきました。コミュニケーションの量を増やし、お互いの理解を深めることで、少しずつギャップを埋めていったのです。
私自身は、実はマネージャーというよりも研究者タイプのプレイヤーなんです。ただ、技術的なスキルセットがあったため、このポジションを任せていただくことになりました。マネジメントの面で自分の強みを挙げるとすれば、遠くまで見通しながら破綻しないように物事をセットアップできることでしょうか。とはいえ、まだまだ成長の余地があると感じています。
そんな中で、最近とくに嬉しく感じているのは、メンバーの変化です。チーム発足当時から比べて、積極的な議論や、自発的に提案をする場面が増えてきました。展示会などでテスト自動化の専門家として発表する機会も増え、目に見える形で成果が表れています。
実は、この変化を促すために特別な仕掛けを用意していたわけではありません。私自身、自分をコントロールされような気がして、メンタリングやコーチングをされることが苦手なんです。むしろ、率直な議論を重ねる中で、時には衝突を経験しながらも、チームとして一段上のレベルに到達できたのだと感じています。
今では290人近いメンバーを一から育成し、新しい知識を身につけてもらいながら、まったく新しい事業やサービスを提供できる組織づくりを進めています。これは私にとっても大きな経験となっています。単純に商品を仕入れて売るのではなく、人材を育成し、実行力のある組織を作り上げていく。そんな挑戦の中で、確かな手応えを感じられるようになってきました。
私の次の目標は、この講座を次世代のマネージャーに引き継ぎ、彼らが自立的に成長していける環境を整えることです。そうすることで、私自身も次の新しいテーマにチャレンジしていきたいと考えています。
先端技術で描く、社会貢献への道筋
今後の展望について、まず私たちがめざすのは組織の拡大と進化です。SETチームでは、新規事業の立ち上げと同様の位置付けで、直近ではマネージャー2名とメンバー4名の体制を整えることを目標としています。その先には、各メンバーが5名ずつのチームを率い、パートナー企業と協働しながら30名規模の組織へと成長させていく構想があります。
生成AIの分野は技術革新のスピードが非常に速く、日々新しい技術が生まれている状況です。この最先端の領域で、技術的なキャッチアップを続けながら、ビジネスとしての実現可能性や投資対効果を見極めていくことが大きなチャレンジとなっています。
社会貢献の観点では、AIを活用した組織改革を通じて、より大きな社会的インパクトをめざしています。例えば、人事部門での採用プロセスにAIを導入することで、膨大な応募書類の効率的な処理が可能になります。また、ゲームデバッグの分野では、AIによるリアルタイムのバグ検出が実現できれば、人間はより高度な判断業務に注力できるようになります。
ソフトウェアテストの領域でも、AIによる自動テスト設計・実行・レビューが現実のものとなりつつあります。このような技術革新は、必然的に働き方の変革をもたらします。しかし、単に技術を追求するだけでは社会の歪みを生む可能性があります。そのため、新技術の導入と同時に、教育やマインドセットの変革、働き方の再定義といった総合的なアプローチが必要だと考えています。
今後、私たちのチームにはさまざまな才能を持った方々にジョインしていただきたいと考えています。SETチームでは、ソフトウェアテスト自動化の技術を持ち、高い行動力を備えた方を求めています。必ずしもコーディングスキルだけでなく、テスト設計技術やロジカルな思考力を持つ方であれば、自動化エンジニアとして活躍できる可能性があります。
AI開発チームでは、Python、統計学、微積分、線形代数、データサイエンス、機械学習といった専門知識を持つ方、さらにはクラウド技術に精通した方を必要としています。また、技術だけでなく、プロダクトマネージャーとしてデザインや開発全体を統括できる視野の広い人材も歓迎します!
このような環境で、メンバーには多様なキャリアパスが用意されています。技術のスペシャリストとして、あるいはマネージャーとして、研究者として、それぞれの適性に応じた成長機会があります。とくにAI開発の分野では、研究者、プロダクトマネージャー、MLエンジニア、MLOpsエンジニアなど、現代社会で最も求められているポジションでの活躍が期待できます!

